合宿所に付いたら直ぐ様温泉に入る。

その間に京太郎君が卓の用意などをしてくれているのだけれど……

脱衣所、風呂場で見たもの。

見事にまな板。

お姉さんびっくり。

一番大きくて染谷さん。

加藤さん室橋さんもまな板。

加藤さんは身長高いから胸には栄養行かなかったのかもしれない。








お風呂からあがると私は浴衣を着た。

去年のことを思い返して浴衣にしたのだ、これでいきなり生徒に引ん剥かれる事は無い。

私だって学習しているのだと思いつつ皆を待っていると生徒達は私服で出てきた。


「先生、浮かれてますね。」


「きっと合宿や温泉が楽しみだったんじゃろう。」


「先生も人の子なんな!」


「え!? 今回私だけ騙されたの!?」


ひどいよ、去年は私だけ私服だったのに今年は私だけ浴衣!?

こんなのってあんまりだよ!

そのあと部屋に戻ると京太郎君が自動卓とパソコンを用意して待っていてくれた。


「すまんのう、京太郎に全部押し付けてしもうて。」


「大丈夫ですよ、それより俺は早く打ちたいです。」


「じゃあ早速打とうか。」


私が号令をかけると皆掛け声とともに卓についていく。

今日は私も卓に入ってミカムロコンビを鍛えないと。


「今日は私も入るけどちゃんと手加減するから安心してね。」


「じゃあ私は全力全開だじぇ!」


だまして悪いけど、勝負なんでね、トんでもらおう。

というのは冗談で別にお風呂に入れた後「貴様らには水底がお似合いだ。」なんて言う気も無い。






そして夜になり、私は焼酎片手に烏賊の下足を肴にして月を眺めていた。

最近ビールは控えるようになった。

理由は言わずもがな。

私が月をぼんやりと眺めていると京太郎君がやってくる。

その傍らには染谷さんと咲ちゃんも。


「どうしたの?」


「俺はなんとなく眠れなくて。」


「わしはちょっと先輩と後輩の仲を取り持つためにじゃな。」


「私も空気を読んで優希ちゃんを……」


「え、咲空気読めたのか?」


「京ちゃん時々すごく失礼だよね? 私だって空気くらい読めるよ。」


「気のせい気のせい。」

「で、ついでだから健夜さん、俺達に特訓つけてもらえないですか?」


「んー、いいよ?」


私はグラスの中に残っていた焼酎を一気に飲んで返答をした。

ついでにこのあと京太郎君達と一緒に追加の料理を作ったんだけどさ。

そのあときっちり特訓してあげた。

一番辛そうなのは染谷さんだったけどね。

明日は明日で早いから早めに切り上げようか。








合宿二日目、今回は前回の教訓を生かして二日酔いにはならなかった。

が、早朝のランニングはきつい。

特に足腰膝に来る。

車に頼って日々の限られた運動を更に省くからこうなるのだ。

ああ、戻れるのならば十年前の体に戻りたい。

外見は未だに高校生でも通るけど中身は結構キテル。









朝のジョギング(生徒はランニング)を終えて特打ちが始まる。

咲ちゃんは前年と同じくネト麻。

一年生二人は固定で卓に入ってもらう。

片岡さんと京太郎君に染谷さんは交代で入る形だ。


「あうあうあー……」


「少しでいいんで……少しだけで良いんで休ませてください……」


「ミカとムロが音を上げたじぇ。」


始めてから三時間ほどすると見事に二つの死体が完成していた。

前半は片岡さんにドーンとぶっぱをやられてその後は京太郎君に十割コンボ。

染谷さんは逃げや甘えを作らないように逃げ道を塞いでいた。

台パンされても仕方ないレベルだと思うよ。



一旦休憩を入れた後、私と咲ちゃんで加藤さんと室橋さんを鍛えた。

多少しんどいとは思うけど大丈夫、明日にはすごく強くなってるから。

ほら、人間死にかけると限界超えるって言うじゃない?

少なくとも精神的にはタフにはなるよ。

そう思いながら打った数十分後。


「大変だよ健夜さん! ミカちゃんが息して無い!」


「ええ!?」


咲ちゃんの言葉を受けて私は驚いた。

まさかの事態である。

私の直撃を受けた加藤さんが呼吸不全を起こして心肺停止状態らしい。


「いのちなき、砂のかなしさよ、さらさらと、握れば指の、あひだより落つ。」


まさに手の中の砂といったところか。

暢気に現実逃避している状態じゃなかった。


「どいてくれ!」


ただ只管おろおろする咲ちゃんと室橋さんを脇に置いて京太郎君が蘇生を試みる。

京太郎君が加藤さんの顎を上に引いて気道確保したあと鼻を摘んで息を吹き込む。

そのあとは胸に手を当てて体重をかけて心臓マッサージ。

助かるかどうかはここが分水嶺。

祈ろう、加藤さんが助かることを祈ろう。


ささやき - えいしょう - いのり - ねんじろ!





