「今日も元気に絹の忠犬やっとるなー、うりうりこのスケベ。
 ほなまた後でな。…あんのおっぱい星人め、これはちーっと可愛がりが必要やろなぁ」

 …おもんないなぁ。

「何雑用ばっかしとんねん。ああ、自分の事よりレギュラーの皆が沢山練習出来るようにとかそーゆう聞こえがええハナシは
 耳タコやで。ジブンも麻雀部員の一員で仲間っちゅうのは忘れんどいてほしいもんやねんけどなあ。
 …うん結構。ほんなら卓着こか、しごいたるから覚悟してな。京太郎くん」

 いっつも愛宕のおねーちゃんや末原ちゃんとばっかイチャついてからに。…それに絹ちゃんやスズちゃんには勝てる気
 せぇへん…無い乳は揺れんのや…
 はぁ…。ホンマ、何であんな若い子にマジんなってんやろ私。年甲斐もないってレベルやないで…これがショタコン
 ゆうやつなんやろか?
 自分がこんな余裕の無い女とはなあ、気付きたなかった…。

「あの、監督?」

「え、す、須賀ちゃん!?何、どうしたん~?」

 噛んでもうた…めっちゃハズイ…。
 って、近ッ!顔がこんな近くに…あ、まつげ結構長いんやな。それに肌キレーやな…高校生でこんだけ上背あって何で
 こんな可愛い顔しとるんやろこの子。お肌の曲がり角とか知らへんって感じ。
 いや当たり前か、まだ十六にもなってないんよね…。アカンなぁ、犯罪臭がより増した…末原ちゃんやないけどメゲそう。

 …って、そうやない。こんな至近距離まで気付かんなんてどんだけボーッとしとったっちゅうハナシや。

「大丈夫ですか?何だかお疲れのご様子ですけど」

「いやいや何でもあらへんよ~。それで何か用~?」

「ええ、もう皆さん今日はあがって片付けも終わりましたので後は部室に鍵をかけるだけなんですが…」

 そんな長い時間耽ってたんか…それこそいい大人が情けないって話やんな…

「うん、なら出よっか~。ついでに途中まで一緒に行こか」

「はい、お供しますよ監督」

 監督。彼は私の事をそう呼んでくれる。

「須賀ちゃんは私の事をちゃんと監督さんて見てくれてるんやね~?」

 ついそんな言葉が口をついて出る。

「え?だって監督は監督じゃないですか」

「そうなんやけど…末原ちゃん辺りはどうにも認めてくれてないっちゅうか…頑張ってるつもりなんやけどなぁ」

「ああ…確か、善野さんでしたっけ?詳しくは聞いてないし突っ込んで聞こうとも思わないですけど…そうですね。
 それはある程度仕方ない事かもしれません」

「仕方ない…?」

「多分恭子先輩は監督を認めてなくて代行、なんて言ってるんじゃないんだと思います。
 ただ、赤阪監督を監督代行ではなく言葉に出してちゃんと監督と言ってしまうのは先輩の中で不実にあたるのかもしれません」

「不実…」

「ええ。想像ですけど部の中でも彼女は特に善野さんを慕ってたんじゃないでしょうか。
 なので代行ではなく監督として呼んでしまう事が自分で許せないとか…そんな印象をうけます」

 …よく観察しとるんやね。

「俺もこっちに越してくる前世話になった先輩がいて、自分の中で部長、って言うとやっぱその人の事になっちゃいますし。
 姫松には主将と呼ぶ習慣があったからその辺助かりましたね。それがあって恭子先輩も同じ感じなのかな、なんて思いまして」

 存外思慮深いんやろか。…それとなんやろ、何となくやけどまた女の影?

「だから呼び方の違いはあるかもしれませんが、俺にとっても先輩方にとっても赤阪監督は立派な監督だと思ってますよ。
 俺なんて色んな人に目をかけて貰ってるのに中々芽が出なくて…部長や主将たちや先輩方、監督にも自慢の教え子だって
 言って貰えるようなヤツになりたいんですけどね」

 はぁ…。何やのこの子。真面目な顔でそんな可愛い事考えとったん?年上殺しか。
 ふふっ、色んな悩みが吹っ飛んでしもた。

「…だいじょーぶ。須賀ちゃんはまだまだ強くなるよ、私が保証しといたる。
 それと…ありがとな~。なんだか気が楽になったわ~」

「いえ、力になれたなら何よりです。これからもご指導よろしくお願いします!」

 全く、人の気も知らんと勇ましい顔してからに。怖いお姉さんの毒牙にかかっても知らんよ~?
 改造しちゃうぞ、なんてね。

カンッ