京太郎「あんのタコス娘め…」

ついに2回戦当日、さっき優希の出番が終わり染谷先輩が出陣したところだ。

あのタコス娘は最後に逆転された腹いせに昼飯用のタコス全部食いやがった。

それでも足りないから買って来いとは何様だよ…

京太郎「おっ、そういえば屋台が出ているんだったな」

インハイで人が集まるからということで出店しているようだがタコスはあるだろうか?

今からホテルに帰って作るのも店に買いに行くのも面倒だ。

ケバブの屋台とかがあるぐらいだしな、タコスの屋台があってもおかしくはないだろう。

あったらラッキーぐらいに考えて回るのも楽しそうだ。

京太郎「焼きそば、たこ焼き、水あめ、から揚げなんかもあるのか…」

お祭りで見かけるようなメジャーなのは一通りあるみたいだ。

それより高校生の麻雀大会なのになんか随分と充実してるな。

麻雀が人気なのか東京がすごいのかどっちなんだか…

これってこっちの地元で一番大きい祭りよりも出店が充実してるよな?

京太郎「…なんかあそこに人集まってるな」

実況や解説で女子アナやプロも来ているしもしかして有名人でもいるのか…?

そういえばはやりんやこーこちゃんも来ていたはず…ちょっとだけ覗いてみよう。

「ほら、たこ焼き食べていってよ!」

「こっちにはじゃがバターもあるぜ!」

∠「あの…そんなにもらっても食べきれ…」アセアセ

あれ…なんかあの特徴的な∠には見覚えが…でも咲は控え室にいるはずだ…

「チョコバナナ食べるかい?」

「わたあめ持って帰りな!」

∠「ありがとうございます」キリッ

確かにあの人ならこの場にいてもおかしくないな。

随分と美人になっているがあの鉄板とホーンはあの人しかいないだろう。

京太郎「よっ、ずいぶんと人気者みたいだな」

照「…京ちゃん?」

インハイチャンプで俺の幼馴染、宮永照。






照「ここなら大丈夫だね」

あれからなんとかギャラリーを振り切って落ち着ける場所までやってきた。

照「京ちゃん久しぶり…」

京太郎「そうだよな…こっちに出てから会えてなかったもんな」

最後に会ったのは照が東京に出発したあの日だからもう2年半にもなるのか。

中学生だったから携帯もなく連絡も取り合ってなかったからなぁ…

あっ、忘れないうちに番号の交換しなくては。

照「これでいつでも京ちゃんの声が聞ける…ところで京ちゃんはどうして東京に?」

京太郎「清澄に進学したけど女子がこの舞台に出ているからその付き添いで」

ここで自分の実力で来たと言えたらかっこよかったんだけどな。

来年のためこれが終わったら本格的に練習再開しないとな…

京太郎「ところでこの食べ物はどうするんだ…?」

照の横には出店でもらった食べ物の数々が山のようになっていた。

照「…ところで京ちゃんはお昼たべた?」



というわけで照と一緒に昼飯ということでこの出店の食べ物を食べることに。

いやぁ…出店のものって高いから普段はあんまり食べられないけどこんなに食べられるとは贅沢だ。

照「何食べようか…あっ、甘いものは持って帰るからだめだからね?」

やっぱり照は甘いものが好きなんだなぁ…そういえば昔は咲と取り合いしてよく喧嘩していたな。

そういえば東京に出る前に咲とは大喧嘩してたなぁ…お小遣い全額使って買った高級プリンを食べられたとか。

…流石にもう仲直りしているよな?

京太郎「まずは焼きそばとたこ焼きから食べようぜ」

やはりお祭りの出店といったらたこ焼きか焼きそばだろう、異論は認めぬ。

京照『いただきます!』

具は豚肉にキャベツ、にんじんとシンプル、そして紅しょうがのトッピング…さて味はどうかな?

キャベツは甘くて麺は大分柔らかくて味が濃い。

少し時間が経っているから冷めて蓋についた水滴のせいでちょっとびちゃっとしている。

うん、微妙なうまさだ。まずくはないがとびっきりおいしいというわけではない。

家で自分で作ったほうがおいしくできると思ってしまうレベルの味だ。

だがこれでいい…いや、これがいい。


出店のやきそばなんてものはこんなもんだ。

だがなぜか割高でそこまでおいしいものでないのに食べたくなってしまう魔力がこれにはある。

さてたこ焼きのほうはどうなのかな…?

京太郎「熱っ…でもうまっ!」ハフハフ

もらったのが最後のほうだったからかまだ熱々じゃないか。

たこ焼きは熱くて大きめでも一口で全部口に入れてしまうのが一番うまい食べ方だと思う。

表面かりっと、中はとろりとして上に乗った鰹節と青海苔の香りが広がる。

中に入った色々な具で複雑な味となり甘めのソースがそれを引き立てる。

本当に全員がいい役者だ、一人でも欠けたらこんないい舞台はできないだろう。

普通の人はこういう機会でないと冷凍以外のたこ焼きって食べないよな…大阪以外は。

セーラさんや洋榎さんにメールして大阪のたこ焼きについて聞いてみるのもおもしろそうだ。

冷凍モノはたこが入っているのかわからないレベルの小さいものしか入っていないパチモンだ。

しかし、このたこ焼きは大きいたこがきちんと入っていて噛んだときにその存在を主張している。

京太郎「……」モグモグ

照「京ちゃんは相変わらず食べているときは無口になるよね」

…はっ!?

しまった、つい夢中になって照のことが頭から抜け落ちていた。

照「気にしないで、京ちゃんが食べているところ見るのは好きだから」ニコッ

もしかしてずっと食べてるところ見ていたのか?

なんだかそう思うとはずかしいな…

照「じゃがバターもあるよ、ほら…あーんして?」

ふむ…結構いい芋を使っているな、芋とバターの甘さが心地よい。

でも時間が経っているはずなのになんでこんなに熱々なんだろうか?

照「ほら、イカ焼きも食べて」

あぁ…噛むごとにイカの旨みが溢れてきて醤油と混ざり合い…でもこれも異様に熱いなぁ。

熱すぎて顔が真っ赤になってしまうじゃないか。

照「ふふっ…京ちゃんかわいい♪」

てかこれ傍から見たらただのいちゃついているカップルだな…

照が恋人か…うん、悪くない。

カン!