京太郎「さーて今日も買い出し買い出しっと」

京太郎「男子は1人だし初心者だから仕方ないってのも分かるんだけど、俺ももう少し打ってみたいよなぁ……」

京太郎(次は……これはあの店だな)

京太郎(そういえば福路さんって凄い人だったんだなぁ。風越女子って名門らしいし、しかもそこの部長だなんて)

京太郎(そんな人が後輩のために自分から雑用をするだなんて、うちの部長にも少しぐらい見習ってほしいもんだ)

???「あら、あなたは」

京太郎「ん? って福路さんじゃないですか。こんにちは」

美穂子「はいこんにちは。覚えてくださってたんですね。須賀さんも買い出しで?」

京太郎「こちらこそ覚えてもらっててありがとうございます。そうですね、福路さんもですか?」

美穂子「ええ、ちょっと足りなくなった物があったので」

京太郎「相変わらず優しいんですね。部長さん、なんですよね?」

美穂子「そんな事は……あれ、私部長と言いましたっけ?」

京太郎「あ、いえ。前に帰った後で風越女子について聞いてみたら名門だって教えてもらったんでちょっとネットで調べてみたんですよ」

京太郎「そうしたら福路さんの名前が部長としてあったので」

美穂子「なるほど、そういう事でしたか」

京太郎「買い出しっていつも福路さんがやってるんですか?」

美穂子「いえ、そんな事はないですよ。他の子もやってくれる事もありますね。ただ私がしたいからやっているだけですし」

京太郎「やっぱり凄いなぁ。年上の人に言うのって失礼かもしれませんけど凄く立派だと思います」

美穂子「ぁぅ……」

京太郎「うちとは大違いですよ」

美穂子「え?」

京太郎「前にも言ったと思いますけど、うちって俺以外は女子でしかもみんなかなり強いんですよね」

京太郎「で、俺は全くの初心者で相手にもならないから自然と雑用担当みたいな感じに」

美穂子「それでも打ったりはしてるんですよね?」

京太郎「いや、ここ最近はよくてネトマぐらいですね。牌に触るのも掃除の時ぐらいかも」

京太郎「ま、団体戦に向けて頑張ってるみたいだし1人の初心者に付き合うよりも女子のレベルアップ狙うほうがいいでしょうし」

京太郎「あ、すいませんなんだか愚痴みたいになってしまって」

美穂子「そんな……、駄目よそれじゃ!」

京太郎「福路さん?」

美穂子「初心者だからこそ牌に沢山触れて麻雀の楽しさを知るべきなのに、それが出来ないだなんて!」

京太郎「ちょ、福路さん声大きいです。ほら店員さんが見てる」

美穂子「あ、ごめんなさい私ったらつい……」

京太郎「ちょっとびっくりしましたけど大丈夫ですよ、それにありがとうございます」

美穂子「そんなお礼を言われるような事は」

京太郎「俺自身、なんか仕方ないかなって思ったりもしちゃってたしこのままなのかなーって」

京太郎「でも今福路さんは怒ってくれたじゃないですか。だから俺も頑張ってみるべきかなと」

美穂子「さっきのは恥ずかしいので忘れてもらえると……」

京太郎「あはは。ま、部活中は無理かもしれないけど。その後だったら雀荘とかに行けば打てるだろうしそうしてみようかな」

京太郎「と言っても初心者でも大丈夫な所を調べないとか」

美穂子「あの、それだったら私がたまに行く所を紹介しましょうか?」

京太郎「あ、もしよければお願いします」

美穂子「というか私がそこで教えてあげますよ」

京太郎「いやいやいや、それは流石に悪いですって!?」

京太郎「福路さんも大会に向けての練習もあるのに俺みたいな初心者相手に時間を使わせる訳には……」

美穂子「……」ムー

京太郎(え、なんでちょっと不満そうなのこの人!?)

