和のおもち目当てに軽い気持ちで入部し、何気なく昔なじみの咲を誘ったことから自然と女子団体全国進出が目標となった麻雀部。

当然の如くおざなりとなった初心者である俺は、これまた自然に雑用を任されるようになった。
まぁ、これについてはしょうがないかなと思わなくもない。
部員数も少なくメンバーもギリギリな清澄麻雀部だ。
部長の悲願を叶えるためなら、しょうがないと納得できるのである。

だが、今この状況には言葉を失った。
夢か幻か。はたまたたちの悪い冗談か。
とにかく目の前の現実に狼狽えるばかりであった。

「須賀君。私、貴方のことが好きみたい」

部の皆が帰った後、残って牌譜の整理をしていた俺に、突如顔を出した部長が告げたのはそんな言葉だった。

「初めは扱いやすい後輩くらいに思っていたの。意地の悪いことにね」

「でも、貴方は変わらなかった」

「どんな扱いを受けても、何も報われなくとも」

「変わらず私たちを支えてくれた」

「そこで気付いたの。清澄高校麻雀部は、実は貴方の存在で成り立ってるって」

「私の夢は、貴方で成り立ってるんだって」

そんなつもりは微塵もなかった。
ただ、自分のできることを精一杯していただけだ。
でも、そんな風に言ってもらえるなんて…。
少し、うれしい。

「だから、私は貴方に恋をしたの」

「順番は、逆かもしれないけれど」

「今の私は貴女が好き」

「それで?返事を聞かせてもらえるかしら?」

頬を赤らめながらも蠱惑的に笑う部長。
そんな彼女に、俺は…。

「俺も、いつの間にか好きになってたみたいです」

「貴女の事が」

そう、返していた。

「ほ、ほんと?」

「はい、ホントです」

そう聞くなり呆然としたような彼女。
心配になり声を掛けようとしたところ突如…。

「ホント…?ホントに…?」

涙ぐんで縋り付いてきた。

「すがくん。わたしと。こいびとになってくれるの?」

涙声ですがりついてくる先輩。

「ゆめ?ゆめなのこれ?」

なにこれ可愛い。
あまりの愛らしさに吐血しそうになりながら返事をする。

「いえ、現実です。好きですよ、久さん」

「すがくん!すがくん!すがくん!すがくん!」

顔を摺り寄せながら俺の名前を呼ぶ久さん。
ヤバい。可愛すぎる…!

「と、とりあえず離れてください…」

「え…?な、なんで…?」

「俺の精神衛生上よろしくないからです…」

俺の苦渋の表情に久さんは面白げな顔を見せ。

「だいじょーぶ!今日から私が頑張るから!」

と胸を張って答えた。

うん。…もうどうにでもなれ!

カンッ