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優希「ふっふっふー、今日も学校に一番乗りだじぇ!」

優希「からっぽの下駄箱に最初に靴を入れる快感……未踏の新雪に足あとを残すのに近いものがあるな!」

優希「んあ、あっちの下駄箱に何か入ってるじぇ」

優希「これは、便箋? まさかラブレターか? まったく、今どき乙女チックな子もいるもんだじぇ」

優希「さて、そんなラブレターをもらったハッピーボーイの名前は……須賀……」

優希「……京太郎ぅ!?」

優希「た、大変なことを知ってしまったみたいだじぇ……」

優希「まさか京太郎にラブレターを送る子がいるなんてびっくりだじょ」

優希「いやでも、ああ見えて京太郎はタッパあるしタコス作れるし……ぐぬぬ」

優希「って、なんで私が京太郎にラブレターが来たからといってぐぬらねばいけないんだじぇ!」

優希「と、とにかく! これは麻雀部の一大事だじぇ!」

優希「すぐにでも開封して内容の確認と差出人のチェック――」

優希「――はさすがに京太郎宛と言えどもできないじょ……」

優希「とりあえず部活のときにのどちゃんや咲ちゃんに報告するじぇ!」


放課後・麻雀部部室

優希「む、のどちゃんや咲ちゃんどころか、部長や染谷先輩もまだ来てないのか」

優希「京太郎も来てないのは好都合だじぇ」

和「一人で何をブツブツ言ってるんですか、ゆーき」

優希「おお、のどちゃん! よく来たな!」

和「部室なんですから当然です。それと、部長と染谷先輩は用事があって随分遅れてくるそうです」

優希「ということは、今日はしばらく一年生だけになるな!」

和「そういうことになりますね。宮永さんと須賀君が来たら四人で対局しましょう」

優希「そう、問題はその京太郎だじぇ!」

和「……? 須賀君がどうかしたんですか?」

優希「実はなのどちゃん、今日の朝、京太郎の下駄箱にラブレターが入っていたんだじぇ!」

和「はぁ。そうですか」

優希「むぅー、のどちゃんは反応が薄いじぇ!」

和「だって、ラブレターということは須賀君のことが好きな人がいるということでしょう?」

和「異性を好きになるという感覚はよくわかりませんが、祝福すべきことだと思いますよ?」

優希「で、でも、それで京太郎がその子と付き合い始めて麻雀部をほっぽり出すようになったら雑用がいなくなって困るじぇ!」

和「その雑用の半分ぐらいはゆーきがやらせてるものじゃないですか。それをやめればその点については困りません」

優希「ぐぬぬ……」

和「それに、須賀君が誰かと付き合い始めたからと言って麻雀部に来なくなると決まったわけではありません」

和「まあ、私が見る限りでは須賀君が来なくなることはないと思いますよ。実を結んでるかどうかはともかく、向上心は本物ですから」

和「それとも、ゆーきには須賀君が麻雀部に来なくなると言い切れるほどやる気がないように見えていますか?」

優希「そういうわけではないじぇ……でも……」

和「なら、須賀君が誰かとお付き合いしても問題ないでしょう」


ガチャッ

咲「――きょ、京ちゃんが誰かと付き合うってどういうこと!?」

和「あ、宮永さん。須賀君と一緒ではないのですか?」

咲「京ちゃんは掃除当番だから、それが終わったら来ると思うけど……それより、なんで京ちゃんが!?」

和「落ち着いてください。須賀君がラブレターをもらったというだけです」

優希「そ、そうなんだじぇ!」

咲「うう、そんな……だって京ちゃんだよ? そりゃ寝坊したときに迎えに来てくれたり高いところの本とか取ってくれるけど……」

優希「ちょっと待つじぇ咲ちゃん。その発言は見過ごせないじぇ」

咲「あ、いや、違うよ? そういうこともあるけどそれはたまになんだよ?」

優希「たまにでもズルいじぇ! 私なんかパンチラしても無反応だったというのに!」

咲「優希ちゃんそんなことしたの!?」

和「あの、本題は須賀君がラブレターをもらったという話ですよね。いささか離れすぎじゃないでしょうか」

優希「そ、そうだったじぇ。とにかく、これは看過できない問題だじぇ!」

咲「そうだよね!」

優希「よかった、咲ちゃんならことの重大さをわかってくれるって信じてたじぇ!」

咲「もちろん! 京ちゃんに彼女なんて、その、とにかく駄目なの!」

和「はぁ。二人はそんなに須賀君のことが好きなんですか?」

咲「な、何言ってるの原村さん!?」

優希「そうだじぇ! 私が犬なんかにそんな、ありえないじぇ!」

和「だって、須賀君にラブレターが来て焦る理由なんてそれぐらいじゃないですか」

和「それに、今の会話を聞いてたら誰でもそうとわかります」

優希「のどちゃんが容赦ないじぇ……」

咲「うう……」

和(正直言って今更ですが、二人には黙っておきましょう。どうやら本気でバレてないと思っていたようですし)

