なぁ、咲……おまえを麻雀部に連れて行かなかったら、どうなってたかな?
あぁ、勝手なこと言ってるのは分かってるんだ。
でも、予想だにしてなかったんだ。
おまえがこんなに遠い存在になっちまうなんて。
何でかな? お前と一緒にいる時間は変わらないもんだと思ってた。
遅いかな? 今頃自分の気持ちに気づいても。
だからせめて、今はお前の夢を応援させてくれ。
その為なら俺の一年、何てもんはくれてやるよ。
見せてくれ……てっぺんで咲く花を。
そしたら俺は、おまえに……
ねぇ、京ちゃん……私が麻雀部に入らなかったら、どうなってたかな?
中学生の時みたいに京ちゃんの応援に行ったりしてたかな?
……でもね、私麻雀部に入って良かったよ。
京ちゃんもハンドボールをやってる時こんな感じだったのかな?
嬉しいよ、京ちゃんに近づけたみたいで。
楽しいよ、何かに打ち込むっていう気持ちがわかったんだ。
……今は京ちゃんが応援してくれてるね。
だからたまに分かっちゃうんだ、昔の私と同じ気持ちなんだって。
だからせめて、京ちゃんの応援に応えてあげたい。
その為なら私の全力を出してみせる。
見ててね……高い山の上で咲く花を。
そしたらきっと、私は……
京太郎「咲、団体優勝おめでとう」
咲「うん、ありがと京ちゃん。でもみんなのおかげだよ」
京太郎「おいおい、謙遜すんなって。みんなお前に感謝してたぞ? さすがうちの大将だって」
咲「そ、そうかな? 照れるよ。あ、それより話って何?」
京太郎「ん……ああ、まぁその、なんだ。二人きりでちょっとな」
咲「……そっか。でも私も二人きりで話したいことあったんだ」
京太郎「そうなのか? じゃあ先にそっちの話聞くか?」
咲「えぇ!? い、いいよ、京ちゃんから先で!」
京太郎「いやでも、俺のはその……」
咲「わ、私のは一言で済むから……」
京太郎「お、俺も一言だけだから」
咲「…………」
京太郎「…………」
咲「じゃ、じゃあ一緒に言っちゃう?」
京太郎「はぁ? いやそれは……」
咲「いいから、いいから。それに……なんとなく同じ気もするし」
京太郎「え? なんて? すまん、後半よく聞こえなかった」
咲「もうっ! いいの! それじゃ、せーの、でね?」
京太郎「ああ、分かったよ」
咲「せーの」
京太郎「咲のことが――」
咲「京ちゃんのことが――」
カンっ!
最終更新:2014年07月12日 11:21