………この世には、けして表沙汰にしてはならぬ戦いというものがある。

どんな非情な手段を使ってでも勝たなければならない、血で血を洗う醜い戦いだ。


冷やし透華「…………凍死(ロン)」

咲「そんな……私の嶺上開花が……!」

透華手牌:12312345678p西西9p


透華「リーチ・平和・一通・槍カン・一盃口・混一・ドラ……3で三倍満ですわ!」

咲「ぁ……ぁっ……!?」


例え悪魔と罵られ、魔王の謗りを受けようとも……。


久「狙い打ちだー!咲の十八番・嶺上開花を華麗に撃ち落としたぁーっ!」

まこ「他家が九筒ポンさせたの見てから染めに走って、よう間に合わせたの……」

和「しゅ、執念という奴ですね……」

優希「まるで、正ヒロインは自分だと主張するかのような和了りだったじょ」

まこ「なんにせよ決着じゃな」

久「そうね―――クリスマスの予定カップin長野!優勝は龍門渕透華さんー!」


「ゴメンね……京ちゃん、私負けちゃった……」

「病んでさえいなければ……コフッ」

「高校百年生なのにー……もー!」

「ちょお、なんで私の順が下がってんのよ……?」

(以下略)


透華「フ、フフ……勝った……私、勝ちましたわよ!」


死屍累々、名前さえ出ることなく消えていった少女達から選ばれたはずの少女が三人、膝をついて現実に打ちひしがれる中、真の勝者となった透華が高々と笑う。


透華「フフ、フ……オーホッホッホ!!これで聖夜に私と京太郎のデ……デートを邪魔する無粋な存在は現れませんわ……!これで、これなら……!」



赤木「ククッ……蚊帳の外、か」

天「おい、ひろ。今からでも遅くねえから、ちょっと女装してあいつらと打ってこようぜ」

ひろ「なに言ってんですか、アンタっ……!」



時は、全国の非リア充が、歯よ砕けよと呪詛を吐きながら、非現実の少女との逢瀬に走る十二月。(注:個人的な意見を言うなら推奨)


透華「覚悟なさいまし、京太郎……!聖夜の私は少々凶暴ですわよ!」


某少年とのクリスマスデート(非公認)の聖戦は、こんな感じで幕を開けた――――



十二月二十四日・クリスマスイブ


京太郎「…………まさか、透華さんからクリスマスイブにデートのお誘いが来るなんて」


悲しいことに前日まで誰からも声がかからなかったロンリーボーイには嬉しいサプライズなんだけど。

一月ぐらい前から、一さんとかにクリスマスは予定開けとけって、耳にタコができるまで聞かされてのは……もしかしてこのため?


透華「お、遅いですわよ、京太郎!いま何時だと思ってますの!?」

京太郎「…………約束の時間の一時間前です」

透華「甘いですわ!私はさらにその一時間前からスタンバってましたわ!」

京太郎「二時間前からはさすがに早すぎですよ……。ああほら、指赤くなってるじゃないですか……」

透華「こ、このぐらい屁でもありませんわ……」

京太郎「ダーメーですっ、雀士の指は商売道具も同然なんですから!息ハーしてください、ハー」

透華「こ、子供扱いしないでくださいまし!」

京太郎「もー、衣さんみたいなこと言わないでくださいよ。しょうがないな、手貸してください」


――――きゅむ


透華「……………………ふぁっ!?」

京太郎「ちょっと恥ずかしいですけど、こーやって手を繋いでたらその内、暖まりますよね」

透華「ぇ、ぁ……そ、その考え方、一理ありですわね……」

京太郎「…………と、とりあえず、どこに行きましょうか」

透華「で、では、最初はあっちの方にあるブティックを見に行きたい……です」

京太郎「かしこまりました、お嬢様」

透華「クス……ぶっちゃけ似合いませんわよ、その台詞?」

京太郎「ククッ……俺もそう思います」




それから一分後。

いちゃつくカップルの波を掻き分けるように歩く中で、赤くなった顔を俯かせて京太郎が音を上げた。

京太郎「………………勢いでやって、いま猛烈に後悔してるんですけど、も、もう離してもいい、ですか?」

透華「―――――」(ギュー

京太郎「………………」(ギュッ

透華「ふぁ……」(ビョクッ

京太郎「(押されるとダメなんだよな……)も、もー少ししたら逆の手も……握りましょうか……?」

透華「な、ナイスアイデア……ですねっ」

透華(なんというか……至福、そうっ、至福ですわこの状態!)

