須賀母「それじゃあ京太郎をよろしくね咏ちゃん」

咏「はいお義母さん、まあしっかり世話出来るかはわっかんねーけど」

須賀母「あらあら、三尋木プロの生わっかんねーが聞けてお母さん嬉しいわ」

咏「そっすか」

須賀母「それじゃあ私は行くからー」

咏「はーい」


咏(さて、それで私の義弟になるのは……)

ピンポーン

京太郎「はーい」

咏(うーん、パッとしないねぃ)




京太郎「はーい」

咏「よっ」

京太郎「……」


新しくきょうだいが増えると聞き待っていた俺の前に現れたのは着物姿のロリだった。

えっ?

姉弟?それとも兄妹?

えーっと……



京太郎「よしよし、よく来たな。俺は須賀京太郎、好きに呼んでくれて構わないぞ」

咏(……うん?)

京太郎「それじゃあ次は君が名前教えてくれるかな?」

咏(あー……勘違いしてんのか)

咏(どうすっかなー、まあ面白そうだし妹のフリでもしてみるかねぃ)

咏(っと、それじゃあ何て呼べばいっかなー)



咏(うん、兄上様とかでいいんじゃね?知らんけど)

咏「私は三尋木咏、よろしくねぃ兄上様」

京太郎「おお、よろしくな」


兄上様かぁ、普通にお兄ちゃんとか来ると思ったから驚いたぜ。

でも和服も相まってなんか様になってるな。

いやそうじゃなくて、俺はこの娘のことを何て呼ぼうか。



京太郎「よし、それじゃ中に入ってくれ咏ちゃん」

咏「わかったよ」


京太郎「まだ昼までは時間があるな……咏ちゃんはどうしたい?」

咏「なんでもいいんじゃね?知らんけど」

京太郎「そっか……」




【午前】

京太郎「そう言えば咏ちゃんはいくつなんだ?」

咏「ん?そりゃ私はに――」

京太郎「に?」

咏「年生、かな。中学の」

京太郎「へえ中2かー。それじゃ俺と二つ違いだな」

咏「じゃあ兄上様は高1なのかぃ?」

京太郎「ああ、今年からな。良いだろー」

咏(危ない危ない、すぐにバレちまうところだった)

咏(にしてもコイツ、面白いな。わっかんねーけど)







京太郎「さて、昼も食ったことだし」

咏「ことだし?」

京太郎「ことだし……そうだな」



【午後】

京太郎「ゲームでもしようか!」

咏「いいよー、何すんのか知らんけど」

京太郎「そうだなートランプとか?」

咏「そんじゃポーカーやろうポーカー」

京太郎「いいぜー!」



京太郎「フルハウス!どうだっ!」

咏「フッ……ロイヤルストレートフラッシュ」

京太郎「マジでっ!?」

咏「マジマジ」

京太郎「えぇーこれで何回目だよ……イカサマとかしてんじゃねえの?」

咏「してないよ、知らんけど」

京太郎「知らんけどって」

咏「んー、まあ強いて言うなら私がカードに愛されてるってことかな。兄上様と違って」

京太郎「なんか、馬鹿にされてる気がする」

咏「そりゃ馬鹿にしてるし」

京太郎「なんだとっ」

咏「文句は私に勝ってから言うんだねぃ」

京太郎「うぐぐ」


咏(って、こんな時間……随分夢中になってたのか)

咏(まあ、結構楽しかったしねぃ、知らんけど)







京太郎「大分暗くなってきたな」

咏「そうだねぃ」

京太郎「そろそろトランプも終わりだな」

咏「えー」

京太郎「散々勝ったんだから良いだろ!?」




【夜】

京太郎「さあ、夕食の用意出来たぞー」

咏「悪いねぃ」

京太郎「妹なんだから遠慮すんなって、さあ食え食え」

咏(やばい、笑いそう)

京太郎「どうした?」

咏「いや、嬉しくてちょっと」

京太郎「……そっか、親父さんと二人だったんだもんな。大変だったよな」

咏(うん?)

