京太郎「俺も恋人欲しい男子高校生16歳だけど、ここまで美人ばっかだと目移りしちゃうな」

京太郎「有珠山高校の子達も可愛いよなぁ」

京太郎「この子たちと結婚できたら多分幸せなんだろうなぁ……」


~~~~~~


京太郎「ただいま、成香」

成香「お帰りなさいあなた。ご飯できてますよ」

京太郎「そうか。ありがとう成香」ナデナデ

成香「えへへ……。私はあなたの奥さんですからね」

京太郎「それじゃあ早速。いただきます」

成香「はい、召し上がれ」

京太郎「……」パクパク

京太郎(マ……ズッ……)

成香「ふふふ。素敵な味にするために、お砂糖を沢山入れたんですよ」

京太郎(えー……とりあえず今後の生活のためにマズイものはマズイって言わないと)

京太郎「なあ、成香……」

成香「いつも遅くまで働いてくれてるアナタの疲れをとるために、とびっきりあまくしたんですよ。美味しいですか?アナタ」ニコニコ

京太郎「……お、美味しいよ」

成香「わぁ。あなたに喜んでもらえて素敵です~」ニコニコ

京太郎(ダメだ。この天使の笑顔を曇らせることはできない)


~~~~~~


京太郎「誓子~」ダキッ

誓子「きゃっ……」ゲシッ

京太郎「ぐふぉ!」

誓子「もう……いい歳なんだから、子供っぽいことしないの」

京太郎「いや……でも俺たち夫婦なんだし……」

誓子「……返事は?」

京太郎「はい……」


~~~~~~


京太郎「なあ揺杏」

揺杏「んー?」チクチク

京太郎「俺の服を作ってくれてるのはいいんだけどさ」

揺杏「うん」チクチク

京太郎「このFFに出てきそうなデザインはなんとかならないの?」

揺杏「えー。普通にカッコイイじゃん」

揺杏「ほら、私はガーネットの衣装着るから一緒にコスプレ写真撮ろう?な?」



~~~~~~


京太郎「なあ、俺たち付き合って1年になるんだから、そろそろキスくらいしても……」

ユキ「ダメです。キスは結婚式の時まではお預けです」

京太郎「じ、じゃあ手を繋ぐくらいしてくれても……」

ユキ「殿方と手を繋なんて……私たちにはまだ早いですよ!」

京太郎「じゃあいつになったらいいの?」

ユキ「二十歳を超えてからじゃないと」


~~~~~~


京太郎「……」

爽「ん?どうした京太郎」

京太郎「いや、なんか爽さんがなんだかんだ一番まともな気がしてきてさ」

爽「なんじゃそりゃ」

爽「もしかして……浮気でもしてるの?」

京太郎「いや、そんなことはないけど……」

爽「そうだよね!いやー、浮気してたらキレちゃうとこだったよ」

京太郎「参考までに、キレたらどうなるの?」

爽「んー?そりゃー……」



爽「カムイで呪い死ぬけど?」

~~~~~~



















京太郎「……」

京太郎「ちょっと有珠山はノーサンキューかな」

京太郎「そもそもカトリック系だから意識高い系お嬢様が集ってそうだし」

京太郎「他にも美少女はいるからな」

京太郎「阿知賀はきっといい子だらけだよな」

京太郎「なにせ和の友達だもの」


~~~~~~


玄「京太郎君、お部屋のお掃除をするね」

京太郎「ありがとう玄さん」

京太郎「面倒見のいい通い妻がいて俺は幸せだよ」

玄「えへへ。私にお任せあれ!」


玄「さて、ベッドの下の掃除を……」

玄「……これは、俗に言う男子が隠し持つエロ本?」


『あの三尋木咏が和服ではなく水着に!?』

『マホと衣の対局。海底本家とコピー。どちらが勝つのか!?』

『薄墨初美に密着取材』

『宮永照と行くスイーツ巡り』


玄「こ……これは……」

玄「見損なったよ京太郎君!」

京太郎「玄さん?」

玄「私たちは同じおもち同盟の同士……今でこそただの恋人同士であれ、おもちこそが私たちの出会いの思い出なのに、無いおもちが好きだったなんて!」

京太郎「いや、これはなんか知らんけど咲が置いていった本で……」

玄「聞きたく無い!言い訳なんて聞きたく無いよ!」

玄「おもちが好きじゃ無いなら……実家に帰らせていただきます!」


