京太郎「背景に溶け込んでかなり立ったが潮時だ」

京太郎「このままこの立ち位置に居るだけじゃ世界から消されちまうな」

京太郎「いつの間にかいなくなってました、なんてシャレにならねぇし……なんとか目立たないと」

京太郎「目立つのにも色々あるけどな……どうしようか」

京太郎「福岡に行くか」

京太郎「修羅の国ってのがどんなもんか一目見ておくのもいい経験になりそうだ」


――――――
―――――
――――


京太郎「長野からだと結構かかったなー」

京太郎「それにしても……」キョロキョロ

ナカバッテン♪ナカバッテン♪

京太郎「修羅の国ってわりには案外普通だ」

京太郎「もっとこう、ドンパチしてる感じがあったんだけど」

京太郎「まぁそれはいいとして、何をしようかな」

京太郎「地域清掃でもするか」

京太郎「それじゃまずはホームセンターに軍手とトング、ゴミ袋買いに行かなきゃだな」


京太郎「おっし準備万端!やるぜー!」

京太郎「おっと、さっそく煙草の吸殻発見」ポイ

京太郎「あぶねーなぁ、こういうのが火事の原因になるんだよ」

京太郎「んでこっちは食べかけのカップ麺か……これじゃ地域清掃の人も困るだろうが」ガサッ

?「………あの」

京太郎「ん?」

?「お手伝いしましょうか?」

京太郎「これで大体ここら辺は綺麗になりましたね」

煌「すばらっ!」

京太郎「付き合わせてしまってすいませんね、えーと……名前は」

煌「おっと、私としたことが名前を名乗ってませんでしたね」

煌「私は花田煌というものですので、以後お見知りおきを」

京太郎「はい、どうもご協力ありがとうございました花田さん!」

煌「いえいえ。また見かけたらいつでも声かけてくださいね」

京太郎「あの、これお礼と言ってはなんですが受け取ってもらえませんか?」

煌「お礼だなんて、そんなものいりませんよ!」

京太郎「見ず知らずの人にここまで親切にされたの初めてで……是非受け取っていただきたくて」

煌「……そこまで言うのでしたら、お言葉に甘えても」

京太郎「なんだか唐突にレズっ子を見つけたくなってきたな」

京太郎「レズっ子を探すか」


京太郎「レズー、レズはどこだー」キョロキョロ

京太郎「んー……おっ!あの子とかレズっぽいな」

京太郎「ん?あれ……もしかして和か!?」

京太郎「あいつこんなとこで何やってんだ……?」


京太郎「おい」ポン

和「ひゃわ!」ビクッ

和「…っ?」クルッ

京太郎「よっ!福岡で会うなんてホントに偶然だな」

和「す、須賀くん!?どうして福岡に?」

京太郎「たまたま遊びにきてたんだよ。それでレズっ子レーダーに反応して和を見つけたってわけ」

和「はい?」

京太郎「あ……いや……ところで和はどうして福岡に?」

和「あっ、私は」

和「父の出張の連れです」

京太郎「弁護士さんだっけ?大変だな、和も和の親父さんも」

和「いえ、もう慣れましたから」

京太郎「そ……そうか!」

和「はい」

京太郎「……」

和「……」

京太郎(話が続かないな)

京太郎(とりあえず、ここはデートにでも誘ってみるか)

京太郎「あのさ和……この後時間とかあったりする?」

和「特に予定は無いですよ」

京太郎「そっか。じゃあさ」

京太郎「俺とデートしようぜ!」

和「デ、デートですか?」

京太郎「ああ。せっかく福岡にきたんだし、一人より二人で観光した方が楽しいだろ?」

和「……それもそうですね、分かりました」

和「一緒に観光しましょう須賀くん」

京太郎(よっしゃ!)

