http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1342702933/



―部室―

咲「プール…?」

京太郎「ああ。県大会も無事終わっただろ?それで息抜きも兼ねてプールにでも行かないかって思って」

優希「ほう、面白そうな話だじぇ。詳しく聞かせろー!」ドーン

京太郎「痛てて…乗っかるなっての優希…」

和「プール…ですか。そういえば最近暑くなってきましたしね。でも海じゃだめなんですか?」

京太郎「いや、最近隣町で大型プールがオープンしたろ?せっかくだからそこに行ってみようと思うんだ」

咲「あーそういえばそうだったね。でもあのプールオープンしたてなのにトラブルが続いてるって聞いたんだけど…」

和「ニュースでやってましたよね。流れるプールの流れが止まったとか、スライダーの水が止まったとか…」

優希「ふーむ…流れないプールっていったい何の意味があるんだじぇ…普通のプールだじぇ」

咲「スライダーが途中で止まるなんて、危なすぎるしね…」

京太郎「まあ、あれからしばらく経ってるし、さすがにもう大丈夫じゃないか?」

京太郎「それにせっかくだから新しいプールってのに行ってみたいんだよ」


ガチャ

久「あら、面白そうな話してるわね」

咲「あ、部長。こんにちは」

和「会議のほうはもういいんですか?」

久「ええ。ちょうどさっき終わったところよ。会議室にクーラーがないから、ホントに暑くてたまらないわ…」

咲「染谷先輩は今日はどうしたんですか?」

久「まこは今日は家の手伝いで来れないらしいわ」

久「で、なんか面白そうな話してなかった?プールに行くとかなんとか」

京太郎「あ、部長達もあとから誘おうと思ってたんですよ」

京太郎「今週の日曜日に、最近オープンしたプールに行こう、っていう計画で」

京太郎「麻雀部の県大会終了慰安企画、って感じです」

久「なるほど、面白そうね…さっきも言ったけど、最近すごく暑いし魅力的な提案だわ」

久「それに慰安計画をわざわざ須賀君が立ててくれたんだから、部長の私がのらないわけないわよ」ニコッ

京太郎「部長…」ジーン

久「当然、須賀君が全部お金出してくれるのよね?」

京太郎「え?」

久「交通費とか、プールの入場料とか、昼食代とか…あとうきわとかのレンタル代とかも」

京太郎「え…?ちょ、ちょっと」

久「ホント先輩思いの後輩をもって私は幸せだわ」ニコッ

京太郎「あの…部長?」

久「なあに?須賀君」ニコッ

京太郎「あ、あの…」

久「ん?」ニコッ

京太郎「う…わ、分かりましたよぉ…」

久「須賀君」ヒソヒソ

京太郎「なんですか、部長」ズーン

久「そんなに落ち込まないの。それに…皆の水着をタダで見放題だと思えば安いものでしょ?」ヒソヒソ

京太郎「それはそうですけど…」

久「それに…何かあったとき、須賀君がお金を払ってるから」

久「ってことで不満を反らして皆が須賀君に当たらないようにする、っていう意味合いも込めてるわ」ヒソヒソ

京太郎「あ、なるほど…意外と考えてくれてるんですね、部長」

久「あら、私はいつもみんなのためになるように行動してるつもりよ。それは須賀君相手でも例外じゃないわ」

久「それに…払ってもらう分はちゃんと価値を提供するから安心して?」ニコッ

京太郎「は、はい。ありがとうございます(どういう意味だろ…)」

久「(ふふ…主に和や咲や優希たちがね)」ニヤニヤ


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


久「じゃあ、今日の部活はここまでにしましょうか」

優希「はあー今日も疲れたじぇ~相変わらず咲ちゃんはなぜかカン材持っててリンシャンであがるし!」

咲「あはは…」

優希「のどちゃんはおっぱいでイカサマしてるし!」

和「してません!//」


京太郎「お疲れーじゃあ帰ろうぜ、咲ー」

久「須賀君、ちょっと女子だけで話すことがあるから、今日は先に帰ってくれる?」

京太郎「あ、そうなんですか、分かりました」

咲「(あれ…そんな予定あったっけ…?)」

京太郎「じゃあ、お疲れさまでした」


バタン

久「…」

久「さて、須賀君帰ったわね」

和「部長?急にお話ってなんですか?」

優希「もう今日は麻雀の話はしたくないじょ~…」

久「そうね、私も急に思いついたから仕方ないわ」

久「今週の日曜日にプールに行くでしょ?だからその前日に皆で水着を買いに行かない?」

久「私ちょうど新しい水着がほしいと思ってたところなのよ」

久「それで皆もどうかなって思ってね」

咲「水着…ですか」

和「なるほど…そういうわけですか」

優希「私も新しいのほしいーじぇー」

久「どうする?せっかくだから可愛い水着着たくない?」

久「それに…皆須賀君に可愛いところ見せたくないの?」ニヤニヤ

咲、和、優希「「「?!」」」

咲「わ、私は別に…」アセアセ

和「そ、そうですよ!須賀君は関係ありません!」

優希「い、犬ごときに見せる水着なんてないじぇ!」

咲「(京ちゃんに…水着…可愛いの来て行ったら褒めてくれるかな?)」モワモワ…


久「じゃあ、来週の土曜日の午後二時に長野駅に集合ね。じゃあ今日は解散!」

久「(一年生は皆初々しいわねえ…ま、一応私もまだ18なんだっけ…)」

久「(華の女子高校生が水着を見せる相手もいないなんて寂しいわねえ…)」

久「(まあ、別にいいわよね。そういえばまこも誘わないとね)」

久「(………)」

久「(あのワカメみたいな髪の毛は水につけても大丈夫なのかしら?)」



―土曜日 長野駅―

和「ふう、今日はとても暑いですね」

久「ホント、最近の夏の暑さは異常なくらいだわ。でも明日はこれぐらいだといいわね」

優希「その点なら大丈夫だじぇ。天気予報では明日も晴れるって言ってたじぇ!」

優希「わたしのおっぱい眼に間違いはないじぇ!」

和「だから何言ってるんですか優希は!!//」

優希「冗談だじぇ~あんまり怒ってるとしわが増えるぞ、のどちゃん」キリッ

和「怒らせてるのは誰なんですかもう…」

和「だいたい胸で天気だなんてそんなオカルトありえません」ボソボソ

久「あんたたちのやりとりは相変わらずね~」

優希「おうよ!のどちゃんは私の中学時代からの友人だからなんでも知ってるじぇ!」

和「なんでもは言いすぎですが、確かに長い時間を過ごしてきた友人ではありますね」

優希「のどちゃん素直じゃないじぇ~素直じゃないのはこのおっぱいか、このっ!」ポヨン

和「ちょっ…こら!優希!いい加減にしなさい!」

優希「うわ~ん。のどちゃんがいじめるじぇ~」

久「ほーんと、仲いいわね~」

久「それにしても咲はどうしたのかしら、遅いわね。ってもしかして遠くから走って来てるのは咲かしら?」


タッタッタッ

咲「す、すいません遅刻しちゃって…」ハアハア

咲「(どんな水着にしようか考えてて眠れなくなって寝坊しちゃったなんて言えないよー)」

久「じゃあ、全員そろったから行きましょうか」

咲「あれ…?染谷先輩はいないんですか?」

久「ああ、まこなら水着はあるからいいって。明日はちゃんと来るから、清澄麻雀部は全員参加よ」

咲「なるほど、分かりました」

久「まあ、まこらしいと言えばまこらしいわ。」

久「じゃ、行きましょうか」



―デパート―

久「この店は割と品揃えがいいわね、ここで買いましょうか。じゃあ、各自自由に選びましょう」

咲、和、優希「了解です(だじぇ)」
     ・
     ・
     ・
     ・
久「さて、今年はどんな水着にしようかしら」

久「(ふむ…やっぱり男の子がいるわけだから、多少は可愛いやつにするべきよね…)」

久「(…別に私は皆と違って可愛いところを見てもらおうとか思ってないわ)」

久「(お金を払わせるわけだし…あ、当たり前よね)」

久「(…誰に言い訳してるのかしら私)」

店員「水着をお探しですか?」

久「あ…はい。明日プールに行くことになったので、買っておこうと思いまして」

店員「なるほど~お客様可愛いし、スタイルもいいから、これなんてどうですか」

久「えっと…少し大胆すぎじゃないですか…その…特に下とか…」

店員「じゃあ、下にパレオを巻いてみてはいかがですか?この水着でしたら…これがぴったりですね」

久「あ、これいいですね。色は…これにしようかしら」

店員「パレオの中身は彼氏さんだけに見せてあげてくださいね」ニコッ

久「ち、違います、別に彼氏と行くわけじゃ…」

店員「そうですかー友達と行くんでしたらバレオはいりませんよね、もったいないですもんね」ニヤニヤ

久「!じゅ、純粋にこのパレオが気に入ったんで…」

店員「なるほど~どうもお買い上げありがとうございます」

久「じゃあ、お会計をお願いします(いったいなんなのよ…この店員は…)」


久「とにかく、私の分は買えたわね…皆はもう買ったかしら」
     ・
     ・
     ・
     ・
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     ・
     ・
     ・
咲「こ、ここどこ~?水着探してたら迷っちゃたよお~…」ウロウロ
     ・
     ・
     ・
     ・
優希「むむむ…なんか考えるのめんどくさくなってきたじぇ~」

優希「よく考えたら家に水着がないわけじゃないし…」

優希「よし!明日はいつも通り学校の水着でいくじぇ!余ったお金でタコス買って帰れば完璧だじぇ!」
     ・
     ・
     ・
     ・
和「(なんとかサイズを探してもらって買うことができましたね…)」

和「(…あそこでウロウロしてるのは、宮永さん?!)」

和「宮永さん、そんなところで何やってるんですか?」

咲「あ…原村さん…!実は水着探しててウロウロしてたら迷子になちゃって…」

咲「原村さんが来てくれて助かったよお…」

和「(こんなところで迷うなんて…麻雀だけじゃなくて方向感覚もオカルトですね…明日は大丈夫なんでしょうか)」

和「もう…気をつけてくださいね。ところで水着はもう買いましたか…って迷子になってたんでしたね」

咲「う、うん。もう皆は買ったよね?早く選ばないと、皆待たせちゃうよね…」

和「じゃあ私が一緒にいますから、咲さんは水着を選ぶのに集中してください」

咲「ありがとう、原村さん!私、頑張るよ!」

和「大げさですよ…とにかく、急ぎましょう」
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
久「よし、皆買えたみたいね。じゃあ明日も早いことだし、今日は帰ってゆっくり休みましょうか」

和「そういえば、明日は何時に集合なんでしょうか」

久「あ、忘れてたわ。明日は長野駅に午前九時に集合。電車で隣町に行ってそこから歩いてプールに行く」

久「持ち物は…今日買った水着と、あとはまあ常識の範囲内で持ってきてね」

久「うきわとかレンタルするやつは須賀君が全部出してくれるから問題ないわ」

久「以上よ。何か質問はあるかしら?」


久「…特にないわね。あ、それと優希」

優希「なんだじぇ?」

久「優希は学校指定の水着で明日行くつもりなんでしょ?水着をつけて来るのはいいけど、下着を忘れないようにしてね」

優希「!いくらわたしでもそんなの忘れたりしないじぇ!!」

和「部長、忠告ありがとうございます」

優希「のどちゃんひどいじぇ?!」

咲「優希ちゃんならありえるかもね」アハハ

優希「咲ちゃんまで…皆ひどいじぇ~…」

久「ま、こんなところね。じゃあ、解散!明日は遅刻しないでね、咲!」

咲「は、はい!分かりました(うう…私も人のこと言えないな…)」



―竹井家―

久「さて、明日のために一回この水着を着ておきましょうか」

久「あの店員のせいで、試着できなかったし…」

久「……」

久「なにこの露出量…よ、よかったわ、パレオ買っておいて…」

久「まあ、サイズは問題ないわね、それじゃあさっさと寝ましょうか」

久「明日が楽しみね」



―日曜日―

京太郎「みんなおはよう!部長、染谷先輩おはようございます」

まこ「おう、おはよう京太郎」

久「おはよう須賀君。お、今日は皆時間以内に集合してるわね。やっぱり遅刻しないのが一番ね。ねえ咲」ニヤニヤ

咲「そ、そうですよ。遅刻なんて…うう…」

和「(うろたえる宮永さん…可愛いですね…)」

優希「それにしてもホントにいい天気になってよかったじぇ!これも私のおっぱ…むぐっ?!」

和「その先はもう言わせませんよ!」

優希「んーんんんんー!んー!!」

久「ふふ。今日は和が先制したわね」

まこ「わりゃ駅前でそんなに目立つ行動はやめんさい…」



―プール―

優希「ふえ~大きい建物だじぇ~」

和「噂に聞いてたよりずっと大きいですね……さすがに噂になるだけはあります」

京太郎「だろ?あ~泳ぐの楽しみになってきた!」

久「そうね。じゃあさっさと中に入りましょうか」

京太郎「おい、咲、ちゃんとついてこいよ!」ニヤニヤ

咲「!わ、分かってるよ」ムッ

まこ「みんなまだまだ子供じゃの~」


久「じゃあ、須賀君一旦お別れね。レンタルはうきわ一つとそうね…ベッド型のうきわを一つで合計二つでいいわ」

京太郎「分かりました。じゃあ入場料とかまとめて払っておくので、先輩たちは先に行っててください」

和「須賀君、ありがとうございます」

優希「サンキューだじぇ!後でタコス食わせてやるからな!」

京太郎「優希には期待しないでおくわ…」ハハハ

咲「京ちゃん、ありがとう」

京太郎「気にすんなよ!今日は皆のための慰安企画だからな!」

まこ「われ気前いいのお。なんか企んでおらんじゃろな?」ニヤニヤ

京太郎「なっ…善意ですよ善意!染谷先輩人が悪いですよ!」

まこ「そうか~すまんすまん」

京太郎「(みんなの水着が見れるから、承諾した、とは言えないな…)」


京太郎「ふう…うきわ二つはちょっと持ちにくいな…一つはベッド型だし…」

京太郎「みんなそろそろ来るか…?」

久「須賀君!おまたせ」

まこ「またせたのう」

優希「よく待ってたな褒めてやるじぇ!」

和「お待たせしました」

咲「うう…(恥ずかしくて京ちゃんの前に出れないよ…)」

久「(咲ったら…須賀君に水着見られるのが恥ずかしいのね…可愛らしいわ)」ニヤニヤ


京太郎「あれ?咲。なんで和の後ろに隠れてるんだ?」

咲「!」ビクッ

京太郎「全く…何かあったのか?」グイッ

咲「あ…」

京太郎「(って咲、これは…手で必死に隠してるけど…新しい水着、とか?)」

咲「きょ、京ちゃん、お願い、あんまり、見ないで、」カーッ

咲「は、恥ずかしいの…」ウルウル

京太郎「(なんだこれ…なんだこれ…)」

京太郎「(ちょーかわいーよ!)」

京太郎「(じゃなくて!誰だ今のは)」

京太郎「(でも…本当に可愛いな…花のフリルのついた水着……咲によく似合ってる…)」

優希「こらー犬!いつまで咲ちゃんを見てるんだじぇ!咲ちゃん涙目になってるじぇ!」

京太郎「はっ!す、すまん咲!そんなつもりじゃ…」

久「あれー?咲の水着ばっかり?ここには可愛い女の子があと四人もいるのよ?」ニヤニヤ

京太郎「(言われてみれば…みんな今日可愛い水着ばっかり着てるような…もしかして部長が言ってた価値ってこれのことか?)」

京太郎「(すばらっ…実にすばらです…ってなんだすばらって)」

京太郎「(部長…なんて大胆な水着なんだ…下はパレオ巻いてるから見えないけどきっときわどいんだろうな…)」

京太郎「(和…まさかあんな大胆なビキニでくるとは…正直言って直視するのもつらいレベルだぜ…)」

京太郎「(優希…スクール水着でくるとは王道中の王道か…寸胴で背も低くて全くもって健全だ…だがそれがいい)」

京太郎「(そして染谷先輩…目をそらさずにはいられないな!)」

京太郎「(これはみんなと来た甲斐があったぜ…!)」


久「ふふ。満足してもらえたかしら?じゃあそろそろ行きましょうか」ニコッ

和「(少し恥ずかしいですが…)せっかく来たんですし、早く泳ぎましょう!」

優希「京太郎ー!うきわを一つ貸してくれい!」

京太郎「ほいほい、そらっ」ヒュッ

まこ「京太郎、女の水着をじっと見てるなんて感心せんのう」ニヤニヤ

京太郎「す、すいません(………)」

優希「まずは流れるプールにGO!だじぇ!」

久「あ、ちょっと待って」

京太郎「どうしたんですか?」

久「いや、行くのはいいんだけど、今日すっごい混んでるじゃない?だからチーム分けしたいと思うの」


久「六人いるから二人ずつね」

久「一時間ぐらいしたらもとの場所に集まってメンバーチェンジ。これでどうかしら」

久「今が十時過ぎだから…ちょうど二周したところで昼食にしましょう」

京太郎「確かに、みんなで行ったら身動き取れなさそうですね…」

和「それも致し方なし、ですかね…」

咲「うう…(せっかく京ちゃんと遊べると思ったのに…)」

優希「なんでもいいから早くきめるじぇ!プールに入りたいじぇ!」

久「まあ、あせらないでよ。分け方は…グーチョキパーで別れましょ、でいいわよね」


グーチョキパーで別れましょ!

