「はぁ……」

寒空の下で、京太郎は白い息を吐き、ぼーと考える。
手が寒くなり、ポケットに手を突っ込み、考えるのは己の彼女のこと。
初めて出来た彼女、大事な彼女……。
しかし、最近、そんな彼女を見て思うことがある。

「――京太郎っ」
「あ……来た」

彼女の通う高校は、女子高である為、校門で待ち続けていれば京太郎を呼ぶ声が聞こえた。
その声に、ぼーと空を見上げていた顔を声の持ち主……彼女へと向ける。
彼女――鶴田姫子は、京太郎の名前を呼んだ後、駆けた。

京太郎は、駆けた彼女へと向き直り、先ほどから思っていたことを再確認する。
必死に走る彼女の茶色い髪は、風を受けて後ろへと流れ、耳のように見え、目は爛々と輝き、嬉しさを隠せないとばかりだ。

「わふっ」
「おっと」

そんなに距離が、あった訳ではない。
時間にして数秒ほどで姫子は、京太郎へと辿り着き、勢いを殺さず、そのまま姫子は、京太郎へと抱きいた。
京太郎は、衝撃で少しばかり後ろへと下がるも、中学校で鍛えていた為か容易に受け止める事が出来た。

「ん~」
「……」

京太郎がしっかりと受け止めると、京太郎の胸元で姫子が、己の匂いを付けるように顔をぐりぐりとこすりつける。
そして、ある程度満足したのであろう。
姫子は、京太郎のコートの匂いを息深く吸い込むとふにゃっと顔を崩した。

「……やっぱり犬だよなー」
「んぃ?」
「何でもない、よしよし」
「わうっ!」

姫子の仕草を見て、京太郎は前々から思っていたこと……犬のようだと思っていたことを再確認した。
頭を撫でれば、尻尾があれば振り回し、子犬のように喜ぶ姫子。
そんな姫子を見て、やはり俺の彼女は可愛いなとぎゅーっと抱きしめた。

カンッ!