ある日、俺が部室で本を読んでいると染谷先輩が横から本を除いてきた。

そして本を見るなり少しばかり苦笑する。

京太郎「どうしたんです?」

まこ「いや、料理の勉強も良いんじゃが麻雀もな」

そんな言葉に、今度は俺が苦笑することになった。

京太郎「あははごもっともなんですけど、自分で作らなきゃなとも思いまして……弁当」

まこ「なるほどのう」

京太郎「何回かやったんですけどどうにも」アハハ

まこ「本に書いてある量とかは適当でええんじゃぞ?」

京太郎「咲に聞いてそうやってみたんですけどね……今度、ちゃんと教えてもらったほうが良いのかなぁ」ハァ

まこ「……わしが教えに言ってやろうか?」

そんな言葉に、俺は一瞬思考が止まった。

京太郎「へ?」

染谷先輩が、うちに?

まこ「あ……いやなら別に良いんじゃが」

京太郎「いやぁ、教えてくれるなら助かります!」ガシッ

俺は思わず先輩の手を掴む。

まこ「お、おう!」

これでお昼代がだいぶ削減できるはずだぞ!

そして、土曜日に先輩がうちへとやってきた。

親が出かけるってんでキッチンを使うにはちょうどいいとは思ったんだが……。

京太郎「なかなか行かないのな!」

母「だって京太郎が咲ちゃん以外の女の子連れてくるなんて!」

京太郎「はいはい、学校の先輩だけどな」

まこ「お邪魔します」ペコッ

母「良いのよ、ゆっくりしていってね、じゃあ出かけてくるから」

京太郎「行ってらっしゃい」フリフリ

お袋が俺のそばへとよって耳打ちした。

母「節度はもちなさいよ」ボソッ

京太郎「うっせぇ!」

母「それじゃあねー」

バタンッ

ようやく出て行ったよ。

まこ「楽しいお母さんじゃな」ケラケラ

京太郎「勘弁してくださいよ、恥ずかしい」カァッ

まこ「ほれ、それじゃあ始めるか!」

京太郎「うっす!」

ということで始まったのだが……。

まこ「お前はなにを考えとるんじゃ!」

京太郎「だって適当で良いって聞いたから」

まこ「適当すぎじゃ!運動部か!」

京太郎「元ですけどねー」

まこ「そうなんか?」

京太郎「あれ、言ってませんでしたっけ、ハンドボールで結構良いとこ行ってたって」

まこ「ほう、意外……でもないな」

意外性あるかと思ったんだけどなぁ。

まぁ部活の話で麻雀部に入ってるって言ったら驚かれがちだけど。

京太郎「中学時代ですからね、咲も応援に来てくれたりしましたよ」ハハハッ

まこ「……」ムスッ

京太郎「はは、は……先輩?」

まこ「なんじゃ?」

京太郎「な、なにかやらかしました俺?」

まこ「なんでもないが、さっさとつづけるぞ京太郎?」

京太郎「りょ、了解っす!」

なんかしたかな、俺?

それから、まぁ料理はしましたとも、ちゃんと!

それでできたものは卵焼きに野菜にと、まぁ弁当に入れるものだ。

さすがに切って焼くだけとかはできるしな。

京太郎「いや、本当にありがとうございました!」

まこ「別に構わんけど、美味くできたしの」

京太郎「ほんと、俺が作ったとは思えないほどの出来になりましたよ!」

まこ「……ただ、今度から料理はわしが教えるけえ!」ビシッ

京太郎「え……良いんですか?」

正直、かなりびっくりしてますとも、はい。

ならば今こそ俺が動く時!

京太郎「じゃあ、その……や、休みで暇な日とかはお願いします!」

まこ「あ、ああ!」パァッ

良くわからないが、先輩が嬉しそうでよかった。

そしてついでに言うなら……可愛かったです。はい。

カン!