グー:和、京太郎
チョキ:まこ、咲
パー:久、優希


久「決まったわね」

久「そうね…私またあのスライダーに乗りたいわ。優希まだスライダー行ってないんでしょ?いいわよね?」

優希「かまわないじぇ!あのスライダーなかなか高い位置から始まるから面白そうだじぇ!」

久「そうなのよね。あれはホントに病みつきになるわよ」

まこ「われはどうするぞ?」

咲「向こうの25メートルプールとかどうですか?」

まこ「了解じゃ。次は存分に泳いだらええ」

京太郎「さて、和、俺たちはどこに行く?」

和「そうですね。さっきはスライダーでしたから、次は普通のプールに入りたいですね」

和「さっき優希が流れるプールが楽しかったと言っていたのでそこに行ってみませんか?」

京太郎「OK!流れるプールだな。じゃあ、行くか」


───
──



優希「のどちゃんたちはどこにいるんだじぇ!もうとっくに一時間過ぎてるじぇー!」

久「そうね…全くあの子達ったらどこで何やってるのかしら」ニヤニヤ

咲「部長!京ちゃんはそんな人じゃないですよ!」

まこ「けんかしとる場合じゃないじゃろ…どこに行ったんじゃろか」



久「あ、あの二人やっとでてきたわ」

優希「おーいのどちゃん~!犬~!」

まこ「遅いのう…いったい何をやっとったんじゃ」

久「何って…まこそれはもちろんナ「おい部長、それ以上はいかんじゃろうが」」

久「あはは、ごめんごめん」

咲「遅いから心配したよ~」

久「それで、二人とも何してたの?」

京太郎「……//」

和「……//」

久「(えっえっ?何この空気。どういうこと?まさかこの二人…)」

まこ「(…部長の読み、まさか当たったんか…?)」

優希「(のどちゃん…顔真っ赤だじぇ…さすがの私でもこれには突っ込めないじぇ)」

咲「(二人とも顔真っ赤にして…そんなにたくさん泳いだのかな?)」


久「えっと…それじゃあ、ご飯にしましょうか」

久「席を取る組と買いに行く組に別れましょうか」

久「………」

久「じゃあ、和と須賀君、着いてきてくれる?」

久「遅れてきた罰ゲームよ」ニコッ

京太郎「は、はい。分かりました…」

和「分かりました」

咲「ぶ、部長にわざわざ買いに行かせるなんて…私、行きますよ?」

久「構わないわよ、それに今日はそこまで上下関係を意識しなくていいわよ。せっかくの慰安会だし」

まこ「(部長の奴…またなんか考えとるんか?)」

久「みんな何がいいかしら?」

優希「当然、タコス一択だじぇ!あと口直しにオレンジシュースだじぇ!」

咲「じゃあ、私は焼きそばとアイスティーをお願いします」

まこ「ん~わしはワカメうどんとメロンソーダにしとこうかの」

久「はいはい、了解。皆ちょっと待っててね」


久「で…二人とも大丈夫?」

久「二人ともうわの空だったから…」

久「何かあったの?」

京太郎「いえ…そんな何か問題があったとかじゃないので安心してください」

和「はい…ちょっと須賀君と話しこんでたら、時間を忘れちゃって…」

久「そう、ならいいんだけど…」

久「(まあ、たぶん何かあったんだろうけど、これ以上は詮索しても無意味ね…)」

久「でも、一応私たちは全国大会出場の身よ?それだけは忘れないでね」

京太郎「!…はい、すいません…」

和「はい…気をつけます…」

久「(まあ、これだけ言っとけば大丈夫でしょ)」

久「じゃあ、さっさと買いに行きましょうか」


3120円になりまーす


久「はい。じゃあ私がゆっくり運ぶから、二人で少し話しなさい」

京太郎「え?」

和「ぶ、部長?」

久「さあ、いいからいいから!私持って行っとくわ」


───
──



―昼食―

優希「う~むプールの屋台もなかなかあなどれないじぇ…」モグモグ

咲「この焼きそばもおいしいよ」

久「なかなかこういうところのっておいしいイメージはないんだけど、思ったよりおいしいわね」

和「須賀君はラーメンですか?」

京太郎「ああ。一心不乱に食べれるものにしようと思ってな」ズルズル

優希「のどちゃんはたこやきかーおいしそうだじぇー!」パクッ

和「!?ちょっと油断したら…もう!待ちなさい!優希!」



久「(とりあえず、二人ともいつもどおりね、よかったわ…)」

まこ「さすが部長やのお」

久「」ピクッ

久「あら、まこ。一体何のこと?」

まこ「いや~周りをよく見とるなって思っての」

久「……」

まこ「まあ、全国を率いる部長じゃけえの、神経質になるんはしゃーない」

まこ「でも今日ぐらいは気を休めたらどうじゃ?」

まこ「二年以上もあんたは頑張ってきたんじゃから罰はあたらんと思うがの」

久「ふふ、そうね」

久「ありがとね、まこ」

まこ「部長からお礼を言われるなんて珍しいのお~」

久「もう…失礼なこと言わないでくれる?」ハア

まこ「冗談じゃ冗談!それより…」

久「それより、何よ?」

まこ「部長も変なトラブルに巻き込まれんようにな」ニヤニヤ

久「何言ってるの?まこ?」

まこ「いや、咲にも和にも何かしらのトラブルがあったんじゃから、あんたにあってもおかしくないと思っての」ニヤニヤ

久「ばかばかしい…それならまこにだって同じことが言えるじゃない」

まこ「それがそれは絶対ありえんのじゃ。なぜだかは分からんが、天からそう言われてるような…」

久「ますます荒唐無稽ね」

久「ま、万が一そういった事態になったとしても、普段通り冷静に対処する」

久「それだけでしょ?」

まこ「まあ、そうじゃな。すまんかったな変なこと言って」

久「まあ、別にいいけど…」

久「じゃあそろそろ午後の部いきましょうか」

まこ「ちょっと待ちんさい…残りのワカメを…」モフモフ


優希「いえーい!だじぇー!」

咲「今度はどこに行こうか迷うね」

和「その前にまたチーム決めですか?」

久「そうね。午後は午前より客が多いからなおさらね」

久「じゃあいくわよ」


グーチョキパーで別れましょ!

