淡「ロ~ン!満貫~!相変わらず弱っちいね~、キョータローは!」

京太郎「ぐっは、また飛んだ……うるへー、俺だって俺なりに頑張ってるんだぞ!」

淡「それで結果が出ないんじゃ意味ないよねっ!やっぱ才能無いんじゃないの?というか、時間の無駄?」

京太郎「さすがにそれは聞き捨てならねぇぞ、淡!ちょっと表出ろ!」

淡「おう、やるか?!この高校百年生たる淡ちゃんに勝てると思ったら大間違いだぜぃ!」

菫「おい、須賀、淡!今はまだ部活中だぞ!」

京太郎「うっ……すいません」

淡「や~い、怒られてやんの~!」

京太郎「いや、お前もだろうが!ってか、お前が原因じゃねぇか!」

淡「え~っ、何のこと~?淡ちゃん、分っかんな~い♪」

京太郎「こんの野郎っ……」

菫「だから、お前らはほんと……いい加減にしろ!これじゃあ私が来てやった意味が無いだろうがっ!」


ワイワイ ギャーギャー


尭深「またやってるね」ズズー

誠子「いやぁ、元気だね~。弘世先輩がせっかく顔出してくれたのに、ずっとあの2人に翻弄されてるよ」

尭深「傍から見るとあんなに仲が良さそうなのに」

誠子「長年の親友みたいだって言われると声を揃えて『誰がこんなやつと!』だもんな~」

尭深「でも麻雀以外では普通に接しているんでしょ?」

誠子「友達以上親友未満兼ライバル……?……つくづく謎な関係だ」

尭深「ねぇ……」ズズー

誠子「そういえば、尭深は須賀にチョコ用意した?」

尭深「うん。義理だけど」

誠子「私も義理だよ。ちなみに、それとなく聞いたら淡も用意してるらしいぞ」

尭深「本当に謎の関係だね」

誠子「全くなぁ」







        • バレンタイン当日----
    • 朝--

淡「…………2月14日……今日くらいは素直にならなきゃ……!」


    • 登校時--

淡「素直に、素直に……」ブツブツ

京太郎「よっ、淡、おはよっ!」

淡「ひゃっ!?あ、キョータロー、おはよー」

京太郎「何ブツブツ言ってたんだ?」

淡「へっ!?い、いや、何も……」

京太郎「ふ~ん?まあいいか。そういや、昨日のテレビ見たか?あの番組のさ~、――――」

淡(言い出すタイミング逃しちゃった……まぁ、まだ朝だし、大丈夫大丈夫)


    • 日中--

淡(あれ?珍しくキョータローが教室に一人……よ、よし、ここはいっそ、思い切って……!)

淡「キョ、キョータロー!」

京太郎「……ん?あわ、『須賀く~んっ!』のわぁっ!?近い近い!」

モブ女A「はい、須賀くん、チョコあ~げるっ!」

京太郎「お、サンキュー!もしかして本命だったり?」

モブ女A「あはは、まっさか~!さすがに義理だよ~。いつも色々と助けて貰ってるからね、そのお礼。そんじゃね~」

京太郎「お~う」

淡「……」

京太郎「いや~。ラッキーラッキー。っとと、そういや淡、どうしたんだ?」

淡「……ううん、やっぱりいいや」フイッ

京太郎「あ、おい、淡?マジで行っちまった。何だったんだ?」

淡(フンッ、何さ!デレデレしちゃってっ!って、結局意地になってまた渡せなかった……放課後があるから大丈夫……だよね?)




    • 放課後--

尭深「はい、須賀くん」

京太郎「おぉ!?ありがとうございます、尭深さん!」

誠子「私のもあるぞー。ほれ。いつも色々やってくれてありがとうな」

京太郎「いえいえ、そんな。誠子さんもありがとうございます、嬉しいです」

淡(この流れに任せて渡してしまえば……!)