「う……げほっ……」

「あれ……ここは……」


「意識は戻ったか。」


「須賀先輩……?」

「私どうしたんでしたっけ……?」


「ミカちゃんは途中意識を失ったんだけど京ちゃんが人工呼吸と心臓マッサージをして……」


「そうなんですか?」


「まあな。」


「……え? でも考えてみれば……」

「私、須賀先輩にキスされた上に胸まで触られたんですか?」


おおっと

(空気が)いしのなかにいる


「……悪い。」

「緊急事態とは言え手荒なことをした。」


「あ、いえ……」

「助けていただいたのは事実ですし……」

「それに……」

「まぁこれはいいですね。」


「?」


言い止めた加藤さんが気になるけど京太郎君の緊急キス事件は何とかなった。

なのでこのあと石化している咲ちゃん片岡さんを寺院に連れてって治さないと……

いや原因は私なんだけど良かった、大事にならなくて。











それから数時間後。


「やった……! 勝った……!」


「おめでとう。」
「おめでとう!」
「めでたいのう。」
「おめでとうだじぇ!」
「よくがんばったな。」

「ありがとうございます!」


加藤さんが染谷さん・片岡さん・室橋さんの入った卓でトップを取った。

死にかけた甲斐があったね。


「次はムロがトップをとらないといけないじょ?」


「え!?」


「大丈夫だよ、私みたいに一度死んでみれば強くなれるよ。」


「嫌だよ! 私臨死体験なんてしたくないよ!」


「大丈夫大丈夫。」

「全然苦しくなかったよ?」


「そういう問題じゃないって!」


室橋さんを強くするため殺しかけるかどうか本気で悩みながら打ったが若干戻ってこれなさそうな気がしたのでやめた。

死ねば助かるのに……主に麻雀部が。









その夜、京太郎君の部屋に居た。

染谷さんや室橋さんと一緒に。

何故私達がここにいるのかというとおよそここにあらわれる人物を待ち受けるためである。


「しかし本当に来ますかね?」


「来ないなら来ないで構わんじゃろう。」


「でも来なかったらむしろ私達が……」


「そういうところは気にしたら負けだよ。」


ちなみに京太郎君本人は今お風呂である。

私達はトランプをしながら京太郎君の部屋に滞在して待っている。


「ん……来たね。」


私がそう言うと二人が息を潜める。

それから少しすると戸がするりと開き人が入ってくる。


「京太郎ー?」


「須賀先輩?」


案の定加藤さんと片岡さんがやってきたので染谷さんと室橋さんが引っつかんで部屋に戻っていった。

実は一年前にも似たようなことがあったし警戒しておいて良かった。

それから数分後、京太郎君が戻ってきた。


「あれ? 健夜さんどうしたんですか?」


「ちょっと特訓しておこうかと思って。」


「マジですか? じゃあよろしくお願いします。」


誤魔化すためとは言え特訓する破目になる。

しかもそのあとには咲ちゃんも参加していた。

このあと滅茶苦茶特訓した。




次の日の朝になり合宿最終日、というか帰宅日になったので皆を荷物と一緒に車に突っ込んで出発。

加藤さんも室橋さんも強くなったとは言え一年前のメンバーよりは戦力が落ちている。

今の加藤さんは一年前の染谷さんレベルといったところか。

一方の室橋さんは一年前の片岡さんを平均的にした感じ。

逆に片岡さんと染谷さんは一年前と比べて結構成長している。

総合戦力が落ちたとは言え十分にインターハイで優勝できる実力である。

来週から県予選が始まる、それまでに最後の仕上げをしておこう。









合宿が終わり学校が始まる。

今週中に仕上げをしておかなければいけない。

何せ龍門渕や風越等の強豪校が出てくるのだから。

その日の放課後、私は皆が集まったところで声をかける。


「皆注目、今日は特別にゲストを呼んでいます。」

「それじゃ入ってきて。」


「どうも。」


「こんにちは。」


「何で私まで……」


ぞろぞろと部室に入ってきたチームの後輩三人。

それを見た(現)二、三年生はさして驚いてくれなかった。

が、一年生コンビは驚いてくれた。

ムロミホコンビはやさしい。


「お久しぶりです美穂子さん。」


「久しぶりね、京太郎君も元気にしてた?」