~~~~~~


京太郎「あー、今日も暑かった。真夏の営業は疲れたなー」

京太郎「ただいまー」

宥「お帰りなさい、アナタ」

京太郎「ただいま、宥」

京太郎(ああ……この宥の笑顔のために1日頑張ったなぁ……)

宥「ご飯と晩酌ができてるよ」

宥「はい」


モツ鍋 熱燗


京太郎「……えーっと」

宥「あったかーいご飯食べて、疲れを癒してね」ニコニコ

京太郎「は……ははは……」


~~~~~~


京太郎「……」

憧「ただいまー」

京太郎「今日も遅かったな」

憧「しょうがないでしょ。初瀬と飲んできたんだから」

京太郎「そうか……。その割には随分とオシャレな服着てるな」

憧「そんなの私の勝手でしょ!なに?もしかして浮気してるとか言いたいの?」

京太郎「そういうわけじゃ……」

憧「あー気分悪い。私はさっさとシャワー浴びて寝るからね」


~~~~~~


灼「京太郎……ごめんね。ボウリング屋の跡取りに婿入りせちゃって……」

京太郎「気にして無いよ。俺は灼さんがいればどこにだって……」

灼「でも、ボウリング業界は不況で、あなたにも不自由な生活を……」

京太郎「だから気にして無いって。俺には灼さんさえいればいいんだから」

灼「京太郎……ありがと……」

京太郎(……でも)

灼「あ、そろそろハルちゃんの対局の時間だ。テレビ点けないと」

京太郎(赤土プロの麻雀煎餅カードやプロマイドを毎度買い占めてるのが、家系を圧迫してる事に気付いて欲しいな)


~~~~~~


京太郎「シズ……」

穏乃「……」

京太郎「あのな、いつも言ってるけど、子供を遊ばせるなら公園で十分なんだよ」

穏乃「……」

京太郎「なんでわざわざ幼稚園児の娘を連れて山に遊びに行くんだよ!」

穏乃「でも、私が小さい頃はこんな感じで元気に育って……」

京太郎「それはそうだけどさ。俺もそんな元気いっぱいの穏乃が大好きだから結婚したんだ」

京太郎「けど、お前はお前、娘は娘なんだから。無理をさせるなよ」

穏乃「ごめんなさい……」




~~~~~~


京太郎「……」

京太郎「なんで常識人の和の友達のわりには、キャラクターの濃い奴らばっかなんだろうな……」

京太郎「もっと普通の子がいいんだよ。新道寺の高校みたいな」

京太郎「九州の人達は気が強いっていうから、俺みたいな男でも引っ張ってってくれそうな気がするんだよな」



~~~~~~


煌「京太郎さん、ハローワークにいったんですか?すばらです!」

煌「新卒の就活に失敗して三年……引きこもってばかりのあなたが働くなんてすばらです!今日はお祝いをしますね!」


煌「京太郎さん、今日の面接はどうでしたか?」

京太郎「いや、それが……その、面接する直前にビビって、すっぽかしてパチンコを……」

煌「たまには息抜きも必要ですよ。すばらです!また明日から頑張りましょう!」


煌「お仕事お疲れ様です!」

京太郎「すまん、煌さん……。せっかく受かったアルバイトだけど、なんか色々あって辞めたというか……」

煌「無理をしてはいけませんよ。むしろ身体を壊す前に辞めることができてすばらです!」



京太郎(あかん、煌さんに甘えて駄目人間になる)


~~~~~~


美子「……」

京太郎「……」

美子「……」

京太郎「……」

美子「……」

京太郎「……そのメガネ、似合ってますね」

美子「……ありがと」


~~~~~~


京太郎「仁美さん……俺と結婚してください」

仁美「……条件がある」

京太郎「なんでも呑みます!」

仁美「私の家は創価学会やけん、民主党、自民党、社民党、共産党を認めん」

仁美「これらの政党は日本を良くできんけん、票は公明党に入れてほしいとよ」

京太郎「」


