桃子(どうも、東横桃子っす……突然の告白ってどう思うっすか?私は……)


桃子「ウチの高校は駅から遠くて嫌になるっすねー」

桃子(バスは混んでるからむぎゅ……押し潰されるし、こんなときも影の薄さが嫌に、むぐっ)

京太郎「あの、よかったら座りますか?」

桃子(?……ご老人も妊婦さんもいないみたいですけど)

桃子「……もももも、もしかして私に言ってるっすか!?」

京太郎「?ああ、女子でこの混雑は大変でしょ?」

桃子「あ、ありがとうっす!」

桃子(この人、清澄の人っすよね!?私が普通に見えるっすか!?)

桃子「……清澄の麻雀部員さんっすよね?」

京太郎「そうですよ、鶴賀の東横桃子さんでしすよね。須賀京太郎です」

桃子(普通に会話できる!?しかも覚えられてるなんて……)

桃子「た、タメ口でいいっすよ!どうしてこっちに?」

京太郎「実は買い出しで……」

桃子(普通に会話……それに男子となんて、もしかして久しぶりどころか初めてじゃないっすか?)







桃子「あはは、面白いっすね……あ、着いたみたいっす」

京太郎「いつの間にか、なんだか時間が経つのが早く感じるな」

桃子「なんっすかそれ、おじいちゃんの台詞っすよ。本当に京太郎は面白いっすね、それじゃあ」

桃子(本当……こんなに楽しい『普通』、時間が経つの早すぎるっすよ。あーあ、メアドとか聞ければよかったっすねー……もう会えないかも、とか、思っちゃ……)

京太郎「桃子!」

桃子「え、京太郎!?ど、どうしたっすかバス降りるのここじゃ」

桃子(も、もしかして同じようにまた、話したいから連絡先とか思ってくれたり)


京太郎「好きだ!一目惚れした!俺と」


京太郎「付き合ってくれ!」


桃子「え」


桃子「……ええええええええっ!?」

桃子「……ッハ!?いつの間にか自分の部屋に」

桃子(そ、そうだ少し考えさせて欲しいっすって言って連絡先だけ、交換して……)

桃子「突然の告白なんてどうしたらいいか分からないっすよー!もー!」

桃子「こういう時、どうすればいいっすか?……そもそも京太郎とは会ったばかりで」

京太郎(美化30パーセント増)『あっはっはっは、おもちおもち』

桃子「そりゃかっこいいし、話してて楽しいし……あれ?断る理由ないっすね?」

桃子「……いやいやいや!そもそも一目惚れって、私のどこが……そうだ!こんな時は友達に相談っす!」



桃子「友達いなかったっす……いや!麻雀部のみんなが私にはいるっす!」

桃子「えーと、ケータイ取りだしポパピプペっと、『私のいいところってどこっすか?』」



桃子「三通しか返ってこなかったっす……」

桃子「妹尾先輩は多分メールに気づいてないっすね……」

睦月『悩みがあるなら相談してほしい』

桃子「違うっすよ津山先輩……そうじゃな、いや、でも悩みではあるっすね」

智美『モモは麻雀が強いなー』

桃子「智美先輩、そうじゃなくてこう外見とか特徴とか……」

加治木『モモは特徴がなくとも、それを逆手にとり武器にする……言うなれば特徴のないことこそが特徴に……』

桃子「それはその通りですけど!うう、どうすれば……余計こんがらがっただけっす、いや、これは悩むだけ無駄ってこと。そもそもそんなこと京太郎にしか分からない、なら私は当たって砕けていくだけっす!いや、砕けたくはないっすね」

桃子「兎に角京太郎にメール、そうだ!デートに誘ってそこで答えを出すっす!ポパピプペっと」

桃子『今度の土曜日、駅前で待ち合わせっす!』

桃子「……よし、送ったっす。あれ?妹尾先輩から返信が」

妹尾『桃子ちゃんはふくよかで可愛いよ』

桃子「……」ふにっ

桃子「ど、土曜日まで後三日!とりあえずダイエットっす!」

桃子「グロスを塗って……アヒル口ってどうやるんっすかね?い、いや別にキスを期待してるわけじゃないっすけどね……一応!一応!あ、いいものが 」

アヒルちゃんプロペラ「」

桃子「……むー?こ、こうひゅかね?」

智美「なんでモモはアヒルとにらめっこしてるんだー?」

桃子「わっひょい!?」


桃子「ね、ネイルって……今時の女子高生ってそんなことまでやるっすか?」

ゆみ「むしろ私は今までやってなかったことに驚きだよ」

佳織「駄目だよーちゃんとしないと」

桃子「うひっ、くすぐったいっすよ!」


睦月「カラコンとマスカラ、とりあえず色々揃えてみたけど……」

桃子「ありがとうございます!」

睦月「こういうのはやり過ぎても……って行っちゃった」


桃子「よし!装備は完璧っす!あとら明日に備えて寝るだけっす」








桃子「ぜ、全然眠れない」ドキドキ

桃子(だ、大丈夫っす目覚ましも三個セットしてあるし安心して寝れる……会うだけ、会うだけでそんな緊張する意味なんて)