グー:和、まこ
チョキ:優希、咲
パー:久、京太郎


まこ「(お…これはこれは…)」

久「…決まったわね(ぐ、偶然に決まってるわ!)」

優希「おー今度は咲ちゃんと一緒だじぇえ!」

咲「そうだね…ねえ、優希ちゃん、私まだスライダー乗ってないから乗りたいんだけど…」

優希「じぇ?別にかまわないじぇ!あのスライダーは何回のっても、たまらないじぇ!!」

和「染谷先輩、私たちはどうしますか?」

まこ「どうじゃのう…正直ちょっと疲れたけん、休みたいんじゃが…」

和「じゃあ、私は宮永さんたちとスライダーに一緒に行きますね」

優希「お、のどちゃんも一緒にくるかい?」

優希「でもあのスライダーにのどちゃんのおっぱいは耐えられるかどうか…分からないじぇ!」キリッ

和「もう優希には突っ込みませんよ…」

優希「む~のどちゃんつめたいじぇ~」

咲「じゃあ、三人で行こうか」

優希「そうときまれば、ダッシュだじぇ!!」ダッ

和「優希!プールサイドを走ったら危ないですよ!…って行っちゃいました」

咲「あはは…私たちも行こう、原村さん」タタ

和「ええ、行きましょう」タタ

久「…」

まこ「で」

まこ「あんたらはどうするんかの?」

久「そうねえ…」

京太郎「あの、部長…」

久「なにかしら、須賀君」

京太郎「さっきの三人とかぶるから言い出しづらかったんですが…」

京太郎「俺も今日一回もスライダー乗ってないんですよね」アハハ

京太郎「隣町のプールにしたのはどうしてもスライダーに乗りたかったってのもあるんですよ…」

京太郎「でも部長は午前中ずっとスライダーに乗ってたんですよね…」

京太郎「えっとその…」

久「別に私はスライダーでも構わないわよ」

京太郎「えっ?」

久「それに午前中ずっとスライダーに乗ってたわけじゃないわ」

久「スライダーに飽きたら適当に他のプールとかに行ってたから」

久「だから行きましょ?私に気を遣うことないわ」

久「慰安会っていっても須賀君が楽しめないのならそんなのこっちから願い下げよ」ニコッ

京太郎「ぶ、部長…ありがとうございます」

久「ん!じゃあさっそく行きましょうか」

まこ「お~気をつけての~」ニヤニヤ



―スライダー階段下付近―

京太郎「おー遠くから見てもでかいと思ったけど、近くで見るとホントすごいな…」 

久「そうね。長野にこんな大きなプールができるなんて思いもしなかったわ」

京太郎「じゃあ、早速並びましょうか…ってあれ?階段の下に三人ともいますね」

久「?どうしたのかしら。ちょっと行ってみましょうか」



―スライダー階段下―

京太郎「おーい!咲ー!和ー!優希ー!」

優希「お!どうしたんだじぇ京太郎。もしかしてお前もこのスライダーに乗りたいのか?」

京太郎「ああ、そんなところだ」

京太郎「って、咲、どうしたんだ。そんなに震えて」

咲「ううう…」フルフル

久「いったいどうしたの?」

和「いえ…宮永さんこんなにスライダーが高いとは思ってなかったらしくて…」

咲「うう…こんな高いの無理だよお」

咲「それになんかこのスライダー…」

咲「作り全体が生き物みたいで…なんか今にも襲いかかってきそうで怖いよ…」

咲「まるで…この間読んだ小説に出てきた魔王みたいだよ…」ブルブル

久「(…魔王、ね)」

久「それじゃあ、和か優希、ちょっと咲をまこのところまで連れて行ってくれる?」

久「まこならさっきの場所で休んでると思うから」

優希「わたしはスライダーにまだ乗りたいじぇー」

和「しょうがないですね…まあ、でも私が行くつもりでしたし」

和「宮永さん?大丈夫ですか?立てますか」

咲「う、うん…なんとか…」

和「じゃあ行きますよ。部長、須賀君。優希のことよろしくお願いします」

久「りょーかーい!」

京太郎「おう、タコス女は俺に任せとけ!」

優希「こらっ!犬のくせに生意気だじぇ!!」ポカッ

京太郎「いてっ!やったなこのっ!」

久「こらこら、こんなところで暴れないの。他の人に迷惑でしょ」

久「それより順番はどうする?」

優希「もちろん私が一番手だじぇ!」

優希「麻雀でもなんでも一番手はおまかせあれ!」

京太郎「なんかその「おまかせあれ」ってお前が使うと違和感あるな?」

優希「そうか?まあとにかく私が一番手だじぇ!」

久「はいはい。じゃあ二番手は…須賀君、先に行っていいわよ」

久「(まさかトラブルなんてないと思うけど…先に須賀君を行かせたほうが間違いなく安全だしね)」

京太郎「ありがとうございます、部長」ジーン

久「いえいえ(なんか罪悪感あるわね…)」ニコッ



―スライダー階段中盤―

久「ふむ。やっぱりこの待ち時間は退屈ね…」

京太郎「そうですね…でもこの待ち時間があるから、スライダーに乗った時の喜びもひとしおなんですよね」

久「ふふっ。そうね。須賀君てホントに前向きよね」

優希「確かに犬はどんなにこき使ってもへこたれないじぇ…犬にしてはやるな…」ムム

京太郎「俺は犬じゃないっつーの!全く…」

久「あなたたち二人も仲いいわよねー」

京太郎「仲いってこいつがこんな風に絡んでくるだけで…」

優希「そうだじぇ!こいつはわたしの言うことを聞いてくれるから仕方なく相手してやってるだけだじぇ!」

京太郎「なんだ!そこまで言うことねえじゃねえか!」

優希「む!なんか文句あるのかー犬のくせにー!」

久「ははっ…だからそれがうらやましいのよ」

京太郎「やめろ優希っ!ってえ?部長?」

久「だから、そんな風にじゃれあえるほど仲のいい、友達が欲しかったなあ、って」

久「私ね、あんまり同級生の友達がいないの」

久「慕ってくれる人はたくさんいる…と思うわ。それは学生議会長をやっててそう思う」

久「だけど親友、と呼べる友達はほとんどいない気がするわ…」

久「たぶん…まこ…ぐらいかしら。私の心の奥まで理解してくれてるのは…」

久「って私何語ってるのかしら」アハハ

久「なんか恥ずかしくなってきちゃったわ」

優希「…部長は私たちの部長だじぇ!」

久「え?」

優希「だから、部長は私たちの部長だじぇ!!」

久「え、ええ…もちろん私はあなたたちの部長だけど…」

京太郎「優希…」

京太郎「部長…俺も優希の言うとおりだと思いますよ」

京太郎「優希の伝え方が下手くそすぎて何言ってるか分かんないかもしれないですけど…」

京太郎「部長、たぶんこいつはこう言いたいんですよ」

京太郎「『部長は今のままでも十分魅力的です』って」

京太郎「たぶん部長の抱えてる悩みは俺たちは解決できないと思います

京太郎「それに部長ほど頭のいい人間が解決できないことを俺たち馬鹿二人が解決できるとは思えません」

優希「む…馬鹿は余計だじぇ…」

京太郎「でも…それが部長の欠点だとしても、部長にはそれを補ってあまりある」

京太郎「むしろありすぎて迷惑なぐらい魅力をもってると思います」

京太郎「さっき昼食を和と買いに行った時だって…」

京太郎「罰ゲーム、とか言って俺たちに気を遣ってくれましたよね」

京太郎「先輩の周りを冷静に見て的確な判断を下せるところ、いつも俺、かっこいいって思ってます」

京太郎「それに…俺たちは部長の親友にはなれませんけど…」

京太郎「先輩の悩みに親身に付き合ってあげられる後輩にはなれますし、そうなりたいと思ってます」

京太郎「きっと…俺たちだけじゃなくて咲だって、和だって…」

京太郎「みんな部長の力になりたいと思ってるやつばっかりです」

京太郎「こんなに親身になってくれる後輩が集まる部長に魅力がないなんて」

京太郎「和だったらこう言うと思いますよ『そんなオカルトありえません』って」

京太郎「だから…」

京太郎「先輩は今のままでいいんです」


久「……」

京太郎「…先輩?」

久「……ふふっ」

優希「大丈夫かー部長ー?」

久「ええ、大丈夫よ。二人ともありがとう」

久「本当に嬉しいときとか感動するときって声が出ないっていうけど、まさにそれよね」

久「私は本当にいい後輩を持ったわ」

京太郎「…部長!」

優希「ふ!通訳御苦労!京太郎!私の部長への励ましの言葉を全訳したお前に感謝状を送ろう!」

京太郎「お前…あんな短いセリフで俺の苦労に並んだと思うな!」

優希「うるさいじぇ!京太郎!今日という今日は決着付けてやるじぇ!」

京太郎「お?やるってのか?やってやろうじゃねえか!」


ギャーギャーワーワー

久「(須賀君ってば…泣かせてくれるじゃない)」

久「(ふふ…なんだか心が軽くなちゃった…)」

久「(須賀君って本当にたまにかっこいいのよね…)」

久「ねえねえ?」

優希「ふう、今日は私の勝ちにしておいてやるじぇ…」

京太郎「なんだそれ!意味分かんねえぞ!って何ですか?部長」

久「あなたたちって付き合ったりしないの?」ニヤニヤ

京太郎「え?!」

優希「じぇ?!」

久「いやーだからそんなに仲がいいもんだからもしかしたらって思ってね」ニヤニヤ

京太郎「そ、そんなわけないですよ!どこがいいんですか…こんな年中タコス食ってるような女の!」

優希「ムカッ!?なんだとーお前みたいな生意気な駄犬はこっちからお断りだじぇ!」

久「ふーん…そっかあ…じゃあ、私が須賀君の彼女に立候補しちゃおうかなー」ニヤニヤ

京太郎「ぶ、部長?」

優希「!だ、ダメだじぇ!京太郎が別にどうなろうとどうでもいいけど、私の言うことを聞かなくなるのは困るじぇ!」

久「別に優希の命令はそのまま聞き続けてもいいわ」

久「だから…須賀君?」ギュッ

京太郎、優希「「!?」」

京太郎「(うわ…部長、俺の腕に抱きついて…ていうかまた胸の感触が…うう…)」

久「ねえ…須賀君…私の…気持ちいい?」

京太郎「え、えっと…(いきなりどうしたんだ部長…というか感触が…やばいやばいやb)」

久「もし…私と付き合うなら…」

久「私のカラダ…好きにしても…いいのよ?」ギュッ

京太郎「(うわ…胸の感触もそうだけど…なんか…部長の体エロすぎる…)」

京太郎「(和ほどじゃないにしても胸は結構あるし…というか今の感触からして、ホントに張りのある胸だ…)」

京太郎「(大胆な水着からこぼれおちそうな果実に…水に濡れて妖しく光った体……)」

京太郎「(ホント、なんで部長はこんなにエロいんだ…うう…)」

久「ほら…ここ触って…ね?…確かめてみて…?」

京太郎「え!?(え?部長?俺の手をつかんでどこに持っていくつもりですか?)」

久「いいわよ…須賀君なら…」

京太郎「(や…やばい!)」


優希「だ、だめーーーーー!!「冗談よ」」

京太郎「あれ?」

優希「え?」

久「だから冗談。ちょっと二人が仲がいいから、からかいたくなっちゃって」アハハ

京太郎「」ポカーン

優希「」ポカーン

久「けど、私でも意外と男をひっかけられるのねー」アハハ

京太郎「っ!部長!からかわないでくださいよ!」

久「ごめんごめん。優希が可愛いからからかっただけ」

京太郎「やめてくださいよ…ていうか、原因は優希で俺はとばっちりですか…」

久「あら…須賀君は私とは付き合うのはいや?」

京太郎「え…あの…いや…」

久「そうよね…私みたいな女の子と付き合うなんてお断りよね…」ウルウル

京太郎「!そんなことないです!部長は十分魅力的です!俺にはもったいないくらいですよ!」

久「ふふっ…須賀君ならそう言ってくれると思ってたわ」

久「(そう……そう誘導すれば…、ね…)」

優希「全く…たちの悪い冗談だじぇ…」ボソボソ

久「あら優希?私が須賀君と付き合ったら何かまずいことでもあるの?」

優希「ち、違うじぇ!だからそれは…」

久「だから冗談よ優希ったら可愛いんだから」アハハ

優希「うーなんか釈然としないじぇ…」

久「(……そう、からかっただけ、なんだから…)」



―スライダー階段最上階―

京太郎「おーようやく俺たちの番だな!」

優希「なんかさっきより待つのが長かった気がするじぇ…」

久「まあまあ。お、さっそく優希の番ね。いってらっしゃい」

優希「む!よし!ここでスライダーにのって一気に波に乗るじぇー!」

係員「こちら滑られるのは初めてですかー」

優希「私は初めてじゃないから大丈夫だじぇ!気づかいサンキューなアラフォー係員殿」キリッ

係員「アラサーだよっ!って…大変失礼致しました…」アセアセ

係員「それではどうぞ」

優希「いっくじぇーー!!!」ヒュッ

京太郎「おーこんな風になってるのか…すげえなあ」

久「ホント何回乗ってもここ楽しいのよね」

京太郎「しっかし…これ高いなあ、何メートルぐらいあるんだ?」


係員「(こーこちゃんが急にバイト代わってくれっていうから来たけど…)」

係員「(ここってカップルばっかりだよ…)」

係員「(うう…めげるなあ…)」


京太郎「すいませーん係員さん」

係員「は、はい、なんでしょうか」

京太郎「このスライダーホントに高いですよね?これって高さ何メートルぐらいあるんですか?」

係員「(急にバイト代わってもらったからそんなの知らないよ~)」アセアセ

久「(あれ…この係員どこかで見たことがあるような…?気のせいかしら)」

係員「え、えーと!大体えーと(う~いまどきの若い子にどう答えたらいいのか分からないよ~…)」

係員「(ええい!もうやけくそだよ!!)あ、思いだしました!」

京太郎「それで、何メートルぐらいなんですか?」

係員「君の…その彼女への思いのたけくらいかな…」フッ



京太郎「………」

久「………」

係員「えっと…これはスライダーの高さと彼女への思いのたけをかけてて…」

京太郎「………」

久「………」

係員「き、きっと彼氏さんは彼女のことが大好きなんだろうなーって……」

京太郎「………」

久「………」

係員「………」グスッ

京太郎「(やべ、泣かせちまった!!な、なんとかしないと…)」

久「(あら…泣いちゃったわね…というか早く滑らなくていいのかしら…偶然私たちの後ろには誰もいないからいいけど…)」

京太郎「あ、あーそうなんですよ!僕この人のことものすごく愛してるから、その…いやあ通りで高いわけだ」

久「(うわ須賀君…なんていい人なの…でもさすがにちょっとそれは苦しいんじゃ…)」

係員「ほ、ほんとですか?良かったー若い人ってこういう冗談通じるのか心配だったんです…でもほんとによかった…」

京太郎「(ふう…とりあえず、泣きやんでくれてみたいでよかった…)」

久「(なんて単純な人なの…ていうか、やっぱりこの人どこかで見たような…)」

係員「あ…す、すいません。スライダーですよね?」

係員「このスライダーは安全のため、前の人が下に着いてから次の人のスタートになります」

係員「そこの金髪の子はスライダー初めてだよね?ここに滑り方が書いてるから読んでおいてね」

係員「(ふう…危うく醜態を見せるところだったよ…こーこちゃんにあとで絶対に文句言ってやる!)」


?「おーい!!こっかっじプロー!」

京太郎、久、係員「「「!?」」」

係員2「おーい福与プロから、アラフォープロはもうへばってるだろうから交代してあげてって頼まれて来たよー!」

係員1「ちょ、ちょっと!三尋木プロ!!」ヒソヒソ

係員2「もう~なんだよ~せっかく代わりに来てやったのにさあ~」ヒソヒソ

係員1「なんだよ~じゃありませんよ!なんで本名で呼んでるんですか!」

係員1本名はまだいいとしてプロとかつけたらいろいろとばれるじゃないですか!」ヒソヒソ

係員1「それにアラフォーじゃなくてアラサーです!この子たちが勘違いしたらどうするんですか!」ヒソヒソ

係員1「それになんでバイトに着物で来てるんですか!あーってもう突っ込みどころ多すぎるよ!」ヒソヒソ

係員2「も~細かいこと気にしすぎだって~小鍛冶プロー」ヘラヘラ

係員1「っていうかもう小声で話すつもりもないんですか!?」ヒソヒソ

係員2「もう~しゃねえなあ~私が説明するから見ときな~」

係員2「おーい君たちー!おいてきぼりにしちゃってごめんねー?」

京太郎「いえ…別に大丈夫ですよ…(なんだこの人…着物でバイト来たのか…?このプールのバイトは変な人ばっかりなのか?)」

係員2「いや~さっきのは気にしないでね~プロとかただのあだ名だから~」

久「いえ、説明は不要です、小鍛冶プロ、三尋木プロ」

すこやん「え!?」

三尋木「ふ~ん私たちのこと知ってるんだ~そりゃ光栄だね~♪」

すこやん「光栄どころか…もうただの恥さらしだよ…」ズーン

久「ちょっと雑誌等で見かけたことがありまして…それでそのプロがなんでこんなところで働いてるんですか?」

すこやん「それにはちょっと…事情があって…(ていうかこーこちゃんはなんでここで働いてるのかな?)」

三尋木「まあ~どうでもいいじゃん~?てか、さっきなんか三人とも揉めてなかった~?」

すこやん「見てたの!?だったら助けてよ!」

三尋木「あはは~なんか小鍛冶プロの慌ててる姿が面白くてね~」

三尋木「で、小鍛冶プロのつまらないギャグで君は笑ってあげたんだって?えっと…」

京太郎「須賀です。須賀京太郎です」

三尋木「須賀君か~まあ京太郎でいいや。そっか~京太郎はすこやんのつまらないギャグを笑ってあげたんだ~」ニヤニヤ

すこやん「そんなに早くから見てたんだ…ってそんなことないよ!この人…えと…須賀君はそんな人じゃない、絶対そうだもん!」

三尋木「ん~どうだかねい…京太郎、小鍛冶プロのギャグは面白かったかい?」

京太郎「(ここで面白くなかったって言ったら泣かせることになるな…別にどうでもいいけど、泣かせるのは嫌だな…しかも大人を…)」

久「(なんなのかしら…もういいから早くスライダーに乗りたいわ…)」

京太郎「(…よし)はい!とても面白かったですよ」

京太郎「俺の先輩への想いそのままだったので、なんの違和感なく受け入れられましたし」ニコッ

三尋木「へ~」ニヤニヤ

久「(須賀君も平気な顔して嘘つくのね…人って怖いわねー…っていうか三尋木プロはいったい何が目的なのかしら…)」

すこやん「ほら!やっぱり須賀君がそんな人じゃないでしょ?分かったらさっさと三尋木プロ交代してください!」

三尋木「そっか~そんなに二人は愛し合ってるってわけか~」


三尋木「だったらあたし二人がちゅーしてるとこ見てみたいなー!」

京太郎「?!」

久「(…は?)」

京太郎「え…ちょっと…なんでそうなるんですか?」

三尋木「ん~いや~小鍛冶プロのギャグに共感した人あんまり知らないからさー」

三尋木「きっとよっぽど共感するほどの愛だったんだな~って」

三尋木「だから、その愛確かめてみたくね?知らんけど」

すこやん「ちょっと、三尋木プロ!」ヒソヒソ

三尋木「もう~今いいところでしょ~見てなかったのかいい?」ヒソヒソ

すこやん「私たちバイトの身なんですよ??こんなことしてクレームつけられたら…」ヒソヒソ

三尋木「ちょっとぐらい大丈夫だってー。知らんけど。それに小鍛冶プロ見たくないのかい?」ヒソヒソ

三尋木「高校生のカップルのちゅーだぜ?もしかしたら今後の婚活の参考になるかもしれんよ~?」

三尋木「(ま、たぶん参考にならないだろうけどねい)」ヒソヒソ

すこやん「…………………………!」

すこやん「(それは…ちょっと見てみたいかも…でも…)」

すこやん「(ってでもとか言ってる余裕が私にあるの?)」

すこやん…………このまま…こーこちゃんに馬鹿にされ続けてホントにアラフォーになって…)」

すこやん「(私は追い詰められているの…だから…ちょっとくらい…いいかな?)」

すこやん「(それにこの二人付き合ってるんだよね?だったら別にキスぐらいしても問題ないはず…)」)」

京太郎「はあ、もういいですか?そろそろスライダーを…」

すこやん「…」

すこやん「…キス…」ボソッ

京太郎「…え?」

すこやん「だから、キスして見せてほしいなって…」

すこやん「「僕この人のことものすごく愛してるから、その…いやあ通りで高いわけだ」って言ってたよね?」

京太郎「(なんだこの無駄にすごい記憶力は…)」

すこやん「だから…証明してくれないかな?」

京太郎「あ、あの、それはちょっと…人前だし、よくないですよ…」アセアセ

すこやん「う…ぐすっ…。私のギャグに共感してくれたのは嘘だったの…?」ウルウル

京太郎「(なんだこの状況は…ていうか部長はさっきからなんで黙ってるんだ?)」

三尋木「(う~んなかなか小鍛冶プロも演技がうまいねえ~)」ニヤニヤ

すこやん「うっ…ううっ…やっぱり嘘だったんだ…」グスン


京太郎「あー分かりました!!やりますよ!やればいいんでしょ!!」

久「ちょ…」

久「須賀君、本気?」ヒソヒソ

京太郎「このままじゃ埒があきません。大丈夫です、あくまでする『フリ』にしますから…」ヒソヒソ

久「…分かったわ…お願いね」ヒソヒソ

三尋木「(見たところこの二人は絶対付き合ってないねえ~でも…もうひと押しな気がするんだよねい~)」

三尋木「(せっかくだからこの三尋木プロがひと夏の思い出をプレゼントしてあげちゃうよ~)」ニヤニヤ

すこやん「………」ワクワク

京太郎「部長…俺の陰に隠れてください…なんとか見えない角度で演技しますから…」ヒソヒソ

久「わ、分かったわ…」ヒソヒソ

京太郎「(よし…この角度なら見えにくいはず…)」

京太郎「(けど適当にやって文句つけられたら何回もやり直しとかありそうだから、割と真剣に…)」

京太郎「(よし。やるぞ…!えっと…まず…そもそもキスってどうやって始めるんだ?…経験もないし全く分からん…)」

久「(まさか三尋木プロがこんなことを企んでいたなんて…まったく可愛い顔してやることがいやらしいわね)」

久「(それにしても…キスって…どんな感じなのかしら?ま、まあフリだし関係ないんだけど…)」

三尋木「ん~どうしたの~?早くしないとすこやんが年をとりすぎて還暦になっちゃうよ??」

