京ちゃんぺろぺろしたい。宮永照です。

 最近、麻雀関係でとても忙しい。

 でも、私にとって麻雀は全てではない。

 麻雀は好きだけれども、あくまで仕事であって、京ちゃんとイチャイチャしたいし、咲をギュッと抱きしめたい。

 この年でもたまにはお母さんに甘えたい。お父さんはどうでもいい。……やっぱり、ちょっとだけ甘えたいかも。

 定期的にこんなアンニュイな気持ちになってしまって、麻雀のモチベーションも下がってしまう。

 もちろん、モチベーションを含めて調整するのがプロだけれども、私だって人間なんだから仕方ない。


 「早くオフシーズンになってほしい」


 遠征に来てしまえば、宮永家に帰ることは出来ない。

 私の唯一の休息場所すらなくなってしまって、とっても不機嫌だ。

 まだまだ初日だと言うのに、こんな調子で大丈夫なのだろうか。

 いや、これでも私は宮永家の家計を支える稼ぎ頭。私の成績が宮永家の献立を左右する!

 頑張れば京ちゃんが頭を撫でてくれるし、咲はお弁当に力を入れてくれる。

 この遠征が終わって家に帰れば、子供たちが私を出迎えてくれるはず。

 私が甘やかすせいか、子供たちは咲より私に甘えたがる傾向がある。

 家に帰ると嬉しそうに駆け寄ってくる子供たちが愛おしい。

 もちろん、お母さんである咲が大好きなのはわかるが、こうして好き放題甘やかせるのはお姉ちゃんの特権だ。


 「よし」


 そうと決まれば、気合を入れて成績を残さないと。 

 ……私もお母さんになれば咲みたいな気持ちになるのかな? 京ちゃんはよ。はよ。


 「まずは腹ごしらえ」


 ホテルの一室、本来ならば素敵な外食を勧められるところだけれども、最初の一食は決まってる。

 私は咲のお弁当じゃないと力が出ない。

 ちゃんとお弁当箱を洗うことを条件に、今日も咲に作ってもらった。


 『いいから、水に漬けておいてくれればいいから!』

 『大丈夫。お皿くらい洗える。私だって東京で生活していた』

 『この間、石鹸で洗っていたよね!? 前より退化したよね!?』

 『久しぶりで危うかっただけ』

 『危ういのはお姉ちゃんの体だよ! いいから言う通りにするの!』


 全く、咲は失礼。

 ……あ、ホテルに洗剤はない。危ないところだった。


 「あれ?」


 包みを解いてみると、一枚の紙が出てきた。

 なんだろう、これ。

 包みの上に何かが乗っかってるから、ふりかけかと思った。


 『照さんへ。応援してますね!』

 『お姉ちゃんへ! 無理はしないこと!』


 ……。

 全く、朝忙しい中、二人でこんなものを用意していたなんて。


 さぁ、落ち込んでなんかいられない。

 私はプロだ。私はお姉ちゃんだ。

 格好いいところを見せないといけない!

 うまく行ったら京ちゃんとデートだ。特別に咲も連れてきてあげよう。

 優勝したら子供を欲しがってみよう。きっとワンチャンある。

 そっと私の聖書(バイブル)の『アカギ』を仕舞う。

 宮永照、出陣!


 『さぁ、タイトル戦初戦になります。

  宮永プロ、意気込みの方はどうでしょう!?』


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 「お、照さんの出番だ」

 「お姉ちゃん頑張れー!」

 「今日の照は絶好調だな。読みが冴えてる」

 「一点読みが多いので、見ていてヒヤヒヤしますね」

 「今日のお姉ちゃん……。

  ちょっと調子に乗りすぎてやらかしそうな気がする」

 「おいおい。まさか照さんに限ってそんな」

 「京ちゃん。お姉ちゃんに幻想抱いてない?」

 「……やらかしそうだなぁ」

 「俺はむしろ麻雀以外のところが心配だぞ。

  この前のフライデーしかり」

 「前はお菓子食べてるところ撮影されてましたねぇ」

 「そのままお菓子のCM出演しちゃうあたり、お姉ちゃんらしいといえば……って」


 「「「あっ」」」


 カン!