京太郎「あああああっっ!!!」

獣哮。浮かぶ意識。
息が荒い。呼吸がままならない。視界が揺れる。ぐらつく頭を強か打ち付ける。
こみ上がる嘔吐感。溢れ出す吐瀉物。
暗く黒い世界。フラッシュバック。

京太郎「違う、夢だ……」

そうだ、いつもの夢だ。
落ち着け、夢だ。ただの夢だ。
気力でそう呟くと。
目の前の惨状を確認する余裕が生まれた。

京太郎「はあ……」

溜め息を一つ。
飲み損ねた薬包が、嘲笑うかのように風で飛ぶ。

京太郎「くそっ」

昨晩の記憶は無いがどうやら荒れたらしい。
半端に空いた窓を閉じ、汚れたシャツを脱ぎ捨てる。

そこで気付く。

京太郎「なんだぁ?」

投げ出された布団の下に何かいる。
まだ寝ているらしく、微かな寝息が聞こえる。
己の叫びで目覚めた京太郎は、それが腹立たしいとともに、よく起きなかった、と感心もする。

しかし、それは今問題ではない。

京太郎「……誰だ?」

酒の勢いで引っかけることはよくあるが、自宅に連れ込んだ事は、今までになかった。
重怠い下半身は、確実に致した現実を突き付ける。

背中に走る薄ら寒い感覚。
嫌な予感は、事が大きくなればなるほど当てきた。
今度こそ違う、今度こそは。
そう願い続けては、ことごとく覆されて。

京太郎「いい加減にしろよ……」

だから。
捲った布団の下から、幸せそうな寝顔の彼女が現れたのは。

京太郎「……咲」

至極、当然で。
当たり前のことなのだ。

京太郎「馬鹿野郎っ……!」

カンッ