夕食を終えた京太郎と明華は庭で夜空に浮かぶ月を静かに見上げている。

明華「・・・綺麗、ですね」

京太郎「そうですね・・・と、そうだ、知ってましたか明華さん?
昔の人は月にうさぎが居るって思ってたんですって」

明華「うさぎ・・・?」

京太郎「そ、何でも月の一部がうさぎみたいに見えたからだとか・・・」

明華「なるほど・・・なんとも面白い話ですね」

京太郎「はは、全くです」

と、そこで明華はなにやら閃いたらしくクスリと笑みを浮かべた。

明華「なら私は傘一つで月から京太郎君の所までやってきたうさぎさん、というのはどうでしょうか?」

京太郎「ん・・・?それはどういう事でしょうか」

明華がどういう意味でそんな事を言い出したか分からず「?」マークを頭上に出しながら返事をする京太郎。

明華「それでは、うさぎさんの私はお風呂に入らせて頂きますね」

京太郎「あ・・・はい、それでは飲み物を冷やしておきます」

釈然としない京太郎を残して明華は入浴へと向かう。・・・さて、明華の意図一体なんなのだろうか?
それから、暫くして。

京太郎「ふぁぁ・・・もう寝るかな」

京太郎は部屋の明かりを消して、ベットに潜り込む。

      • そして、少したった後、ガチャリと部屋の扉が開いた。

京太郎「・・・明華さん?」

入ってきたのはパジャマ姿の明華だった。京太郎が頭の上に疑問符を浮かべながら様子を見ていると、明華は何も言う事なくいきなりベットに潜り込んできた。

京太郎「ちょっ!?ちょっとどうしたんですか、一体?」

明華「言ったでしょう?私は、うさぎさんだって・・・」

京太郎「・・・はい?」

混乱する京太郎にお構いなしに明華は言葉を続ける。

明華「だから、うさぎさんです・・・京太郎君、知ってましたか?うさぎさんは、構ってあげないと寂しくて死んじゃうんですよ?」

京太郎「はぁ・・・」

そこで京太郎は明華の意図に理解した。要するに彼女は・・・。

京太郎「構って欲しかった訳ですね」

明華「・・・」

京太郎の言葉に答えず、もぞもぞと京太郎の腕を枕代わりにし始める明華。
恐らく明華も、京太郎も、兎の瞳よろしく顔を真っ赤にしている事であろう。

京太郎「大丈夫ですよ、うさぎじゃなくたって貴女を寂しがらせるつもりはないですから。・・・おやすみなさい、明華さん」

明華「はい・・・おやすみなさい、京太郎君」

数分後、京太郎と明華は寄り添いながら健やかな寝息を立てて眠りにつく。
そんな愛し合う二人をカーテン越しに、お月様が祝福するように優しく照らしていたのであった。

カンッ