「すぅ…すぅ…すぅ…」

外は肌寒いものの、雲ひとつ無い空に輝く太陽が放つ陽気で過ごしやすい。

つまり、窓際ではぽかぽか陽気でまどろむのに丁度良い日だという事だ。

家のそばの道路から聞こえてくる行き交う自動車の排気音。

こんな田舎で自動車は珍しいと思うのか、それとも田舎だからこそ自動車が多いのか。

そんな益体も無いことを考えながら俺の膝の上で寝息を立てる癖っ毛のお姫様を見やる。

どことなく中性的な顔立ちに、銀色と見紛うほどに綺麗な輝きを持った白髪。

すわどこの最終使徒だと言いたくなるが身体つきは立派な女の子だ。胸もでかいし。

その整った美にはどこか触れがたい神秘性を持っているのだが、普段の胡乱げな目つきとダルげなしかめっ面で打ち消されている。

それがいいと言う酔狂な人も多いらしい。何故か女子に。

しかし今はその目も閉じられ、穏やかな顔で寝息を立てている。

この人が本当に気を抜いていられるのは今は俺だけと言う事実に浅ましい独占欲を抱きつつもほんの少しの罪悪感を感じて、

どこか複雑な気持ちになってしまう。


「んん…んぅ…」

そんな俺の心の動きを察知したのかわからないが、むずがって身じろぎをするお姫様。

慌てて頭をゆっくり撫でてやると満足したのか顔をこすり付けてくる。

安い人だなあと思いつつもそんな猫じみた仕草に先ほどまで渦巻いていた雑念がさっぱり消えてしまったのに気づき、

自分もまた安上がりな人間なことに苦笑いを浮かべつつも些細な共通点を見つけて、嬉しくなった。

「今日の夕飯は何が食べたいですか?」

答えるはずの無い人間に、そう問いかけてしまうほどに。

「すぅ…すぅ…」

案の定答えが返ってないことに笑顔を浮かべつつ、今日はちょっぴり豪華にしようと考える今日この頃。

しばらく後、日も暮れて肌寒さに目を覚ましたお姫様が手の込んだ夕飯に疑問を浮かべつつも舌鼓を打ったのは別の話である。

カンッ