やって参りました、茨城に。

正直姉さんが一番怖い。

何が怖いかって今までの多くは対局の中で記憶の断片を取り出してきたけど(数名は怪しいけど)、相手が姉さんだと洒落にならない。

下手な事をするとレジェンドされちゃう……

しかしあの人はかわいそうだったな、健夜さんに跳満直撃なんてしなければ……

うだうだ考えても仕方ないな、なるようになるだろ。

とりあえず駅の改札口から出て、家までの道を歩いていく。

家までの道程はなにも変わってない、と言うか何も無い……

……何も無いのは慣れてるけどさ。

しかし辺りがそろそろ暗くなってきた。

やはり岩手から茨城の鈍行は無茶だったか……

学生の身に金銭関係は結構厳しい。

それでも節約する俺ってやっぱり主夫向きなのだろうか。

そんなバカな事を考えていたら、道端で蹲っている人が居る。

酔っ払いか?と思いつつ声を掛けた、が……






京太郎「あの、大丈夫ですか?」

健夜「あ~大丈夫です~」


やっぱり酔っ払いだった、しかも身内である。

これは酷いかなりの出来上がり具合だ。


京太郎「帰れますか?送っていきますか?」

健夜「え~おくってくれるんですか~?」

京太郎「はい。」






そう言って俺は健夜さんを背負って家まで『帰る』事にした。

とぼとぼと家までの道を歩き、うんうん唸ってる仕方ないこの人はやっぱり放っておけないオーラがある。

この先、この人に良いお相手が出来るんだろうか?

恒子さんの言葉を思い出して、あんまり深くは考えないようにした。


健夜「う~ん良い背中だ~」

京太郎「吐かないでくださいよー」

健夜「大丈夫だよ~吐かないよ~」

そんな取り止めの無い会話をしながら、背中の温かさを懐かしむ……






――健夜視点――


こーこちゃんに付き合って相当呑んでしまった。

しかもいつの間にか誰かにおんぶされている。

この子はいつの間にかこんなに大きくなってしまって……

はて、この子とはなんだっけ?

まあいいや~何か懐かしい気がするもの。

もうちょっとだけ、このタクシーの乗り心地を楽しんでおこう。

酔いが醒めたら誰だか確かめれば良いし。





京太郎「大丈夫ですか?そろそろ家に着きますよー?」

健夜「あーごめんね、大分お酒が抜けてきたみたいです。」

京太郎「そうですか、お酒は程々にしてくださいね。」

京太郎「……家に着きましたよ。」

健夜「んー?なにしてるの?」

京太郎「え、なにしてるのって……」

健夜「上がっていかないの?」


京太郎「……まだ相当酔ってますね。」

健夜「……お酒はもう抜けたよ。」

京太郎「……健夜さん。」

健夜「……京太郎君、姉さんって呼んでくれないんだー」


自然と名前を呼んでいた。

さもそう呼ぶのが当たり前のように。


「さあ上がって。」

「これから私の自慢の『弟』を両親に紹介しなくちゃいけないんだからさ……」

「……お邪魔します。」

「違うでしょ?こういうときは――」

「ああ、そうでしたね。」


『ただいま、姉さん。』

『おかえり、京太郎君。』


【ただいま・おかえり】

京太郎(小鍛治)・健夜「「最後のいっこカン」」