~~~~~~

京太郎「ただいま……」

哩「姫子!もっと強く!」

姫子「これがいいんですかぶちょー!」

哩「ああ!これだ、この痛み、ずっと待っていた!」

姫子「ああん!ぶちょーの快感が私の中にも流れ込んできて……ッ!」

京太郎「」


~~~~~~


理沙「ただいま!」プンスコ

京太郎「お帰りなさい。ご飯の準備ができますよ!」

理沙「ちがう!」プンスコ

京太郎「?」

理沙「先にやることがある!」プンスコ

京太郎「??」

理沙「察する!」プンスコ

京太郎「???」

理沙「唐変木!」プンスコ

京太郎「えーっと……」

理沙「お帰りのキス!」プンスコ

京太郎(アラサーなのに夢見すぎでしょ……)

~~~~~~


京太郎(40)「俺も40歳か。息子達も独り立ちしたし、理沙さんの主夫になってからだいぶ経って、歳をとったことを痛感するな」

理沙(58)「京太郎!下呂温泉!」プンスコ

京太郎「わかりました。下呂温泉に旅行に行くんですね」

理沙「!!」コクン

京太郎「二人きりで旅行も懐かしいですね」

理沙「子供が生まれてから、ずっと家族旅行!」プンスコ

京太郎「そうですね。でも子供達は独り立ちしました」

京太郎「これからは、二人で恋人だったあの頃のように、いっぱいデートしましょう」

理沙「楽しみ!」プンスコ

~~~~~~

京太郎「……」

京太郎「駄目だな……ガチレズ二人のせいで良いイメージが湧かない」

京太郎「そんなアブノーマルなとこじゃくて、宮守みたいな普通の性癖の高校のほうが」


京太郎「宮守女子校……天使ばっかりだよなぁ」

京太郎「あそこなら幸せな生活を送れるに違いない」


~~~~~~


京太郎「ただいまー!」


シーン


京太郎「ただいまー!」


シーン


京太郎「……」

京太郎「……」テクテク

京太郎「……」ガチャ

京太郎「……ただいま」

シロ「お帰り……」

京太郎「なあ……たまには玄関に出迎えてくれない?」

シロ「ダルい……」

京太郎「……そっか」


~~~~~~


京太郎「エイスリンさん!」

エイスリン「???」

京太郎「愛してます!」

エイスリン「I Sit Mouth?」

京太郎「大好きです!」

エイスリン「Dai Skin Death!?」

エイスリン「イヤ!コナイデ!」

京太郎「え……?え?え?」


~~~~~~


京太郎「やっぱ胡桃さんのご飯は美味し……」

胡桃「こら!箸の持ち方がおかしい!」

京太郎「ご、ごめんなさい……」

京太郎「これでいいですか?それにしてもその煮物も……」

胡桃「寄せ箸はマナー違反!」

京太郎「すいません!いやー、胡桃さんの作るご飯はどれも美味しくて……」

胡桃「迷い箸はみっともない!」

京太郎「すいません……」


~~~~~~


京太郎「塞さん……うっ……そろそろ……」

塞「ふふふ……まだだーめ」

塞「私が許可するまで、射精を塞ぐよ」パンパン

京太郎「お願いです……そろそろ限界なんです!」

塞「ふふふ。じゃあみっともなくおねだりしてごらん?できなきゃずっとこのままだよ」

京太郎「そんな……」


