俺の幼馴染はぽんこつだ。
本の虫という言葉がよく当てはまっていて、一番の優先順位が読書だ。
放っておけば一日中でも本を読んでいるし、下手をすれば登下校中にも本を読んでいる。
ひどい時には昼飯を食べずに外に出て、日向ぼっこをしながら本を読んでいる。
そしてお日様にやられて寝過ごして、昼食を食べずに午後の授業なんてこともある。
そのくせお腹が空いているのかしかめっ面で授業を受けて、机に伏しているなんてこともあった。
「咲。よっ、学食行こうぜ」
「京ちゃん。これ今日返却日だから読まないと」
「学食でも読めますよ?」
そんなだからなんだかんだ言って学食に誘うのはこいつのためだ。
授業中にお腹を鳴らされちゃたまったもんじゃない。
「ようこそお姫様」
「誰が姫だ」
「カモ連れてきたぞーつ」
こいつを麻雀部に連れてきたのもこいつのためだ。
俺以外に友達がいないなんて笑えない。
「むむむ」
「咲。登下校中に読むなよ。危ないよ?」
「もうちょっと」
「じゃあ、俺の腕に掴まってろよ」
こうして登下校を一緒にするのもこいつのためだ。
クラスメイトが事故なんて笑えない。
距離が近いといい匂いがする。全く色気のないくせにこいつも女の子なんだな。
「咲ー」
「京ちゃん」
「麻雀部に入って一週間だけど、もう慣れた?」
なんてところで寝てるんだお前は。
一応、花の女子高生でしょーが。何かあったらどうする。
「咲ー」
「京ちゃん」
「あのな」
全く、いつだって咲はふらふらする。
仕方ないから、付き合ってやるよ。
「咲」
「京ちゃ……あ、あなた」
「……やっぱり、いつも通りでいっか」
むくれるなむくれるな。
仕方ないから、本当に仕方ないから、一生面倒見てやるさ。
カン
最終更新:2015年12月03日 01:16