清澄高校の麻雀部。
いつもは個性溢れる部員達のお蔭で騒がしい部活だが今日は二人しかいなかった。

「ねー京ちゃん」
「ん?」

 一人は本を読みながら、もう一人の部屋の掃除をしている少年へと話しかける。

「和ちゃん達遅いね、どうしたんだろう。」
「さぁーな」

 時折部屋に落ちている埃などを箒を使いちりとりの中へとぶち込んでいく。
すっかり雑用で掃除するという項目が脳内にしみついてしまった京太郎は部室に一つのゴミも残さずに取り除いていく。
目立つゴミが見えなくなってきたら、他にゴミはないか部屋をぐるりともう一周し始める。

「なんか用事あるにしても遅すぎるんだよなぁ……何があったんだが」
「……今は邪魔されることはないってことだよね……うん……」
「ん?なんか言ったか咲?」
「んーん。なんでもないよ」
「……そっか」

 何か言われたような気がした京太郎だが、特に気にせずに作業を続ける。
そんなことよりも部室の皆が快適にすごせるような環境で麻雀をうてるようにしなければならない。
時折部室に置かれている物の位置をずらしながらももう一度確認する。
しばらく無言のまま時間が過ぎるが、京太郎は特に嫌な感じはしなかった。

「うし。こんなもんかな」

 ゴミが残っていないことを確認することのできた京太郎は丸めていた背中をおもいきり逸らす。
この一仕事終えた後の感覚がなぜかいいのだ。これで今日も部員たちは快適に過ごせるな、と。
人のためになると思うと雑用を押し付けられているとはいえ、京太郎は嫌な気持ちにはならなかった。
 ふと、本をたたむ音が聞こえる。

「……京ちゃん」
「んー?」

 すると咲が立ち上がり、作業を終えた京太郎の元へと近づいてくる。

「今、二人きりだね」
「?」
「二人きり、だね」
「お、おお」

 なぜか二人きりを強調して近づいてくる。
なぜか、二回も同じことを言われた。
謎の威圧感とともに発せられている言葉に思わず動揺してしまった。

「今ならだれにも邪魔されないし、ね」
「へ?」
「京ちゃん」

 それは不意打ちだった。

「……」
「……!?」

 突然のキス。
口内に突然入る咲の舌に驚愕する。京太郎はいきなりされたことに困惑する。
え?え?何されてるの俺?唇に暖かく、やわらかい感触……。

 え?

 キスされてんの俺?

 念入りに染みこまされている感覚。
嫌ではなかった、寧ろ気持ちよかった。ほんの数分だろうか。
しかし、それでもずっとながく感じられた程キスされていた。しかも、深いほうを。

「……ぷは」

 咲は京太郎に近づけていた顔を離す。
その顏は赤く少しのエロさを、いかん。いかんぞ。

「さ、咲?い、今のは……」
「……ちょっとトイレ行ってくるね」
「え、ちょ」

 すると京太郎の言葉を聞く前に早々と部室から出て行ってしまった。

「……????」

 疑問符が残りに残る出来事。
しかし、今の出来事が嘘のように部室には一人寂しさが残る。
でも事実唇にはいまだに熱が残っているし、口内にもあの感触が……。

「……掃除するか。うん。そうしよう」

 先程の出来事がなかったことのように仏舞うことで京太郎は落ち着けることにした。
うん。それがいいだろう。

カン