~~~~~~


京太郎「……なんか、なんかなあ……」

京太郎「結局大正義、豊音さんかな」

京太郎「というわけで豊音さんに求婚しよう」


~~~~~~


豊音村


京太郎「というわけで結婚してください!」

豊音「そ、そんな……急に言われても困るよー……」

京太郎「覚悟はできています。この村に婿入りする事も厭いません。俺は豊音さんと結婚して幸せな家庭を築きたいんです!」

豊音「な、なんか照れるよー……」

豊音「とりあえずお祖父さんに話をしてくるから、この村を見たらどうかな?」

豊音「いざ住んでから不満があったら嫌だし、村を見て気に入って欲しいなって」

京太郎「わかりました!」

京太郎「いやー、田舎っていいなぁ」

京太郎「ゴミゴミした喧騒はなく、みんなのびのびしと生活してる」

京太郎「長野も田舎だけど、ここはドラクエに出てきそうなレベルの村で心が癒されるよ」

京太郎「ん……?」



『狐鈴音村病院』



京太郎「病院……?にしては、ずいぶん荒れ果ててるし、入り口が封鎖しれてるな」

京太郎「もしかして、廃病院とかかな?」

京太郎「廃墟と聞くとなんだかワクワクする」

京太郎「窓から入ってみようかな」



フフフ


アハハ



京太郎「……?」

京太郎「今、声が聞こえた気がしたけど、気のせいか?」




病院 旧棟


京太郎「うっ……カビ臭い……」

京太郎「それに、腐臭もする……なんだこの病院……」

京太郎「ここは、食堂かな?」

京太郎「とりあえず院長室にいけば、この病院のことがわかるのかな」ガチャ



クチャ……クチャ……



京太郎「なんだ……?この音」

京太郎「この廊下の向こうから聞こえてるような……」


京太郎「多分、気のせいだよな……」

京太郎「空耳じゃなくても、鴉が餌を漁ってるだけかもしれないし、わざわざ見に行くほどでもないだろ」ガチャ

京太郎「この部屋は……厨房か」

京太郎「うっ……臭い。食材が腐ってる匂いだな」

京太郎「大量の食材を放っておいて……なんで閉鎖されるのに持ち帰らなかったんだよ」

京太郎「ん?これはレシピノートか」



×月×日

トマトにモッツァレラのチーズを切って挟んだものを出した
オレーブオイルをかけたところ、高血圧、コレステロール過剰の患者にも出すことができる上、大好評だった


△月×日

豆腐をある程度工夫して揚げたり味付けしてみた
これなら患者の身体に触らないだろう



京太郎「病院食も大変なんだな」

京太郎「ん?なんかこのページから殴り書きっぽくなってるぞ」



~月~日

院長が肉を仕入れてきた
独自のルートで口外できないらしく、なんの肉かはわからかい
しかし味見したところ、非常に美味だった


~月~日

最近例の肉が患者の間で大流行している
私はなんの肉かわからない不安があるが、患者がそれを求めているのなら喜んで出そう


~月~日

疑っていた自分が恥ずかしい。ホラー小説の読みすぎだ
この肉をまさかと思い友人に頼んで解析してもらったところ、人肉ではなかった
我ながらホラー小説に影響されすぎて錯乱してしまったようだ


~月~日

私は間違っていた
人の肉ではなかったが人の肉だったようだ
患者たちも共食いの為か、それとも旧に味わった事のない肉を食べたせいか、どんどん容姿が変わってきている
ああ、私はなんて罪深いことをしてしまったのだろう


~月~日

……イン……テム……



ここで日記は途切れている




京太郎「???」

京太郎「なんだよこれ。この人こそが精神患者じゃないのか?」

京太郎「っと、なんか缶詰が残ってるけど、これは腐ってなさそうだな」

京太郎「少し腹も減ったし……食ってみようかな」

京太郎「なんの肉かわからないんだよな……なんかすげー怖い」

京太郎「とりあえずこの缶詰は今は食べないで、いざ空腹に襲われた時の為にポケットに取っておこう」

京太郎「調理室から得られる情報はこれだけかな」

京太郎「とりあえずどうしよう」

京太郎「このまま脱出してもいいけど」