すこやん「アラサーだよ!っていくらなんでも60はひどすぎるよね?!」


京太郎「(くっそー…俺たち以外になんで誰もいないんだ?!)」

京太郎「(おかしいだろ…閉館時間は5時だぞ?!まだ3時にもなってないのに…)」

久「(…須賀君何考えてるのかしら…ちょっと悩んでるような顔してるわね…)」

三尋木「(ま~ホントは仕事サボるために看板かけたんだけどねい~なんか面白そうだったから一石二鳥かなー)」

すこやん「(まだかなあ…)」ワクワク

京太郎「(う…仕方ない…やるしかないよな…まずえと…部長に近づかないと…手をつかめばばいいのか…?)」

京太郎「(それで…顔を近づけるために軽く腰を…)」グッ

久「(あっ…須賀君に手首つかまれちゃった…けっこう須賀君力あるのね…)」

久「(…反対の手で腰を…なんかこれ、無理やりせまられてるみたいだわ…)」

久「(というか…須賀君…顔近い…)」

久「(こうして見ると須賀君ってホント綺麗な顔してるわよね…)」

久「(まつ毛も長くて…適度に筋肉もあって…頼りになって…)」

久「(……って私は何を考えてるの?!相手は後輩なのよ?!しかも意味不明な状況なうえにフリだし!)」

     
京太郎「部長…いきますよ?」

久「う、うん…」

三尋木「ん~?」

すこやん「どうかしたんですか?三尋木プロ?」

三尋木「いや~彼女のことを部長って呼んでるからさあ~どうしたのかなって」ニヤニヤ

京太郎「(やべ!?付き合ってないってばれたか!?)」

すこやん「まあ、普通のカップルって名前で呼び合う…んだよね…うん(そんなことも分からない私って…)」グスッ

京太郎「…部長ごめんなさい。今だけ名前で呼びますね」ヒソヒソ

久「え、ちょ、ちょっといきなり…」ヒソヒソ

京太郎「久先輩…」

久「っ!」

京太郎「キス…していいですか…?」グイッ

久「(え?なになに?なんなの?なんでこんなに須賀君乗り気なの?もしかして…私とキスしたいとか…?)」

久「(いつのまにか腰にあった手が首まで移動してるし…須賀君なんか手慣れてるみたいな…)」

久「(うう…須賀君本気すぎるわよ…ドキドキしてきちゃったじゃない…)」

すこやん「…//」ドキドキ

京太郎「(よし、あと一歩でキスの『フリ』が完成するぞ…)」

京太郎「(けどちょっと雰囲気なさすぎかな…?)」

京太郎「(これじゃまた三尋木プロに突っ込まれるかも…)」

京太郎「(それに部長もなぜか緊張しちゃってるみたいだから、少しリラックスしてもらう意味もこめて…よし…)」

京太郎「久先輩…可愛いですよ…」

久「ふえっ?」

京太郎「だから…可愛いって言ってるんです」

久「ちょっと須賀君?!急にどうしたの!?」ヒソヒソ

京太郎「先輩の髪…綺麗ですね…それにとってもいい匂いがする…」

久「あ、あの…//」

京太郎「肌も綺麗で…咬み付きたくなる…」

久「ちょ…(何言ってるの須賀君?!なんでそんな恥ずかしいこと言うの?!)」カアーッ

京太郎「久先輩は…俺とキスするのいやですか…?」

久「べっ別に嫌とかじゃ…」

久「(って何言ってるの!私!ああでも嫌って答えたらだめなのよね…それに実際に嫌じゃないような…ってまた何言ってるの私!)」

京太郎「じゃあ、キスします…」

久「(~!ちょ、ちょ、ちょっと!顔、近すぎよ!!ってそりゃキスだから当たり前なんだろうけど!)」ドキドキ

久「(このまま須賀君にキスされちゃうの?え?フリはどうしたの?)」

京太郎「(部長…顔真っ赤にして…あたふたして…なんだこれ…ギャップが…可愛すぎるだろ…)」

久「(あ…ダメ!キスされちゃう…!)」チュッ

久「(ってあれ?)」

京太郎「終わりましたよ部長…」ヒソヒソ

京太郎「鼻と鼻をぶつけるだけでしたけど…(あやうく本当にキスするところだった…部長の体エロすぎるんだよな…)」ヒソヒソ

京太郎「たぶんうまくいったと思います…」ヒソヒソ

久「」

三尋木「ん~なかなかすごいちゅーだったねい、ねえ、小鍛冶プロ?」

すこやん「ええ…///最近の高校生はこんなに情熱的なキスをするんですね…//」

すこやん「いつか…私も…」ボソボソ


三尋木「ん~じゃあ私仕事に戻るから、小鍛冶プロは帰っていいよ~」

すこやん「やっと帰れるんですね。まあ…いいもの見れたので許します」

すこやん「お二人とも私のわがままに答えてくださってありがとうございました」

すこやん「じゃあ、三尋木プロ、あとは任せましたね、では」

三尋木「任せて~」


三尋木「ん~じゃあ私も仕事を終わらせて帰るとしようかねい~」

三尋木「って言っても君ら二人を滑らせるだけだけどねい~どっちが先に滑んの~?」

京太郎「あ、俺からでお願いします」

三尋木「ほい、一応説明しとくねーなんかこれはボディースライダーってやつらしくて」

三尋木「背中付けて足はスライダー側に向けて滑るらしいよ~まあ、別に言わんでも分かるよねえ」

三尋木「けっこう長いらしいから楽しんできてねい~」ドーン

京太郎「うわっ!(この人に今思いっきり押されたぞ…)」ヒューン


三尋木「さて…いつまで放心してる気だい~そこの部長さん~?」

久「…よく言いますね、けしかけたのは三尋木プロじゃないですか」

三尋木「まあ~?確かにけしかけたのは私だけど?」

三尋木「なんかその割には部長さんまんざらでもなかったような顔してたけどねい」ニヤニヤ

久「なっ」カアッ

三尋木「本当にキスしてもらえなくて残念だったかい~?」ニヤニヤ

久「っ!」

三尋木「あの男が好きならさっさととっちゃわないとだめだよ~なかなかよさそうな男だったしねい~」

久「!ええ、でも三尋木プロには関係ない話だと思います」

久「(このスライダーは結構長いから…須賀君が下に着くまでもうしばらくかかるわね…)」

久「(このプロとはあまり一緒にいたくないからすぐにでもスライダーに乗ってしまいたいけど……仕方ないわよね…)」

久「(…ていうかこのプールのトラブルが多いのってまさかこの人のせいなんじゃ…ってそれはないか)」

三尋木「あれ~なんか私とはあんまり一緒にいたくないって顔してるねい~」

久「いえ…三尋木プロの気のせいじゃないですか?」ニコッ

三尋木「ふむふむ。じゃあ望み通りにしてあげるよ~」ドンッ

久「えっ…」ヒュー



―スライダー進行中 久―

久「(三尋木プロに私はスライダーの中に…まあ結果オーライよね…)」フウ

久「(あのままあそこにいたらなんだか気が狂いそうだったわ…)」

久「(…もう、なんなのよもう!このイライラは!)」

久「(とりあえず、今はのんびりこのスライダーを降りましょう)」

久「(………なんなのよ、もう…)」

久「(ていうかまこの言うとおりになっちゃったわね…)」

久「(須賀君にも迷惑かけたわね…下に着いたら、ちゃんと謝らないとね)」



―スライダー進行中 京太郎―

京太郎「っていうかこのスライダー長いなースピードもあるし…ボリュームたっぷりで最高だぜ!」

京太郎「ホント、今日皆を誘ってよかったな…」

京太郎「(咲の新しい一面を知れたし…和に少し信用してもらえたみたいだし)」

京太郎「(優希は…あんま変わらないか。でももともと仲よかったしな)」

京太郎「(それに部長の悩みも聞けたし…あんなに完璧そうな部長でも悩みがあるって知ってびっくりだったな…)」

京太郎「…というか、さっきはとんでもないことに巻き込まれたな…」

京太郎「きっと俺なんかにせまられて…部長はいやだったんだろうな…」

京太郎「なんか落ち込んできたぞ…」ズーン

京太郎「下に着いて、部長が来たらすぐに謝ろう…」

京太郎「はあ…」



―スライダー進行中 久―

久「だいぶ進んだわね…ってまだ半分も行ってないのね」

久「ホント何回乗ってもこのスライダーは最高だわ、水が冷たくて気持ちいいし」

久「…それにしてもなんか水の量がさっきより少ないような気がするわね…」

久「あの係員二人にはクレームつけてやるわ!絶対よ!」



―スライダー最上階―

三尋木「ん~これで私の仕事は終わったねい~感謝しなよー福与アナウンサー!小鍛冶プロー!」

三尋木「それにしても…」

三尋木「さっきのあの子可愛かったな~恋する乙女ってやっぱいいよねえ~」

三尋木「というか~あんまり一緒にいたくないって顔してるとか言ったけどー」

三尋木「それは私も同じなんだよねー」

三尋木「だってあの子なんかすっごい寂しそうだったもんねい~」

三尋木「あんなのといたらこっちも精神すり減っちゃうよ~」

三尋木「だからつい無理やりスライダーに落としちゃったけど~…」

三尋木「まあ、ぶつかることはないよはずだよねえ、十分な間隔はあったし~知らんけど」

三尋木「…ってあれ?なんか…スライダーの水…止まってね?」


三尋木「……」

三尋木「いや、知らんし。」

三尋木「ん~一応直してみるかー」

三尋木「ここをこうやって…ん~?これをひねったらいいのかいー?」


バキッ

三尋木「……」

三尋木「分っかんねー!すべてが分っかんねー!」

三尋木「わ、私は知らんし。」

三尋木「ん~さっさと退散するよータイムカードは事前に盗んどいた小鍛冶プロのを入れて~」

三尋木「これであの時間に係員やってたのは小鍛冶プロだよねい~」

三尋木「よし、じゃあ帰りますか~」



―スライダー進行中 久―

久「ちょっと…なんだか水が凄い減ってきてる気がするんだけど…」

久「どういうことなの!?まさか三尋木プロの仕業とか?」

久「(んーまあいくらあの人でもそれはないか…常識はずれな人だけどさすがに犯罪まがいのことはしないはず…)」

久「(まあ高校生カップルにキスを強要したりスライダーに人を突き落としたり、犯罪スレスレな気がするけど…)」

久「(まあ、ということは…やっぱりこのプール故障が本当に多いのね…)」

久「(一回ニュースで取り上げられたんなら直しなさいよ!何考えてんの?このプールの経営者は?!)」



―スライダー進行中 京太郎―

京太郎「おい…なんだかさっきより水が減ってないか…」

京太郎「おい…まさかニュースでもやってたけど…スライダーの水が止まったとか?」

京太郎「…さっきも流れるプールの流れが止まったしな…十分ありうるぞおい…」

京太郎「このままじゃ平らな所にいったら止まっちまうぞ…」



―スライダー停止中 久―

久「…」

久「とにかく今はさっさとここを出ることね」

久「三尋木プロがきちんと対処してくれるとは思えないし…」

久「……」

久「よし、かなりの下りになったわ。滑り台の要領で一気に進めるわ!」

久「せーの」ズルッ

久「…!って須賀君?!」

久「ちょ、ちょ、ちょ、と、止まってー!」ジタバタ



―スライダー停止中 京太郎―

京太郎「とりあえず……のんびり進むか……」

京太郎「ん?」


「と、止まってー!!」

京太郎「え?部長の声?どうしてだ?」

京太郎「って!え?!部長?」

京太郎「(ちょ、部長がものすごい勢いでこっちに来る…ってそんなこと考えてる間に…!)」

京太郎、久「「(ぶつかる…!!!!)」」


ガンッ!


―スライダー内―

久「(…あれから下りを思い切り進んだ私は平らなところで停滞してた須賀君に直撃した)」

久「(どうやら、私の足が須賀君の脳天にクリーンヒットしたみたいで…)」

久「(須賀君を気絶させてしまった…いくら揺らしても起きないわ…ごめんなさい須賀君)」

久「(しかも…ぶつかったときの衝撃で腰に巻いてたパレオが…向こうに飛んで行ってしまったわ…)」

久「…」

久「い、今のこの状況を整理しましょう」

久「あ、ありのままに起こったことを…い、いま…」

久「なんて言ってる場合じゃないわ…」

久「…」

久「(わ、私の、パレオに、須賀君が思いっきり顔をうずめてる…)」

久「(足をこんなに開くなんて…恥ずかしすぎるわ…うう)」カアッ

久「(し、しかも…パレオはさっき流されちゃったから…)」

久「(ちょ、直接…って水着はあるけど…でも恥ずかしい…)」

久「(しかももともと狭いスライダーなのに思いっきりぶつかったから…ほとんど身動きがとれないわ…)」

久「(どうしよう…!)」



久「(…須賀君起きないわね…起きなくていいんだけど…)」

久「(っていうか早くこの姿勢をなんとかしたいわ…だってこの姿勢…)」

久「(いやいや!言わないけどね!でも須賀君の息の熱が…下半身に…集まって…)」

久「(うう…お願いだから須賀君起きないでよ…!)」

久「……」

久「はあ…」

久「それにしても本当にまこの言う通りになちゃったわね…」

久「いつも通り冷静に対処する…か…」

久「こんな状況でできるわけないじゃない…ていうか動けないし…」ハア

久「それにしても暑くなってきたわね…ってっ??!!!」

久「(須賀君が寝がえり打とうとして…顔動かしてる…)」

久「(やだ…動かないで…お願い…)」

久「(そんなに動いたら…)」

久「ちょ…(う、動きすぎよ……なんなの!?なんなの!?これじゃまるで私須賀君に…)」

久「(…されてるみたいじゃない…)」

久「~~~~!!!」カアッ

久「(なし!今のはなしよ!あり得ない!そんなオカルトありえません!)」

京太郎「ん…」

久「(やばっ…須賀君まさか…起きた…?)」

京太郎「ぶ…ちょう…」

久「な、なにかしら?」

京太郎「俺たちが…いっしょに…います…よ…」

久「…寝言?」

久「(っていうか気絶してる時も寝言って起こりうるの?寝言って名称もおかしいかしら…)」

久「(っていうか…ほとんど私のせいで気絶させられたようなものなのに…)」

久「(私のこと…気遣ってくれてる…?なんて…)」

久「須賀君…」ドキッ

久「(えっ…?何ドキッって…)」

久「(…きっと何かの思い違い…怒気、そうねきっと怒気のことだわ)」

久「(こんな狭い場所に、こ、こんな体勢で閉じ込められたら、そりゃ怒りたくもなるわよ!)」

久「(……)」

久「(須賀君…髪の毛サラサラ…)」

久「(肌も…綺麗よね…筋肉もちょうどいい具合についてるし…)」

久「(さっきは緊張してて気がつかなかったけど…なんだか甘いかおりがするわ…何かつけてるのかしら…)」

久「(言うまでもないんだけど…須賀君ってカッコいいわね…)」

久「(いっつも皆からの扱いはひどいから…って私がそれをいっちゃだめよね)」

久「(そのせいであんまり考えてなかったけど…)」

久「(綺麗な顔してるわ…)」

久「(こんなに須賀君が気になるなんて…馬鹿みたい!って誰よ、今の)」

久「」ドキドキ

久「(なんか急に胸が苦しくなってきたわ…この狭い空間で暑いのもあるんでしょうけど…)」

久「(!また、須賀君が動いて…)」

久「(うう…あ、当たってるわ…//)」

久「(す、須賀君の顔が私の…私の…わ、…)」

久「(ううっ…//)」

久「(言えないわ!女の子の口からそんな…)」

久「(さっき何ってナニに決まってるじゃないとか言おうとしてたって?知らないわよ!そんなの!)」

久「(や…んっ…ちょ、動きすぎ…)」

久「(す、すがく…)」

京太郎「ん…」

久「(…起きちゃった?)」

京太郎「ぶちょう…」

久「っ」

久「(……むり…)」

久「(…もう…むり…)」

久「(体が暑くなって…頭がぽーっとして…下半身に凄い熱が集まって…)」

久「(須賀君がそこを刺激して…)」

久「(きっと…今私の下の水着、凄いことになってるわ…は、恥ずかしくて言えないけど…)」カアッ

久「(仕方ない、わよね?)」

久「(こんな状況想定外なのよ…)」

久「(ごめん須賀君、少し…だけ…)」


ギュッ



久「(とりあえず…須賀君の首に手をまわして抱きついてしまったわ……)」

久「(そんなつもりはなかったのよ…)」

久「(…でも温かい…)」

久「(実際はすごく暑いわ、この狭い空間で水が止まっちゃったから…)」

久「(でも須賀君に抱きついてると…なんか…ポカポカする…)」

久「(……)」

久「(今気がついたんだけど…)」

久「(須賀君に抱きつくためには体勢からして首に抱きつくしかなかったんだけど…)」

久「(これって…須賀君の顔を自分で押しつけてることになるわよね…)」カアッ

久「(わ、私ただの変態じゃない!)」

久「(い、いやでも須賀君が寝がえりを打たないように自制できるから、さっきより安定するわよね…)」

久「(…)」

久「(あんまり考えたくなかったんだけど…)」

久「(水着がべとべとして気持悪いわ…)」

久「(でもそれ以上に…)」

久「(刺激が足りないって思ってるなんて…)」

久「(私、ついに痴女になり下がったのかしら…うう…)」

久「(私彼氏なんていたことなし、自分でしたこともないけど、知識ではさすがに知ってるわ…)」

久「(…体が疼いて…)」

久「(須賀君のことを考えるだけで胸がドキドキして…)」

久「(その度に須賀君の顔を自分に押しつけたくなる…)」

久「(う…//ホントにどうしちゃったの私…)」カアーッ

久「(……)」

久「(……一回だけ)」

久「(一回だけ…)」

久「(いっか…って何言ってるの私!)」

久「(何!?この暑さでついに頭がやられたの?!)」

久「もう!しっかりしなさいよ!私!」グッ

京太郎「ん…?」

久「え?」

京太郎「いてて…あれ、ここはどこだ?」

久「」



― 一方 ―

三尋木「今頃あの部長さんはうまくやってるかねい~」

三尋木「そういやあのスライダー直ったかなー?」

三尋木「ま、知らんけど」

三尋木「(そう言えば看板外すのも係員の交代をお願いするのも忘れてたねえー)」

三尋木「……」

三尋木「うーん、暇だから小鍛冶プロまたいじって遊ぶかな~♪」


ピポパ

三尋木「……」

三尋木「あ、小鍛冶プロ~?今暇かい?」

すこやん「ええ…福与プロに頼まれたお仕事も終わったので今は家でのんびりしてるけど……」

三尋木「りょーかーい!んじゃ今から家に行くから待っててねい~♪」

すこやん「え?!ちょ、ちょっと三尋木プロ!?」


ツーッツーッツーッ

すこやん「もう…こーこちゃんも三尋木プロも皆勝手だよね…」

すこやん「ってあの人なんで私の家知ってるの!?」



―スライダー内―

久「(須賀君起こしちゃった…)」サーッ

京太郎「ん…?」

京太郎「なんかやわらかい感触が…てか…目の前…がよく見えないな…」

久「(まだ状況を把握しきれてないみたいね…黙っておきましょう…)」

京太郎「ていうか動けねえ…しかもすっげえ暑い…そうかここはスライダーの中だ…」

京太郎「だんだん思いだしてきたぞ…確か…」

京太郎「スライダーに乗ってて…水が流れなくなって…」

京太郎「それでなんとか自力脱出しようとして…」

京太郎「それで…えっと…そうだ部長声が聞こえたと思ったら…もうその後の記憶がない…」

京太郎「あれ?じゃあ部長は?」

久「」ビクッ

京太郎「お…なんか動いたぞ…それにだんだん目が慣れてきた…」

京太郎「ってこれは足?!っていうか部長目の前にいますよね!?」

久「あ、あははー」

京太郎「なんですぐに言ってくれなかったんですか!」

久「い、いや~ごめんね?その…」

久「状況が、状況、だし…」

久「その…」

久「今どうなってるか分からないの…?」カーッ

京太郎「…そういえばさっきからこの頭にやわらかい感触が…」

京太郎「……」

京太郎「…把握しました」

久「飲みこみが早くて助かるわ…」カアーッ


京太郎「(…おいおいうそだろ…)」

京太郎「(ありえないだろ…部長の…ま、またに挟まれて身動きとれないとか…)」

京太郎「(さっきの和のときと…言うなれば逆の状態か…)」

京太郎「(くそっ!さっきと違って今度は本当に動けないし…)」

京太郎「あの……部長?」

久「っん…(やば…)な、何かしら?」

京太郎「何個か質問していいですか?」

久「い、いいわよ…(す、須賀君の息が…)」

京太郎「まずなんで部長はここにいるんですか?俺まだ出てないから部長はスライダーに乗ってないはずじゃ…」

久「っ…み…三尋木プロに無理やり滑らされたの…須賀君と一緒よ…(あんまりしゃべらないで…!)」

京太郎「ええと…部長大丈夫ですか?さっきからその…なんか苦しそうじゃないですか」

久「んっ、ん…(須賀君…わざとやってるんじゃないでしょうね…)」

久「あの、あのね…すが、君…?」

久「あんまり…しゃべら、ないでくれ、ないかしら…」

久「すがくんの…息が…私の…その…」

久「…に当たってるから…」ボソッ

京太郎「え?」

久「!だから!この体勢!須賀君がしゃべる!息が当たる!」

京太郎「(あ…)」

久「分かった…?女の子にそんなこと言わせないでよね…//」

京太郎「す、すいません…できるだけ下向いてしゃべります…」

京太郎「あと…それ絡みでもう一つなんですけど…」

京太郎「パレオはどうしたんですか?」

久「ああ…須賀君にぶつかっちゃったときに向こうに飛んでいちゃったのよ」

久「取りに行くにも身動きが取れないからどうしようもないわ(そのせいで死ぬほど恥ずかしいんだけど…))」

京太郎「なるほど…」

京太郎「(…)」

京太郎「(パレオなし…予想通りというか…なんというか…大胆な水着だ…)」

京太郎「そ、その大胆な水着ですね」

久「!わ、わざわざこんなところで言わないでよ…それより…ごめんね…?汚いというか…その…変な状態で動けなくしてしまって…」

京太郎「(いや…こんな状態で束縛なんて…むしろ嬉しい…いや何もできないから一周して地獄か…)」

京太郎「でも…その水着良く似合ってますよ、部長」

久「!そんな状態で言われても嬉しくないわよ!(うう…また水着が…)」

京太郎「あはは…すいません…」

久「もう…」



― 一方 ―


ピンポーン!

