下駄箱から靴を取り出し下へと投げ出す。
学年ごとに分かれたスペースから合流して歩き出す。
「そういえば、今度の休みってどこに行くんでしたっけ?」
「え?」
「ほら、どこか行くって約束してたじゃないですか」
俺の言葉に、はたと思い出した顔をした後、チロリと舌を出して答えた。
「ごめん京太郎君!その日はもう怜と出かける約束してもうたんや…」
「そうですか…。なら、しかたないですね」
「あはは…。ほんまにごめん…」
「いえ、気にしないで下さい」
ごめんごめんと謝りを繰り返す彼女を連れたまま帰り道へ。
季節はもうすぐ夏。照りつける日差しは痛いくらいだ。
適当な会話をしながら歩いていると、唐突に沈黙が訪れた。
黙った彼女がポツリと、言葉をこぼす。
「なぁ?ほんまにうちでよかったんか…?」
「え…?」
「うちじゃなくて、怜のほうがよかったんちゃう?」
不安気にこちらを見つめる彼女に、湧いてきたのは呆れと、ほんの少しの怒り。
「あのですね…。怒りますよ?」
「…ん。怒って!そしたら…。少しは安心できるから」
「それって倒錯してません?」
そういうと、今度は俺の腕に抱き着いてきた。
まったく…。この人は…。
「なぁ京太郎くん…」
「はいはい。今度はなんですか?」
「夏になるなぁ…」
カンッ
最終更新:2014年06月24日 20:50