京太郎「さっきの日記の内容が気になるな」

京太郎「……もう少し探索してみるか」

京太郎「お、階段だ」

京太郎「ついでに各階の説明文もあるな」



1~2階:職員事務棟

3~5階: 一般患者入院病棟

6階:精神患者入院病棟

7階:屋上



京太郎「6階にいこう」







京太郎「さっきの日誌……精神患者の事しか書かれてなかった」

京太郎「つまり、この病院が廃墟になったのは彼らが問題なんだよな」

京太郎「少し調べてみよう」



6階



京太郎「流石に6階まで上がるのは疲れるな……」

京太郎「手近な部屋から入ってみるか」


A部屋


京太郎「……精神患者の部屋っていうからある程度覚悟はしてたけど」

京太郎「この部屋……壁に落書きだらけだ」

京太郎「しかもこの落書き……どれも子供が包丁で大人を切り刻んでる」

京太郎「……ん?」

京太郎「この落書き、描いた日付がしっかり書かれてるな」

京太郎「最後の日付は~月△日」

京太郎「それも、入り口から反時計回りの時系列で壁に絵が描かれてる」

京太郎「反時計回りの行く先は、部屋の奥にあるベッドの近くの机か……」

京太郎「ベッドと机、どっちを調べよう」

京太郎「机の引き出しの中に、なにかあるかもしれない……」ガラッ

京太郎「!!!これは……」


京太郎「子供が人を食べてる絵……?」


京太郎「描いた日にちは~月~日。あの日誌を書いた人が狂い始めた頃だ」

京太郎「一体この病院でなにがあったんだ……?」

京太郎「もう少し調べてみるか」

京太郎「どこを調べよう」


京太郎「他の部屋に手がかりがあるかもしれない。調べてみるか」


B部屋


京太郎「この部屋はまともなようだな」

京太郎「この部屋の机の引き出しの中は……日記か。日付は、あの~月~日より前のもあるな」




×月~日

あの院長は俺たちをここから出す気は無いようだ
徹底的に監視して、脱出しようものなら地下の独房に入れてくる


△月×日

院長の噂を少し聞いた
昔、病気で妻を亡くしたらしい
そしてそれ以来狂ってしまったと


×月~日

隣の部屋に入院している俺の友達が1人退院した
俺が言うのもなんだが、あいつは退院できるほど精神は安定していなかったのに、急に退院した
退院後の行き先も教えてもらっていない
あいつはどこへ行ったんだ?


~月~日

今日から急に食事のメニューが変わった
今まで食べたことの無い肉だ
不思議と口に馴染む味だ


~月~日

やはり隣の部屋にいたあいつの行き先が気になるなる
院長に聞いてもはぐらかされるだけだ
今晩、院長室に忍び込んで真相を確かめる


~月~日

俺はなんてことを


~月~日

悪かった


~月~日

ごめんなさい


~月~日

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい


~月~日

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい








京太郎「……」

京太郎「日記の最後の日付までずっと謝罪が続いてる」

京太郎「院長室に忍び込んでから、ずっとこんな感じのようだな」

京太郎「行ってみるか、院長室」









院長室


京太郎「普通の部屋だな」

京太郎「ただ、院長の日誌が途中までしか残ってない」

京太郎「A部屋の患者が、初めておぞましい絵を書き始めた頃の日付までしか」

京太郎「その直前までの日記の内容も、手がかりみたいなんだがな」






我が妻は原因不明の病に犯されている

私はあらゆるツテを使い妻の病を調べたが、治る手立ては見つからない

神よ、なぜ私にこのような試練を与えるのだ

一日でもいい。一分でもいい。一秒でもいい。少しでも長生きしてくれないか






京太郎「そして、妻が死んだ日に、日記は途切れるか……」

京太郎「けどB部屋の患者はこの部屋に来てから狂った」

京太郎「多分これ以外に、なにかあるはずだ」

京太郎「俺の想像を絶する、なにかが」