美穂子「須賀さん」

京太郎「あ、はい」

美穂子「私さっき言いましたよね。初心者だからこそ麻雀の楽しさを知るべきだって」

京太郎「はい」

美穂子「私は須賀さんにも麻雀の楽しさを知ってほしいんです」

京太郎「それは分かるんですが……」

美穂子「別に毎日と言ってる訳じゃありません。お互いに都合のいい時だけで構いません」

京太郎「いやでも……」

美穂子「ご迷惑、ですか?」

京太郎「それはないです! 寧ろそちらに迷惑がかかるんじゃないかと」

美穂子「私から言っているのですから迷惑な訳がありません」



京太郎「うーん、分かりました。それではお願いします。ただ絶対に無理だけはしないでくださいね」

美穂子「勿論大丈夫ですよ。それでは連絡先を交換しておきましょうか」

京太郎「そうですね、それじゃ赤外線通信が早いかな」

美穂子「あ、ごめんなさい。私携帯電話って持ってないんです」

京太郎「あれ、そうなんですか。ちょっと珍しいですね」

美穂子「お恥ずかしながら機械にはどうにも疎くて、上手く使いこなせないんです……」

京太郎「なるほどー。でもそうなるとどうしましょうかね」

美穂子「? はい、これが私の家の番号です」

京太郎「俺が言うのもあれですけど、男性に自宅の番号ってそんな気軽に教えないほうがいいと思いますよ」

美穂子「え?」クビカシゲ

京太郎(あ、この人分かってないわ)
京太郎「すいませんなんでもありません。これが俺の携帯の番号になります」

美穂子「ありがとうございます。連絡はどうしましょうか」

京太郎「えーと、そうですね。福路さんの都合のいい日が分かれば前もって連絡してもらえれば合わせるようにしますよ」

美穂子「いいんですか? 須賀さんの都合のいい日でも構いませんけれど」

京太郎「女性の自宅に電話かけるのは正直ハードル高いっす」

美穂子「??」

京太郎「あ、なんでもないです。教えてもらうのはこっちなので福路さんの都合のいい日で全然問題ありませんしね」

美穂子「分かりました。それじゃあまずは今度お店に案内する日について連絡しますね」

京太郎「助かります。ってやばいかなり時間経ってた急いで戻らないと怒られる!」

美穂子「いけない、私も早く買い出しをして戻らないと!」

京太郎「それじゃ福路さんすいません、また!」

美穂子「はい、それではまた」



京太郎(結局押し切られる形になってしまった)

京太郎(そりゃ申し出自体はありがたいし、怒ってくれたのも嬉しかったけどさ)

京太郎(ちょっと警戒心なさすぎじゃね? 二回しか会ったことのない男に自宅の番号教えちゃうとか)

京太郎(女子校だからその辺りが分かってないのかね)

京太郎「それにしてもやっぱり美人だったよなー、福路さん」

♪~

京太郎「っと電話か、誰から……って早速福路さんか」

京太郎「はい、もしもし」

美穂子『もしもし。私、福路美穂子と申しますが須賀京太郎さんの携帯でよろしいでしょうか』

京太郎「はい、須賀ですよ福路さん」

美穂子『あ、良かった。須賀さん、今お時間よろしいですか?』

京太郎「ええ、大丈夫です」

美穂子『今日言ってた雀荘の件ですけれど、今週土曜日の午後はどうでしょう』

京太郎「ちょっと待って下さいね。えーと、問題なさそうですね」

美穂子『良かった。それでしたら土曜日の……そうね、13時頃に○○駅の前で待ち合わせという形でも?』

京太郎「○○駅に13時頃ですね、了解です」

京太郎「あ、そうだ。制服のほうがいいですかね?」

美穂子『うーん、私服でいいと思いますよ。部活として行く訳ではありませんし』

京太郎「分かりました。先に言っておきますけど俺本当に初心者もいい所なんで笑わないでくださいね」

美穂子『ふふ、大丈夫ですよ。そういう人に教える機会も貴重ですし結構楽しみなんです』

京太郎「そう言ってもらえると助かります。それではそろそろ失礼しますね」

美穂子『はい、それでは土曜日に。お疲れ様でした』

京太郎「福路さんもお疲れ様でした、それでは」

美穂子(ふう、流石にちょっと緊張したわね)

美穂子(須賀さんは初心者との事だし、牌に慣れてもらいながら説明していくのがいいかしら)

美穂子(私が麻雀を始めた頃に読んでいた教本とかもいいかもしれないわね、ちょっと子供向けだけど)

美穂子(うちだと完全な初心者に教える機会なんてあまりないし、他にも何か考えてみましょう)


京太郎(土曜日か、思ってたよりも早かったなぁ。他の予定入れないように気をつけておかないとな)

京太郎(大丈夫って言ってくれたけど、あまりにも酷いとがっかりされちゃうかもしれないよな)

京太郎(そうだな、せめて役ぐらいは頑張って覚えてみるか!)