ガララッ
菫「失礼する。須賀はいるか?」

照「こんにちは」

京太郎「あれ、菫さんに照さん?今日も指導に来て下さったんですか?お2人揃ってって珍しいですね」

菫「いや、今日はこの後に用事があるんだ。今日来た理由は……っと、あった。須賀、今年は君のおかげで色々助かったからな。お礼の意味も込めてこれを」

照「はい、私からも。我慢するの辛かった……」

京太郎「おぉ……!先輩方からチョコを頂けるなんて、なんて光栄……!ありがとうございます!」

菫「部への用事はこれだけだ。邪魔したな」

照「私のは本命だから、考えといてね、京ちゃん」

京太郎「あはは、嬉しいですけどいつもの冗談だと受け取っておきますね」

菫「あぁ、そうだ。須賀、淡からも貰ったんだろ?これを機に淡と仲良くなってしまった方が誠子たちも楽なんじゃないか?頑張れよ」

照「それじゃ」
ピシャッ

京太郎「風のように行っちゃった。ってか、何だ?もしかして淡も俺にくれるの?」

淡「は、はぁっ!?淡ちゃんのチョコはあんたには義理でも勿体ないじゃんっ!」

京太郎「ま、淡ならそう言うよな。なんだが、なんか言われっ放しも癪だ。よし、淡、その価値が本当に無いかどうか、今日こそ俺の麻雀で見せてやるよ!」

淡「へぇ~?いいよ。メッタメタの返り討ちにしてあげるよ~!」



尭深「……意地?」

誠子「だな」

尭深「いいのかな?」

誠子「……さぁ?でも、今更口出し出来ないしなぁ」




    • 夜--

淡「うぅ……やっちゃった……」

淡(あ、明日!一日遅れなら……ギ、ギリギリセーフのはず……でも教室はちょっとアレだから部活の時にこっそり……うん、それでいこう)


    • 翌日--

京太郎「ふははは!調子が良い!今日こそは淡に勝ってやるぜ!」

淡「にゃにお~う!?それには百万光年早いことを教えてやる~!」



淡(あぁ……またやっちゃった……あ、明日こそ……!まだ大丈夫……かな……)


    • 翌々日--

京太郎「どうしたどうした淡!注意力散漫だぜ!これは今日こそ本当に初勝利か!?」

淡「むっ……!それだけは許さ~んっ!!――ロン!――ツモ!――ツモ!」

京太郎「ごっはぁぁぁっ!?」



淡「…………もう……ダメ……」

淡(もう諦めるしか、無いよね……うぅ、泣きたい……)




淡「はぁ……」

淡(諦めるはずだったのに、まだチョコ持ってきてるなんて……)

京太郎「おっ、淡じゃん。おはy」

淡「情けないなぁ、私……」

京太郎「へ?何で?」

淡「だって、キョータローにチョコ渡す勇気も無いなんて……それも3日経って、も……ふぇ!?」

京太郎「あ、あ~……無意識だったのな……」

淡「あわわわ……え、えっと、その……」

京太郎「チョコくれるつもりだったんだ?俺がそういった空気全部壊しちゃってたからかな?それで落ち込ませたんだったら、ゴメン」

淡「ち、違うよっ!!」

京太郎「へ?」

淡「あ、その……」

京太郎「……」

淡「あの、ね?バレンタインくらいは素直になろうって思ってたんだけど……」

京太郎「うん」

淡「私の麻雀を知っても変わらず接してくれたのはキョータローだけだったから、その関係がちょっとでも変わるのが怖くて……」

京太郎「へ?何で?バレンタインにチョコなんて、皆やってるだろ?義理チョコ、友チョコなんて飛び交ってるんだしさ」

淡「だ、だって!私のは、その……ほ……ホンメイ……だったから……」モジモジ

京太郎「っ!」ドキッ

京太郎(なんか、今日の淡、いつもと違って……やばい、ギャップにやられそう……)

淡「スゥー、ハー……キョ、キョータロー!ちょっと、ううん、大分遅れちゃったけど……コレっ!」

京太郎「お、おぉ、持ってきてたのか。うん、ありがとう、嬉しいよ」

淡「……ホント?」

京太郎「あぁ、勿論。女の子にチョコ貰って嬉しくない男なんていないって」

淡「よ、良かったぁ!」パァァ

京太郎「っっ!!」

京太郎(ひまわりが咲いたような満面の笑顔……あ、ダメだ。完全にやられたわ、これ)

淡「あ、それで、その……」

京太郎「待った、淡」

淡「へ?」

京太郎「今日の淡に俺も完全にやられちゃったみたいでさ。だからせめて男である俺から言わせてもらう。これからも今日みたいな淡を見せてくれないか?俺の、彼女として」

淡「っ!い、いいの?」

京太郎「ああ」

淡「肝心な時にヘタれちゃうような子だよ?今もヘタれちゃってるんだよ?」

京太郎「それでもだ。いや、だからこそだ。そういったギャップとか、いつもの元気な姿も今考えれば愛おしく思えてくる。だから、もう一度言う。淡、俺と付き合ってくれ!」

淡「う、うんっ!ありがとう、キョータロー!」

京太郎「あ、次からはちゃんと2月14日に、な?」

淡「わ、分かってるよっ!」


カン!