咲「優希ちゃんもそのラブレターの人も、なんで京ちゃんを……? あんな鈍感で朴念仁なのに……」

優希「それはこっちの台詞だじぇ……。あんな無神経でお馬鹿なのに……」

和「さらっとひどい事言ってますよね、二人とも」

咲「だって京ちゃん、バレンタインにハート型のチョコ送ったのに『桃の形のチョコなんて珍しいな』とか言うんだよ!?」

優希「タコスの礼にたまには私が手料理を振る舞ってやろうというのに」

優希「『いや、全品タコスになりそうだから遠慮するわ。なんか怖いし』とかありえないじぇ!」

和「……二人も二人なら須賀君も須賀君、ということですか」

優希「それにしても咲ちゃんはズルいじぇ……。バレンタインなんて、何歩も先を行かれてる気がするじぇ」

咲「優希ちゃんこそ、いつも京ちゃんの手作りタコスなんて……羨ましいなぁ」

優希「クラスメイトに夫婦なんて呼ばれてる咲ちゃんには負けるじぇ」

咲「あ、あれはさすがにちょっと恥ずかしいよ……」

優希「でもどうせ満更じゃないんだじぇ!」

咲「それはその……そうなんだけど……優希ちゃんだって――」


ガチャッ


京太郎「すいません、遅くなりました……ってあれ、部長達はまだなのか」

優希「京太郎!?」

咲「京ちゃん!?」

和「部長達は用事で遅くなるそうです。今日は私達四人で打ちましょう」

京太郎「あー、そうなのか。この四人で打つのも久しぶりだな!」

優希「そんなことより! きょ、京太郎はどうするつもりなんだじぇ?」

咲「ど、どうなの、京ちゃん。その、付き合っちゃうの?」

京太郎「付き合う? 何のことだよ」

優希「とぼけても無駄だじぇ! 今朝京太郎の下駄箱の中にラブレターが入ってたのを見たんだじぇ!」

咲「え、それって――」

京太郎「下駄箱の中って……今日は咲からの手紙しかなかったぞ?」

優希「さ、咲ちゃん? まさか、ラブレターの差し出し人は咲ちゃんだったのか!?」

和「それはないでしょう。だったら宮永さんがあんな反応するはずがありません。……どういうことなんですか、宮永さん」

咲「そ、その、昨日京ちゃんにお願いがあったから、手紙を書いて下駄箱に入れておいたんだ」

咲「ほら、私携帯持ってないから連絡できなくて……」

京太郎「ああ、あれ昨日から入ってたのか。悪い、昨日はバイトに遅れそうで急いでたから気づかずに帰っちまったんだ」

和「それをゆーきがラブレターと勘違いした、と。ゆーき、あなたって人は……」

優希「しょ、しょーがないじょ! 下駄箱に入ってたらラブレターだと思うに決まってるじぇ!」

咲「よかった……京ちゃんにラブレターを送った子はいなかったんだよね」

優希「むむ、咲ちゃんが話された時点で自分のだと気づいていればこんなことには……!」

咲「だ、だって京ちゃんが渡されたとしか言われなかったし!」

優希「でも心当たりぐらいはあったはずだじぇ!」

咲「そんなこと――」


和「もう、二人とも……」

京太郎「その、話の流れがよくわからないんだが、解決したんだよな?」

和「はい、当初の問題は。でも須賀君、覚悟した方がいいですよ?」

京太郎「え?」

和「……」チラッ

優希「ぐぬぬ、こうなったら麻雀で決着をつけるじぇ! 一位になった方が犬を好きにできるってことで!」

咲「ま、負けないから! 京ちゃんのために……全部、倒す!」ゴッ

和「今日の二人は、きっと普段より強いですから」



カン!