十二月某日

【清澄高校麻雀部】


久「――――というわけで、もうすぐ女の子的に無視できないイベントが迫ってるわけだけど」

まこ「……また唐突に話題を振ってくるのお」

優希「イベント……タコス祭りか!」

和「そんなオカルトあり得ませんよ、優希」

優希「じぇ……」(ホロリ

咲「ゆ、優希ちゃん、泣かないで……」

久「聖なる夜に予定のある人、手ー挙げてー」

咲和優希まこ「………………」

久「――――なんか、ゴメン……」



京太郎「た、ただいま戻りましたー」(ヨタヨタ

久「あ、須賀君、買い出しご苦労さま~」

京太郎「ハァ……ゼェ……た、体力落ちたかな俺……」

咲「だ、大丈夫京ちゃん?ハイ、お茶」

京太郎「おー、サンキュー。フゥ~……やっぱアレだな、麻雀ばっかやってて運動が不足してんだよ」

咲「もー、ダメだよそんなじゃ」

京太郎「麻雀する以外は本読んでそうなお前には言われたくねーけどなー。膝パキパキ鳴ったりしてね?」

咲「し、失礼な!?私、まだそんな歳じゃないし。ほら―――あ」(パキペキッ

京太郎「…………」(ジトー

咲「…………ま、まあ、私も……ちょっとだけ運動不足、かな~……なんて」

久(私も気をつけよう)

まこ(わしはバイトで走り回っとるから問題なーで)

優希(膝ってあんな風に鳴ったりするのか?)

和(運動すると胸が……痛くて)

久(なにそれ自慢?)

まこ(一部の人が聞いたら怒り心頭じゃの)

優希(私もあと少ししたらボンキュッボンのないすばでーだじぇ!)

久まこ和(それはない)

優希(じぇえ!?)


京太郎「あそこは何話てんだろうな……」

咲「さ、さあ?なんだかちょびっとだけ、ムカってしたけど」

京太郎「あー、にしても買い出しで商店街に行ったんだけどさ。どこもかしこもクリスマスカラーで、なんか落ちつかなかったぜ」

咲「!あ、あー、もーすぐクリスマスだもんね、しょうがないよー」

京太郎「まあそーなんだけどなー。気の早いカップル達がたむろする中を、備品の詰まったリュックとビニール袋手に歩くのはケッコー辛いものがあったぜ」


咲「アハハ、そ、そーだよねー……」

京太郎「おう、まったくな」

咲「…………」

きょい太郎「…………」

咲「…………」(キョドキョド

京太郎「んで、なに?」

咲「ファッ!?」(ビョクッ

京太郎「いや、さっきから何か落ちつきねーし。なんか用事でもあんのかなーって」

咲「え、あ、いや、それはー、その……!」

京太郎「おう」

咲(あううー……で、でも、コレはチャンス、絶好のチャンスだもん!)

咲「京ちゃん、ク、クリスマスなにか予定ある!?も、もし暇だったらさ、どこかに遊びに行かない!?」

京太郎「おー、珍しいな咲から誘ってくるとか。いいぜ、寂しい者同士、クリスマスデートと洒落込もうぜ!」

咲「デ、デート……」(ポッ


久(わざとボカしたことを言い直されるのって恥ずかしいわよねー)

まこ(京太郎の方は、あんまり気にしとらんようだがの)

優希(全国大会でその辺、パワーアップしてるから性質悪いじぇ)

和(いつか事件に巻き込まれるんじゃないかと、密かに心配してたりします)

久(あー、拉致されたり背中刺されたり?)