「ええ、それよりもいいんですか? 美穂子さんの母校は風越なのに。」


「大丈夫よ、この間風越に顔を出しておいたもの。」

「コーチも華菜たちも張り切っていたわ。」


池田ァ……なんでか池田選手には頑張って欲しいと思った。

多分悲しい結果になるけど。

照ちゃんは挨拶もそこそこにお菓子を食べている。

靖子ちゃんは何か拗ねている。

そういえば機会を逃したせいで未だに藤田さん呼びなんだけどいつになったら靖子ちゃんと呼べるのか。

結構な頻度で会ってるし、お酒も一緒に飲んでる仲だ。

しかも京太郎君や咲ちゃんや照ちゃんも含めて仲がいいのに私は未だに小鍛治さんと呼ばれている。

最近では照ちゃんですら藤田さんを「靖子さん」と呼んでいるとか。

くそう……照ちゃんは私と同じくコミュ障だと思っていたのになぁ……

京太郎君も名前呼びになったので咲ちゃんが藤田さんを名前で呼ぶのも秒読みかもしれない。

咲ちゃんのカツ丼さん呼び結構好きだったんだけどね。

ともあれ私が嘆いていても部活というものは進んでいくわけで。

Aグループに京太郎君に福路さん、宮永姉妹、私と藤田さんの六人を基本として卓に三人ずつ入る。

そして残ったBグループの染谷さん、片岡さん、室橋さん、加藤さん4人が交代で入っていく。

それは後に「特打ち(血)祭り」という不名誉な通称をつけられた。







「こういうときでないと照さんや美穂子さんと打てなくなっちゃいましたね。」


「京ちゃんが望むならいつだって打ってあげるよ。」

「多分それは美穂子も同じ。」


卓に着いた照ちゃんがそう言うと福路さんが笑っていた。

照ちゃんも福路さんも京太郎君に甘いと言うか好意的ではある。

でもそれは私だって咲ちゃんだって加藤さんだって、言ってしまえばここにいる人間は皆京太郎君のことを好いていると思う。

ただそれはどういったベクトルの物なのかはわからないけど。

仲間としての好意かもしれない。

弟に向けるみたいな好意かもしれない。

幼馴染に対して向ける好意かもしれない。

先輩に対して向ける好意かもしれない。

もしかしたら異性に対する好意かもしれない。

好意かもしれないし、ただの厚意なのかもわからない。

多分京太郎君に向けられた『こうい』は人それぞれなんだ。


それから少しすると音を上げ始めたムロミカコンビがダウンして一旦休憩に入った。






休憩に入ると福路さんが立ち上がってお茶を用意しようとしたら京太郎君も立ち上がった。


「それじゃお茶淹れるわね。」


「あ、俺も手伝います。」


「あら、座っててもいいのよ?」


「折角来て貰ったお客さんにお茶淹れて貰うわけにもいきませんから。」


「京太郎の場合は好きでやってるよな。」


「ん、京ちゃんは世話焼いてこそ京ちゃん。」


藤田さんと照ちゃんが好き勝手言ってるけど結局のところは周りの人間がずぼらで物臭なのと。

尚且つ目標というか憧れの人が世話焼きなのが彼の世話焼きの起因だと思う。

今はまだ改善されてるけど一年前は手間のかかる娘ばかりだったからね。

私と京太郎君と染谷さんくらいしか世話を焼く係りはいなかったし。


「お菓子まだ?」


「タコス追加で頼むじぇ。」


「カツ丼も頼む。」


君達少しは遠慮しなさい。




お茶が入り皆に配り終わると二人が座って皆で話し始めた。

やれプロになってどうだったとか。

やれ彼氏は出来たかとか。

どこどこのスイーツは美味しかったとか云々。

若干女子会っぽい雰囲気だったので京太郎君は居辛いのかなとも思った。

まぁでも京太郎君なら普通に会話に混ざれるし、周りも結構関係なく話せるタイプが多いから問題なさそうだけど。

むしろ女子力で言えばこの中でも五本指に入るし。

そのあとはまた特訓を再開して主にBグループの強化を図った。

勿論咲ちゃんと京太郎君の強化もしたけど。







部活が終わった頃にはムロミカコンビは当初とは見違えるようだった。


「…………」

「…………」


「……ムロとミカが何も話さないじぇ。」

「これ大丈夫か?」


「だ、大丈夫大丈夫、へーきへーき!」


私が笑って誤魔化していたけど当事者二人の目は虚ろだった。

でもこのくらい修羅場を潜らないと龍門渕には勝てないよ。

風越だって気合入れてきてるはずだし。

何より学生の内にプロ4人と打てるなんて滅多にない機会だよ!

