「むふふ……♪」

「やけに機嫌いいな、朱里」

部活を終えた後の帰り道、同級生の朱里と一緒に帰っていると朱里が機嫌良さそうに笑っている。
少し不気味に思うも、何故笑ってるのか気になって聞いてみることにした。

「なんと! 私が大会の補欠に選ばれたとです!」

「まじで?」

「まじまじー!」

手を広げて嬉しそうにする朱里に目を丸くして驚いた。
ここ新道寺女子は、麻雀の強豪高で知られる名門だ。
そんな麻雀部の中で入って数ヶ月の朱里が補欠とはいえ、大会についていく事になったのだ。
驚きしか出てこない。

「はぁー……先輩達の活躍ば近くで見れっとか、幸せ」

「先輩かー……レギュラーは誰になったんだ?」

朱里は頬に手を当てニマニマと嬉しそうに体をくねらせている。

「先鋒は花田先輩、次鋒は江崎先輩、中堅は安河内先輩、副将は白水先輩で大将が鶴田先輩!」

「なるほどなー……それにしても花田先輩が先鋒?」

確か、花田先輩の成績は朱里より下のはずだ。
それなのにレギュラーに朱里でなく花田先輩が入ってることに首を傾げた。

「むーわかっとらん、京太郎はわかっとらんとです」

「あー……やっぱりしっかりと意味があるのか」

「先鋒はエースが固まりやすか、そんな激戦区で耐えれる人はあの人しか居らんとです」

「確かに……あの人のメンタル半端ないもんな」

「うん! そいに私はブレがあっけん」

少し前に参加したプロ混じりの練習を思い出しげんなりとした。
あれは酷かった、プロに何とか対抗できたのは、シローズ&鶴姫の二人と飛ばなかった花田先輩だけだ。

「なるほどな……でもなー」

「んー……不満あっと?」

「それじゃ、朱里が活躍しないだろ?」

「うん、出番なかね」

「TVとかにお前映んないんじゃな……そりゃ、先輩達が出るし応援するけど……」

「……」

折角の年近い友達の晴れ舞台、だというのに補欠だけ終わるのが悲しい。
こいつの凄さを知ってるだけに惜しく思えてしまった。

「京太郎は……私に活躍してほしか?」

「うん」

「そっか……そっか♪」

「何嬉しがってんだよ」

「なんも、なーんも!」

嬉しそうに笑う朱里に恥ずかしくなり、そっぽを向く。
そうしていれば、朱里が近づいてきて覗き込み口を開いた。

「今回は無理! ばってん……次の大会はきっと!」

「おぅ、期待してんぜ?」

「うん、そいけん……そいまでずっとずっと見守ってて?」

「……おう」

真剣な目で訴えてくる朱里に思わず素直に答えた。
そうすれば、彼女は本当に幸せそうに顔を崩して笑う。
そんな彼女の笑みに胸がドキっと跳ねた。
人の気も知れず、笑う彼女に今日もまた振り回されるのであった。

カンッ!