京太郎(うん、なんていうか……そう、すばらっな反応だなぁ……。なんか照れるぜ)



★「…………虫酸ダッシュ!」

子供「虫酸ダダッシュ!」


透華「そういえば京太郎、私、どうしても今日参加したいイベントが一つありました」

京太郎「え、どこですか?実は俺も、今日行ってみたいイベントが――――」

透華「あ、ホラ、あそこの雀荘です、アッシュフォード学園という、変わった名前の雀荘」


――――雀荘『アッシュフォード学園』

初心者歓迎!

サービス満点!!

クリスマス大会、本日20:00時より開催!二名一組、優勝者には豪華賞品をプレゼント!!!

――――現在時刻、19:40分


京太郎「ぇ」

透華「ホ、ホラ、あそこのペア限定の麻雀大会。京太郎はああいうの好きそうだと思って私、ちょっと前から目をつけてましたのよ!」(フンス

京太郎「へ、へー、ペア限定の麻雀大会ですかー、それは面白そうだぜー」

京太郎(ヤッベー、予定が被った……)

透華「京太郎が参加したいイベントは何ですの?もし時間に余裕があるなら、ちょっと腕試しして……そ、その、二人で優勝しておおいに目立ってやりましょう!」

京太郎「あー、いや、俺の方はど、どーでもいいイベントなんでっ!こ、こっちの雀荘イベントの方を楽しみましょう、それがいいです、はい!」

透華「アラ、私、京太郎と一緒でしたら多少つまらなくても全然平気ですのに……」(ムー

京太郎(ゴハァッ……!こ、ここでこんな殺し文句出されても困る……!)

京太郎「え、えっと、じゃ、じゃあ、あそこのイベント終わった後に教えますから!ま、まずはあそこで一暴れしてやりましょうよ!」

透華「フフッ、もったいぶるなんていけずですわね。いいですわ、その内緒のイベントを励みに、にわかペア共にわ、私たちの息のあったプレイを見せつけてやりますわよ!」

京太郎「いや、通しはダメでしょう、フツーに考えて……」



そして次の次の日……

一「…………健気だねえ、透華も」

智紀「相手の好みのイベントを用意しておく……あざとい」

純「つーかクリスマスのデートに雀荘行くなよ、お前ら……」

透華「ほ、放っておいてくださいまし!」

衣「それでそれで!イベントはどーなったんだ!?」

透華「フフン、私と京太郎のペアの前に敵などいませんでしたわ!そうして手にいれた優勝商品がこれ!ご覧なさい――――この、ぺ、ペア、ペアのリ、リングを……!」

一「そんな恥ずかしがることないじゃん……」

透華「で、ですが、知らない人がこれを見たら、その、私と京太郎の関係が一目瞭然ですし……」

智紀「変なとこで、ウブい」

純「まー、その辺がギャップ?とかいう奴なんじゃねーの。知らんけど」

衣「深慮策謀だな、トーカは!」

一「天然なとこあるからねー。全然これっぽっちも小悪魔タイプじゃないのに」

透華「天然ってどういう意味ですの?」

智紀「透華は知らなくて、いい」

純「人間、細かいことは気にしない方がいいもんな」

一「そーそー。あ、それで雀荘のイベントで大暴れしたのは分かったけど、その後はどしたの?須賀君が参加しようと思ってたイベントってなんだったの?」

透華「――――――そ、それは……」(ポッ

智紀「意味深な……顔赤らめ……」

純「おいおい、まさかの爆弾発言はやめろよ?」

透華「ぁ、ぁの、ですね……雀荘のイベントに参加したせいで、京太郎が行きたかったイベントはもう終わってしまったということで……ぇ、えっと……その―――」(ゴニョゴニョ

衣「お、おお、まさか透華……大人の階段を登ったのか!」

一「い、いやいや、まさか……。須賀君だよ?いくらクリスマスだからって、早々奇跡は起こらない―――」

透華「せ、せっかくだし、い、家に来ませんか……と、しょ、招待されて……その、い、一夜を―――」

一「き、奇跡が起きた!?」

智紀「そ、その時の内容を詳しく!」

透華「こ、これ以上は……い、言えませんわ!」

純「……ハギヨシに赤飯頼んだ方がいいのかね、これ?」

衣「ウム!念願成就のお祝いだな!龍門渕は今後も安泰間違いなしだ!」


透華(え、ええ、言えるわけありませんわ!京太郎だけじゃなく、京太郎のお、お父様とお母様に紹介された後、楽しく団欒して過ごしただなんて……!)


この時、透華が変に思わせ振りなことを言ったせいで誤解が誤解を生み、龍門渕を挙げての記念祭が開かれたり、そのことが麻雀TODAYに取り上げられて、とある少年の身に本格的に危機が迫るのだが…………それはまた別のお話。