穏乃「今日は二月にしてはいー天気だねー!」

憧「そーね。私も、あんたのそのジャージ姿を見てなかったら、まだあったかいって思える程度にはね」

穏乃「ん~?このジャージは冬用だからあったかいよ?」

憧「見てるこっちが寒いのよ!なんでこの季節に生足出してんのよ、あんたは!それ見て宥姉が気を失ったの忘れたの!?」

穏乃「な、なんだよー、ジャージ差別すんなよー、ジャージはどこにでも着ていける万能服なんだからさー」

憧「んなわけないでしょ!ったく、そんなんだから京太郎にも相手にされないんじゃないの、しずは!?」

穏乃「なっ、こ、ここで京太郎は関係ないでしょ!?」(カァー!

憧「そーやってムキになってる時点でバレバレだっての」

穏乃「ぅ……」

憧「そういえば、もうすぐバレンタインデーだけどどうするの?長野まで行ってチョコ渡すの?」

穏乃「チョ、チョコ渡したいなーとは思ってるけど……長野までいくのはお小遣い足りないし、なんていうか、め、迷惑かもしれないし……」

憧「まー、本州の真ん中から北側までチョコ持ってこられたら、なんていうかイロイロと断りにくいわね」

穏乃「そーいうことして嫌われたらイヤだし……でも、宅配便で送るのもなんだかなーって感じだし……」(ションボリ

憧(しずはしずなりに悩んでるのねー)

憧「じゃあ、バレンタインにチョコ渡すのは諦めるって方向でいいのね」

穏乃「――――それは……」(ベソ…

憧「いや、そこで半泣きになられても困るんだけど」

穏乃「だ、だってしょーがないじゃん、男の子にチョコあげたいなんて思ったの初めてなんだし!」

憧「あの穏乃がね~」

穏乃「な、なんだよー、私だって女の子なんだぞー、バカにすんなよー!」

憧「ハイハイ、拗ねない拗ねない。ったく、しょうがないわね~……」

穏乃「憧、携帯なんて取り出してなにするの……?」

憧「奥手なしずに代わって、私が一肌脱いでやるっつってんのよ――――あ、もしもし京太郎?」

穏乃「」


そしてバレンタイン当日――――



京太郎「阿知賀子供麻雀クラブの面子で集まって麻雀大会すると聞いて!」(バーン

憧「ああ、それ嘘だから」

京太郎「よくもだましたアアアア!!だましてくれたなアアアアア!!」

憧「ちょっ、なにもそこまでキレることないじゃん!?」

京太郎「憧ォ、テメエは俺を怒らせた……!この罪、どうやって償ってくれるんだ……!?」

憧「ぇ、あ、ゴメンなさい……まさか、ホントにそこまで楽しみにしてるなんて思わなくて……。な、なんでも言うこと聞くから許してよ……」(カタカタ

京太郎「……いや、なんでもとか言うのは止めようぜ。そーいうの言質に取られてなんかヒデーことされたらどうすんだよ」

憧「ひ、酷いことってなにするの……?け、毛虫ぶつけたりするのはナシだからね!?」

京太郎「…………そのままの憧でいればいいと思うぜ、ウン」(ナデナデ

憧「よ、ちょっと、頭撫でないでよ……!」(カーッ

京太郎「いやー、悪ぃ悪ぃ。奈良まで来て麻雀できないのかと思って、つい」

憧「うー、ちょっと見ないうちに麻雀バカに磨きがかかってるわね……」

京太郎「ハハハ!言うほど麻雀バカになっちゃいねーって!」

憧「どーだか」


穏乃「――――――――仲良いね、憧と京太郎って……」

憧「ハッ!?し、しず、これは別にあんたが考えてるようなものじゃないから!」

京太郎「考えてるようなものって、どんなの?」(ナデナデ

憧「あんたは口を挟まなくていいの!っていうか、いつまで頭撫でてんのよ!?」

京太郎「いやー、なんか触り心地良くてつい」

憧「あうぅぅぅー……!?」

穏乃「ヒドイよ……こんなのってないよ……!」

憧「ちょっ、拗ねないでよしず!もうっ、京太郎が悪いんだからね!?」

京太郎「俺ですか!?」

憧「そ、そーに決まってるでしょ!」


京太郎「なんでキレられてんのかわっかんねー……」

憧「ま、まあいいわ、今日あんたを読んだのには訳があるのよ」

京太郎「訳……?」

憧「そーよ。さあしずっ、準備はいーい!?」

穏乃「お、おー!」

京太郎「準備?」

憧「今日の日のための特別イベントよ!」






京太郎「――――で、なんで俺は阿知賀麻雀部の部室でチョコフォンデュを食べてるの?」

憧「今日はバレンタインでしょ。チョコ貰えそうにない京太郎のために、しずがわざわざ用意してあげたのよ!」

穏乃「え、えと、チョコ渡すだけよか、こーやってみんなで楽しめる形にした方が、きょ、京太郎も面倒臭くなくていいかなーて思って……!」

京太郎「面倒臭くなくて、ってどーいう意味だよ……」

穏乃「え?い、いや、だってほら、私みたいなのにチョコ貰っても、こ、困るじゃん、なんかさ……」


京太郎「なんでだよ。チョコ貰って喜ばねー男はいねーっての」

穏乃「ホ、ホント?」

京太郎「当たり前だろ。しかも、穏乃みたいな子が、わざわざチョコ用意してくれてるとか、男冥利に尽きるってもんだぜ?」

穏乃「そ…………そーなんだ、アハ、アハハハ」

憧(ホラ、なにやってんのよっ、京太郎も満更でもなさそーなんだし、ここで勢いに任せてチョコ渡しちゃいなさいよ!)

穏乃(チョ、チョコフォンデュ食べてる状況でチョコなんて渡せるわけないじゃん!チョコにチョコが重なっちゃうでしょ!?)

憧(そこはホラ、チョコの七対子とか対々みたいな感じでさ!)

穏乃(訳がわからないよ!)





京太郎(なんか穏乃と憧が揉めてるなー。にしても……バレンタインのチョコ代わりのチョコフォンデュか、なーんかちょびっとだけ悲しいなー。義理チョコでもいいから、穏乃とか憧から貰いたかったんだけど……)

憧「いいからさっさと渡しなさいよー!」

穏乃「そ、そんな大声で言わないでよ!?恥ずかしいじゃん!」

憧「恥ずかしい恥ずかしいって、あんたの恋路見守ってるこっちの方が恥ずかしいのよー!」

穏乃「こっ、恋路とかじゃないもん!も、もう少し仲良くなりたいなーってだけだし、と、友達として!」

憧「じゃあ、京太郎が誰かと付き合ってもいいんだ!?」

穏乃「そっ、そんなの絶対にヤダ!!」

憧「ホラッ、見たことか!」

穏乃「ちっ、違うもんっ、こ、これは友達が取られるの嫌って意味でのヤダだもん!」(バタバタ

憧「あ~~~っ、もうジレったいなー、この子は……!!」




京太郎「あ、マシュマロにチョコつけて食べるのウマイな……。こっちの苺もなかなか――――」



高鴨穏乃編……カン!