京ちゃんと過ごす一ヶ月 はやりん編



「一日目」

はやり「はやりの握手会にようこそ!

    うん、応援ありがとう!

    え、わわっ!泣いちゃった!?
    もう、男の子がそう簡単に泣いちゃだめだぞっ!

    はやりとの約束だよ?いい?

    ……うんっ、来てくれてありがとうね!


    次の人、どうぞ!」

………

「三日目」

はやり「あの、すみません
    ここまではどう行けば……あれ?

    あっ、握手会で泣いてた子…


    え、あっ、えーと…これでわかるかな?

    じゃーん、はやりんだよっ♪
    うふふ、驚かせちゃったかな?

    ん?


    んー、はやりはこれでも記憶力いいんだよ
    印象に残った人は絶対忘れないんだー
    便利でしょ、えへへ

    え?
    うんっ、ちょっとしばらく休養したくって、
    長野から旅行していこうかなーって計画しちゃったんだ

    それで、その…ここまでの道はどう行けば……

    ふぇ?すぐ、そこ?

    あ、あははは!これははやりんのうっかり屋さんっ!てへっ

    それじゃ、ありがとうね!」

………

「四日目」

はやり「あれ?

    あっ、やっぱり!
    また会ったね!

    昨日はどうもありがとう!

    うん、まだ長野にいようかなーと思って
    お買い物してたの?

    その手に持ってるの…あー私の本!
    嬉しいなー!

    んー、でもその本はちょっと前に書いたものだね
    78ページに書いてある確率論は今考えるとちょっと合わないところがあるから、
    別の本を出すときにその事について言及しようって思ってて……

    あ……ご、ごめん!せっかく買ってもらったのに変な事言っちゃって!

    え、えと…じゃあ、そのお詫びにちょっとそこの喫茶店でその本にちょこっと書き足してあげるよ
    勿論、はやりのサインもつけて!お腹減ってるなら、何か奢ってあげるし

    いいの!気にしないで!はやりがしたいんだから!
    それじゃ決まりだねっ、行こ行こっ♪」

………

「八日目」


はやり「こんにちは京太郎君

    えへへ、まだ長野にいたんだよ
    いいところだよね、なんだか馴染んじゃった
    残りのお休みずっと居てもいいくらい…

    何でだろうね~?
    もしかしたら………

    ううんっ、何でもないっ♪」

………

「十五日目」


はやり「待った?
    なんてね、えへへ♪

    もう毎日会うのが当たり前になったね


    …最近ね、わかってきたの
    なんで長野にいると落ち着くのかって

    自然が豊かだから?人が優しいから?
    どれも合ってるようで違ったの

    もっと身近で確かな理由があったの


    それはね…




    今度教えてあげるっ♪」

………

「二十日目」


はやり「京太郎君がいるから


    京太郎君がいる長野だから、はやりは居心地がよかったんだよ

    握手会で泣いていた男の子と街中で何度も巡りあって、
    はやりの本を持っているのを見かけた時なんか運命を感じちゃった


    もう、離れたくないなぁ…



    長野からも


    京太郎君からも

    絶対に」


………

「二十五日目」


はやり「京太郎君、ちょっと歩きながらでいいからお話聞いてくれるかな


   ……握手会のあとで長いお休みを入れたのって、ちょっとした理由があったんだ

    本当はアイドル辞めようかどうか考えるために時間が欲しかったの    
    出来るならずーっと続けていきたいけど、いつかは辞めちゃうからね
    辞めたとして、次に何をしていけばいいかって思っちゃって…

    それで自分に出来る事を並べていったら、結構多かったりするけど、
    それを続けていけるかどうかって考えたら、
    きっと今のお仕事ほど楽しいとは言えないんじゃないかって…

    そうやって、悩んでいたときに

    京太郎君に会ったの

    初めて会った握手会の時は変な男の子…ふふ、ごめんね

    次に会った時は親切な男の子……その次は面白い男の子、

    その次から段々悩んでいる時に会いたい男の子になって、

    一日過ぎるごとにもう一回お話がしたいって思うようになって、

    こんな気持ちになったの初めてだったから、気づかなかった


    毎日会うたびに生まれ変わっていくような感覚…

    それでね、昨日ようやく分かったの

    この気持ちは誰でも経験できることじゃないけど、

    誰でも経験する資格がある気持ちだって

    はやりは運が良かったんだって


    ……京太郎君、真剣に言います


    あなたは



    私の運命の人、です」

………

「三十日目」


はやり「うん、うん、もう決めちゃった事だから…ごめんなさい
    うん…大丈夫、前から声がかかっていたところがいくつかあるから、
    それらに顔を出していくつもりだから
    うん、また別の機会で会えるからね…

    うん、それじゃあね



    お待たせっ

    これで牌のお姉さんも無事引退!新生瑞原はやりの誕生だよ!
    さっ、早速出発しよう!


    え?
    何の話かわからない?………おっかし~な~
    京太郎君とはやりは運命で結ばれているから
    何も言わなくても分かるはずなのに


    え?
    どこへ連れて行く気って…はやりたちの新居だよ?
    だって、運命のカップルなんだから
    一緒に住むのが当たり前でしょ?

    京太郎君がいないと、どんなやりがいのあるお仕事したってつまらないに決まってるもん
    京太郎君がいてくれるから、はやりは別の人生を歩もうって決意できたの


    あ、荷造りとかは心配しないでいいからね
    向こうで全部はやりが買うから、京太郎君に必要なものは全部

    でも、電話なら今のうちにご家族にしておいたほうがいいかも
    しばらく会えなくなるし

    だって、これから二人で


    ドイツへ住むんだからね


    あっ、もうそろそろ空港に行かないと!
    ほら、いこ!京太郎君っ♪   

    怖い事なんて何もないから、ねっ!


    京太郎君」

カンッ