すこやん「はーい!今開けるからちょっと」


ガチャ

三尋木「おう~小鍛冶プロー来たよ~」

すこやん「え?!なんで今開いたの!?鍵しまってたよね?!」

三尋木「もう~また小鍛冶・アラフォー・プロは細かいんだから~」

すこやん「いやいや限度があるよね?!っていうか何その変なミドルネームは!?」

三尋木「いや~小鍛冶プロにも二つ名がほしいと思ってねい~今いろんなところでこの名前広めてるんだよ~?」

すこやん「何広めてくれてるの?!金輪際やめて!!それにアラサーだよ!!って何度言わせるの??」ハアハア

三尋木「もう~そんなに怒ったら疲れちゃうぜ~すこやん~?」

三尋木「分かったよーこれからは小鍛冶・アラサー・プロで広めとくからさあ~」

すこやん「それもなんかやだ!ていうかその名前にするメリットはあるの?!」
     ・
     ・
     ・
     ・
三尋木「ふ~やっと落ち着いたかい~小鍛冶プロ~?」

すこやん「まったく…ホントに誰のせいだと思ってるか分かってるの…」ブツブツ

すこやん「みんなして私をいじめるんだから…」ブツブツ

三尋木「いや~ごめんごめん。機嫌なおしてよ~すこやん~」

すこやん「…すこやんでも小鍛冶プロでもいいけど、呼び方統一してくれないかな?」

すこやん「なんか変な違和感があるから…」

三尋木「ん~じゃあすこやんで~これでいいかい?」

すこやん「まあ、いいよ…」

すこやん「あ、遅くなりましたけど、バイトお疲れさまです。わざわざ代わっていただいて、ありがとうございいました」

三尋木「お~い?私とすこやんの仲だろ~?気にすんなって!バイト代は全部もらっとくからさ!」

すこやん「なんですか、私たちの仲って…ってがめつい!?お金もちなのになんでそんなにがめついの?!」



―スライダー内―
     
京太郎「(…あれから20分ぐらいか…)」

京太郎「(まったく助けがくる気配も復旧する気配もない…)」

京太郎「(というか…割と、俺が限界だ…)」

京太郎「(キスの時も…思ったけど…)」

京太郎「(…部長の体って…ホントにエロいんだよな…)」

京太郎「(狭い空間に二人きりで閉じ込められて…しかも…部長はこんな扇情的な格好をしてて…)」

京太郎「(その上に目の前に…部長の…顔は足で挟まれてて…パレオもなくなってるし…)」

京太郎「(…しかも今日は流れるプールで和とトラブルがあったし…)」

京太郎「(ほんとに、もう、限界…だ)」クラッ


久「(もうあれから20分ぐらいかしら…)」

久「(三尋木プロのせいよ…全部…)」

久「(もう…この格好にはだいぶ慣れたけど…)」

久「(やっぱり変な気持ちになっちゃうわ…)」

久「(でも…須賀君は私に何もしてこないわね…)」

久「(普通こういう状況になったら男の子は我慢できなくなるものだと思ってたんだけど…)」

久「(須賀君、は大丈夫…よね?)」

久「(さっきから会話なくてきまずいわ…)」

久「(うーん…ちょっと須賀君をからかってみようかしら…なんか恥ずかしい目にあってばかりだし)」クスッ


京太郎「(…って!何考えてるんだ俺は…)」

京太郎「(ここで俺が問題を起こしたら…全国出場がなくなるかもしれないんだぞ?)」

京太郎「(皆のための慰安企画が台無しどころじゃすまないんだ…)」

京太郎「(ここは我慢だろ…!助けがくるまで耐えるんだ…)」

京太郎「(でも…やっぱり…部長の…ホントエロいな…)」

久「ねえ?須賀君?」

京太郎「は、はい。なんですか?(やべっ…普通にしてなきゃ…)」

久「須賀君ってもしかして男の人が好きとか?」

京太郎「え…?それは…どういう…」

久「いや~須賀君って本当はもしかして女の子に興味ないのかなって思って」ニヤニヤ

京太郎「……」

久「まあ、私に魅力がないだけか~なんてね」アハハ

京太郎「……」

久「ま、まあそうじゃない男の子もいるって話よね~」

京太郎「…」

久「す、須賀君?」

京太郎「…どういうつもりですか…部長…」

京太郎「俺は…俺は…」

久「(あ、あら?)」

京太郎「…みんなのためを思って…」

久「(な、なんか地雷踏んだかしら…?)」

京太郎「…部長、さっきのは本気で言ってるんですか…?」

京太郎「俺が女の子に興味がないとか、部長に魅力がないとか…」

久「す、須賀君…えっとね?あの…」

京太郎「部長は普段から、俺が我慢してきてるか知ってますか…?」

京太郎「ただでさえ普段から女の子に囲まれてる環境で…」

京太郎「優希は俺を同性の友達みたいにベタベタしてくるし…」

京太郎「まだ優希はいいとしても部長なんかしばしば寝起きなんかははだけた服装でベッドから起きてきますよね?」

京太郎「和の胸だってやっぱり男の俺には凄い目につきます」

京太郎「咲だって…今日になって今更気付きましたけどすごい可愛い女の子です」

京太郎「そんな中で…俺は…」

久「あ、あのね…須賀君…違うの…これは…」

京太郎「俺、麻雀弱いですし、それで馬鹿にされるのは全然構わないんです」

京太郎「雑用だって皆のためになると思って頑張ってきました」

京太郎「今日だって…もちろん皆の水着を見れたのは嬉しかったですけど、純粋に皆が喜んでくれればと思って企画しました」

京太郎「今だってこんな状況になってますけど…皆の全国出場がかかってるから自制してきました」

京太郎「なのに…どうして部長はそんなこと言うんですか…?」

京太郎「さっき部長言ってましたよね?」

京太郎「『女の子にこんなこと言わせないで』って…」

京太郎「こんな言い方は変かもしれないですけど…」

京太郎「俺だって男なんですよ…?」

久「(やばっ…完全に思い違いというかすれ違ってたわ…)」

久「(というか…まったくもって須賀君の言うとおりだったわ…)」

久「(今の状態であんなこと言ったら私が誘ったことになるのよね…)」

京太郎「部長、俺分かってるんです」

京太郎「きっと、さっきのは気まずくなった空気をなんとかしようと部長が冗談を言ってくれたんだって」

京太郎「頭では分かってるんですけど…体が言うことを聞いてくれません」

京太郎「もう…限界なんですよ…?」

久「(あー)」

久「(私完全にやってしまったみたいね…)」

久「(火に油を注いじゃった状態ね…)」

久「(というか…須賀君が私たちのために一生懸命自制してくれてたのに私は…)」

久「(こんな私が須賀君のこと好きになる資格なんてないわよね…)」

久「(…)」

久「(私が須賀君のためにできることは…)」

久「(…)」


久「…いいわよ」

京太郎「え?」

久「だから、好きにしていいわ。私のこと」

久「スライダーを待ってるときは冗談で言ったけど、今度は本気」

久「分かりにくかったら、さっきみたいに言った方がいいかしら?」

久「…須賀君…私のカラダ…好きにしても…いいのよ?」



― 小鍛冶家 ―

三尋木「いや~でもあのカップルのちゅーはあつかったねえい~」

すこやん「そ、そうですね…//多少強引でしたが、いいものが見れたかな…」

三尋木「でしょ~私はもっと褒められてもいいと思うぜ~?」ニヤニヤ

すこやん「三尋木プロってホントこーこちゃんかって思う時あるよ…」

三尋木「ん~?それってどういう意味だい~?」ニヤニヤ

すこやん「まさにそういうとこだよ…」ハア

三尋木「あはは~ね~それよりさー聞いてくれよーすこやんー」

すこやん「どうしたんですか?」

三尋木「実はさ~あのあと、すこやんとバイト代わったあとなんだけど~」

すこやん「そのあとどうしたんですか?」

三尋木「いや~なんかスライダーの水が止まっちゃってさあー」

すこやん「ああ…そういえばあのプール頻繁にトラブルが起こるって有名らしいですね…」

三尋木「へ~まあ知らんけど。それで大変だったんだよ~」

すこやん「それで、どう対処したんですか?」

三尋木「へ?」

すこやん「だから、壊れたんでしょ?どう対処したの?」

三尋木「ん~とりあえず水を流すためにそこらへんのポンプ適当にいじったよ~」

すこやん「適当って…それで直ったの?」

三尋木「実はそこなんだよねいーなんか知らんけど、ポンプが壊れちゃってね~」

すこやん「…え?(何か嫌な予感が…)」

すこやん「えっと…じゃあ責任者の人とか呼んで直してもらったとか…ですか?」

三尋木「んー」

すこやん「え?」

三尋木「いや、知らんけど」

すこやん「はい?」

三尋木「んーまだ分かんねー」

すこやん「ちょっと…真面目に…」

三尋木「いや、知らんし。」

すこやん「いい加減に…」

三尋木「分っかんねー!すべてが分っかんねー!」

すこやん「…三尋木プロ?」ゴゴゴゴゴゴ

三尋木「あはは~ごめんごめん。まあ最後の二人だったから、たぶん大丈夫だってー」

すこやん「…ならいいですけど…でもたぶんそれあとでばれて三尋木プロのお給料カットですよ?」

三尋木「んーたぶんそれは大丈夫だぜい~」

すこやん「?どうしてですか?」

三尋木「だってすこやんのタイムカードで帰ったし~?」

すこやん「え?」

すこやん「聞き間違いだと思うのでもう一回聞きますけど…」

すこやん「…タイムカードがなんですか?」

三尋木「だから~すこやんのタイムカード借りたんだよ~」


すこやん「」

すこやん「」

三尋木「?」

三尋木「おーい?」

三尋木「小鍛治プロー?」

三尋木「…」

三尋木「アラフォープロ」ボソッ

すこやん「アラサーだよ!って」

すこやん「何してくれてるの??!!」

すこやん「は、早く連絡しないと…」

三尋木「おいおい~そんなにお給料がほしいのかい~」

すこやん「」イラッ

三尋木「じょ、冗談だってばーあはは…」



―スライダー内―

京太郎「ぶ、部長?」

久「だから、須賀君がしたいようにしていいわ」

久「状況としてはほとんど変わらないから言わなかったけど…」

久「一応須賀君その位置から頑張って動けば私の顔の位置までは頭持って来れるわよね?」

久「(完全に押し倒された状態になるけど…でもこういうときは…こんなもの…よね?)」

京太郎「い、いいんですか?部長?」

久「(どうせなら初めては好きな人と…いやそれはたぶん叶ってる?のかしら?じゃあ両想いでしたかったけど…)」

久「何度も言わせないでくれる?」

久「それとも…須賀君はいちいちいやらしい誘い方しないと動けないの?」

久「…須賀君の溜めこんできたモノ…全部私にぶつけて…?」

京太郎「…っ!」ムラッ

京太郎「ぶ、部長!」ドサッ

久「(…これでいいわよね…)」

久「(あ…須賀君の顔が眼の前に…完全に押し倒された形になったわね…)」

京太郎「部長!」ギュッ

久「あ…(須賀君に抱きしめられちゃった…)」

久「(さっきは首に抱きついただけだったけど…こんどは全身で…)」

久「(須賀君の鼓動が伝わってくる…でも私の緊張も伝わってるのよね)」ドキドキ

久「(不本意だったけど…正直すごく嬉しいわ…)」

京太郎「(す、すげー…部長の体マジで柔らけ~…)」

京太郎「(あんなにスタイルいいのに…抱きしめてみると華奢で…)

京太郎「(正直興奮がおさまらないぞ…)」ハアハア

京太郎「(そして目の前には部長の顔が…)」

京太郎「(き、キスしてもいいんだろうか…)」ドキドキ

京太郎「あ…あの…部長…?」

久「な、何かしら須賀君」ドキドキ

京太郎「さっきは鼻と鼻でしたけど…今度は…その…」

京太郎「部長の…その…口に…」

久「(あ…とうとう須賀君にキスされるのね…私の…ファーストキスか…)」

久「(あまりこだわりはないつもりだったけど…やっぱり緊張するわね…)」ドキドキ

久「(というか…どうせこんな状態なんだし…もっと甘えてもいいわよね…?))」

久「(さっきできなかったんだし…)」ドキドキ

久「…」ギュッ

京太郎「(え…?部長から抱きついてきた…?!)」

久「ねえ…須賀君…?さっきみたいにしてくれない…?」

京太郎「え…?」

久「だから…さっきみたいにしてほしいの…その…鼻と鼻でしたときみたいに…」

久「せっかくキスするんだから、さっきみたいに私に甘い言葉言って…?」

京太郎「(うわ…この人誰だってくらい可愛いぞ…)」

久「分かってるの…さっきだって三尋木プロにばれないようにするために、わざわざ本心にもないこと言ってくれたのよね?」

京太郎「(え…?)」

久「それでもいいわ…一応、私もこういうことするの初めてだから…その…ムードがほしいなって…」

京太郎「…」

京太郎「なんか部長勘違いしてませんか?」

久「へ…?」

京太郎「確かに…三尋木プロにばれないようにあの場でああ言ったことを口にしましたけど…」

京太郎「あの場で言ったことで一つも本心じゃなかったことはないですよ?」

京太郎「部長の髪本当に綺麗だし…」

京太郎「とってもいいにおいがしますし…」

京太郎「それに肌も…今くっついてますからさらに実感してますけど肌もすべすべで…」

京太郎「さっきだって危うくキスしそうになりましたからね」

京太郎「って部長?」

久「……」

京太郎「部長?どうしたんですか?」

久「あ、あのね…須賀君…」

久「ちょっと、向こうむいててくれない…?」

京太郎「?いいですけど…(ずっと正対しててちょっと疲れたのかな?)」

久「(須賀君が…私のことそんな風に見てくれてたなんて…)」カーッ

久「(…だめ…私今すっごい顔にやけてるわ…)」

久「(こんな恥ずかしい顔部長として見せられない…)」

久「(ずるいわ…須賀君…こんなときに…そんなこと言うなんて…//)」

京太郎「あの…部長…そろそろ…」

久「!え、ええ。いいわよ」

京太郎「じゃあ…」

久「…」ギュッ

京太郎「(自分から抱きついてくる部長…可愛いな…)」


京太郎「部長…可愛いですよ…」

京太郎「俺…もう自分を抑えられません…」

久「あう…う…//」

京太郎「さっきは返事もらえませんでしたけど…部長は俺とキスするの嫌ですか…?」

久「い、いやじゃない…わ…」ボソボソ

京太郎「じゃあ…」

久「あ…」


チュッ

京太郎「(部長のくちびる…柔らかかったな…)」

久「………」

京太郎「部長?」

久「…い」ボソボソ

久「だから!…もう一回!」

久「今度はもっと…激しくして?」


久「(…好きな人とのキスがこんなに気持ちいいなんて…)」

久「(咲や和、優希には悪いことしてる…わよね…)」

久「(でも…私だって…)」

京太郎「部長…」ギュッ

久「須賀君…大好き…」ギュッ

京太郎「……え?」

久「あ…」

京太郎「……!部長!」グッ

京太郎「(部長の口の中…すごい…すげー気持いぞ…)」チュッチュパッ

久「んっ…ん…ん…(こ、これがディープキス?!い、意識が飛びそうだわ…)」ジュル

京太郎「(……止まらない…!)」ジュルチュパッ

久「んっんっ…(須賀君…激しいわ…)」ジュルチュッ

京太郎「ぷはっ…す、すいません…俺…夢中になりすぎました…」

久「い、いいわ…」ドキドキ

久「ちょっと…抱きしめてくれる…?」

京太郎「あ、はい…」ギュッ



― 小鍛治家 ―

三尋木「ん~連絡するのもいいけどさあ~せっかくだから直接謝りにいかね~?」

三尋木「(あの二人がどうなったのかも気になるしねい~)」ニヤニヤ

すこやん「いや…そこまではしないよ…とりあえず電話を…」

三尋木「いやいや!電話じゃ誠意が伝わらんって!こういうのは直接謝るべきだと思うぜい?」

すこやん「いやとりあえず連絡を…ってなんで三尋木プロにそんなこと言われなきゃいけないの?!」

すこやん「そもそも三尋木プロのせいなんだよ?!………ケンカしてる場合じゃないよね…」

すこやん「ええと…確か…この辺に連絡先書いてあったよね…」

すこやん「あったあった。じゃあちょっと電話してくるから、三尋木プロは部屋で待ってて」
     ・
     ・
     ・
     ・
すこやん「(ちゃんと謝れば大丈夫だよね…)」