桃子(……可愛いって言ってくれるっすかね、みんなと相談して、多分人生で一番のオシャレっす)

桃子(だ、か、ら!寝ないといけないっす!クマだらけの顔で京太郎に会うわけには……)

桃子(もしかしたら、明日から彼氏が……できるかもしれない、本当に今までだったら考えられないこと……)

桃子(あ、あはは……もう外が明るいっす……こうなったらこのまま起きてハイテンションのまま乗りきるしか……よく、考えればその方がいいっす、素面のままあったら恥ずかしくて顔みれな)










桃子「ぐう」

桃子「……んが」

桃子「……」

桃子「……」

桃子「……」

時計『待ち合わせ十分前やな』

桃子「ね」

桃子「寝坊したぁあああああああ!?」

桃子「あ、ど、どうしよう、と、とりえず顔洗って、着替え、着替え、あ、化粧……諦めるしかないっすね……と、にかく早くしなきゃ、京太郎が……」

桃子「はぁ、はぁ……急げばバスに間に合うっすね、ちょっとマナー悪いっすけど、バスの中で髪は整えるしか……」

桃子「痛っ……あ、ああ……ヒール折れたっす……これじゃあ間に合わない……こうなったらもう片方も折るっす!えい!」

桃子「ああ、もう時間が……とりあえずバスに乗って、って、なんでこんなに混んで、むぎゅ……押さないで欲しいっす、服が、今日のために用意した綺麗な服……」





京太郎「……どうしたんだろ、桃子。電話も出ねーし、なんかあったのか?」

京太郎「振られた?……いやいや!探そう、行き違いになってるかもしれないし」

京太郎「……ああ、いたいた。どうしたんだ桃子?」

京太郎(街路樹の下で、隠れるようにうずくまる桃子がそこにいた)

桃子「……今日ほど、消えたいと願った日はないっす」

京太郎「どうしたんだ?具合でも悪いのか?」

桃子「なんで怒らないっすか?遅刻したっすよ、私……遅刻して、髪もぐしゃぐしゃで、化粧もしてないし、部活のみんなで選んだ服もぐちゃぐちゃになって、背伸びして履いたヒールも折れて……」

桃子「こんな、こんなんじゃ、京太郎に会わせる顔なんて、ないっす」

桃子「私が、目立とうとしたのが間違いだったんっす、恋人なんて、誰かに、好かれるなんて、夢みたのが……」

京太郎「えーと、さ、それってつまり、いつもの桃子ってことだろ?」

桃子「……そうっすよ、いつもの、地味で、影の薄い」

京太郎「そんなことねえよ」

桃子(頭、撫でて……)

京太郎「俺は、その、なんだ、いつもの、普段の、バスで隣通し喋った桃子がとっても魅力的で、ぴかぴかして惚れたんだ。地味でもないし、影なんて薄くない、めちゃくちゃかわいい女の子だよ」

桃子(涙を流す私の顔を見て、京太郎はそう言ってくれたっす……そのとき、私が京太郎を気になっていたのは顔でも性格でもなくて……その)

京太郎「あ、また告白しちまったな……これで恥ずかしさおあいこってことでさ」

桃子(その、まっすぐに私を見てくれる眼が……)

桃子「京太郎」

京太郎「元気でたか?それじゃむぐっ!!???」

桃子「……っぷは、あ、アヒル口忘れてたっす」

京太郎「も、桃子今の……」

桃子「モモって呼ぶっすよ、だって」



桃子「恋人っすから」

京太郎「……へーへー、じゃあ買い物にでもいくか、モモ」

桃子「ってうわぁ!?お姫様だっこって……恥ずかしいっすよ……」

京太郎「お返しだ」

桃子「買い物って、どこに……」

京太郎「そうだな、服屋に化粧品……とりあえずは」

京太郎「靴屋だな」

桃子(その日、私は彼氏に買ってもらった靴を履いて帰ったっす)


桃子「と、言うわけでこれが私の告白作戦っす!同じようにすればきっとその好きな人と恋人になれるっすよ!」

咲「あーうん、もういいや、っていうか目的がなくなったというか、試合になってなかったっていうか……うぅ」

桃子「どうしたっすか?加治木先輩から恋愛相談されたときはビックリしたっすけど、大丈夫っす!他にも色々話すことはあるっすよ!」

咲「うう、部長に相談したら恋愛経験ある人紹介してくれるって言ったけどこれじゃああんまりだよ……」

桃子「代わりにと言ってはあれっすけど、ちょっと京太郎のことで聞きたいことがあって……宮永さんは幼馴染みっすから色々……」

咲「うわぁあああああん!」


カンッ!