京太郎(朝起きて、まず涼しさに驚いた)
京太郎(どうやら夏も、もう終わりらしい)
美穂子「ん…おはよう、ございましゅ…」
京太郎「あ、起こしちゃいました? ごめんなさい」
美穂子「いえ…んぅ」
京太郎(寝ぼけ眼の彼女が愛しくて、俺は優しく彼女を抱き締める)
美穂子「ふぁ…」
京太郎「二度寝しましょう、美穂子さん。俺、眠い」
美穂子「え、でも」
京太郎「夏も終わりなんです。…ちょっとくらい、名残惜しみましょう」
美穂子「ふふっ、よくわからないけど…そうね」
京太郎(そういうと彼女は俺の額に自分の額をくっつけた。互いの吐息がかかる。暖かい)
美穂子「ぬくぬく、ね…」
京太郎「ぬくぬく、ですね」
京太郎(彼女の目はとろんとしている。再び寝るのだろう。そういう俺も、睡魔がやってきた)
京太郎(もうじき夏も終わる。新しい季節が来る。楽しみで寂しい)
京太郎(だから、せめて…今この時は、この人を抱いて、静かな高揚と穏やかな哀愁を味わおう)
京太郎「おやすみ」
美穂子「おやすみ、なさい」
京太郎(そう思うのだった)
カン
最終更新:2016年11月26日 20:56