プルルルルルプルルルル

従業員「はい」

すこやん「あ、もしもし…先ほど福与さんの代理でバイトに入った小鍛治ですが…」

従業員「はい…少々お待ちください…」

すこやん「…」ドキドキ

従業員「はい、確認が取れました。確かに福与さんの代理で小鍛治健夜さんが入ってますね(え…小鍛治健夜…?)」

従業員「も、もう担当の時間は終わってますが…どういった要件でしょうか」

すこやん「(タイムカードのこととかお給料のこととかいっぱい言いたいことはあるけど…)」

すこやん「(とりあえず先にスライダーの故障のこと言わないとだよね…)」

すこやん「あ、あの…」


ヒョイ

すこやん「実は…ってあれ?」

三尋木「あーもしもしー?突然だけど独身ってどう思う~?」

従業員「は…?」

三尋木「だ・か・ら!独身ってどう思うって聞いてるんだよね~」

従業員「きゅ、急にどうしたんですか?ご用件のほうは…(この声…しゃべり方……どこかで聞いたことがあるような…)」

三尋木「え~もしかして従業員さん結婚してないの?もしかしてもう婚期過ぎちゃった~?」

三尋木「(あれーこの人の声どこかで聞いたことあるなー)」

従業員「ムッ…い、いや、私は結婚してますけど……それに私は22ですし…じゃなくて!ご用件があったんじゃないんですか?」

三尋木「そっか~22で結婚済みか~早いね~(あーこの声思いだしたーなんでこんなところで働いてるんかな~どうでもいいけど~)」

すこやん「!?」

三尋木「ん~じゃあアラフォーってどう思う?」

従業員「はい?」

三尋木「だから~従業員さん若いじゃん~?アラフォーの人で結婚できなかった人ってどう思う~?」

従業員「…少し難しいかもしれませんね…その人の性質によりますけど…(何私普通に会話してるんだ?)」

三尋木「やっぱそうだよね~婚期逃しちゃうときびしーよねー」

三尋木「だって小鍛治プロー」ニヤニヤ

従業員「(えっ…?小鍛治『プロ』??)」


すこやん「~~~~~!ちょっと!早く貸して!」

三尋木「ん~どうしよっかな~」

すこやん「いいから!早く!」

三尋木「しゃーねーなーはいよ~」ヒョイ

すこやん「!お、お電話代わりました…小鍛冶です…すいません…先程は…」ハアハア

従業員「い、いえ…」

従業員「……(この声…間違いない…インターハイで私の精神をボロボロにした小鍛冶さんだ…)」

従業員「(確か小鍛治さんは独身で…そのことを気にしてるとか…)」

従業員「………」

従業員「…が、頑張ってくださいね…」

すこやん「え?」

従業員「その…アラフォーだと厳しいかもしれないですけど…まだ間にあいますから…たぶん…」

すこやん「…」

すこやん「」プツッ

すこやん「あっ」

三尋木「あれ~電話切っちゃったの~?小鍛治プロ~」ニヤニヤ

三尋木「これはもう電話できないね~知らんけど~」

三尋木「直接謝りに行くっきゃなくね~まあ私暇だし着いて行こーかー?」ニヤニヤ

すこやん「」

すこやん「」

三尋木「あーすこやん気絶してる~」

三尋木「まあ、勝手に車に乗せて行くかーそのうち起きるっしょ~」

三尋木「(さあ~あの二人がどうなってるか楽しみだねい~♪)」
     ・
     ・
従業員「何やってるんだ私は……こんなせこい仕返しを…しかも人のことは言えないっていう…」