ちなみにBグループは全員で計5回ほどトんだ。

点数だけでなく意識も。






県大会が始まるまで放課後は大体そんな感じだった。

流石に大会前日にもなるとトぶ事はなくなっていたけど。

そして迎えた県大会。

まさかの事態が起きた。








県大会エントリーしたのはいいけどウチは一応シードなわけで。

抽選でウチと当たったところは悉く棄権。

決勝まで不戦勝のエスカレーター式だった。

棄権を決断した人は英断だと思う。

去年の竹井さんとかを見るに下手したら打てなくなるし。

というか清澄が出る時点でこの展開は予想できたことでしょ……

それはそれとして決勝に残ったのはウチ、龍門渕、風越、千曲である。

鶴賀は残念ながら人数不足なのかそれとも新戦力が使い物にならなかったのか知らないけど決勝の場には現れなかった。

決勝が始まる前に我らが部長の染谷さんがオーダーを伝える。

「決勝が始まる前」なのに初めてオーダーが発表されるというのは何ともおかしな話ではあるが出番がなかったので仕方ない。


「じゃあオーダーを言うけぇ、ちゃんと聞いとってくれ。」

「先鋒は優希、お前さんじゃ。」

「次鋒、ムロ、しっかりやれよ。」

「中堅、わし。」

「副将はミカで。」

「大将は去年から引き続き咲じゃ。」

「以上じゃけど何か質問は?」

「……ないみたいじゃのう。」

「おっと、今回の注文(オーダー)を言っとくのを忘れておった。」

「好きなように暴れてきんさい。。」

「わしからはそれだけじゃ。」


染谷さんは言い終わるとさっさと引っ込んでいった。

片岡さんはいつもの調子ながら気合が入っている。

室橋さんは平静を保とうと頑張っている、

加藤さんは少し緊張気味か。

そして咲ちゃんは……



ただただ静かに待っていた。











そして始まる県予選決勝、先鋒戦。

切り込み隊長片岡が起家でスタート。

相手は龍門渕の井上純選手。

風越の吉留未春選手。

千曲東の土屋由理選手。

片岡さん以外全員三年生である。

しかしそんなことは関係ないとばかりに片岡さんの配牌は流石だ。

開幕配牌一向聴。

しかも大体高目で倍満。

曲げなくても跳満に達する。

一巡後、片岡さんがわずか二巡目にしてテンパイ。

片岡さんは敢えて立直をかけずに一巡待って手変わりしてから立直をする。


『立直だじぇ。』


「先生、なんで先輩は一巡待ったんでしょう。」


室橋さんから質問が出てきた。

わからない人間から見たら全く持って意図がわからないだろう。


「片岡さんは勢いを殺させない為に敢えて鳴かれにくい牌を待って立直したんだよ。」

「ほら、見ててごらん。」


私がそういうとモニターの中の片岡さんが一発で自摸ってきた。


『ツモ、門前・自摸・一発・ダブ東・混一・裏3。』

『12000オールだじぇ。』


「ね?」


「理由はわかりましたけど今の私には理解出来ないです……」


「あれれ……」


オカルトに理屈も何もない気がするけどね。










「立直だじぇ。」


「! ポン!」


「ツモだ、メンタンピン自摸ドラで4000オールだじょ。」


井上選手の邪魔ポンも物ともせずに片岡さんは和了る。

明らかに異様な空気に場が支配されている。

片岡さんの打ち方に飲み込まれているのだ。

こうなったらあとは派手に食い散らかすだけだ。

その後も片岡さんが東場はガンガン稼いで南場はガードを堅めにして前後半合わせて+68000収支で帰ってきた。


「戻ったじょ~。」


「お疲れ様です。」


「ほれ、次はお前さんじゃ、しっかりやってきんさい。」


「が、頑張ります!」


室橋さんは気合を入れると対局室に向かっていった。

それを見た京太郎君がどこか心配そうに言う。


「ムロのやつガチガチでしたね。」

「緊張しすぎて錯和しなければいいんだけど……」


「まぁ大丈夫じゃない?」

「なんだったら中堅で取り返してもらったらいいわけだし。」


「あんまり期待せんで欲しいのう。」


我らの部長がケラケラ笑っている。

言葉とは裏腹に頼れる雰囲気を醸し出しているので片岡さんも心配していない風に見えるし、咲ちゃんに関しては余裕なのか本を読み出している。

京太郎君も心配なさそうだとは口で言いながらも気にかけているようだ、片岡さんのときは心配してなかったけど初めての後輩が気になるのかな?

加藤さんは何かそわそわしてる、もうちょいどーんと構えていればいいと思うよ。






続いての次鋒戦、龍門渕は沢村選手。

風越と千曲東は知らない子ですね。

事実上龍門渕とウチの一騎打ちになっていた。


「り、立直です。」


「ロン、2000。」


特筆するべき点がないくらい地味な試合だった。

室橋さんは緊張してる割には+5800で帰ってきたので上々だと思う。


「すみません、余り稼げませんでした……」


「いや、優希がおかしいだけでムロは良くやったって。」


室橋さんが戻ってきて開口一番に言ったことを京太郎君が返す。

須賀先輩やっさしーっすね。

それに比べ生徒のフォローができてないダメ教師が一人。

大丈夫だもん! 私の生徒が後輩をフォローしてるからそれは即ち私がフォローしてるのと同義だから!

私の出る幕はないってだけだから!

福路さんのときから何も成長していない……








そして続く中堅戦。

龍門渕の国広選手。

風越の文堂選手。

我らが染谷部長。

え? 一人足りない?

