地の文アリ
お互い大学生くらいで


和「すいません、家出してきたので泊めてくれませんか?」


京太郎「……はい?」

夜、東京で1人暮らし満喫中の大学生をやっている俺の部屋に来たのは、和だった

和もまた東京の大学に進学していたが、親の転勤もあり、東京で親と同居していたはずだ

和「とりあえず上がっていいですか?ちょっとバッグが重くて」

京太郎「いや待てって。状況が理解できんぞ」

高校生の頃は下心満載でちょっとした好意は寄せていたが、今はお互いに良い友人としてやってきた

和は相変わらず、むしろ更に美人になったとはいえ、それは今も変わらない

なのに、なのにだ

ただでさえお堅い和が、急に家出したから泊めて欲しいなど、しかも男の俺の部屋になど、ありえない

和「あ、もしかして女性に言えないような状況でしたか?私は気にしませんのでどうぞ続きを…」

京太郎「何を想像した何を!そんなじゃねーから!状況が理解できないっつったじゃん!」

つーかいきなり何を言っているんだよオイ

和「んー……少し長くて面倒で正直口にしたくもない事情なんですが」

曰く、20になってすぐ和に見合いの話が来たらしい

親の事情とか、しがらみとか、まー色々あるだろうが、和自体はモテるしな

厳格な和の父親が断りそうなもんだが、どーしても断れない相手から来てしまい、

渋々、嫌々、なんとか割り切って、本当に面倒で嫌だけど、とりあえず受けるだけ受けたらしい

が、その相手が40代のただただ不愉快なおっさんだったらしい

和「あの時間こそ、今までの人生でもっとも無駄で不愉快な地獄のような時間でしたね」

そんな地獄のような時間をなんとか作り笑顔で乗り切ったらしいが、問題はその後に起きた

どうも相手の頭が普通とは違う作りらしく、相手の頭の中では和と自分が結婚、という状況ができてしまっているらしい

当然両親も頑張ったが、恩師やらなんやら、とにかく様々なしがらみで強い手段を取れずにいたらしい

で、今日

いきなり自宅に突撃をかましてきたおっさんを相手についに切れた和は

和「ちょっと男のところに行ってきます、と言って出てきちゃいました」ニコッ

京太郎「出てきちゃいました、じゃねーだろ!何良い笑顔で言ってんの!?」

無駄に可愛いのがむかつく

和「他の咲さんや優希に迷惑をかけるわけにはいきませんし」

京太郎「俺はいいのか俺は」

和「男のところ、と言いましたからねぇ。私、他にこういう時頼れそうな男性っていないので」

あっけらかんと言う和

しかし、なんか色々と吹っ切れてるというか、ぶっ飛んでないか?

テンションとかが普段と違いすぎるし言動もフランクすぎる

和「まぁ、色々と抑えていた反動といいますか……ひとつ、やってやろうって気分です」

京太郎「その辺りの詳しいとことか聞く気ないし、大変なのは分かったが……いきなり出てきたにしては荷物しっかり持ってるな」

和「あぁ、これは母が用意してくれてまして」

京太郎「は?」

和「で、父は当面の分のお金を渡してくれましたね」

京太郎「両親公認の家出!?」

それもう家出じゃないだろ!

和「両親もあの屑……ではなくあの人を迷惑がってましたし」

京太郎「今和が絶対言わないような言葉が聞こえたんだが」

和「好きにしてこい、とのことでした。あ、父は泊まる先の男性、須賀くんに『もしもの場合は法廷で会おう』と伝えるように言われましたね」

京太郎「恐喝じゃねーか!いいのか弁護士!!」

和「という訳で」

和が改めて正座で座り直す

そのまま、三つ指をついてこう言った

和「しばらく泊めていただけませんか?」





和「あ、ついでに恋人役もやってもらえません?」

京太郎「色々はっちゃけすぎ!!」


カンッ!!