目の前でニコニコと微笑みながら楽しそうに絵を描く、身内目から見てもかなり可愛い女の子に目をやる。
数年前父親がいきなり引越しをすると言い出して、それに対し何事かと問えば再婚をするという、
衝撃の答えが返ってきた。
俺を出産してすぐ母が亡くなってしまってから男一つで俺を育ててくれた恩もあるしここは幸せになってほしい。
そういった思いもあってあまり反論せずにそれを受け入れた。
そして到着したのがここ岩手で冬は長野より大分寒く慣れるのに時間がかかった記憶がある。

「デキタ!」

そう言ってこちらに描いた絵を見せてくる姉。
スケッチブックには俺が描かれており、何やら金髪の女の子(恐らく姉だろう)にキスをしている。
舌も絡めていてとても熱烈なキスだ、見ているこっちが赤面しそうになる――

「って、何描いてんだこのアホ!」

昼間から破廉恥なモノを描く姉におしおきをするべく中指丸め軽く親指に引っ掛けてデコピンの形にする。
それを見た姉は慌てて謝ろうとするがもう遅い。

「アウッ、イタイ・・・」

ペシッと軽い音が俺と姉以外居ない部屋に響く。
若干涙目になり額を押さえて悶えている姿を見ると姉と分かりながらも、
とても可愛いと思ってしまい何故だか保護したくなるような、小動物のような魅力を感じる。
最初会った時はとても警戒するような、ビクビクとした素振りを見せていたがとある一件の後急速に仲良くなった。
仲良くなるまではわからなかったことだが物静かに見えて姉は案外人懐っこく、そしてヤンチャな性格をしている。

「まったく、いいもの描いてくれるって言うから何かと思えばエロ本もビックリなモノ描きやがって・・・」

「タッタ?」

可愛く首を傾げて聞いてくる。
一体どこから偏った知識を吸収してくるのだろうか。

「アホか」

とりあえず姉の問いに適当に返しつつどうしたものかと考える。
学校がせっかくの休みなのにこのまま何をするでもなくダラダラとしていてもいいのか。
かといって勉強なんてする性格でもない。
結局、いつも通り姉とまったり過ごすのも悪くないかと思い、いつの間にか隣に来ていた姉に再び目をやる。

「ソウダ!」

何かを思いついたような顔をしていきなり姉が立ち上がったかと思うと、胡坐の上に座ってくる。
その際に鼻を芳香が突き姉相手によからぬ気分になるが抑える。
俺の上にのっかかって、更には俺の腕を腹部に回してとても満足そうな顔でもたれかかってくる。
スカートを挟まず直に座ってきた為中の少しむっちりとした尻肉の感覚とそれを包んでいるであろう、
パンツの感触がズボン越しとは言っても伝わってきてしまう。

思春期の中学生でもあるまい、そう思いなんとか劣情を引っ込めようとするが姉とはいえ女。
腕に伝わるふんわりとした胸の感触といい、自分の股間辺りに伝わる柔らかい肉の感触といい、
今まで一度も女性とそういう関係になったことが無い為刺激が強い。

「ちょ、ちょっとエイ姉、一体何を・・・」

「ジュウデン!トモダチシテタ」

姉が軽く絵を描き、それを俺に見せてくる。
そこには小さな女の子が少しダルそうな顔をした女の人にのっかかってる絵が描かれてあった。
両方、見覚えがある。確か姉の友達で部活仲間のシロさんと胡桃さんだったか。
胡桃さんと初めて会った時、いきなり指を指されて「不良発見!」と言われたのは印象に残ってる。
姉弟だと伝えるとやけにすぐ納得されたが同じ金髪だからだろうか。
義理の姉弟には見られていなかったところをやっぱりそれが理由と考えるのがいいか。
この現状、どうしたものかと必死に誘惑から耐えながら考えていると姉が不審な動きをし出す。
何か若干モゾモゾとしているような、まるで何か確認をしているような仕草だ。
何をしているのかと聞いても首を振るだけで答えない。
顔を赤くして、なんだか悶えているようだが大丈夫だろうか。

「エイ姉、大丈夫か?」

「エヘヘ、キョウタローセイブンホジュウ」

答えになっていない答えを返しながらこちらに頭をすり寄せてくる。
その姿が堪らなく愛おしくなりついつい艶のあるサラリとした髪を撫でてしまう。
そうすると、蕩けたようにふにゃりと顔を綻ばせて幸せそうに身を震わせる。
愛玩動物を連想させられると同時に何故か胸の鼓動が早くなる。
義理とは言っても姉だ、そんな姉に劣情を抱くだなんてもっての他だ。
しかしそれと同時に義理だから仕方がないという腑抜けた考えも浮かんでくる。
本当の身内ならこんなに煩悶することもなかっただろう、そう考えるとなんだか遣る瀬無い気持ちになる。
ふと気づくと姉が俺の片手に上から手を被せて来てるのが分かる。
手の感触を確かめるように、撫でてきている為少しくすぐったい。
一頻り撫でると満足したのだろうか、今度は俺の手を動かそうとしてくる。
一体何をするつもりだろうと黙って見守っていると――

「!?」

姉は自身の胸を触らせるように手を被せて誘導する。
ふわり、と姉の胸に手が埋もれ沈んでいく。
想定外のことに身を一瞬固めてしまうが、なんとか気を持ち直し慌てて手を退かせようとする。
しかし姉の力は思いのほか強く、逆に姉の力に負けて更に胸へと手を埋めてしまう。
その衝動でつい手に力を入れて胸を揉んでしまい、姉が艶めかしい声を上げる。
体が火照り、下半身の愚息がゆっくり起き上がってくる。
これは大変よろしくない。

「アッ・・・」

姉が何かを察したのか小さく声を上げると赤くなっていた頬が更に赤みを増す。
耳まで真っ赤になっていて今の姉の顔はまるで茹蛸みたいだ。

「エイ姉、もうやめよう。ここら辺で止めとかないと取り返しのつかないことになる」

心を鬼にして姉を自らの上から退かす。
とりあえず隣に座らせると、今度は赤かった顔が青くなっていくのがわかる。
厳しくしないと、そう思う反面心配になる自分がいる。

「オネエチャンノコト、キライ・・・?」

しまいには綺麗な青い瞳を少し赤く充血させて目尻に涙を溜めてそんなことを聞いてくる。
心がズキっと痛くなり罪悪感を覚えてしまうが将来のこととか両親のことを考えると、
そういった男女の関係になるのはやはりよくないと思う。
血は繋がってない、繋がってないが名義上姉弟だ。付き合いも数年になる。
自分が女としてではなく姉として意識していただけあってそちらが気になってしまう。

「嫌いじゃない。どっちかと言うと好きだ。でもそれとこれとは話が違う」

覚悟を決めて続きの言葉を吐く。

「行き過ぎたことはよくない。お互いの為に、さっきのことは忘れていつも通りの俺達に戻ろうぜ」

涙を浮かべて小さく喘ぐ姉の頭を撫でつつそう言う。
こんな建前を並べたって姉相手に興奮してしまったのは事実だ。俺も責めるようなことは言えない。
姉は俺の目から見ても可愛いし彼女になってくれたら幸せだろうなとは思う。
だからこそ、俺なんかと一緒ではなく見合った男の人と幸せになってほしい。これは一種の意地でもある。

「グスッ、ワカッタ・・・」

わかったと言ってはいるが顔は納得していないのが見て取れる。