大丈夫だよ、置物だったもん。

それにしても中堅戦は中々に見物だった。

龍門渕との三年生同士での戦いに喰い下がっていく文堂選手。

森崎君だったら吹っ飛ばされてるような場面でもガッツで食い縛って耐えていた。


「ツモ、1300・2600。」

「僕達だってこの一年頑張ってきたんだ、簡単には負けないよ。」


「ロン! 7700!」

「……私だって……頑張ってきました。」

「一年前は片岡さんに惨敗でしたけど今年はそうはいきません。」

「意気込みが違うんです。」


「……ほうか……じゃがのう。」

「頑張ってたのはお前さんらだけじゃないことを教えてやる。」

「わしらだって日々進歩してるんじゃ。」

「ツモ、緑一色、8000・16000。」

「伊達に部長はやっとらんよ。」


そこから白熱した戦いが始まる(一人を除いた)。

圧倒的なテクニックと経験の差で和了っていく染谷さんにそれに追い縋る相手校(千曲東を除く)。

足りない部分はセンスと気持ちと肝の太さで乗り切っていく(千曲東は何もなかった)。

多分一番熱い中堅戦だけどもそれでも染谷さんは切り抜けて帰ってきた。


「戻ったぞ~。」

「すまんのう、大口叩いた割りに20000弱しか稼げんかったわい。」


「正直、部長楽しかったでしょう?」


「わかるか?」


京太郎君が染谷さんに聞いた。

それに対して染谷さんは笑って返す。

多分ここにいる人は全員気付いている。

京太郎君はそのまま続ける。









「顔に楽しかったって書いてあります。」


「顔に出てるようじゃまだまだじゃのう、もうちょいポーカーフェイスを鍛えねばいかんな。」


「でも楽しんでるときの部長いい顔でしたよ。」


「ほうか、褒め言葉として受け取っておくけぇ。」

「それよりも次はミカじゃ、お前さんからも声を掛けてやりんさい。」


「いやいや、俺が掛けなくてももう既にウチの姫が激励の言葉を掛けてますよ。」


京太郎君がそういうと咲ちゃんのほうに視線を送る。

そこには加藤さんと咲ちゃんが話していた。


「あ、あの先輩……」


「ミホちゃん、私のことは気にしないで打ってきていいんだよ。」

「例え点数を取られてもトばなければ私が何とかするし。」

「それに失敗してもまた練習して次に活かせばいいんだから。」

「だから精一杯頑張ってね。」


「は、はいいぃぃ!」


何か余計にプレッシャーになってませんかね、これ。

加藤さんの中で咲ちゃんの言葉はどう解釈されたのかは気になるけどそろそろ試合の時間である。

送り出される加藤さんの背中を見ながら何事もなく終わればいいなぁと思いました、まる。










始まる副将戦。

龍門渕の龍門渕透華選手。

風越の深堀純代選手。

千曲東の上柿恵選手。

ウチの加藤ミカ選手。

傍目から見て明らかに大丈夫じゃない加藤さん。

息が荒い。

肩で呼吸している。

緊張しすぎで周りからの視線が「大丈夫かなこの子……」と物語っている。

だがそんなことはお構いなしに龍門渕選手は点数差を危険な物と感じているのか静かに冷えていた。

対して不動の深堀選手は山のようにどっしりと構えている。

うわぁ……頼りたい……そんな安心感がある……










「ツモ、1000・2000」

「ロン、5800」

「ツモ、3900オール」


開幕早々から冷え切った龍門渕選手がどんどん削っていく。

まずいと思ったのか風越も千曲も仕掛けていく。

だけど中々龍門渕は寄せ付けない。

そうしているうちに点数を取られていく。

するとそのうち加藤さんはブルブルと震えだした。


「キエエェェェ!」


震えが限界まで達したかと思うと奇声が上がる。

まるで去年の池田選手の如く。

そのあと加藤さんは更に続ける。

涙声で、必死な形相で。


「わだじはぁぁ!」

「じにだくないいぃぃ!」

「ヅモォ! 4200・8200!」


何が彼女をそこまで追い詰めたのか……

咲ちゃん……何をしたらそんな風に……









色々必死な感じで帰ってきた加藤さんを迎える。


「ぜんばいぃぃ!」

「わたし……わたし……」


「おお、よしよし。」

「しかしなんで死にたくないなんて……」


走り寄ってきた加藤さんを京太郎君が抱きしめながら事情を聞く。


「だって……失敗したら練習だって……」

「私失敗したらまた死にそうな目に会うんじゃないかって思ったら……」


加藤さんは泣きながらそう言っていた。

それを聞いた皆が遠慮がちではあるけど私の方を見た。

私も後ろ見てみるが壁しかない。

どうやら原因は咲ちゃんというよりは私だったみたいだ

皆からの視線が突き刺さる。

いやぁ、人気者は辛いね。







一旦落ち着いた頃には京太郎君の胸には加藤さんの顔がすっぽり納まっていた。

しかし私だけであろうか、気付いたことがある。

加藤さん若干笑ってやがる。

加藤さんって結構強かだぞ……

というか戻ってきて一番に京太郎君のところに行くあたり計算高いというかあざといというか。

片岡さんは信じられないといった顔をしている。

あれ、もしかして前はこんな性格じゃなかったとか?

