<熱くなりすぎた寒がり> 京阿知賀

宥「ううっ、寒いよぅ」

京太郎「宥さん...今、外の気温は32℃ですよ?」

宥「だってぇ...寒いんだもん」

京太郎(インターハイも終わり、残暑も厳しい8月25日)

京太郎(俺達の部室の中は軽いサウナ状態だった)

憧「宥姉...ちょっとやばいよ」

憧「いくらなんでもこれはちょっと...看過できないわ」

玄「おねーちゃん...」

穏「うーん。そうだ、宥さん!!」

宥「な、なに?」

穏「良いことを思いついたんです。ちょっとこれを...」

京太郎(鞄をごそごそ漁った穏乃はアイマスクとipodを取り出し)

京太郎(訳の分からない顔をしている宥さんを椅子に座らせ)

京太郎(おろおろする彼女の耳と目にそれ等を装着した)

灼「穏乃、一体何をする気なの?」

穏乃「ニシシシ...まぁ十分くらい様子を見てて下さい!」

京太郎(事実、俺達が宥さんに出来ることはなにもなかった)

京太郎(だから、俺達は汗だくになりながら宥さんの様子を見ていた)





30分後



京太郎(今までどんなに熱い時でも上着を脱がなかった宥さんに変化が起きた)

宥「んっ、んんん!!」

玄「う、うそ...おねーちゃんがセーターとマフラーを外した?」

京太郎(あんぐりと口をあけた俺達をよそに)

京太郎(宥さんは今まで着込んでいた上着を次々に脱ぎ始めた)

京太郎(そして五分後、俺達の目の前には夏服の宥さんがいた)

憧「ね、ねぇシズ?アンタ一体宥姉になにしたの?」

穏乃「気になる?」

灼「それは...みんな気になるよね?」

京太郎(全員が頷いた)

穏乃「よし。宥さん、もういいですよ」

京太郎(促されたと同時にアイマスクを外した俺達の宥さんは...)

宥「YUUUUUUUUUU!!!!」

京太郎(奇声を上げて、激しく踊り出した)

玄「お姉ちゃん?!どうしちゃったのーー!!」

灼「暑苦しいのが余計に暑苦し...」

京太郎(穏乃のやつはそれを見てうんうんと頷いていた)

憧「シズ!!アンタ一体宥姉に何したのよ!」

憧「どう見たってアレは変よ」

京太郎「穏乃、さっきのipodちょっと見せろ」

京太郎(再生ボタンを押した穏乃のipodから流れ出てきた音声...それは)


暑くなければ夏じゃない。熱くなければ人生じゃない!
どうしてそこでやめるんだ、そこで!!
涙よりも、血よりも、汗を流していたい
もう少し頑張ってみろよ!
ダメダメダメ!諦めたら!
周りのこと思えよ、応援してる人たちのこと思ってみろって!
あともうちょっとのところなんだから!
もっと熱くなれよ!!!熱い血燃やしてけよ!
人間熱くなった時が本当の自分に出会えるんだ!!
だからこそ
もっと熱くなれよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
もっと熱くなれよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
もっと、熱くなれよおぉおおおおおおおおおお!!!

全員「.........」

穏乃「え?なにか悪いことしちゃった?私」

玄「いや...その、やりすぎじゃない?かな」

灼「寒がりが熱くなりすぎるとこうなる例かもしれな...」

京太郎(あとから穏乃に宥さんに何をしたのかと聞いたところ)

穏乃『ほら、眠れないときの為の添い寝CDってあるじゃん』

穏乃『だから宥さんの寒がりもそういうので直るかなーって...』

穏乃『ネットで有名な芸能人の熱血発言とか、夏の定番ソング』

穏乃『さっきのはそれ等をPCで編集したのを宥さんに聞かせたんだ』

穏乃『効果は...抜群すぎて、ちょっとやりすぎちゃったかな?』

玄『やり過ぎだよぉ~...お姉ちゃんにもしものことがあったらどうするの?』

穏乃『...救急車呼んだ方がいいかな?』

全員『当たり前だ!!』

京太郎「そして宥さんは救急車にのせられ病院で検査を受けた」

京太郎「検査の結果は異常なし。だったけど...」






12月

穏乃「ううう~寒いよ~、ストーブストーブっと」

宥「待ちなさい!!」

穏乃「えええ~?何でですかぁ宥さぁん」

宥「身体が寒いのは心が熱くないからだ!!」

宥「私だって部室の温度が3℃のところ、鼻水凍るまで頑張ってんだよ!」

宥「服を脱げ、心を燃やせ!身体も燃やすんだ!!」

憧「宥姉、それだと麻雀できなくなるって」

宥「玄はどうした?灼はなにしてる?」

玄「ううっ、ラスになっちゃったよぉ...」

宥「一番になるっつったよな? ナンバー1になるっつったよな!?」

玄「言ってないよぉ...」

宥「諦めんなよ、お前!!」

宥「私が卒業したら、お前一人で頑張らなきゃ行けないんだぞ!!」

宥「ぬるま湯なんかつかってんじゃねぇよお前!!」

玄「ううっ、もうやだぁ...このお姉ちゃん」

宥「褒め言葉よりも苦言に感謝」

京太郎(そして今日、遂に恐れていたことが起き始めてしまった)

灼「...熱くなってきた」

灼「宥さん!私、頑張ります!」

宥「そうだ!!今日からお前は富士山だ!」

京太郎(こう言ってはなんですが、来年がとても心配で仕方ありません)

 そして、京太郎達は考えるのを止めた。

 来年の阿知賀がどうなるのか、それは神のみが知るところである カン