京太郎「決まりだな。早速だけど、どっか行きたいとことかある?」

和「私は特に。須賀くんの行きたいところでお願いします」

京太郎「そうか?んじゃ俺は……」

京太郎「ラーメン屋に行こうぜ。福岡と言えばラーメンだ」

和「ラーメンですか?」

京太郎「おう!………あ」

京太郎(いや待てよ。そう言えばデートにラーメンはタブーってどっかで聞いた気が)

京太郎(しかも和はお嬢様だし尚更……)

京太郎「ごめん、女の子はラーメンなんて嫌だよな。別の場所にしようか」

和「いえいえ、私は全然構いませんよ」

京太郎「無理しなくてもいいぞ。服に飛んだりでもしたら落ちにくいし」

和「そうじゃなく……前に清澄のみんなでラーメン屋さんに行ったの覚えていますか?」

京太郎「え?ああ、そんなこともあったな」

和「あの時食べたラーメンすごく美味くて、その……実はもう一度行ってみたいって思ってたんです」

和「だから全然嫌なんかじゃなくて、逆に丁度いい機会に巡り合えて嬉しいぐらいです」

京太郎「そっか……和がそう言うんだったらいいんだ。じゃ、どっか見つけてラーメン屋に入りますか」

和「はい!」


京太郎「うぃーっす」ガラッ

京太郎「ラーメン二つお願いします。あ、一つは大盛りで」

カシコマリ!ラーメン、ラーメンダイイッチョー!

和「いい匂いですね。匂いを嗅いでるだけでお腹が空いてきました」

京太郎「だよな。このラー油の香りがラーメンの匂いって感じだ」

?「……!」

和「そんなオカルトありえません!」

煌「すばっ!?」ビクッ

和「須賀くんとは単なる部員同士です。今日もたまたま会ったから一緒に行動しているだけです」

京太郎(ははー、そうだよなーはは)

煌「こ、これは失礼を。しかし部員同士というだけで彼の内面を知らないとは勿体ないですね」

和「え?」

煌「この方は先ほど誰に言われるでもなく地域清掃をし、皆が住みやすい街にする為に汗水を流していました」

和「私に会う前やけに汗をかいてると思ったら、そんなことをしていたんですか?」

京太郎「お、おう」

煌「ここの住民でもないのに関わらずですよ?ここまですばらっ!な青年私は初めて見ましたね」

和「……そうなんですか須賀くん?」

京太郎「ああ」

京太郎(そこまで言われるとなんかムズ痒いな)

和「ふふっ。変な人ですね、須賀くんは」クスッ

京太郎「なっ!」ガビーン

和「でも私、ちょっとあなたの事を見直したかもしれません」

京太郎「!」

和「だから……これからは、その」

和「京太郎くんって下の名前で呼んでもいいでしょうか?」モジ

京太郎「お断わりだ」

和「っ!……そ、そうですよね。急に下の名前で呼ぶなんておかしいですよね」

和「なんだか変な事言ってしまって、ごめんなさい」

煌「………」

煌(ここまでお膳立てしてあげましたが、当の本人が粉々にしてしまってはもう……)

和「……っ!私、失礼します!」ダッ

京太郎「あ、おい和!どこ行くんだよ、ラーメン食うんじゃなかったのか!?」

煌「はぁ、非常にすばらくないですね」

京太郎「え?」

煌「乙女の心は海よりも深いものなのですよ?」

煌「周りへの配慮はできても女の子の扱いは下手糞ですねぇ、須賀さん」

京太郎「………」

煌「さてさて、今あなたが為すべきことは何でしょうか?」

煌「あなたのお気持ち、とても嬉しいです」

煌「しかし……可愛い後輩を裏切ることはできませんよ」

京太郎「………そうですか」

煌「でも、もっと可愛い後輩ができてしまってはかないませんね」

京太郎「へ?」

煌「こうなってしまってはしょうがないですねぇ、今後も可愛い後輩と付き合っていくとしましょう」

京太郎「それってつまり……?」

煌「もう、こういう所はニブチンですね」

煌「これから末永くよろしくお願いしますね。京太郎さん

京太郎「花田さん……!いや、煌さん!」

京太郎「俺ちょー嬉しいです!!」ダキッ

煌「すばらですっ!京太郎さん!」


すばらエンド