京太郎「どこから探そう」

京太郎「とりあえず目につくのは、本棚だな」

京太郎「普通の医学書しか並んでないみたいだけど……」

京太郎「……?」

京太郎「なんだ、これ……聖書に、仏教?」

京太郎「医者には関係なさそうだけど……」

京太郎「……奥さんが死んで、魂とかががどうなったのか気になったのかな」

京太郎「その次は……なんだよ、これ」

京太郎「黒魔術……?」

京太郎「白銀の夜明け魔術全書、百合十字魔術書……」

京太郎「和なら見向きもしないようなオカルト本じゃないか……」

京太郎「しかも、どれもある一部のページだけ手垢がついてる」

京太郎「ん?なんだ、本をとったら奥になにか見える」


京太郎「ノートみたいだな」

京太郎「この本棚の列の魔術書を全部とると……取り出せるな」

京太郎「この筆跡は、さっきみた院長の筆跡と同じだな」

京太郎「内容は……」



~月~日

妻の火葬が終わった

放心のまま葬式は終わり、気づいたら私の手には妻の遺骨だけ残っていた


~月~日

妻の欠片を見ながら私は日々を過ごしている


~月~日

私は医者になって、沢山の人間の身体を開き、治してきた
しかし、いくら身体を切り裂いても、魂の姿を見たことはなかった


~月~日

妻の魂はいったいどこにある
この骨の中はないのか


~月~日

もし魂が身体のある一定の場所にないのなら、身体全てに魂が宿っているのではないか


~月~日
身体中にその存在が浸透しているのなら、この骨には妻の魂が宿っている


~月~月日

この遺骨には、まだ妻がいるかもしれない。この骨から妻ともう一度会えるのかもしれない


~月~日

私は魔術書を漁った。そして遺骨から人を蘇らせる事ができる術を知った


~月~日

その術は、遺骨を生きた人間に埋め込み、魔法陣の中に起き儀式をすること
だが生きた人間をどこで調達しよう


~月~日

悩む必要はなかった
6階に住む精神患者を使えばいいだけのこと
どうせ家族にも見捨てられ厄介払いのように強制入院させられた者達ばかりだ


~月~日

儀式は失敗した
どうにも魂と身体が合わないようだ
元の魂が消滅し、身体だけで動く知性のないゾンビのようになってしまう



~月~月

失敗作は頭部を破壊し保存した
私は別の方法を試すことにした
無理やり遺骨と魂を埋め込まれるのではなく、自らが魂ごと摂取すること
もしかしたらそうする事により、この病院で1人くらいは妻と同化できるかもしれない




私は遺骨を埋め込んで生まれたゾンビを、肉として患者に食べさせることにした







京太郎「……!!!」

京太郎「じ、じゃあ……B部屋の人が食べた肉って……調理師の人が受け取った肉ってのは……」

京太郎「その遺骨を埋め込まれた、この病院の患者の……人肉……」

京太郎「俺がポケットに入れてたこの缶詰は……」

京太郎「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」ポイッ



ドンガラガッシャーン



京太郎「はぁ……はぁ……」

京太郎「狂ってる……。この病院は狂って……」

京太郎「……まだ、日誌の続きがあるみたいだな」

京太郎「ここまできたら全部読んでやる。ここで一体なにがあったか、暴いてやる!」




~月~日

調理師がこのゾンビ肉に疑問を持ったようだ。無駄だ
この肉は死体と化して腐ったようで、魂なくても動くように新陳代謝が必要なく赤血球の働きもなく動く細胞としてある種の突然変異を遂げている
人肉を元にしてるが、人肉とは違ったものとなっているのだ


~月~日

患者達にゾンビ肉を食べさせて一ヶ月
誰も妻の魂を取り込む事はできていないが、皆変化が現れている
目はギョロつき、血色が良くなり、猫背になっている
これはどのような意味をもつのだろうか



~月~日

ゾンビに感染してゾンビになるというゲームがあった気がするが、それは嘘だ
ゾンビ肉の味を覚えた人間はゾンビにならない
彼らの行く末は……人の肉の味を占め、それを求める存在






