怜「京太郎~」

京太郎「はい、どうかしましたか、怜さん?」

怜「膝枕してーなー」

京太郎「またですか?竜華さんは?」

怜「今日は京太郎の気分なんや!」

京太郎「はぁ、そうですか。まあ、構いませんが。よい、しょ、っと。どうぞ」

怜「ん~、おーきに。あ、あと頭撫でてくれたら嬉しいな~」

京太郎「これでいいんですか?」ナデナデ

怜「ええ感じやで~。これやったらすぐ………………Zzz」

京太郎「あらら。マジで寝ちゃった……」

~~~~

京太郎「ん~……やっぱりここでこの打牌は間違いだったかなぁ……」ペラ… ペラ…

怜「京太郎~、何してるん~?」スル

京太郎「うぉ、と、怜さん?いえ、昨日の部活の時の自分の牌譜をちょっと。それより……」

怜「ふ~ん……あ、ここは点数的に逃げるより勝負やったな」

京太郎「あ、確かにそうですね。俺もそこはミスったなぁ、と……って、そうじゃなくて!」

怜「ん?どないかしたか?」

京太郎「いやいや、『どないかしたか?』じゃなくて、取り敢えず背中から抱きつくのやめてもらえませんか?
    あたっt……お、重いですから」

怜「ぶーぶー。女の子に言うことちゃうで、それは。ま、しゃあないなぁ」

京太郎「ほっ……」

~~~~
ピンポーン
京太郎「は~い。どなたですか~?」

怜「ウチやで~。京太郎、開けてくれへん?」

京太郎「今日もですか?俺の家までそこまで近くもないでしょうに、どうしてまた毎週のように?」ガチャ

怜「京太郎の家は居心地ええからな~。おじゃましま~す」

京太郎「ただの学生寮じゃないですか。怜さんの家の方が快適でしょう?」

怜「ちゃうで、京太郎。家やと親がおるやん?誰もおらん空間とは自由にダラけられる度合いがちゃうねん」

京太郎「とかなんとか言ってますけど、いつもうちに来ても」

怜「Zzz……」

京太郎「ちょっと遊んだら寝ることが多いじゃあ……って、今日は早っ!」

怜「んみゅ……」

京太郎「…………」

~~~~~

京太郎「――――という具合なんですけど……」

浩子「ほぉほぉ。つまり、最近園城寺先輩のスキンシップが過度に思える、しかも無防備すぎや、と」

京太郎「はい。怜さんも女の子なんだし、こんなことは良くないと思うんですけど、俺がいくら注意喚起しても……」

浩子「ん~……せやったらこんなんはどうです?」

京太郎「こんなん、とは?」

浩子「それはですねぇ……ゴニョゴニョ」

京太郎「うぇ!?そ、それは結構、いや、かなりマズいんじゃあ……?」

浩子「そこまで深刻なことにはなりませんよ。ウチが保証します」

京太郎「……分かりました。丁度明日休日ですし、実行してみます。相談に乗ってくださってありがとうございました。
    それでは」

浩子「気にせんでええよ。ほなな~」

浩子「………………はぁ、やれやれ。世話のやける人達ですねぇ」

~~~~
ピンポーン
京太郎「……来たか」

京太郎「やっぱり今日も来たんですね、怜さん」ガチャ

怜「お~。今日も来ちゃった怜ちゃんやで~」フリフリ

京太郎「まあ、取り敢えず上がってください。飲み物は麦茶でいいですか?」

怜「ん、全然オーケーやで」

京太郎「はい、どうぞ」コト

怜「おーきに」

京太郎「…………」

怜「ンク……ンク……っは、冷たいお茶は美味しいなぁ」

京太郎「怜さん。ちょっといいですか?」

怜「ん?どしたん、京太郎?いつになく真面目な表情やな」

京太郎「俺、結構普段から真面目なつもりなんですけど……いや、それは置いといて。怜さん、最近ちょっと無防備が
    過ぎませんか?」

怜「んん?そう?」

京太郎「今もこうして俺の家に一人で来て……何かあったらどうするつもりなんです?」

怜「何かって……ウチは普通に遊びに来てるだけやん?」

京太郎「……怜さん、俺も男なんです。スキンシップが多くて、休日には一人で遊びに来て、それで目の前で
    無防備に眠られたりするとね……」ジリ

怜「きょ、京太郎?な、なんか怖いで……?」

京太郎「どうしても、誘ってるんじゃないか、って、思ってしまう時があるんですよ」グッ

怜「っ!?ちょ、待って!京太郎、お願いやから、手、離して?」

京太郎「…………」パッ

怜「っ!……え、えっと……ウ、ウチちょっと用事思い出したから今日は帰るわ。ほ、ほんじゃな……」タタッ ガチャ パタン

京太郎「…………はああぁぁぁ……」ドサッ

京太郎「ふぅ、これで怜さんが気をつけてくれるようになれば……俺が嫌われるかどうかなんかより、そっちの方が
    ずっと大事だもんな」

~~~~

怜「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」タタタタ

怜(なんでや?なんでウチは、京太郎は大丈夫やと思っとったん?そもそもなんでウチは京太郎をあんなに気にしてるん?)

怜(話してると楽しいから?気が合うと思ったから?ウチのサポートしてくれとったから?)

怜(全部そのはずや……けど、全部ちゃう気がする……たったそれだけやったら、休みの度にウチが誰かのとこに
  行こうなんて思うやろか?)

怜(クラスメイトとか浩子とかから、男の色んな怖い話は聞かされて知っとった。やのに、なんでウチは京太郎の
  家に行っとったん?)

怜「………………あ」

怜(まさか……そうなんやろか?今までウチがそうなるなんて、考えもせんかったことやけど……でも……)

怜「そう考えたら、今ウチがこんなに悲しい理由も、説明がつく……」

怜「…………っ!」クルッ ダダダッ