京太郎「でも、これからは俺も一緒だ。だからいつでも俺を頼っていいんだぞ」

咏「……うん」

咏(コイツ、結構良い奴なのかもな……し、知らんけど)







京太郎「んじゃ咏ちゃんはこっちの部屋な」

咏「わかったよ」

京太郎「俺は隣の部屋で寝てるから何かあったら呼んでくれ、それじゃおやすみ」

咏「おやすみー」



さて、咏ちゃんも部屋に行ったし俺も寝るか。

それにしても、妹ってのも良いもんだなあ。





うーん、まだ眠い。

けど、目覚まし時計はうるさく鳴ってるんだよな。

起きるか、それとも二度寝か……。



【朝】

いや、起きよう。

妹も起こしてやらねばならんしな。

ということで。


京太郎「うーたちゃーん」


………。

扉を開け放つと可愛い妹はぐっすり眠っていた。

近寄って寝顔を覗きこむ。

すーすーと寝息を立てる様子に頬を緩めていると閉じていた両目がぱっちりと開いてこちらを見つめ返す。


咏「妹の寝顔を見てニヤけるとか……変態?」

京太郎「ばっ、ちげえよ!」

咏「ふーん、そう」

京太郎「ああ。それより起きろ、朝だぞ」

咏「はーい」





咏「眠いねぃ」

京太郎「ほらさっさと朝飯食っちまえよ」

咏「わかってるよ、わっかんねーけど」

京太郎「どっちだよ」

咏「わっかんねー」

京太郎「はいはい」

咏「そういや朝食とったら何すんの?」

京太郎「わかんねー……ってのは冗談で、今日は……」




【午前】

京太郎「昨日のリベンジだ」

咏「んー?」

京太郎「ポーカー、今日は負けないぜ」

咏「あー、いいよー。兄上様じゃ無理だと思うけどねぃ」

京太郎「言ってろ、行くぞ」




京太郎「これは勝ったな」

咏「へぇ」

京太郎「フォーカードッ!」

咏「ファイブカード」

京太郎「えっ」

咏「ファイブカード」

京太郎「えっ」

咏「だーから兄上様じゃ無理だって」

京太郎「くっそ、もう一回だっ」

咏「まあ良いけどさー」










対面に座る少年と視線がぶつかり心臓が跳ねる。

何故だろう、凄くドキドキする。

最初会った時は何とも思わなかったのに、一日一緒に過ごした今は……。

あー、わっかんねーすべてがわかんねー。

優しさか、それともその純粋で真っ直ぐな視線のせいなのか。

理由はわっかんねーけど唯一つ分かること、それは……。


私がコイツに惚れちまったってこと、かな。







咏「なあ、兄上様」

京太郎「うん?」

咏「そろそろ小腹が空いて来ないかい?」

京太郎「そうだな……ってもうこんな時間っ!?」

京太郎「待ってろ、今昼食用意すっから!」


【午後】

京太郎「そういや咏ちゃんはどうして和服に扇子なんだ?」

咏「だ、ダメかぃ?」

京太郎「いや、似合ってると思うけど」

咏「にあっ……そ、そっか」

京太郎「顔赤いけどどうかしたか?」

咏「へっ!?別に何でもないよ」

京太郎「でも熱とか有ったらマズイからっと」

咏「あっ……」

咏(私の額に手が……)

京太郎「うーん、熱はねえな……って咏ちゃん?」

咏「……っ」

京太郎「俯いてどうかしたのか?やっぱり体調が悪いんじゃ」

咏「な……なんでも、ないから」

京太郎「そうか?」

咏「うん……」

咏(やべーって、何がかとかわっかんねーけどこれはやべーって)




京太郎「もう暗くなってきたな」

咏「……そうだねぃ」

京太郎「咏ちゃん?」

咏「なんでも無いから……わ、わっかんねーけど」




【夜】

京太郎「そろそろ寝るかな」

咏「そ、そうだねぃ」

京太郎「じゃあ」

咏「あっ、兄上様っ」

京太郎「おわっ……急に抱きついて、どうした?」

咏「……兄上様は、妹と姉のどっちが欲しかった?」

京太郎「え?」

咏「実はさ、私妹じゃないんだよね」

京太郎「それはどういう……」

咏「私は本当は兄上様の姉で、今は24歳」

京太郎「……」

咏「10歳もサバ読んでたってわけさ……引いたかぃ?」

京太郎「いや、引いてなんか」

咏「優しいよな……だから私は、そんなお前が……あぅ、その……」






きっと咏ちゃん……いや年上だから咏さん?