ということは死に掛けて人格まで変わっちゃった……?

まさかね!? まさかだよね!?

これって私のせいなのかな!?









それから間も無く咲ちゃんが持っていた文庫本を閉じて立ち上がる。

さっきまで本なんか読んでなかったのに。

後輩の前だから格好つけてるのかな?

咲ちゃんのかっこいい女像はそこなんだ。

だけど一人では対局室には行けないから御付の人がいるわけで。

それは結局京太郎君なわけで。

そうすると加藤さんの顔を埋める場所がないわけで。

まぁ京太郎君が謝りながらも咲ちゃんを送っていったんだけどね。

その際咲ちゃんは加藤さんに笑いかけながら話していた。


「それじゃ京ちゃんお願い。」

「ミカちゃん、ごめんね? 京ちゃんを取っちゃって。」


「いえ、泣いてすっきりしましたので。」

「それに須賀先輩は誰にでもやさしいみたいですし。」

「うふふふふ。」


「うふふふふ。」


お互いニコニコしながら咲ちゃん達は出て行った。

なにこれこわい。

暗に何か言ってるっていうのは何となくわかるけど考えないことにした。

大将戦が始まるが結果のわかりきっている試合なんて見ていてもつまらないものだ。

池田と天江選手は汗を滝のように流しながら咲ちゃんと対峙している。

千曲東の選手に到っては意識があるのか良くわからない。

まだ大将戦は始まっていないというのに。










ではダイジェストでお送りいたしましょう。


「カンカンカン! 16000!」


「にゃー!?」


池田ァ! しっかりしろ池田ァ!


「カンカンカン! 24000!」


「うう……すまない……衣のせいで……」


貴女は悪くない、悪いとすれば相手が悪いか運が悪いかのどちらかだよ。


「あ、千曲東さん、麻雀って楽しいですよね。」


「避ければ流局に……」

「!」

「避けらんねえ」


何か吹っ飛んでいった。

千曲東の選手が磔状態のまま審判が告げる。


「ゲームウォンバイ清澄。」


という感じで暇な私は試合に好き勝手なアフレコをつけて遊んでいた。

実際のところは結構退屈というか本当に地味な絵面だった。










多少脚色はしていたけど大体こんな感じで清澄は県予選突破。

収支は清澄が300000越えの一位、龍門渕二位、風越が続いて三位、千曲東はトび終了。


さて次は個人戦だね。

個人戦は週明けからだからまた練習できるね。

やったね加藤さんに室橋さん! 練習時間が増えるよ!