従業員「(ひどい罪悪感と空虚な気持ち……)」ズーン

従業員「(まあ…まだ…全然間に合う、よな?)」

同僚「どうかしたのー?晴絵?そんなに暗い顔して?」

従業員「いや…なんでもないよ…」



―スライダー内―

京太郎「ぶ、部長…?」

京太郎「い…今のは…」

久「(わわわわわわわ、わたし、何言ってるの!?)」

久「(須賀君と抱き合ってるのが気持ちよくてつい本音が…)」

久「(って本音じゃない!本音じゃないわ!…いや本音だけど)」

京太郎「(ぶ、部長が俺のこと…!?)」

京太郎「(いやいや…そ、そんな馬鹿な…)」

京太郎「(聞き間違いだ!そうに決まってる!そんなうぬぼれありえません!)」

久「い、いやースキー!スキーに行きたいなって思ってねー(何この言い訳?!咲じゃあるまいし…)」

京太郎「そ、そうですよね!長野はスキーの名所ですもんね(なんだこの返し…それに今夏だぞ!?)」

久「こ、今度一緒にいかない?スガクーン?(棒)」

京太郎「い、いいですねーまたみんなで行きましょうかー(棒)」

久「…」

京太郎「…」

京太郎「ぶ、ぶちょ…」

久「…た?」

京太郎「え?」

久「…引いた?」

京太郎「いや…その…(引くというかそれ以前に驚いたというか…)」

久「隠さなくていいわ。どん引きよね?」

京太郎「いや…そんなこと…(っていうか部長ホントに俺のこと…)」

久「…そうよね…意味分からないわよね…」

久「普段からあんなにこき使って」

久「ほとんど練習もさせてあげないような部長だし…」

京太郎「(自覚はあったのか…)」

久「なのにこんな都合のいいときに都合のいいこと言うなんて…」

久「ホント…最悪…よね…」

京太郎「部長…」

京太郎「(う、嘘みたいだ…こんな…こんな綺麗で聡明な人が…)」

京太郎「(咲みたいに麻雀も強くなくて和みたいに頭もよくない俺を…)」

京太郎「(…好き、だなんて…)」

京太郎「(信じられない…けど…ダメだ…目をそらしちゃ…)」

京太郎「(どういう形で告白されようと…ちゃんと向き合うべきなんだ…!)」

京太郎「(たとえどんな天の上にいるような人でも…)」


久「……」ポロポロ

京太郎「部長…!?」

京太郎「ど、どうしたんですか?大丈夫ですか?」

久「ご、ごめんなさい」ゴシゴシ

久「あまりに情けなくて…恥ずかしくて…」

久「勝手に告白しておいて泣きだすなんて…」

久「どんだけめんどくさい女なのよって感じよね…あはは」

久「恥ずかしいついでだからもう一つ言っちゃうけどね…聞いてくれる?」

京太郎「は、はい…聞きます…」

久「さっき相談したこと…というか一方的に語っただけだけど…」

久「そんな風にじゃれあえるほど仲のいい、友達が欲しかったなあって言ったわよね?」

京太郎「は、はい…」

久「分かってるの…」

久「そんなの全部自分が悪いんだって…」

久「私仲がいい人ができても、どうしても素直になれなくてね」

久「どうしてもつい一歩距離を置いちゃうの…」

久「私いつもみんなのことからかったりするわよね?」

久「それはそのたぶん典型例…」

久「相手との距離感のつかみ方が分からなくて、つい軽口叩いちゃうのよ…」

久「須賀君は私のこと周りを冷静に見て的確な判断を下せるって褒めてくれたけど…」

久「それは違うわ。ただすべての物事から一歩引いてしまってるだけ…」

久「でもそれは学生議会長の仕事でも麻雀をしてるときも役に立ってたから…」

久「それでいいかって思ってた…」

久「でも三年生になって男の子の後輩が入ってきて…」

久「私こんなに近しい男の子ができたのって初めてで…」

久「…ふふあとは言わなくても分かるわよね?」

久「結局…こんな素直じゃない私のことを本当に理解してくれてるのはまこだけ…」

久「ふう…分かったかしら?」

久「私はこんな女なのよ。幻滅した?」

久「これが…皆から慕われてるはずの学生議会長で皆を引っ張っていくはずの部長の正体よ」

久「須賀君に…好きな人に正面から向き合うことのできない卑怯な女よ」ポロポロ

久「こんな私が…須賀君のことを好きになる資格なんてない…」ポロポロ


京太郎「部長…」

京太郎「(俺は…)」

京太郎「(俺は部長になんてひどいことを…)」

京太郎「(何が『部長は今のままでいいんです』だ…?)」

京太郎「(部長は…こんなに今の自分のことを悩んでたのに…)」

京太郎「(部長の悩みを解決してあげたからって思いこんで調子に乗って)」

京太郎「(何が慰安企画だ…何が親身に相談に乗ってくれる後輩だ…)」

京太郎「(部長は…天の上にいる人、だなんて勝手に勘違いしてたけど…)」

京太郎「(根は…心の底の底は…普通の女の子なんだ…)」

京太郎「(…部長)」

京太郎「(……なんでこんなに部長のことを愛しく思うんだろう…)」

京太郎「(急に可愛くなったとか、好きになったとか、ぞんなんじゃない…)」

京太郎「(きっと部長の心の奥底…弱い部分に触れたから…)」

京太郎「(だからこんなにも守ってあげたいと思うんだ…)」


京太郎「部長…」ギュッ

久「…須賀君?どうしたの…?」

久「同情ならいらないわ…」

京太郎「俺…さっき部長にからかわれたとき『部長は十分魅力的です!俺にはもったいないくらいですよ!』って言いましたよね…?」

久「ええ…」

京太郎「そんな…そんな部長に釣り合わないような俺で…いいんですか…?」

久「え…?」

京太郎「ですから…これから…俺が部長のそばにいていいですか…?」

久「えっ…す、須賀君、それはどういう…(え?ち、違うわよね…?そんな…須賀君が)」

京太郎「ふふ…部長って頭いいのに…ってこれは禁句ですね」

京太郎「じゃあ誰でも分かるようにいいますね」

京太郎「部長…俺、部長のことが好きみたいです」

京太郎「こんな俺でよかったら…付き合ってくれませんか?」



―プールサイド―

まこ「ん~寝すぎたの~今何時じゃ…」

まこ「もうすぐ4時か…ちょっと寝すぎたの…」

咲「」スースー

和「zzz…」

優希「…zz…zz」

まこ「みんなまだ寝とるの、さすがに起こそうかのう」

まこ「ここは…家でこっそり作ったこのワカメはりせんの出番じゃな…」ゴソゴソ

まこ「(神経を頭髪に集中させて…)」グググ

まこ「はああああああ~」

まこ「混!」バシッ

咲「わっ!」

まこ「一!」バシッ

和「はっ!」

まこ「色!」バシッ

優希「じぇっ!?」

まこ「ふう~皆やっと起きたのう(はりせんは…隠しとくかの…)」サッ

咲「あ…もうこんな時間だ…ちょっと寝すぎちゃったよう…」

和「そうですね…でも企画の本筋にはそれてませんから、問題はないと思いますよ」

優希「じぇー…もっと探検とかすればよかったじぇ…」

和「あら…なんだかほのかに潮の香りがするような…」

咲「ホントだ!あれ、今日来たのって海だっけ?」

優希「ん~確かに言われてみれば…一体これは何の匂いだじぇ?」

まこ「(ギクッ)た、たぶん塩素の匂いじゃないかの。撒きなおして匂いが強くなったのかもしれんしの」

和「そうかもしれませんね。ところで部長と須賀君はまだ帰ってきてないんですか?」

咲「あれ、確かスライダーに行ったんだよね?…スライダー…」ブルブル

優希「咲ちゃん、あのスライダーそんなに怖くないじぇ!魔王なんてこの世にいないじぇ!」

和「そうですよ、宮永さん。そんなオカルトありえません」

咲「そうかなあ…じゃあ今から行ってみようかな…」

優希「今日はもう無理だじぇーさっき行ったら看板がかかってもう滑れなかったじぇー」

まこ「そうなんか…じゃああの二人はどこにおるんじゃ?」

和「そうですね…ちょっと気になりますね」

まこ「いっぺん放送で呼んでもらうかの…二人には悪いけどの…」

咲「私は呼ばれ慣れてるから分かるけど、あれってすっごく恥ずかしいんだよね…」

まこ「そんなこと言っとる場合じゃないじゃろ」

まこ「和、一緒に来てくれるかの?」

和「分かりました」

まこ「咲と優希はここで待機しとってくれ」

咲「わ、分かりました」

優希「了解だじぇー!」



―車内―

すこやん「あれ…ここは…?」

三尋木「お~やっと起きたかー」

すこやん「あれ…ここは車の中…なんで…」

三尋木「ん~もうすぐ着くよ~」

すこやん「着くって…どこにですか?」

三尋木「あれ~忘れちゃったのーすこやん~?プールに直接謝りにいくんだよ~?」ヘラヘラ

すこやん「へ…?プール…?」

すこやん「あ…確か私…電話かけて…それで三尋木プロに電話取られて…」

すこやん「電話返してもらったと思ったら従業員の人に馬鹿にされて…」サーッ

すこやん「ちょっと!三尋木プロ!あなた何したか分かってるんですか!?」

すこやん「もうこれは私だけの問題じゃないんですよ!?どう責任をとるつもりですか?」

三尋木「悪かったって~まあ、よくね?こうして謝りに行くわけだし~?」

すこやん「」プチッ

すこやん「三尋木プロ?どういうつもりですか?」

すこやん「私だけの問題なら別にかまいませんが、これはそういう問題じゃなんですよ?」

三尋木「…ん~」

三尋木「一つだけ言えるのは、すこやんにも損はさせない、ただそれだけ~知らんけど」

三尋木「まあ、行ってみれば分かるんじゃね~」

すこやん「(……こーこちゃんに似てるけど、こーこちゃんと違って考えは読めない…)」

すこやん「(いいでしょう。もうどうせ怒られるんですし、最後まで付き合いましょう)」

すこやん「(うう…お給料欲しかったなあ…)」



―スライダー内―

京太郎「部長…返事を聞かせてもらえますか?」

久「…なんで?」

京太郎「はい?」

久「…なんでそんな情けない話を聞いた後に…」

久「私と付き合いたいって思えるの?」

久「今言ってるのは建前よ…」

久「…本音ではこう思ってる」

久「嬉しい、って…」

久「でもその建前の理由も私は知りたいの。そんなめんどくさい女なの」

久「だから…教えてくれないかしら…その理由を…」


京太郎「…情けない話を聞いたから、ですよ…」

久「え…?」

京太郎「これまで俺は部長が完璧に近いような人間だと思ってました…」

京太郎「成績は優秀、美人で、たまに意地悪だけど優しくて、麻雀も強くて、皆からの信頼も厚くて…」

京太郎「そんな雲の上にいるような人だと思ってました」

京太郎「でもホントはそうじゃなくて…」

京太郎「誰でも持ってる女の子な部分があるって分かって…」

京太郎「それを知ったとき、凄く部長が愛しくなって…」

京太郎「守ってあげたいなって思ったんです」

京太郎「だから…これから俺が先輩のそばにいていいですか?」

京太郎「俺のそばでは…偽りない、飾りない、素直な部長でいて欲しいんで…」

久「…」

京太郎「…部長?」

久「…私めんどくさいわよ…」

京太郎「構いません」

久「…これまで通り、部活では須賀君をこき使うかもしれないわよ?」

京太郎「問題ないです。むしろそうしてください」

久「意外と嫉妬深いかもしれないわよ?優希がベタベタしたり、咲と仲良く帰ったりしたのを見たりしたら…」


京太郎「大丈夫です。俺が一番好きなのは、部長です」

久「っ…」

久「…久先輩」

京太郎「え?」

久「だから、久先輩。これから私のそばにいてくれるんでしょ?」

京太郎「は、はい」

久「だったらいつまででも部長なんて呼んでないで、名前で呼びなさいよ」

久「その…きょ、京太郎…くん//」カーッ

京太郎「…了解です!久先輩!」

久「ありがとう…ホントの私を見てくれて…」ボソッ
     ・
     ・
     ・
     ・
京太郎「あの…久先輩?」

久「ん、なあに?」

京太郎「なんでそんなにひっついてるんですか?」

久「気のせいじゃないかしら」

京太郎「そんなにひっつかれたら…その…助けもいつくるか分からないですし…」

久「いいわよ?だって私たち付き合ってるんでしょ?何の問題もないわ」

京太郎「なんか久先輩、いつも通りですね」

久「いいじゃない。それにしてもあなたチキンね」

久「じゃあ、誘ってあげる」

久「今度は本音と建前ごっちゃにして言うわよ」

久「…」

久「京太郎くん、私で気持ちよくなって…?」
     ・
     ・
     ・
     ・
京太郎「(部長の胸…すっげえ…)」

京太郎「(形がよくて…張りがあって…柔らかくて…手に吸い付いてくる…)」モニュモニュ

久「あ、んっ、そ、そんなに強く揉まないで…?」

京太郎「無理です。それに誘ったのは久先輩です」

京太郎「直接触ってもいいですか?」

久「…水着がやぶけないようにしてよ?」

京太郎「もちろんです」


スルスル

京太郎「(うわ…女の子の胸とか、実物は初めてだけど…)」

京太郎「(これってすげえ綺麗だよな…?)」

京太郎「和のがメロンだとしたら…部長のはリンゴってとこか…」

久「ちょっと?聞こえてるわよ…」

京太郎「(あ…やべっ…)」

久「…そんなに大きいほうがいい?」

久「私の胸…魅力ない?」

京太郎「ないわけないですっ!」モニュ

久「ふあ…んっあ…あん…」

京太郎「久先輩の声…エロいです…」

久「言わないで…恥ずかしいわ…」カーッ

京太郎「そんな顔されたらもう止まらないですっ!」モニュモニュ

久「い…いや…だめ…あっ、あんっ…」ビクビク

京太郎「舐めますね」チュパッ

久「んっあっ…や、やだあ…」ビクビク

京太郎「下も触っていいですよね?」

久「…や、優しくしてよ?…初めてなんだから…」


久「こうやって私のカラダを好きにいじれるのも…あなただけなんだからね?」

京太郎「…前から思ってましたけど久先輩が言うだけで普通のセリフも10倍ぐらいエロく聞こえるんですよね…」ハハ

久「ふーん…普段から私をそんな目でみてたんだ…」ジー

京太郎「い、いや、そういう意味じゃ…」アセアセ

久「…ふ~ん…じゃあ、私でその…したこともあるわけ?」

京太郎「えっと…その…(あるどころか…和と部長の日替わりだったぞ…)」

久「まあ、いいけど…じゃあ、今日は普段妄想してることをやらせてあげる」

久「階段での続きね…」グッ

京太郎「(俺の手をつかんでどこに持っていくつもりですかって…うわ…)」

久「ほら…ここ触って…ね?…確かめてみて…?」

久「(正直恥ずかしいけど…でも…須賀君に触ってほしい…)」

久「あっ…」ビクッ

京太郎「(部長のここ…水着はほとんど乾いてるはずなのに…すげえ湿ってる…)」

京太郎「久先輩…?」

久「な、何かしら?」

京太郎「女の子がこういうとき濡れるのは知ってるんですけど…ちょっと濡れすぎじゃないですか?」

久「!そういこと女の子に言わないの!」カーッ

久「仕方…ないでしょ…」

久「須賀君が気絶したときから…ずっと好きな人こんな体勢なのよ?」

久「私がぬ、濡れちゃカッコ悪い…?」

京太郎「……!そんなわけないです(部長超可愛い…!)」

京太郎「むしろ嬉しいですよ…ちょ、直接いきますよ…(水着をずらして…と)」クチュ

久「す、すがくっ…あっん…やあっ…だめ…そんな…あっ…」クチュクチュ

京太郎「(やべえ…部長の喘ぎ声…エロすぎる…こんな声出すなんて…)」

京太郎「(それに…凄い締め付けだ…こんなに濡れてるのに…)」クチュクチュ

久「あ、やっ…すが、く…ん…きもち…」ピクピク

京太郎「気持いいですか…?久先輩…?」

久「う、うん、わ、わたし、もう…」ピクピク

京太郎「…いいですよ…イってください…」クチュクチュ

久「(…ダメ…なんか…出ちゃう…!)~~~~~!」ビクンビクン

京太郎「久先輩…可愛いです…」チュッ

久「京太郎くん…大好き…」




― 一方 ―

三尋木「ん~着いたね~じゃあ行こうか~」

すこやん「あ~怒られるって分かってても落ち込むなあ…」

三尋木「元気だしなよ~すこやーん」ケラケラ

すこやん「もう突っ込む元気もないよ…」ハア

三尋木「あ~ここだね~」

コンコン

従業員「はい」

すこやん「あのー先ほど電話した小鍛治ですけど…」

従業員「はい、今開けます」


ガチャ

すこやん「こんにちは…さきほどの電話では…すいませんでした…」

すこやん「ほら三尋木プロも謝ってください」ヒソヒソ

すこやん「…三尋木プロ?」ヒソヒソ

従業員「あの…さっきからどうして独り言を…?(…ホントに小鍛治プロだ…実物は久しぶりに見た…)」

すこやん「えっ!」

すこやん「…み・ひ・ろ・ぎ・プロ~~~~!」

従業員「え、えと…」

すこやん「…す、すいません、なんでもないんです…(絶対許さないんだから!…ぐすん…)」

従業員「はあ…あ、申し遅れましたけど…私赤土といいます」

すこやん「あ、はい…あれ?他の従業員の方はいらっしゃらないんですか?」

従業員「ええ。ちょうど皆休憩に行ってしまって…」

すこやん「(え…それってここでのことを今はこの人が全部対処してるってこと…?)」

すこやん「(ちょっとそれはひどすぎるんじゃ…こんな体制設備に支障が出て当然だよ!)」

従業員「それより、お久しぶり…ですね。小鍛治さん」

すこやん「え…?(この人とどっかで会ったこと会ったっけ…)」

従業員「覚えてないですか?インターハイの準決勝であなたにボコボコにされた赤土晴絵ですよ」

すこやん「あかど…はるえ……思い出しました!赤土晴絵さんですね」

すこやん「高校時代に振り込んだ数少ない相手なので、よく覚えてます」

すこやん「(三尋木プロが言ってたのって…これかな?)」

すこやん「(確かに、久しぶりに対戦した人に会えるなんて…なんか嬉しいけど…でも許さないよ!)」

赤土「ははは…あの頃が懐かしいですね」

すこやん「そうだね!久しぶりに昔打った人と会えて嬉しいよ!…それはそれとして!」

すこやん「…ひどいよ…電話であんなこと言うなんて…それに赤土さんだって同じようなものじゃないですか…」グスグス

赤土「ご、ごめんなさい…つい」アセアセ

赤土「そ、それより今日はどうされたんですか?」

すこやん「は!そんなこと言ってる場合じゃなかった!実はですね…」




― スライダー最上階 ―

三尋木「ん~やっぱり壊れたままだねい…」

三尋木「もしかして二人はまだこの中とか~?」ヘラヘラ

三尋木「なんか聞こえないかな~?」キキミミ


「あんっ…やっ…だ、だめ…」


三尋木「……」

三尋木「……」

三尋木「ん~」

三尋木「こ、これは予想してなかったな~」

三尋木「でもさすが私の見込んだ二人だねいー」

三尋木「もうすることも終わったし帰るかー」



― 一方 ―

すこやん「…というわけなんですよ…」

赤土「なるほど…実は前にも同じようなことがあって…ご迷惑をおかけします…」

すこやん「そ、そんなことないよ!(お給料くれるならなんでもいいよ!)」

赤土「じゃあ臨時の給水ボタンがあるので、それ押してきますね」

すこやん「よろしくお願いします…」
     ・
     ・
コンコン

赤土「あれ…?また誰か…」

和「失礼します」

まこ「失礼するぞ」

赤土「あれ、君たち、ここに何のようかな?」

まこ「実は連れとはぐれてしまっての…アナウンスで呼びだしてほしいんじゃが…」


赤土「…なるほど、そういうことならすぐに呼び出すから待っててね」

三尋木「ん~そんなことしても無駄だとおもうぜい~」

まこ「なんじゃと?」

赤土「(今度は三尋木プロ…そうか、さっきの人を食ったようなしゃべり方してたのはこの人…すごい納得した…)」

和「(この人は…三尋木プロですね…なんでこんなところに…)」

和「(それに向こうにいるのは小鍛治プロ?いったいどうなってるんでしょうか…)」

すこやん「ちょっと!三尋木プロ今までどこに行ってたんですか!?」

三尋木「まあー落ち着けよーすこやん~今はこっちのほうが大事だろ?」

三尋木「なぜって~今君たちが探してる二人は~スライダーの中に閉じ込められてるぜ~?」ヘラヘラ

赤土、すこやん「!?」

和「え…それ本当ですか?」

まこ「(…ホントだったら部長はとんでもないことに巻き込まれとるの…)」


すこやん「そ、それはまずいって…ど、どうしよう…」オロオロ

三尋木「ん~じゃあ皆で見に行けばよくね~?知らんけど~」

赤土「さっき給水スイッチ押したので…たぶんもうすぐ二人とも下に着くはずです」

三尋木「じゃあ~皆で行こっかー」ヘラヘラ

すこやん「ああ…もう終わりだよ…」ズーン
     ・
     ・
     ・
     ・
赤土「ここですね…あ、確かに水が流れてない…ホントここの設備はもっと点検しなおさないとだめだな…」

まこ「(そんなレベルじゃない気がするんじゃが…)」

和「この中に部長たちが…」

まこ「無事じゃったらいいけどのう…」

すこやん「(ああ…とんでもないことに…)」

赤土「でももう水が流れてくるから…大丈夫だよ」

三尋木「(根本的な解決にはなってないけどね~)」



―スライダー内―

京太郎「さっきの久先輩…可愛いかったです…」

久「…もう…強引なんだから…」

京太郎「…続きしてもいいですか?久先輩…?」

久「す、好きにしたらいいじゃない」

京太郎「あはは…素直じゃない先輩も可愛いですよ」

久「…あんまりいじめないでよもう…」カーッ


ゴゴゴゴゴゴ


京太郎「あれ…これ何の音だ…」

久「…!まさか…」

久「!須賀君!私の水着取って!」

京太郎「えっ…え?」

久「早く!今すぐ!」

京太郎「わ、分かりました!」

久「(…よし、水着は元に戻せた!後は…この体勢ね…)」

久「(須賀君には悪いけど…)」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

久「(来た!)」

久「(って何?この水の量?!)」

京太郎「ぶ、部長!逃げましょう!」

久「無理よ!動けないもの!」

久「(もう一回…ごめんね須賀君…)」

京太郎「水が…来た!」


ザッパーン!!


―スライダー着水地付近―

和「なんか…凄い音がしませんか…?」

まこ「そうじゃのう…なんだか…ダムの放水みたいな…」

赤土「(あ…あれ?災害対策用ボタンと…通常時の給水ボタン…押し間違えた?)」

三尋木「(なんか…これ、やばくね?知らんけど)」

すこやん「二人が無事でいますように。二人が無事でいますように。二人が無事でいますように。二人が無事でいますように」ブツブツ

優希「おーい!のどちゃーん!染谷せんぱーい!」

咲「ちょっと…優希ちゃん…そんなに走らないでよ…」ハアハア

和「宮永さん、優希。どうしたんですか?」

優希「どうしたもこうしたもないじぇ!」

咲「そうだよ…!さっきから凄い音がするよ?お客さんみんなざわざわしてるよ?」

赤土「(…なんか…私もしかしてとんでもないことしたのかな?)」

すこやん「赤土さん?なんかさっきから凄い音がするんですけど…これは一体?」

赤土「えっと…も、もしかすると…災害対策ボタンと給水ボタン間違えちゃったかな?なーんて?」アハハ

まこ「そ、それ本当か?!」

赤土「えっと…その…」

和「たぶんこの音からして間違いないでしょう…スライダーの近くにいる人たちが危ないです!早くアナウンスを出さないと!」

咲「うう…やっぱり魔王だよお…」ブルブル

すこやん「赤土さん?!早くアナウンスを!」

赤土「は、はい!行ってきます!」


ピンポンパンポン ピンポンパンポン

赤土「へ?」

アナウンス「あーあー」

アナウンス「これで聞こえてるかな~」

アナウンス「ん~今から大事なお知らせだよ~」


ざわざわ


「なんやろな」
「お知らなのよー」


アナウンス「もうすぐものすごい量の水がスライダーから出てくるよ~知らんけどー」

アナウンス「近くにいる奴は死ぬかもねー」


ざわざわ


「死ぬなんて…そんなん考慮しとらんよ!?」
「このままじゃ危ないし!早く逃げるし!」


アナウンス「さっさと離れるかなんかしたほうが身のためだぜい~」


「ぶ、部長!早く逃げるっす!」
「ワハハーこりゃやばそうだなー」


アナウンス「ん~以上ーこれで借りは返したよ~?すこやん~?」

すこやん「最後の最後でなんで私の名前だすの?!ていうかこれプラスマイナスで差し引きゼロだよね?!」

咲「プラスマイナスゼロ…」ボソッ

まこ「何にしろ、他の客への勧告はできたんじゃ!さっさとわしらも離れるぞ!」

優希「に、逃げるじぇー!」

和「早く!宮永さんも!」

咲「うわあ!待ってよお…」


ゴゴゴゴゴゴ

ザッパーン!!!!!