オーガだ






京太郎「!?」

京太郎「『彼らは知性を持たず、人を見るなり食らいついてくる食人鬼、オーガと化した』……」

京太郎「『人を捕食できるような当然変異を遂げ、身体は大きくなり、瞳孔は血走り真っ赤になる』……」

京太郎「『今気づいた。これは人を蘇らせるという、生物の倫理に背いた私への神罰だ』……」

京太郎「『看護師達は外に逃し、この病院を封鎖するよう指示した。彼らは臭いと音で人を襲うが、目が異様に発達しようとした結果、光に焼かれ、視覚で人を襲う事ができないため、塀に覆われ病院が封鎖されている以上村になだれ込む事はない』」

京太郎「『私は罰としてここで事実を書き残そうと思う』」

京太郎「『部屋の外に既にオーガが集まっている。あの人数ならもうすぐ扉を突き破り、私に襲いかかるだろう』……」

京太郎「『もし不運にもこの病院に迷い込み、これを読んだものがいるのなら、気をつけなければいけない』」

京太郎「『屋内なため風は流れていないから臭いに感づかれることはあまりないが、決して大きな音を立ててはいけない』」

京太郎「『その瞬間、奴らその存在に気付きは襲ってくる』……」

京太郎「これで日記は終わってる」

京太郎「なんてこった……。この病院は人肉を食べた奴らの集まりで、その味を覚えたオーガがいるのか……」

京太郎「と、とりあえず大きな音を立てなければいいんだろ……はっ!」




京太郎『俺がポケットに入れてたこの缶詰は……』

京太郎『う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!』ポイッ



ドンガラガッシャーン




.

京太郎「あ……あの時……」



シュゥゥゥ

グルルル



京太郎(……!)

京太郎(う、後ろから獣のような声が……)

京太郎(振り向いてはいけない)

京太郎(そう感じつつも、俺は好奇心から振り向かずにいられなかった)



オーガ「ふしゅるるる……」



京太郎「ひっ……!!!」




そこにいたのは、まるで獲物を狩るために進化したような生物だった

手足が異様なほどに伸び、目は血走り真っ赤になった生物



それが、オーガ



.

京太郎「うわ……!」ムグッ


京太郎(まずい!悲鳴をあげたら音を聞きつけてさらにオーガがやってくる……!)

京太郎(この場をどうにかしないと……奴らは目で追えないから、音と臭いで俺を見つけようとしてるはずだ)

京太郎(こいつに襲われる前にこの部屋から出ないと!)





京太郎(とにかく逃げないと……)

パキッ

京太郎(……しまった()!さっき缶詰を投げたときに散らばった木の破片を踏んで……!)


くわっ!


オーガ「グガァァァ!」


京太郎「まずい、気づかれ……!」




コテン


オーガ「グォォ……」



京太郎「オーガがつまづいて転んだ……」

京太郎「そうか、あいつらは目が見えないから、障害物を避けられないんだ!」

京太郎「今の隙に……!」ダッ








病院の外


京太郎「はぁ……はぁ……」

京太郎「まるで地獄から生還した気分だ……」

豊音「あ、京太郎くん、ここにいたんだね」

京太郎「豊音さん……うわぁぁぁん!!」

豊音「京太郎くん?」

京太郎「怖かったよぉぉぉ!!」ビェー

京太郎(俺は普通の人間に会った安心感から、豊音さんに泣きついた)

豊音「よくわかんないけど……よしよし」ナデナデ

京太郎(ああ……やっぱり豊音さんは天使だ……結婚しよ)

豊音「それでね、お祖父さんに相談したら、京太郎君を私のお婿さんにして、この村の仲間に入れてもいいって」

京太郎「ほ、本当ですか!?」

豊音「でもね、その為には村に伝わる儀式をしてもらわないといけないんだ」

京太郎「儀式?」

豊音「うん。それはねーーーーーー」











豊音「ある、お肉を食べるんだよ」






そう言う豊音さんは、異常なほど発達した身長から俺の顔を覗き込み、その瞳は、血走ったように真っ赤だった