風越はレギュラーメンバーしか登録してないらしい。

龍門渕も天江選手がエントリーしていないらしい。

鶴賀は個人で津山選手と東横選手ががエントリーしているとの事。

さあ、今年の三枠はどうなるのか。

照ちゃんと福路さんはいないけど激戦になるだろうね。

咲ちゃんは確定としてあとは染谷さんと片岡さんと龍門渕選手辺りかな。

池田と吉留選手、東横選手は運がよければいけるかもねってレベル。

まぁ何にせよ血で血を洗う県予選個人戦になりそうである。





それから一ヶ月、加藤さんを心肺停止にしない程度にしごいた。

そのかわり室橋さんは吐いた。

でも今はだいぶ強くなっている。

人間というのは結構頑丈なもので過酷な環境でも順応していくものだ。


「…………」


「ムロもミカも、昔はあんなにいいやつだったのに……」

「今ではすっかり老け込んで……」

「まるでアラサーだじぇ……」


「まだ十代ですよ!」


「ピッチピチですからね! ゆーき先輩!」

「先生と違って!」


「私は関係ないよ!」


遠まわしに皆が私をいじめてきます。

きっとあれだよ、愛されているんだよね、私。






それから数日経って職員室で声を掛けられた。


「小鍛治先生。」


「はい?」


「実は……」


またか。

またなのか。

また君か、片岡さん。

ウチの問題児、片岡優希隊長殿。

赤点の常習犯です。

後輩ができたんだから多少格好を整えてください。

じゃないとまた渾名が増えちゃうよ。

ちなみに今ある称号は……

タコス番長・片岡優希。

切り込み隊長・片岡優希。

突撃豆タンク・片岡優希。

赤点特攻みの片岡優希。

余り良いあだ名は現在なしです。

くだらないことを考えてないで部室に向かう。

片岡さんが能天気に登場すると私が通告する。

赤点追試について。

タコスを減らすか勉強を増やすかの二つに一つだと死の宣告をしておいた。

多少はお灸になっただろう。





それから少しして片岡さんがやってきた。

傍らには勉強を教えていた京太郎君に咲ちゃんもいる。

明日には追試だというのに何をやっているのか。

片岡さんは涙ながらに訴えている。


「じぇんじぇー……まーじゃんが……まーじゃんがしたいじょ……」


「あ、健夜さん、俺も禁断症状が。」


「優希ちゃんのちょっとした息抜きにもいいんじゃないかなって。」


「……もう、しょうがないね。」


そろそろ音を上げると予想はしていたものの多少は頑張ったので今日くらいは大目に見てあげよう。

私ってばやさしい。

部室に通してあげると中には一年生と染谷さんが椅子に座って待っていた。

さっきまで私達で打っていたのである。


「部長やムロとミカは打ってたのか!?」

「ぐぬぬ、私が頑張っていたのにずるいじょ!」


「あ、三人はお昼寝してるから起こさないであげて。」


「三人ともお昼寝とかだらしないじょ。」

「……まぁいいじぇ、とりあえず打つじょ!」


ちょうど席も空いたからタイミングがいいね。








翌日の部室。

今日はお休みにして皆でプールに行くことになった。

決して部室が暑くてやる気が起きないというわけではない。

ついでに言うならエアコンが壊れていて業者さんが来るのは明日とかそういう話もない。

断じてない。


「ほら、皆車に乗ってー。」


「先生! 私水着持って来てないじぇ!」


「現地で借りてー。」


「仕方ないか。」

「それよりも京太郎、私のナイスバディに発情するなよ?」


「…………ふっ」


奥さん見ました?

今あの子鼻で笑いましたよ。





車の中は涼しいが中の人間ははしゃいでいる。

無理もないかも、ここのところずっと麻雀漬けだったし。

京太郎君は周りに弄られながら相手していた。

何か時代の移り変わりが早く感じちゃう。

今年も去年と同じスポーツランドにお世話になる。

女は去年と同じ水着は着ないので毎年水着は変わる物(こーこちゃんの知識)

なので水着を借りるために寄ったところでとある人物に会う。


「あれ? やす……藤田さん。」


「小鍛治さんこそどうして……」


「私は生徒の息抜きに。」


「私は事務所が休みだしてくれたんでたまにはいいかなと。」

「今日は特に暑いので。」


「靖子さん……」

「……あれ?」


そういって藤田さんの後ろから現れたのは照ちゃんと福路さんだった。





「……あ。」


どうやら照ちゃんが何かを察したようだ。

そういえば去年彼女もいたね。

そのあとぞろぞろ生徒達が集まってくる。

結局皆、一堂に会して集まって水着を選んでいた。

漸く選び終わると京太郎君がパーカーを着込んで待っていた。

どうやら時間を掛けすぎていたようだ。

準備体操はばっちり終えている様子でビーチチェアに座っている。


「お待たせ、京太郎君。」


「あれ? 靖子さんや照さんも来てたんですか?」


京太郎君が私の後ろにいる二人に挨拶しながら聞いてくる。


「うん、さっきばったり会ってね。」

「ちなみに福路さんも来ているよ。」


「まじすか!」


目を輝かせながら言う彼を見ながらしょうがないなと呆れてしまう。

尚、当の本人は今着替えている。


「多分直ぐに来ると思うから何か飲み物でも買ってきてくれないかな?」


「わっかりましたー!」


「あ、パーカー暑くない? 預かろうか?」


「え……? あ、お願いしてもいいですか?」


京太郎君にお金を渡したら彼から借りたパーカーを着て息を吐く。

すると照ちゃんと藤田さんはじーっとこっちを見ていた。


「え? なに?」


「いえ、何でも。」


いいじゃない! 見えないところで努力してるんだよ!

それをちょっと楽するだけ!

萌え袖! ぶかぶかの丈!

すこやんかわいい!

でもジッパーは下げません!






そのあと間も無く女子達が集まってきた。

当然京太郎君はまだ戻ってきてはいない。

薄いエメラルドブルーのビキニを着た加藤さんがやってくる。

私と違って足長いな。

背も高いから相対的に顔が小さく見える。


「あれ? 須賀先輩はどこに?」


「飲み物買いに行ってるよ。」


私がそう言うと加藤さんは私の着ているパーカーをじっと見て質問してきた。


「先生、そんなパーカー持ってきていましたっけ?」


「え、これ?」

「これはその……京太郎君に借りて……」


「暑いでしょうし脱いだらどうですか? その間私が責任を持って預かりますから。」


おい馬鹿やめろ。

この鉄壁のベールを剥がしたら肉のカーテンが曝け出ちゃうじゃない!