和(それもありますけど……一番怖いのは、麻雀で自分を賭けて勝負したりしそうなところでしょうか)

久優希まこ(…………)



京太郎『ククッ、いいですよ……。そっちも同じ条件を呑んでくれるなら……この勝負、俺は自分の人生を賭けますよ』(ざわ…ざわ…



久(あー、なんか想像に難くないわ。そうやってフラグおっ立てていくのね)

まこ(麻雀やっとる時のアイツは世界観が変わるからのう)

優希(っていうか、その台詞もうどっかで使ってそうな気がするじぇ)


咲「ホ、ホントにいいの?クリスマスだよ?聖夜だよ!?」

京太郎「なに鼻息荒くしてんだよ……。別に初めてじゃないじゃん、二人でどっか遊びにいくの」

咲「うう、やっぱり微妙に理解してないけど……うん、大丈夫大丈夫、むしろ好都合だよ京ちゃん!」

京太郎「な、なんか目ぇギラギラして怖いですよ、咲さん」


そんなこんなでクリスマス、二人でお出掛けの機会をゲットした咲ちゃんさん。

はたしてクリスマスの聖夜に奇跡は起こるのか……!





そして、クリスマス・イヴ。

待ち合わせ場所で合流した咲と京太郎が向かったのは、地元で一番大きな書店。

数階建てのビル全体が本で埋まった空間に恍惚となる咲の手を引き、あれでもないこれでもないと掘り出し物の本探しに勤しみ。

お昼はその書店の近くの喫茶店『アストラル』で済まし、そして夜が来る……。



咲(丸一日に近い時間を過ごした二人は、電飾の綺麗な大きなモミの木の下で……し、幸せな、幸せな――――)(ボシュゥ

京太郎「咲……ちょっといいか」(グイッ

咲「(きょ、京ちゃんが手を握ってきた……!)う、うん…いいよ――――」






和「――――そ、それで、続きはどうなったんですか?」(ソワソワ

優希「まさかの京太郎リードな展開だじぇ……!」

久「これは続きが楽しみね……!」

まこ「まあ、クリスマスに暇して集まってダベって過ごしたわしらよりは、よほど健全な時間を過ごしたようじゃし」

咲「け、健全な時間……だったのかな?」

久「なんなのその言い淀んだ感じ……え、ま、まさか――――一線越えちゃったの!?」

和「さすがにそれは不潔ですよ、咲さん!」

咲「してないよ、そんなことは!!」

優希(そんなことって……や、やっぱり)(カーッ

まこ(おや、優希の奴が真っ赤になって黙ってしもうたのー)(ニヤニヤ





京太郎「どうしようかってずっと迷ってたけど……!」

咲「!」

京太郎「あそこ、入ってみようぜ!」

咲「あ、あそこって――――!!」


――――雀荘『アッシュフォード学園』


初心者歓迎!


サービス満点!!


クリスマス大会、本日20:00時より開催!二名一組、優勝者には豪華賞品をプレゼント!!!



――――現在時刻、19:40分


咲「…………あ、やっぱりそーいうオチですか」(ジト…

京太郎「そ、そんな目するなよ……クリスマスなのに、飛び込みで麻雀大会に出たいとか空気読めてないのは分かってるし……」(ボソ

咲(それって……一応、京ちゃんもクリスマスに二人っきりってこと意識してくれてた、ってこと……だよね?)

咲「ハァ……もう、しかたないなー」

京太郎「アハハ、恩に着るぜー、咲」

咲「うん、存分に着てください!」




久「――――まあ、ある程度、予想はしてたけど須賀君……」

まこ「麻雀部部員として最高に仕上がってきとるんは良しとして。女とクリスマスに出掛けて雀荘の麻雀大会はいただけんのう」

優希「こいつはちょっとお仕置きが必要だじぇ!」

和「まあ……一言、二言、三言ぐらいの苦言は呈した方がよさそうですよね」

咲「アハハ、み、みんなお手柔らかに……」


咲(なんかこの空気じゃ言えないよね……まだちょっと恥ずかしいし)



――――麻雀大会の優勝賞品……カップル用のペアリングだったっていうの。





咲(あと、そこの雀荘、京ちゃんが結構常連だったとか、ね。……エヘヘヘ♪)