―帰り―

久「すいません…送ってもらっちゃって…それより小鍛冶プロがいるのに私が助手席でいいんですか?」

久「(この人の車…すっごい高そうね…乗り心地が凄くいいわ…)」

三尋木「いいよいいよ~気にすんなって~」

和「けど無事でよかったです…普通じゃ大けがどころじゃすまないですよ?」

久「水で吹き飛ばされた場所が偶然25メートルプールたったものね…」

京太郎「なんか俺は意識が飛んでて覚えてないんですけど…まあ生きてるから、別にいいよな!」

優希「そうだじぇー!何事も命が一番だじぇ!」

久「(ごめんなさい…須賀君…実はスライダーから飛び出す瞬間、思いっきりあなたを足で突き飛ばしたわ…)」

久「(そうでもしないと思いっきり抱き合った状態で発見されることになったから…社会的生命も危うかったの…)」

久「(パレオは見つからなかったし…まああれがなかったおかげで…って何考えてるの私!)」

咲「だから言ったのに…あのスライダー小さい頃のお姉ちゃんよりひどかったもん…」

京太郎「すごいな咲は…モノに対しても分かるのか」ハハハ

すこやん「とにかく無事でよかったよ…でも音の割に放水も少なかったよね…」

三尋木「(ん~まあなんか給水緩和ボタンってのがあったからそれ押したから水は少なかったろうね~言わんけど)」


和「それにしても…あのプールの設備はどうなってるんでしょうか…ちょっとひどすぎますね」

咲「うん…たぶんまたニュースになって、今度こそ業務停止になりそうだね…」

優希「む~あのスライダーは楽しかったのに…もったいない気がするじぇ~」

まこ「まあ、つぶれるとは限らんじゃろ。今度こそ業務改善命令をしっかり守ってもらえば、またいつか復活するかもしれんしのう」

すこやん「そうだね…でももう私はあそこに行きたくはないかな…」

すこやん「(アナウンスで事故防止に貢献したってことでいろいろ許してもらえたけど…お給料はカットだったし…うう…)」


三尋木「ん~そういや私が最後に監視員してからゆうに一時間半はあの中にいたんだよねえ~」

三尋木「二人ともその間どうしてたのかな~」ニヤニヤ

久「!三尋木プロには関係ないですよ」ニコッ

三尋木「ひっどいな~私皆の命の恩人なのに~」

久「そもそも三尋木プロが私をあんなに早く滑らせなかったらこんな事故は起こりませんでしたから」ニコッ

三尋木「ん~そんなこと言ってもいいのかい~」

三尋木「スライダーの中で須賀君とエッチしてたこと皆に言っちゃうよ?」ヒソヒソ

久「なっ……!」カアッ

三尋木「ふふ…その顔は図星だねい~どう?気持ちよかったかい~?」ヒソヒソ

久「(この人…なんで知ってるの?くっ…)三尋木プロに言う義理はありません」ヒソヒソ

三尋木「みんな~ちょっといい~?」

久「!!言います!言うのでやめてください!三尋木プロ!」ヒソヒソ

久「(…なんでこんなことに…なんで私を助手席に乗せたのかと思ったらこういうこと…!?))」

三尋木「で…?どこまでしたの?今度はホントにちゅーしてもらえた?」ヒソヒソ

久「(く…全部言うしかないの?!)」

久「し…してもらいまいた…」ヒソヒソ

三尋木「ふ~ん。ねえねえそれってべろちゅー?気持ち良かったー?」ヒソヒソ

久「…普通のキスです…」ヒソヒソ

三尋木「ダウトだね~皆に言っちゃうよ~?」ヒソヒソ

三尋木「これでも人の心理を読み取るのは得意なんだよ~?プロをなめちゃいけないぜ~?」ヒソヒソ

久「(ダメだ…この人にはたぶん隠せない…何言ってもたぶんばれるわ…)」

久「(こんなのをずっと相手にしてる小鍛冶プロはやっぱり凄い人ね…)」

三尋木「ん~どうしたの~早くいわないのかい~」ヒソヒソ

久「(よくよく考えたら…小鍛冶プロを使って無理やりキスさせたり、スライダーにわざと早めに突き落としたり…)」

久「(間接的ではあるけどこの人のおかげで私は素直になれたし、須賀君と恋仲になることができた…)」

久「(くやしいけど…全部この人の掌で転がされてたのね…)」

久「(…今だって…私を助手席にわざわざ置いてるんだからきっと何か意味があるはず…)」

久「(でもそうはさせないわ…このまま全部思い通りにはさせない…!)」

久「みんなちょっと聞いてくれる?」

咲「…ど、どうしたんですか、部長?(うう…眠いから着くまで寝ようと思ってたのに…)」

和「どうかしましたか?部長?」

優希「どうしたんだじぇーぶちょーもう今日は疲れたじぇー…」

まこ「どうかしたんか?部長?」

京太郎「(…どうしたんだろ…部長…)」

久「私、須賀君のことが好き」

三尋木「…」フッ


咲「えええ!!??(部長!?いきなりこんなところで告白?!しかも相手は京ちゃん!?眠気がふっとんじゃった…)」

和「ぶぶぶぶぶ部長急に何を言い出すんですか?冗談にしてももっと別の方法が…」

優希「そ、そーだじぇ!!いきなりこんなところでこくはくだなんて…わたしでもやらないじぇ!」

まこ「部長…どういうつもりか説明しんさい…(…スライダーで一悶着あったんか?)」

京太郎「ぶ、部長!?(何もこんなところで言わなくても…)」

すこやん「(ええええええええ…?いきなり皆の前で公開告白なんて////…今日はすごい場面ばっかりに遭遇してる…!)」ドキドキ

すこやん「(なんてラッキーなんだろ…ってあれ?この二人って付き合ってたんじゃなかったけ?)」

久「だから…私は須賀君のことが好きなの」

まこ「…おい京太郎。部長はこう言っとるが…どうなんじゃ。はっきりせえ」

咲「そそそ、そうだよ!京ちゃん!京ちゃんはどう思ってるの?(え…?嘘だよね?)」

和「須賀君…はっきりさせてください。別に、責めてるわけじゃありませんから…」

和「(須賀君の気持ちがどうだとしても…私は一つの結果として受け止めます)」

優希「京太郎ー!黙ってないでさっさと何か言うじぇ!(京太郎がぶ、ぶちょーに取られちゃうじぇー…)」

すこやん「(何これこれがあの修羅場ってやつ?!やばいよ!!今日で私たぶんすごく成長したよ!!)」

京太郎「(…ここでごまかすのは簡単だけど…)」

京太郎「(ここでお茶を濁したりしたら…ダメな気がする…)」

京太郎「(何より俺は人の気持ちに真剣に向き合うって決めたんだ)」


京太郎「…」

京太郎「…俺も部長のことが好きです…」

京太郎「俺の…俺の一番大切な人です」

京太郎「これでいいですか?」

久「…//」カーッ

まこ「…お互いがそう思っとるんならわしは何にも言わん。幸せにの(じゃが…咲と優希は…)」

和「(ちょっと悔しいですけど…)私も部長と須賀君のこと応援します。…幸せになってくださいね」ニコッ

京太郎「染谷先輩…ありがとうございます」

京太郎「和も…ありがとな」

咲「…だめ…」

京太郎「…咲?」

咲「…だめだよ!こんなの納得いかないよ!」

和「み、宮永さん少し落ち着い「原村さんは黙ってて!!」」

咲「どうして?京ちゃん…なんで私じゃだめなの…?」

京太郎「咲…お前…(咲…もしかして…俺のこと好きだったのか…)」

咲「…部長より私のほうがずっとずっと京ちゃんのこと知ってる…!」

咲「一緒にいる時間だってずっと私の方が長いのに!」

咲「今まで…ずっと京ちゃんと一緒にいて、そしてこれからも私のそばにいてくれる…」

咲「そう思ってたのになんで!?」

咲「このままじゃ納得いかないよ…」

咲「京ちゃん…」グスッ

優希「(言いたいことは…大体咲ちゃんが言ってくれたじぇ…でも…私は部長に勝てるところはほとんどない…)」

優希「(くやしいけど…ホントにくやしいけど…部長に京太郎は譲ってやるじぇ…)」グスッ

すこやん「(本物のドラマみたいだよー…)」ドキドキ


京太郎「…咲…」

京太郎「お前が俺のことをそういう風に思ったって知って正直凄い嬉しい」

京太郎「咲のことも、もちろん特別な存在だと思ってる」

京太郎「でも…それは幼馴染としての特別であって…決して恋人のそれじゃないんだ…」

京太郎「分かってくれ…咲…」

咲「……」

咲「京ちゃん…そんなに部長のことが大事?」

京太郎「ああ…」

咲「それって私より…?」

京太郎「それは違う。咲のことだってすげえ大事だよ」

咲「ホント?」

京太郎「ああ。咲は俺の一番大事な幼馴染だ」ニコッ

咲「……」

咲「……てよ?」ボソッ

京太郎「なんだ?咲?」

咲「絶対部長を幸せにしてよ?!部長のこと泣かせたりしたら…私絶対許さないからね…!?」

京太郎「ああ、約束する」

咲「…それで…それでたまには私と一緒に帰ってくれる…?」

京太郎「ああ、もちろんだ」ニコッ

咲「…ありがと…京ちゃん…」ボソッ

咲「……絶対に…しあわせに…」

咲「…」スースー

和「寝ちゃいましたね…」

まこ「疲れとったんじゃろ…それより優希?」

優希「な、なんだじぇ?」ビクッ

まこ「お前も言いたいこと言わんでいいんか?溜めこむんはよくないんじゃないかの?」

優希「…うう…」

優希「…」


優希「京太郎ー!」

京太郎「お、おうどうした優希」

優希「わたしもお前のこと好きだったじぇ!」

京太郎「ええ!?(マジかよ!?…というか皆その割に俺に冷たすぎなかったか?)」

優希「でも今回は特別にぶちょーとの仲を認めてやるじぇ!!」

優希「その代わりスライダーでも言ったけど、たまには私のゆーこともきいてもらうじぇ!」

優希「いーな?ぶちょー?」

久「ええ…それで構わないわ」ニコッ

優希「よーしじゃあ犬ーこれからも私のしもべとしてせいぜい頑張るんだな!!」

京太郎「おい!しもべはひどくないか…って今まで通りか!」

優希「犬のくせにつべこべうるさいじぇー!!」

ギャーギャーワーワー

まこ「京太郎…」

京太郎「何ですか?染谷先輩」

まこ「えらかったの。一人ひとりに真剣に向き合うお前、カッコよかったぞ」

まこ「あやうくわしもお前にほれるところじゃったわい」ハハハ

京太郎「(………ワカメはおやつに入りますか?)」

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―長野駅周辺―

三尋木「ん~この辺でいいかい~?」

久「はい。わざわざ送っていただいて、ありがとうございました」

すこやん「…」スースー

久「あ…ちょっと私三尋木プロと話したいことがあるからちょっと皆で待っててくれる?」

久「まこ、あとはまかせていい?」

まこ「分かった、よし皆あそこで待機するぞ」

優希「う~もう疲れたじぇ~明日学校行きたくないじぇー」

和「そんなこと言わないで頑張りましょう、優希」

優希「うーのどちゃんにはこのおっぱいがあるからそんなことが言えるんだじぇ…」

優希「必殺!ダブルリーチだじぇ!!!」ポヨンポヨン

和「~~~~!しばらく優希からの攻撃がないと思ったら…」

和「許しません!待ちなさい!優希!」

優希「うわーおっぱいお化けが追いかけてくるじぇー助けてー京太郎ー」ドサッ

和「誰がおっぱいお化けですか!!」

京太郎「おっと…」

京太郎「大丈夫か?優希?」

和「(優希が須賀君のところに…)」

優希「あれ~のどちゃんどうしたんだじぇ~?」ニヤニヤ

優希「もしかして、のどちゃんも京太郎がすきなのかー?」ニヤニヤ

京太郎「おいおい…優希…そういうのはやめろって…」

京太郎「だいたい和が俺のこと好きになるわけないだろ…」

京太郎「なあ和?」

和「…//」

京太郎「え?」

京太郎「…ええええ?!」
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三尋木「ん~話ってなんだい~部長さん~?」

三尋木「いや…全国高校生麻雀大会長野県代表清澄高校、麻雀部部長、竹井久…の方がいいかい?」ニヤッ

久「やっぱりばれてましたか…まあそんなことだと思いました」

久「それより、今日はありがとうございました」

三尋木「ん~?送ってあげた礼ならさっきもらったよ~?」

久「いえ…そのことじゃなくて今日一日の全体のことです」

久「須賀君と無理やりキスさせようとしたり、スライダーに突き落としたり…」

久「明らかに須賀君と私を誘導してましたよね…」

久「わざわざプールの水まで止めて…手が混んでましたよ」

三尋木「(ん~水が止まったのは偶然なんだけど~まあそのあと直さなかったから一緒かな~)」

三尋木「いやいや~そんなつもりじゃなかったよ~?偶然さー偶然ー麻雀と一緒でさ~」ケラケラ

久「…まあ、あなたに何を言っても無駄って今日一日でよく分かりましたから」

久「あと…さっきの助手席のときも…ありがとうございました…」

久「あれは私のため…というより清澄高校の麻雀部のためにやってくれたんですよね?」

三尋木「…」

久「私たちはきっと付き合い始めたことをを周りに言わない…というより、私が恥ずかしがって須賀君に言わせない」

久「実際皆に須賀君とのことを言うつもりはありませんでした」

久「でも私以外にも須賀君のことを好きな人はいた…」

久「須賀君との仲がばれたとき、きっと麻雀部の空気は最悪になると思います…」

久「実際さっきの車での空気は耐えがたかったですから…皆から須賀君を奪ったような…そんな気持ちになりました」

久「しかも…それがもしインターハイ中だったら…」

久「きっと皆動揺していつもどおりの麻雀は打てなかったでしょう」

久「そしてきっと須賀君はそのことに負い目を感じて…チームをやめて…なんて未来もあり得ました」

久「それを…私の意地っ張りな性格を利用してあの場で早めに告白させることで、それを防ごうとしてくれたんですね?」

久「きっと三尋木プロはなんとなく皆の性格も把握してますよね?」

久「もし須賀君とのことがばれたら一番同様するのは咲…宮永さん」

久「あの子の性格からして絶対現実逃避してその場から逃げる…」

久「だから…三尋木プロ…あなたは…そこまで全部計算して…」

久「車という密閉空間に押しこんで…逃げられないようにして…」

久「全部その場で解決させようとしてくれたんですね…?」

久「清澄高校麻雀部のために…」

三尋木「……」

久「本当にありがとうございました。最後まで三尋木プロに踊らされたのはちょっと悔しいですけど…」

久「でも、本当に助かりました。一個人として、清澄高校麻雀部の部長として、お礼を申し上げます」ペコッ

三尋木「…」

三尋木「…」フッ

三尋木「せいぜいがんばんな~?全国で見るの楽しみにしてるかんね~?」

久「はい。またその時はよろしくお願いします。それでは、失礼します」

三尋木「ん~清澄のぶちょーさん?」

久「?なんですか?三尋木プロ?」

三尋木「きみは可愛い声で喘ぐんだねい~この三尋木プロドキドキしちゃったぜえ~」ニヤニヤ

久「なっ!//」カーッ

三尋木「じゃーねー!ちゃんと須賀君と清いお付き合いしてね~清澄だけにさ~」アハハー



久「行っちゃった……~~!!うう~くやしいわ!!」

久「いつか!絶対何かしらの形で仕返しを…!!」

久「………無理そうね…あの人には私でもかなわないわ…」ハア
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久「おまたせ」

まこ「遅かったのう…何をやっとったんじゃ?」

久「ちょっとね…まあまたまこには今度話すわ」

京太郎「部長が遅かったんで…咲と優希は寝ちゃいましたよ…」ハハハ

久「あらら…仕方ないわね…須賀君連れて帰ってくれる?」

和「…いえ、私がお父さんに迎えに来てもらいますから、それに乗せてもらいましょう」

京太郎「おっいいのか?ありがとうな、和」

和「…須賀君は乗せません。部長も頑張って一人で帰ってください」

京太郎「ええ?!そ、そりゃないぜ和…」

まこ「われはどんだけ馬鹿なんじゃ!京太郎」ヒソヒソ

京太郎「…え?」

まこ「和が二人きりにさせてくれようと気を遣ってくれとんのが分からんのか」ヒソヒソ

京太郎「えっ…あっ…なるほど…」

久「…//」

和「(部長…顔を赤くして…あんな顔もできるんですね…まあ、部長も女の子ですから当然ですか)」

まこ「…ほら、さっさと行った!定員オーバーじゃ!」

京太郎「…行きましょうか…部長…いや…久先輩…」ドキドキ

久「……ええ…きょ、きょうたろう、くん……」ドキドキ

まこ「…よしやっと行ったの。じゃあ、和、帰りは任せたぞ」

和「えっ?染谷先輩も車に乗るつもりだったんですか?」

まこ「?!…みんなわしの扱いがひどすぎんか!?」

和「じょ、冗談ですよ、冗談…(乗るつもりだったんですね…)」
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京太郎「…」

久「…」

京太郎「(気まずいな…)」

久「(気まずいわね…)」

京太郎「(普段だったらこう何気ない会話がどんどん出てくるのに…咲とか優希の話とか…)」

久「(普段だったらもっと話せるはずなんだけど…なぜかしら、うまく話せないわ…)」

京太郎「(それに…さっきあんなことがスライダーの中であったからな…)」ドキドキ

久「(それにさっき須賀君にあんなことされたから…)」ドキドキ

京太郎「(でもなんか話さないとな…)」

久「(何か、何か話題は…)」

京太郎、久「「あ、あの…」」

京太郎「あ、ぶ、久先輩からどうぞ」アセアセ

久「いえ、京太郎くんが先に言って?」アセアセ

京太郎「…えと…」

京太郎「……」

京太郎「俺、久先輩を好きになって良かったです…」

久「あら…それは私のカラダを好きにいじくりまわすことができるようになったからかしら…?」ニヤニヤ

京太郎「ち、違いますよ…もちろんそれも大きな魅力の一つですけど…ってはっ!」

久「…」ジーッ

京太郎「だから違いますって!いきなり話の腰を折らないで下さいよ!」

久「あはは…ごめんごめん。続けてくれる?」

京太郎「…もう部長はまったく…」

京太郎「……」


京太郎「なんか…今まで麻雀部における自分ってなんなんだろうなってずっと思ってたんです」

京太郎「部に行っても毎日雑用で…でもそれでいて誰から感謝されるわけでもなくて…」

京太郎「もちろん、皆の役に立ってるのはそりゃ少しは立ってたんでしょうけど…」

京太郎「でもいまいちその実感が薄かったんですよ」

京太郎「もしかしたら今日の慰安企画だって心の底では皆にそのことに気づいてほしかったから企画したのかもしれないですし…」ハハハ

京太郎「でも…今日一日いろいろなことがあって…」

京太郎「皆ちゃんと俺のことも考えてくれてたんだなってよく分かりました」

京太郎「さすがに一度に4人に告白されるとは思ってませんでしたけど…」ハハ

久「…その理論だと、私を好きになって良かった、って理由にはならなくない…?」

京太郎「まあ最後まで話をきいてくださいよ」

京太郎「…部長はそれに加えて俺に人と向き合う強さを教えてくれました」

久「人と向き合う、強さ…?」

京太郎「そうです。俺、部長の話を聞いて、どんな人にも悩みを抱えてるんだって知って…」

京太郎「でもそれってただ普通に接してるだけじゃ分からないんですね」

京太郎「部長の悩みだってそうですし…咲や優希、和が俺のことを好いてくれてるんだってこともこれまで気づけませんでした」

京太郎「ちゃんとその人に真剣に向き合うことで、その人の気持ちを知ることも動かすこともできるんだって」

京太郎「それを教えてくれたのは部長です」

京太郎「だから、ありがとうございました…」

京太郎「ホントに部長を好きになって…好きになってもらって、俺は幸せです」


久「…」ハア

久「ホント須賀君はたまにカッコいいこと言うわよね…」

久「……いちいち惚れ直させないでほしいわ…」ボソボソ

久「…あ、今は真剣な話だから呼び方は戻すわね?」

京太郎「ええ、いいですよ、部長」

久「ふふ…それよりごめんね?須賀君につらい思いをさせてたのに私も気が付けなかった…」

久「いつもみんなのことからかってばっかりで…皆が考えてることをより深く知ろうとしなかった…」

久「…結局今まで私が悩んでいた原因もそこにあった…」

久「だから、須賀君と一緒にその悩みを共有できて、そして一緒に克服できて…本当に嬉しいわ」ニコッ

久「私も…須賀君を好きになって心から良かったわ…」

久「ありがとう…」

久「ねえ…須賀君?」

久「これから、ずっと私のそばにいてくれる?」

京太郎「ええ、約束しますよ…部長」

京太郎「愛してます…久先輩」ギュッ

久「私もよ…京太郎くん…」ギュッ


チュッ






―完―