私が警戒しているといきなり後ろから抱きつかれた。


「今だミカ! 小鍛治先生のパーカーを剥ぎ取れ!」


「ゆーき先輩ナイスです!」


まさかのコンビプレイに敢え無く撃沈。

またお腹に力を入れるトレーニングが始まる。


「大丈夫ですか小鍛治さん。」


「あまり大丈夫じゃないかも……」


「最近節制してなかったですからね。」


「靖子ちゃんは良いよね……アレだけカツ丼食べてもそのプロポーションだもん……」


「えっと……私はちゃんとカロリーは消費しているので……」


くそう、くそう……

私がだらしないのは体だけじゃなかったか……

そう思わせた靖子ちゃんがにくい。

あとついでにお腹のお肉もにくい。






何か今は加藤さんと片岡さんが二人してパーカーを着ている。

いくら京太郎君のが大きめだからといって二人も入ったら伸びちゃうよ。

しかしなかなか京太郎君が帰ってこない。

私は少し心配になったのでその場からさっさと逃げ……離れた。

廊下を少し歩いていると目的の人物を見つけられた。

というか京太郎君が見つかったはいいけど、何だろう……もしかして男の人に絡まれてる……?

これは所謂ナンパってやつだろうか。

男の子でもナンパされるのに私ときたら……

そんなこと考えてる場合じゃなかった。

ホモの魔の手から京太郎君のお尻を守らないと!


「京太郎君! 大丈夫!?」


「え、健夜さん? ええ大丈夫ですよ。」


「小鍛治プロじゃん。」


ん? よく見れば見覚えある顔だ。

あ、龍門渕の井上選手だ。

後姿しか見えなかったから見間違えちゃった。

今年の水着はより一層男前に見えますね。


「悪いな、引き止めちまって。」


「いえいえ、そんなことないっすよ。」


「あとでこっちにも顔出せ、衣のやつも会いたがってたからよ。」


井上選手がここにいるということはほかの龍門渕の選手もいる可能性があるわけで。

当然その中には天江選手も含まれるわけで。

君はフラグ立てるね。

友達フラグ・恋人フラグ・死亡フラグ。

どれとは言わないけど。






二人して飲み物を持って戻ると皆は既に遊んでいた。

私は靖子ちゃんと照ちゃんや染谷さんに飲み物を渡す。

京太郎君は残りのメンバーに渡す。


「あの須賀先輩、そのやけど……」


「ん? ああこれか、小さい頃に負ったみたいなんだ。」


「大丈夫なんですか?」


「大丈夫、へーきへーき。」


加藤さんが飲み物を受け取るときに聞いた火傷のこと。

そういえば一年生と靖子ちゃんは知らなかったんだっけ?

そのあと天江選手がやってきたり、京太郎君が鼻の下伸ばしながら福路さんと話していたり。

それ見ていた加藤さんが京太郎君から泳ぎを教わってたりそのあと溺れて心肺停止になったり人工呼吸されたり。

色々ありました。

加藤さんは何で直ぐ死んでしまうん?







「うぅ~……放せゴミプロ~!」


「いいじゃないかー、ちょっとくらい。」


靖子ちゃんが天江選手を捕まえて抱っこしている。

天江選手は京太郎君に会いに来ているのに当の本人は福路さんや照ちゃんと旧交を温めている。


「子供欲しいなぁ……」


「だから衣は子供ではない!」

「というかとっとと放せ!」


藤田さん……周りがドン引きしてるから。


「衣ー? あら、こんなところにいましたのね。」


ここでお母さん登場。

藤田はそろそろ放してあげなよ。

それとさっき気付いたんだけど、龍門渕選手と照ちゃん盛ってない?

国広選手は逆に布面積増えてる。






「県予選では団体戦・個人戦と後塵を拝しましたが全国では簡単には終わらせませんわよ!」


龍門渕選手はそう言いながら天江選手を引き取っていった。

天江選手は京太郎君や片岡さんともっと話していたい様だったけど。


「それじゃあ私達も。」


福路さんたちも用事があるようだ。

泳ぎ(遊び)疲れたので私達もそろそろ帰ることに。

久々のリフレッシュはよいものだ。

そういえば京太郎君のパーカーはどこに行ったのか。

途中片岡さんが天江選手と一緒に着ていたのは覚えているけどその後どこに行ったのか。

まぁ京太郎君は気にしていないようだけど私には心当たりがある。

その内却ってくるでしょ。




実は前年と同様に四校合同合宿をしようとも思ったんだけど無意味だったのでやめた。

合同でやるより身内でやった方が効率的だからだ。

ついでに言うなら加藤さんと室橋さんを飴と鞭を混ぜながらしごいてあげたほうが更に効率的。

多少ヤバイ状態に誰かがなっても京太郎君が戻してくれるはずだし。

そもそも部活中の事故は安全管理を怠ってない限り責任を取らされることはないし。

だから大丈夫。

多分大丈夫。

それはそれとしておいといて、やってまいりました東京へ。

全国までの時間なんてあってない様なもので直ぐに来ちゃいました。

女子団体と男女個人制覇でホテル去年よりちょっと豪華。

去年は身銭を切っていたので学校からの補助は嬉しい。

京太郎君には個室を与えられているし私も個室を与えられてる。

女子は二部屋で分けられた。

公立校の予算なら割と妥当なところだと思う。

問題はウチの生徒はいい子ばかりだけどちょっとやんちゃが過ぎることと他校は良い子は限らないことだ。

ここは大人としてしっかり監視しないと。