強くなりたい。
 自分は弱い人間だと俺――須賀京太郎は知っている。だからこそ強くなりたい。
 自分にはないものがほしい。だからこそ、それを持っている他人が羨ましくなる。

 いかなる時にも集中を乱さない強靭な集中力。
 めっぽう視線をあっちにやったりこっちにやったりしているから、麻雀の時にも集中しろと怒られる。
 相手の顔を見て考えを読む――と言ってもまだ難しい。観察力を鍛え上げればそれも可能になるそうだが、まだその域は遠い。

 強く、なりたい。
 全国の場で輝く少女たちを見て。

 強くなりたいと、そう思った。





「京ちゃん京ちゃん京ちゃん……スゥゥゥゥハァァァァァァ、京ちゃんに包まれてるこれすごい、すごいよぉおぉ…………」

 そう――なんか俺のベッドに頭の先まで潜り込んで息を荒げてる幼なじみを見ても乱れない精神力が欲しい。SAN値がほしい。削れてる超削れてる。どーすんだよこれマジやべえよ。

「コレハデキソコナイコレハイイデスネコレハサキサンノニオイガツイテルカラダメチッコレモイイコレモコレモコレモコレモ」

 俺の箪笥を漁ってる美少女、かつて俺が憧れた凛とした佇まいをどこに置き忘れてきたのか、周囲に俺のパンツを撒き散らしながらすごい勢いで漁ってる美少女を見ても目をそらさない精神力が欲しい。
いつからここは邪神の住処になった? 頼むから俺を家に帰してくれ。

「普段あいつが吸ってる空気を吸ってるじぇ……」

 目を閉じて瞑想みたいなことをしてる同期、オイ服着ろよなんで全裸で深呼吸してるんだよバカかよ。
別にマイナスイオンクラスターとか置いてないから、普通の男子高校生の部屋だから。ていうか服着ろよ。

「…………」

 目を背けてたけどさっきから部長ゴミ箱に顔突っ込んで動いてねえ。
 ちょっと俺のアレがついたティッシュとか入ってるからできればやめてほしいんだが、顔の動きからして食ってるよ絶対。咀嚼してるよ。口の中でもぐもぐした後飲み込んでるよ。いまごくって何かを飲み込む音がしたもん。もうやだしにたい。


「……まぁ、気にしなさんな」

「あんたが俺の机の角で腰カクカク振ってんのが一番気になるんだよォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」