~~~~~~

京太郎「うわぁぁぁ!」 ガバッ

京太郎「はっ!夢か……」

京太郎「そりゃそうだよな……ちゃんと『~~~~~~』で囲ってるから、俺の妄想に決まってる」

優希「おい犬、どうしたんだじぇ?」

まこ「日頃の疲れが溜まったんかのう?」

京太郎「いえ……なんでもありません」

久「よかったわ。私がこき使ったせいで疲れて悪夢を見たのかと思ったわ」

和「部長はもう少し須賀君を労わるべきですよ」

京太郎(……そういえば色んな高校を想像したけど)

京太郎(清澄高校はどうだろう)


~~~~~~


優希「おい京太郎!今帰ったじぇ!」

京太郎「はいはい。おかえりなさい」

優希「亭主が帰ってきたんだから、もっと労わるじぇ」

京太郎「ていうか共働きなんだし、俺の方が亭主だろ……」

優希「うーん、じゃは私はご主人様だじぇ」

京太郎「なんじゃそら」

娘「ママはパパのごしゅじんさまなの?」

優希「げっ……聞いてたのか……」

娘「ごしゅじんさまってなに?」

京太郎「娘にはまだ早いよ。ほら、そろそろ[たぬき]が始まるから居間にいきなさい」

娘「うん!」トテテテ

優希「……」

京太郎「……今度から情操教育の為に気をつけような」

優規「心するじぇ……」


~~~~~~


京太郎「ただいまー」

まこ「おお、お帰り京太郎。今晩御飯の支度をひとるけぇ、先に風呂に入ってくれんかのぅ」

京太郎「うーん。でも俺はお風呂より先に……」さわっ

まこ「きゃっ!」

京太郎「染谷先輩も案外かわいい声出すんですね」

まこ「なに言っとるんじゃ!イタズラしおってからに!それに、もう夫婦なんだから先輩じゃなくて……」

京太郎「ごめんな、まこ」さわっ

まこ「んん……!名前で呼べば何しても許されると……」

~~~~~~


京太郎「すいませーん」

美穂子「あら、今晩は京太郎君」

京太郎「ご無沙汰してます美穂子さん。うちの妻が酔いつぶれてると聞いて迎えに来ました」

美穂子「久ならそこよ」

久「うーん……」ぐでー

京太郎「うわ……だいぶ酔ってますね……」

ゆみ「すまない……止めたんだが、全然聞かずに飲みまくってこの通り……」

京太郎「いえ、いいんです。まったく、酒にそんな強くないのに……」

美穂子「ふふ。旦那さんが仕事に忙しくてあまり構ってくれない。って愚痴りながら飲んでましたよ」

京太郎「なるほど、俺のせいですか……」

久「うーん、京太郎のばかー。でも好きー……」ムニャムニャ

ゆみ「ごちそうさまだな」


~~~~~~

京太郎「ただいまー……うわ、部屋の中真っ暗じゃないか!」パチッ

和「……」

京太郎「の、のどか……?どうしたんだよ、部屋の電気もつけずに」

和「……」クンクン

京太郎「のどか……さん?」

和「他の女の人の匂いがします」

京太郎「そ、そりゃぁ……会社の飲み会だから女性社員も参加して……」

和「……そうですよねすいません」

和「たまに不安になるんです」

和「京太郎君が、私のような生真面目で面倒臭い女に愛想を尽かして、他の女の人のところに行っちゃわないか……」

和「ごめんなさい……ごめんなさい……」

京太郎「和……」


ギュッ


和「あ……」

京太郎「俺は和のことを面倒臭いと思ったことなんてないよ」

京太郎「いつも真面目で一生懸命で、俺のことをこんなに愛してくれて……」

京太郎「俺は、すごく幸せだ」

和「ありがとう……京太郎くん……」

~~~~~~


京太郎(うーん。なんだかんだ、清澄高校が一番な気がしてきたぞ)

京太郎(結局元の鞘が一番俺にあってるのかな)

京太郎(でも、さらにその中から一番を選ぶなら……)



咲「京ちゃん、目が覚めてから遠い目をしてるけど、大丈夫?」



京太郎「咲か。大丈夫だよ。お前に心配されるようなことじゃない」

咲「むー。なにそれ」

京太郎「俺のことより自分の心配しろよ。明日はは個人戦だろ?」

咲「そ、そうだった……!お姉ちゃんと仲直りのチャンスだよね」

咲「うー、不安だよ……」


ぽんっ


京太郎「大丈夫だよ、咲」

京太郎「お前がすごく強いことは俺がよく知ってる」

京太郎「ここで見守ってるから、頑張れ」ナデナデ

咲「うん……。うん!ありがとう、京ちゃん」

京太郎(咲との将来は、想像するまでもないな)

京太郎(きっと俺たちはずっとこんな感じで、夫婦になっても同じように仲良くしていくんだろう)

京太郎(色んな人のことを考えて、色んなことがあった気がするけど)



京太郎(身近な人が、一番良いんだな)



カンッ