原村和です。旦那が欲しいです。原村和です。

 この際恋人でもいいです。とにかく欲しいです。飢えてます。

 なんで私が屋台で一人酒しているのか……。ううぅ。

 正直、私は結構イケてると思うんですよ。

 確かに年齢は相当ヤバいところに踏み込み始めていますが、まだ大丈夫なハズです。

 正式な婚活を始めれば全然やっていけると思います。

 それなのに、なんで、恋人を作れないのか……ううぅ。


 「さき、さきぃー!」

 「え、咲さん!?」


 思わず振り向くと、そこには京太郎君がフラフラと、いつ転んでもおかしくなさそうな千鳥足で歩いていました。


 「あー、さっきのやつだ。上司と来て、飲みすぎたみたいなんだよな」

 「京太郎君があんなに酔うとは思いませんでした」

 「結構飲まされてたからなあ。

  ずーっと奥さんの事褒め倒してたし、あいつ酔うといつもああなんだよ」


 屋台のおじさんにとって、京太郎君の酔う姿を見るのは珍しくないらしいです。


 「でもあそこまでだと危ないな。知り合いなら、サービスしてやっから送ってってくれないか?」

 「え、そ、そうですね。わかりました」

 「こないだはトップ雀士とくるし、あんなにのろけるのに浮気もするタチなのか?」

 「いえ、それはないと思います。京太郎君が浮気するなんてありえませんから」


 さらっと流して、京太郎君を抱き寄せます。

 お、男の子の匂いっていいですね。デュフフフふふふ。


 「さき、さきはどこだー!」

 「はいはい、ここにいますからちょっとついてきてくださいね」


 とりあえずタクシーを呼んで運送するしかないですね。

 誰が誰だかわからない状態なら、私を咲さんにしておけば落ち着くでしょう。

 少し落ち着いたのか、家の前まで着きました。

 咲さんにはメールで伝えておいたので、すぐに扉を開けてくれるはずです。


 「さき、いつもごめんなぁ。ありがとうなぁ」

 「はいはい。こちらこそありがとうございます。

  もうちょっとですよ。ちょっと失礼」


 タクシーから玄関までのわずかな距離が危ないので、体を貸そうと思いましたが男の人の体を持ち上げるのは無理ですね。

 まだ立てそうなので腕を組んでなんとか……。


 「……さきじゃない」

 「えっ」


 腕を組んだ途端、京太郎君の表情がさっと変わりました。


 「ーーーーーーー!!」


 その言葉を聞いて、私は思わずニヤニヤしてしまいました。




 「はい、旦那様お届けです」

 「和ちゃん、ありがとう!

  この、もー京ちゃんは!」


 うちの旦那様は酔うとすぐこうなるんだから、もー!

 ……? 和ちゃんが笑ってる?


 「咲さん。愛されてますね」

 「えー。もー、どこがー?」


 酔ってまたなんか変なこと言ったんじゃないよねー? 怒るよー!

 それより、玄関に倒れこんでしまった京ちゃんからなんとかスーツを取り返さないとシワになる!

 むくれながら京ちゃんの胸元に手を伸ばし、スーツを脱がそうとーーーー手を弾かれた。


 「えっ」

 「や、やめてくれ。

  家に妻がいるんだ!」


 そう言い残して完全に潰れたのか、意識を失う京ちゃん。

 ツンツンつついても起きない。も、もー。


 「咲さん。すごくにやけてますよ」

 「ふぇ」


 顔が勝手にニヤけるだもん。京ちゃんなんて知らないもん!

 ……? 和ちゃん?


 「ふふ、ごちそうさまでした! カン!」