~~~~

京太郎「…………始めは、勧誘活動してる竜華さん見て、一目惚れで入ったんだよなぁ」

京太郎「ハンドボールの最後の試合で怪我して、もう戻れないと決め付けて逃げて。どこでもいいから適当に
    入ろうとしてた時で……」

京太郎「麻雀は全然ダメだったけど、運動部やってた中学で培った雑用技術が認められて、『ときシフト』のサポートを
    任されて……」

京太郎「体はあんなに弱いのに、怜さんの心の強さにいつの間にか惹かれてて……」

京太郎「でも、俺が出来ることはほとんどなくて。だから出来る限りのお世話をして……」    ガチャ タタッ

京太郎「…………強く注意するためとは言えあんなことやらかしちゃったわけだし、明日にでも退部届け出さなきゃな」

京太郎(でも、これが怜さんがちゃんとした幸せを掴める手助けになるのなら、俺はそれで……)

怜「それはアカン、京太郎!」

京太郎「っ!?と、怜さん!?どうして……」

怜「京太郎……ウチな、さっき京太郎に言われて、考えてん。なんであんなことしてたんかを……」

京太郎「それは、怜さんに……」

怜「いくら病院暮らしが長かった言っても、それくらいの常識はあるわ。それでもな、ウチはあんたやからこそ……
  相手が京太郎やからこそなんや」

京太郎「それは、どういう……」

怜「京太郎……ウチな、こんな体やから、彼氏どころか男の子の友達一人出来た事ないねん。皆、ウチの体のこと知ったら
  嫌そうな顔してな」

怜「でも、京太郎はちごた。京太郎は嫌な顔するどころか、より一層ウチのこと理解しようとしてくれたし、色々と
  ウチのこと考えて本来やったらやらんでもええようなことまでやってくれた」

怜「始めのうちは、というかホンマはさっきまでやねんけど、初めて出来た男の友達と遊ぶ、一緒に戯れるんが
  楽しいだけやと思ってたんよ」

怜「けど、ちゃうかったみたいやわ。今考えたら、さっきの京太郎のはウチに警告してくれてたんや、っていうのが
  分かるんやけど……」

怜「さっき、京太郎に脅されて、怖なって、それ以上に京太郎にそうされたことが悲しくなって……それで考えて気付いてん」

怜「ホンマにいつの間にか分からん。きっかけも分からん。もしかしたら最初からやったんかも知れん」

怜「ウチな……京太郎のこと、好きや」

京太郎「っ……」

怜「京太郎がウチのことどう思ってるか分からんねんけど、それがウチの本当の気持ちやったわ」

京太郎「…………ただでさえ病弱な人がどうして倒れてまで麻雀を続けるんだろう、って、最初はそう思ってました」

怜「京太郎……?」

京太郎「竜華さんやセーラさんに、怜さんの子供の頃、中学時代、高1、高2の話を聞いて、今の怜さんを見て、
    チームの為に、皆の為に必死に頑張る怜さんを、素直に尊敬しました」

京太郎「所詮俺は口に出して言えないような邪な理由で入部して来た輩です。でも、せめてそんな尊敬する先輩の
    力になりたいと思いました」

京太郎「尊敬はすぐに憧憬に、そして恋慕に変化しました。でも、元々がここに逃げてきた俺にはそんな資格は無い、
    と今までずっと押し込めてきました」

京太郎「なのに……そんなことを言われたら……」

京太郎「怜さん、俺もあなたのことが好きです。ずっと好きだったんです!こんな醜い俺でもいいんでしたら、
    俺と付き合ってきださい!」

怜「京太郎……京太郎が何から逃げて来たんかはウチには分からん。けどな?京太郎は麻雀部で一生懸命、
  やれることやっとったやん」

怜「あんだけやれる人のことを醜いなんて、ウチは絶対に思わんで」

京太郎「怜さん……」

怜「あ、返事忘れとったわ。さっきも言ったけど、ウチも京太郎が好き。やから、勿論オーケーや!」

京太郎「怜さん……!」ギュッ

怜「あ……ふふ、こうやってギュッと抱きしめられるんはええもんやな。あ、京太郎、ちょっとだけ離して?」

京太郎「あ、す、スイマセン、きつかっt、ンム?!」

怜「ん……ん……プハッ。ふふ、ウチのファーストキスや。ありがたく思いや?////」ギュッ

京太郎「ええ、一生の思い出にしますよ」ギュッ



怜「最高の親友に、最高の恋人。ウチって、日本一の幸せモンやわ」

京太郎「最高の彼女が出来た俺ほどでは無いですね」

怜「ほんなら、ウチら2人分合わせたら」

京太郎「ええ。世界一の幸せなカップルです」

怜「ふふ。これからもよろしくな、京太郎」

京太郎「こちらこそ。怜さん」

カン!