京父「なあせがれ、お前土曜日の午後は空いているか?」

京太郎「土曜?空いてるけど、どうしたんだよ」

京父「いやな、取引先の偉いさんとの間にちょっと家族の話題が出てな
お互いの子供を連れて今度会食でもいかがですかな、って話になって…」

京太郎「あー……なるほど、んで今度の土曜にどっかで食事するという段取りになったと
それで俺にも来て欲しいというわけね」

京父「なあ、頼む
ただ飯食ってくれれば、それでいいんだ

無理に知的な感じに振舞えとか無茶は言わないから、な?」

京太郎「おいおい、父親が息子にそんな頭下げるなよ

それも仕事の内みたいなもんなんだろ?
ちゃんと行くから安心しなよ」

京父「おお!すまない京太郎!さすが俺の息子だ!」

京太郎「…へへ」

…………

当日


高級料亭


男性「やあやあ須賀さん、こんなところしか取れなくて申し訳ないね」

京父「ああ、どうも!本日はこのようなお席を設けていただきまして…」

男性「あっはっは、堅苦しい事なんか抜きにしてどうぞ座ってください
そちらがご子息の…」

京太郎「京太郎です」

男性「そうそう、京太郎君だったね
いやぁ、なかなかお父上に似てなかなか男前じゃないか!


どうも、片岡です
今日は遠慮せずに何でも注文して食べていきなさい」

京太郎「はいっ、ありがとうご……かたおか?」

京父「?なんだ片岡さんを知っていたのか?」

京太郎「いや、なんつーか…」


??「お父様、遅くなりました」


男性「おお、優希
やっと来たか」

京太郎「ゆー…き…?」


優希「ご機嫌うるわしゅうございます、京太郎さん」


京太郎「!!!???!!?!?!?!?」


京父「おお!この子がご自慢の娘さんの優希さんですか!
いやぁ、お話に聞いていたより愛らしいお嬢さんで!」

男性改め優父「いやぁ、そう言っていただけると…
この子も今日の須賀さんとの夕飯を楽しみにしていたようなので」

優希「もうっ、嫌ですわお父様」


アッハッハッハッハ

京太郎「(おいおいおいおいおいおい…なんだこいつ?何者?

優希にめちゃくちゃそっくりだけど誰なんだよ…

ご機嫌うるわ…とか言いやがったぞ
しかもなに?お父様だぁ?お父様?
父親に様付け?

あの、あのタコス女の片岡優希が?

和服着て、頭にかんざし挿して、
じぇじぇ口調封印して、お嬢様っぽく振舞っていやがるだぁ?

なにそれ、どういうこったよ、意味わかんねーよ…!

もしかして俺は寝ている間に鏡の中の世界に連れてこられてしまったとか、そういう話か?
いやいや、そっちのほうがまだ現実味あるってーの)」


京父「しっかし、京太郎!
お前、片岡さんの娘さんの友人だったなんてなぁ
迷惑かけてないだろうな?」

優希「うふふ、とんでもない事でございますわ
京太郎さんにはいつもいつも私達を支えていただいて…」

優父「そうかそうか京太郎君、いつも娘がお世話になって申し訳ない」

京太郎「はへ?あ、あぁ、はい、どーも、いえ…」

優父「さてそろそろ持ってきてもらおうか」

京父「ほら京太郎!しゃんとしろ」

京太郎「あ、あぁ…わりぃ」

優希「うふふ…」


京太郎「(料理はとてもおいしく、優希の親父さんも話上手でなかなか楽しく食事会は進んだ…

しかし、それらよりも俺はやっぱり優希が気になっていた

鮮やかに盛り付けられた品々を、流麗な箸使いで丁寧に取り分けて、
少しずつ口元に運んでいく優希は、
そこらのオカルトなんかよりずっと非日常的な存在に思えた…

てか、あいつが食べるときに口元に手をやる仕草を見るたびに、
普段の『タコスうまいじぇー、がははー、うおー』ってやってるアイツがフラッシュバックして、
何ともいえない気分になってしまっていた……

そして、食事会はそんな俺の気持ちも置き去りに、つつがなく終了した)」


……

京父「ふぅ、実においしい料理だったなぁ京太郎!
美人の娘さんと食事だなんて、こんな経験もう二度とできんぞ!」

京太郎「あ、あぁ…そっすね」

優父「はっはっは!いやぁ、そこまで言っていただけるとお誘いした甲斐がありましたよ!」

京父「あっはっは!それにしてもお淑やかなお嬢様で実にうらやましい」

優父「いやいや、私も京太郎君のような美男子が息子だったら鼻が高かったんですがなぁ」

優希「あら、お父様ったら…では、そのように致しますか?」

京太郎「え?そのようにって…?」

京父「……なるほど」

優父「……ふむ、いい考えだ優希」

京太郎「え…な、なに?」

京父「いやいや京太郎、お前も隅に置けないなぁって話さ」

優父「私は優希の決めた男であれば信じるぞ」

京太郎「ちょっと、お二方?」

優父「須賀さん、腹ごなしに少し一緒に歩きませんか?」

京父「いいですねぇ、ご一緒させていただきますとも…そんじゃ京太郎、うまくやれよ~」

京太郎「うまくやれって………行っちゃった」





優希「……………

だじぇ~~~~…!」

京太郎「お」

優希「ああ、もうっ!つっかれたぁ~~!こんな堅苦しい服、早く帰って脱いでやりたいじぇ~!」

京太郎「…はは、お疲れ様」

優希「まったくだじぇ!

……ところで京太郎?

そ、その………今日の私、どうだった?」

京太郎「今日の優希か?」

優希「へ、変だった、よな…うん
学校にいるときとかはあんな素でやってるけど、家だとああいう風に振舞ってて……

そ、それでそんな親の前での私を見て……どう思ったのか、ちょっと聞きたいんだじぇ…」

京太郎「……まあ、びっくりはしたよ…けど」

優希「けど?」

京太郎「正直、ドキっとする瞬間は結構あったぜ」

優希「じぇじぇっ?!」

京太郎「はは、まあギャップってやつがな…
あんな清楚な優希見ると、
ちょっと、クラっ…ていきそうだったよ」

優希「じぇ…じぇ…じぇじぇぇ~……」

京太郎「なぁ、ところでさ…さっきの『そのように致しますか』ってどういう意味だ?」

優希「へ?」

京太郎「いや、お前の親父さんが俺を息子に欲しかったなぁって言った後のさ」

優希「…しっ、知らないじぇぇ~~~!!」

京太郎「あっ、おいっ、待てよ!」

優希「くぅぅぅ~~っ!京太郎のアホっ!ニブチンっ!鈍感っ!ば~~~~~かっ!!」

京太郎「ああっ!?言ったなこらぁっ!!」


待てー!

待たないじぇー!



優父「はっはっは、若いって」

京父「いいですなぁ…」


カンッ