「……わはー」

目の前に溢れる光の数々。
いつもは、物静かな町が彩られ、光と騒がしい音楽に包まれていた。
普段なら何もない道の真ん中には、大きなモミの木があり、桃子はそれを口を開けて見上げる。

「……」
「お待たせ」

見上げていれば、桃子に声を掛けてくる人物がいた。
金髪の髪の毛に背高い少年である、京太郎だ。
しかし、声を掛けるも桃子は、ぼーと見上げるばかり。

「何かあるのか?」
「わひゃぁ!?」

仕方がないので、京太郎は桃子の隣に立ち、一緒に見上げて聞いてみた。
聞いて見て帰ってきた返事は、驚きの声である。
本当に気付いていなかったのかと、胸を押さえ目を丸くする桃子に京太郎は苦笑を返す。

「い、いつから……いたっすか!?」
「今さっき……それで何を考えていたんだ?」
「えっ……あー……そのー」

聞いて見れば、桃子は顔を少しばかり気まずげに視線を逸らした。

「えっと……信じられないなーと思ってたっす」
「信じられない?」
「はいっす」

逸らしながらも、口を開き『信じられない』と口にすると桃子は視線を街道へと向ける。
桃子に釣られて京太郎も視線を送れば、そこには数々の人々。
楽しげに笑う子供と苦笑する親、イチャついてるカップル、友達同士つるみ歩く学生……などなど。
様々な人が、寒空の下で思い思いに過ごしていた。

「あー……えっと、その……何と言うか」
「むっ……違うっすよ! これでも、クリスマスをぼっちで過ごすとかしたことないっすから!」

桃子の言葉とステルス能力から京太郎が導き出した答えに、桃子が憤慨し『違う』と両手を腰に当て胸を張ってドヤる。

「まぁ、家族とかいるもんな」
「そ、そっすね。……友達なんかは、なんかと」
「相変わらず、寂しい子供時代過ごしてんな」

ドヤっていた桃子であったが、察せられ言われればしゃがみ込み落ち込んだ。
友達と過ごしたこともなく、落ち込んでいるのだろうと軽く察せられた。

「ほらほら、立て立て。少なくともこれからは、違うだろ?」
「わー……臭いセリフ」
「こんにゃろ、帰っちまうぞ」
「やーめーれー! 髪が乱れるっす!」

落ち込む桃子の頭をぐりぐりと撫でれば、慌てて手をバタバタとさせて起き上がった。

「ほら……行こうぜ」
「っ……!」

頬を膨らます彼女に、京太郎は笑顔で手を差し出す。
京太郎からしたら、過去を振り返って何落ち込んでいるのだと思う。

「過去よりも未来、これからは家族以外の人と過ごせるだろ。主に俺とかと」
「ふふ……そうっすね」

差し出された手。
その手を桃子は手に取り、二人は歩き出す。
恋人繋ぎから、少しずつ互いに近寄り、最後は腕に抱きついて静かに歩いていく。

「ところで……信じられないってぼっちの件でなければ、何だったんだ?」
「もう……蒸し返すっすか!」
「悪い、悪い、でも気になってさ」
「……笑わないっすか?」
「笑わない」
「えっと――こうやって好きな人と愛しい特別な時間を過ごせるのが、信じられなかったっすよ」

そう言って、笑う桃子の笑顔は歩いていく誰よりも輝いているなと京太郎は思った【微笑んだ】。

カンッ!