あー、面倒だ。呼び捨てでいいか。

それでなんだっけ……っと、そうだ。

きっと咏は俺と同じ気持ちなんだ。

だから本当の事を打ち明けて、そして今その気持ちを伝えようとしてくれてる。

俺も、同じ気持なんだ。だったらここは、俺が言うべきだろ……!


京太郎「咏」

咏「っ」

京太郎「俺は姉とか妹じゃなくて、咏と出会えてよかったと思ってる」

咏「京太郎……」

京太郎「好きだ、咏」

咏「……っ!」

京太郎「咏は、どうだ?俺のこと、嫌いか?」

咏「……すき、私も京太郎のこと、好きっ」

京太郎「……そっか」

咏「うん」

京太郎「目、閉じて」

咏「わかった」

京太郎「大好きだよ、咏」


チュッ



咏「そ、そろそろ寝たほうが良いんじゃないかねぃ。し、知らんけど」

京太郎「あっ、そうだな。すまん、今離す」

咏「ふぅ……」


勢いでキスしちゃたけど、嫌がられてない……っていうかむしろ喜んでもらえたみたいだしよかった。

さて、もう寝るわけだが……。


咏「そんじゃおやすみ」

京太郎「あっ、咏」

咏「ちょっ、引っ張んなよ」

京太郎「すまんすまん」

咏「で、何?」

京太郎「今日は一緒に寝ようぜ」

咏「なっ……変態」

京太郎「ばっ、そういう意味じゃねーよ」

咏「へぇー?」

京太郎「そんな目で見るなぁっ!」

咏「ま、良いよ。私も京太郎と寝たかったし」

京太郎「……ったく」

咏「それじゃベッドまで案内してくれよ、ダーリンっ」

京太郎「はいはい、わかりましたよ」



小さいなぁ。

布団の中で抱きしめながらそんなことを思う。

俺の服を掴みながら胸に頭を擦り付けてくる咏の頭を撫でながら目を閉じる。

告白、出来てよかったな……。





【朝】


唇になんだか柔らかい感触が……。

いったい、何だ?

ゆっくり瞼を開けると、咏が俺にキスをしていた。


京太郎「……んんっ!?」

咏「あ、おはよう」

京太郎「な、何やってんだ!」

咏「いやー、京太郎が起きないからねー」

京太郎「ほう……それならっ」

咏「ひゃっ、急に抱き寄せっ。んっ……ぷはっ」

咏「突然何をっ」

京太郎「これであいこってことで」

咏「ば、ばかっ」







須賀母「ただいまー」

京太郎「おかえり」

咏「おかえりなさい」

須賀母「あらあら、二人共仲良くなれたみたいで何よりだわ」

咏「それじゃ私は帰るので」

須賀母「お父さんによろしくね」

咏「わっかりました、じゃあ」

京太郎「あっ、玄関まで送るよ」

須賀母「あらあら、良い感じじゃないの」


京太郎「次会うまでかかりそうなんだっけ」

咏「そうだねぃ」

京太郎「次会うの楽しみにしてるぜ」

咏「私も」

京太郎「じゃあな」

咏「うん……あ、忘れてた」

京太郎「へ?」

咏「ちょーっと頭下げて耳こっち」

京太郎「ん」

咏「……大好きだよっ」


チュッ



咏「それだけ、じゃあねぃっ」



そう言って俺の頬に口付けをすると咏は去って行った。


京太郎「ったく、次あったらお返ししてやんねーとな」



《三尋木咏編 カンッ!》