ふっふっふ、須賀咲ちゃんです。
今日は一つ企み事をしています。
優希ちゃんから聞いた、夫婦の愛を確かめる方法。
感謝の気持ちを込めて『愛してる』と言ってみる、を実行しようと思います!
本当は熟年夫婦の旦那が嫁に言うらしいんだけど、面白いからやってみよう!
家族にお願いして今日は二人っきりになります。
京ちゃんが帰ってきます。
言います。
なんだ、簡単じゃん!
『どーせ咲ちゃんには言えないだろうから、言えなかったら罰ゲームだじぇ!』
ぐぬぬぬぬ……。私にだって言えるもん!
聞いた話によると、熟年夫婦はそういうことを言わなくなってるとか、だから難しいらしい。
まだ結婚して数年の咲ちゃんにはお茶の子さいさいなのだ!
……そういえば
『京ちゃんと付き合ってから、愛してるっていつ言ったっけ?』
あ、あれ? おかしいな。
付き合った時も好きとか言ったし、結婚の時に京ちゃんに言われたけど、自分から言った記憶がない。
え、情事の時? ノーカンだよ!
思えば京ちゃんとはもう10年以上の付き合いになるわけで
「あ、あれ!?」
急にすごく恥ずかしくなってきた!?
よく考えたら私と京ちゃんが夫婦扱いされるようになったのが中学1年生だから、それで今の年齢を考えると……。
もしかして、14年ぶんくらい溜まってる?
「ちょ、ちょっと待って!」
なぜか汗が出てきたよ。
あ、匂いとか大丈夫かな!?
し、下着ももっと可愛いのにしないといけないし。
そもそもちゃんと準備できてないじゃん!
京ちゃんの好物も揃えてあげないとダメ!
い、急げー!!
京ちゃんの好物ばかりの豪華な食卓。
外に行くのかと言わんばかりの可愛い服装。
化粧、口紅、香水。
わ、私は何をしているんだろう……。
ただ愛してると言うだけなのに、それが出来ない!
「ただいまー」
「きょ、京ちゃん!?」
「夕飯のいい匂いがするなー。
……咲? これから出かけるの?」
「出かけないよ!
そ、その、あ、愛し」
「ん?」
「何でもない!
とっとと風呂入って、ご飯食べて!」
「お、おう」
な、何でー!?
ま、まだチャンスはあるはず。
ご飯食べている時に世間話みたいに自然に言えばいいんだ! 咲ちゃんかしこい!
「咲、今日のご飯はいつもより豪華じゃん!」
「う、うん。それでその、あいし」
「何かの記念日だっけ?」
「そういうわけじゃないんだけど、その」
「よ、良かった。
焦っちゃってさ。俺が記念日忘れてたのかなって」
無理、無理無理無理ー!!
こんなの言えるはずないよ! 恥ずかしいー!
結局、言えないままご飯は進み、京ちゃんもビールを開けていい感じにお酒がまわってきました。
「俺さ」
「?」
「仕事でいろいろあって、疲れてきて、もうダメかなーって思うと咲が好物を用意してくれてるんだ。
本当に感謝してるんだよ。
咲ー、愛してるぞー!」
……え?
「え、咲? どうした!?」
「ち、違うの。泣いてないもん!」
「ごめん。何か悪い事言ったなら謝るから、ごめん!」
「違うの! 京ちゃんは悪くないの!!」
「落ち着いたか?」
「うん」
「……じゃあ、どうぞ」
「本当はね。
今日お洒落して、京ちゃんの好物用意して、いつもありがとう、って言うつもりだったんだ」
「そんな。俺より咲が」
「聞いて!」
「はい」
「そ、それでね。その、京ちゃん!」
「はい!?」
「いつもお仕事お疲れ様です! いつもありがとう! あ、あ、あ、
愛してる!!」
い、言っちゃった。
何かもー当初の予定とは違くて、こんな泣きながら言うつもりとか全くなかったのに、もー……。
京ちゃんが悪いんだから……。
「それを言うために、今日はそんなかわいい格好してるのか」
「う、うるさい」
「さっきからずっと挙動不審だったのは、恥ずかしかったから?」
「うっ」
「咲」
「な、何さ」
京ちゃんなんか知らないもん。
って、え
「咲ー!!」
「ひゃぁぁぁぁぁ」
京ちゃんが抱きついてきた!?
あ、これ酔いも入ってるでしょ! お酒結構飲んでたもん!
「咲、お前可愛すぎ」
「や、きょうちゃんはなして」
「かわいいかわいいかわいい」
「ふにゃぁぁぁぁ……」
耳元で囁かれて力が抜けちゃうぅぅぅぅ。
え、なに、抱っこしてどうするつもりなの。
「下着もかわいいじゃん。期待してたんだ」
「!!」
やめてそう言われると濡れちゃうから! 準備OKになっちゃうから!
ベッドに強引に、あ、やだ、やめ、京ちゃん、あぁ
あ
か、かん……
最終更新:2015年11月04日 21:11