須賀咲です! 今日は張り切ってます! 須賀咲です!

 今日は何があったかというと、なんと京ちゃんがお弁当を忘れてしまったのだ!

 普段は抜けてるようでしっかりしてるのに、昨日の夜……ちょっと張り切りすぎちゃって……てへっ

 とにかく疲れてたみたいで、咲ちゃんはメイクバッチリにして京ちゃんの仕事場まで向かっているのです。


 「こ、これで京ちゃんを誑かそうとする子たちに牽制できるよね」


 思わず公道で呟いて不審な人だと思われた。

 実はちょっと不安だったりします。

 京ちゃんはカッコよくて、仕事もそこそこできて、身長高くて、……モテる。

 一方私は……京ちゃんにぽんこつをフォローしてもらってることくらい自覚してるよ!

 京ちゃんがそんなことする人じゃないってわかっていても、専業主婦は心配なの!

 私なんてそんなに可愛くないし……嫉妬深いし……もー!

 新入社員の若い子にコロッと騙されないでよね!

 憂鬱な気分になりながら京ちゃんの会社に向かいます……。


 京ちゃんはサラリーマン。

 どうやって会ったらいいかな、と思って会社の近くをウロウロしていると、受付の人? に声をかけられた。


 「どうなされました?」

 「あ、いえ、その、旦那に昼食のお弁当を届けに来たんですけど」

 「あら、新婚さん? 大変ですねー。お名前と、届ける先のお名前聞いてもいいかしら?」

 「えっと、須賀京太郎と……」


 ここまで行ったところで受付のお姉さんが飛び上がって私の腕を掴んだよ!?


 「じゃああなたが須賀京太郎くんの嫁さん!?」

 「え、はい、いちおうそうです」


 お姉さんの発言のあと、一部オフィスがガタッっと一斉に立ち上がった!?

 そのあとみんな物珍しそうにこっちを見てるよ!?


 「きゃー、彼の言う通り本当に小動物みたいでかわいいー!!」

 「咲!!」


 お姉さんに撫でくり回されて困惑しているところに京ちゃん! た、たすかったよー


 「どうしてこんなところに」

 「……ムスッ」

 「えっ」

 「京ちゃんがお弁当忘れるからでしょ!」

 「え、あ、本当だ!」

 「もう! 頑張って作ったんだから忘れないでよね!」

 「う、うん。ごめん」


 先ほどまでと打って変わって強気になれる咲ちゃんです!

 京ちゃんが相手ならこんなもん!

 しかし……あれ? 気づいたらその辺の人が集まってきてる?

 しかもみんなニヤニヤしてる!?


 「須賀ァ、こいつがお前が散々のろけてる、よ め さ ん?」

 「愛妻弁当を頑張って作ってるってよ?」

 「さっきまであんなに小動物みたいになってたのに須賀相手だとこうなんだな」

 「愛されてるねー」


 え、え、なんで!? どして!?

 なんか京ちゃんの顔が真っ赤だよ? 私も恥ずかしいよ!?


 「これは次の飲み会でキリキリ吐いてもらわないとなぁ」

 「あ、嫁さん。こんなところまで済まないね。今度コイツに何かさせなよ」

 「いやぁ、本当に須賀からのろけられてる時はそんな嫁さんいるのかと思ってたけどさ」


 「咲ちゃんはいい嫁さんだなぁ」

 「……ハイ! 嫁さんです!!」


前日談

 「それでですねー。本当に咲はいい嫁さんなんですよー!

  まず何よりかわいいし、小動物的な可愛さってヤバくないっすか?

  最初は苦手だった家事も俺のためって言って覚えてくれるし

  俺のことを疲れてるって言って何かと家事をさせないようにするし、率先して子供の相手してくれるし

  ちょっと調子が悪いかなーって思った時には俺が気づくより早く『大丈夫?』って駆けつけてくれるんですよ!

  でもやっぱり一番好きなのは帰ってきて玄関を開けた時にエプロン姿でトテトテと走ってくるところなんですよ!

  まぁ咲に可愛くないところなんてないんですけどね! ぽんこつなところも大好きだー!!

  夜なんてこっちから押し倒してやると涙目になって、でも期待しているような顔してて、そんな顔されたら」


  ※一行
   咲ちゃんかわいい!!


 須賀咲ちゃんです

 な、なるほど。うちの旦那さんが職場で私のことを惚気まくるからこんなことになっていたと。

 う、うへへへへへ。私今変な顔してる。だって嬉しいもん!

 旦那のこんな一面見て喜ばない嫁さんなんていないよ!


 「あー、その、咲」

 「ふえぇぇ!?」

 「弁当忘れてごめん。

  わざわざ持ってきてくれてありがとう。

  今度の休み、どこか行こうか」

 「……うん!」


 恥ずかしいのか、私に目を合わせようとしない京ちゃんがかわいい。

 どこに行こうかな。ピクニックに行ってお弁当を食べるのなんか楽しそう。

 いっぱい楽しもう!

 カン!!