透華「今日は夏休み中住み込みで執事として働いている京太郎に、我が龍門渕家自慢の邸宅を案内して差し上げましょう」

透華「そうと決まれば早速お弁当を作りましょう! ウチは広いですからちょっとしたピクニックになりますものね。ならばお昼は外でとることになりますからお弁当は必須です」

透華(いえ、別にこの私がわざわざ作ることに他意はないんですのよ! 日頃頑張ってる京太郎へのご褒美というだけです!)

―――

~厨房~

透華「よし! 準備はできましたわ!」

透華(とはいうものの……家庭科の調理実習でくらいしか料理したことないんですが)

透華「まぁ私にかかればお弁当なんてちょちょいのちょいですわ!」

~数十分後~

透華「……」

透華「卵焼きは少し焦げて唐揚げはちょっと揚げすぎたかも……サンドイッチは不格好ですし」

透華(今更作り直す時間もありませんし……ま、まぁこんなものですわよね?)

透華「と、とりあえず完成しましたし、気を取り直して京太郎を誘いに行きましょうか!」

―――

コンコン

京太郎「はい~?」

透華「私です。透華ですわ」

京太郎「透華お嬢様? 今開けます」ガチャ

透華「あ、須賀京太郎……」

京太郎「どうかしました? 今日は休みだって聞いてたんですけど」

透華「休みだから来たのですわ。今日は予定空いてますわね?」

京太郎「は、はい。別に予定ありませんけど……」

透華「これからあなたに龍門渕家の邸宅を案内して差し上げようと思いますの」

京太郎「え、いいんですか!?」

透華「ええ、もちろん。この私自ら案内して差し上げますわ!」

京太郎「やった! 前々から色々気になってたんですよ、ここの施設とか裏庭の方とか!」

透華「そうですの、ならちょうどよかったですわね。では早速準備しなさい」

京太郎「はい!」

―――

~庭園~

京太郎「ここは……」

透華「ここはお母様が趣味で作った庭園ですわ。小さな花から背の高い木まで様々な植物が調和を考えて配置されておりますの。庭園というより植物園、植物園というより芸術作品と呼べるものになっていますのよ」

京太郎「すげぇ……」

透華「ふふ、ここは全体をぐるりと一周出来るようになっているのですけど、その途中にベンチがありますからそこでお昼にしましょうか」

―――

透華「どうぞ、お食べなさいな」

京太郎「ありがとうございます。どれから食べようかな……よし、まずは卵焼きだ」パクッ

透華「……ど、どうですの?」

京太郎「おぉ、甘い卵焼きですか!」

透華「えっ……甘い!? 嘘!」ヒョイ パクッ

透華「ほ、本当に甘い……卵焼きを作ったはずなのに。まさかこの私が塩と砂糖の間違いなんていう初歩的なミスを? そんな……」

京太郎「いや、そんな落ち込まないでくださいよ。こういう甘い卵焼きも好きですよ。俺」

透華「……無理なさらなくてもよろしいですわ」

京太郎「無理なんかしてませんって! ウチの卵焼きは醤油で味付けしますけど砂糖で味付けする卵焼きもありますし、それにこれ十分おいしいですよ!」

透華「そ、そうかしら?」

京太郎「そりゃ思ったのとは違うものが出来ちゃったかもしれませんけど、結果オーライです」

透華「……ありがとうございますわ。あの、今度はこっちの唐揚げを食べて下さいまし」

京太郎「うん、これもカリッとしてておいしいですよ!」ガツガツガツ

透華「あ、そんな急いで食べますと……」

京太郎「うぐっ!」

透華「喉を詰めますわよっ、て言わんこっちゃありませんわ。ほら、飲み物です」

京太郎「す、すいません……ありがとうございます」

透華「まったく、そう焦らなくてもご飯は逃げませんわよ。あぁもう口元にパンの欠片をつけて……」ヒョイ パクッ

京太郎「え……」

透華「あ、い、今のは違いますのよ! いっつも衣にやってあげてるだけであって……」

京太郎「……」

透華「……な、何か言って下さいな」

京太郎「す、すいません、なんか恥ずかしくって。それに、慌ててる透華さんが可愛くって……」

透華「っ!? もう、からかわないでくださいまし!」

京太郎「はは、照れてる透華さんも可愛いですよ」

透華「~~~っ!! もう知りません!」

京太郎「あ、すいません! ちょっと調子乗り過ぎました」

透華「……」ツーン

京太郎「そんな拗ねないでくださいよ~」

透華「拗ねてなんかいませんわ!」

京太郎「はは、そうですね、透華さんは拗ねてませんね」

透華「きぃ~~~! 違うって言ってますのに!」

―――

透華「まったく、あなたは……」

京太郎「すいません……」

透華「もうからかうような真似はしないこと。よろしいですわね?」

京太郎「はい……でも」

透華「でも、なんですの?」

京太郎「透華さんが可愛いって言ったのは別にからかった訳じゃないですよ」

透華「それって……」

透華(私が可愛いと本気で……なんて恥ずかしい事を真顔で言いやがりますのこの男は!?)

透華(そんなだから……私はあなたから離れられないというのに)

透華「……」ガスッ

京太郎「いってぇ! 何するんですか!?」

透華「知りません!」

京太郎「まったくもう、困った姫様だ……ま、そこがいいんだけどね」ボソ

透華「何か言いまして!?」

京太郎「いえいえ、なんでもありませんよ~」

透華「あなた、私を馬鹿にしてますの!?」

  • 咲? は見たことないけど…この二人のやり取りは好きです -- 香澄 (2014-07-01 23:56:09)
名前:
コメント: