アナウンサー「――――それでは、清澄高校・須賀選手に優勝したことについてのコメントを頂きたいと思います!」

京太郎「え、あ、は、はは、はい、その……や……やってやったぜ、って感じです、ええ……」(カチコチ

アナウンサー「おや、対局中の自信溢れる様子からは想像できないぐらい緊張してますねー」

京太郎「す、すみませんっ……」

アナウンサー「いえいえー、これも一種のギャップ萌えで受けがいいと思いますよ」

アナウンサー「聞けば須賀選手、麻雀を始めてまだ半年程度とか。それでこれだけの結果を残せたのには、何か理由があるのでは……!?」

京太郎「…………そうっすね」

アナウンサー「も、もしよければ教えておただけませんか!?」(スクープ!盛り上がる!

京太郎「友人に……伝えたったんです。『俺はあなたのことが大切です』、って!」(キリッ




会場「ざわ……
ざわ……」

アナウンサー「お、おお……思いの外、お熱いコメントいただきました!この言葉を送られた人は幸せ者ですね!」

京太郎「は、はあ……?」

妙にテンションの上がったアナウンサーに首を傾げる。
後で振り返ってみれば、この時の彼はまだ幸せだったのだろう。

アナウンサー「しかし、伝えたった……アハハ、少し噛んじゃいましたね」

京太郎「――ス、スミマセン」(カァッ

アナウンサー「まあ、緊張しちゃうのも無理ないですよね」

恥じ入る京太郎に苦笑を浮かべ、アナウンサーがフォローの言葉を口にする。

アナウンサー「流石に日本全国に放送されてる中での告白ですし」

京太郎「――――――――ハ?」

アナウンサーの言葉に目を丸くする。

アナウンサー「県予選レベルまでいけば、民営放送や動画で視聴できますからね!きっと須賀選手の言葉は届いていますよ!!」

京太郎「え?あれ……ちょっと待って――――」

アナウンサー「ではっ、これにて優勝者インタビューを終了したいと思いまーーーーすッ!」





図らずとも全国に向けて京太郎が発してしまった意味深なコメント。
それはまず会場にいた少女達に、さらに長野県の県予選に関心を寄せていた人物――達へと届く……届いてしまった。

透華「……………………!!」

一「とーか、大丈夫~?」

透華「ちょっ、ちょ……ちょっと……そっとしといてくださいませんか!?」

一「目立ってなんぼな透華が、顔覆ってしゃがみ込んじゃってるよ……須賀くん、これで責任取らなかったら犯罪だよコレ」

透華(た、大切です……?俺はあなたのことが大切ですって……それって、それってどう考えても―――!!)

透華(あ、ダ、ダメ、まだ早いですわ……!いくら両想いになれるからといって、あっさり受け入れては品位が疑われてしまいますし……!)




咲「俺は……あなたのことが大切です――――アハ、ハハ……そ、そんな風に言われたら……て、照れちゃうよ」

和(宮永さん……ここ数日、精彩を欠いていましたが、復活したようですね)

咲「よーし……京ちゃんの応援は終わったし、県予選女子の部がんばろうね、原村さん!」

和「――――ハイ!!」

優希「おー、だじぇ!」

まこ「とりあえず、やる気が出たんはええことかのう?」

久「後が怖いけど、とりあえず今は県予選を突破することを考えるべきよね」(キリッ

まこ「面倒ごとはゴメンじゃいうとるんはよく分かった……」




―――大阪


京太郎『伝えたったんです。「俺はあなたのことが大切です」、って!』(キリッ

怜「――――ゴホォッ……!」

竜華「と、怜……!?怜ぃぃぃぃぃィッ!?」

浩子「ああ、園城寺先輩がおっ立てた立直棒が真っ二つに折れてもうた……!」

泉「いや、そこは今驚く場所ちゃいますて!?」

セーラ「アカン、怜が……怜が血ぃ吐いて倒れてもうた――――って、これ鼻血かーーーーい!?」

怜「京ちゃん……アカンで……。こ、こんな全国ん人が見とる中でそんなん言うたら、て、照れてまうやん……」(エヘヘ

浩子「まあ、これ以上ない熱烈な告白でしたけど……たぶん意図してのもんちゃうん思うのうちだけでしょーか?」

泉「あ、実は私も……」

セーラ「ゴメン、俺もや」

竜華「…………怜には悪いけど、うちも」


――――同大阪

京太郎『伝えたったんです。「俺はあなたのことが大切です」、って!』(キリッ


郁乃「やぁん、いくらなんでも日本中の人が見てるかもしれんとこでは……」(テレモジ

漫「うはあ、監督がなんかクネクネしとる……」

由子「須賀君のこと気に入ってたしなあ、しゃあないのよー」

漫「丁度、愛宕先輩とかが買い物に行ってたんが不幸中の幸いかも」

由子「主将とかおったら大騒ぎだったのよー。ねえ、大将…………大将?」

恭子「――――――――」(ドンッ……!

漫「す、末原先輩……仁王立ちの姿勢で固まってもうてる――――!?」

恭子「ぇ、ぁぅぁ……あ、ひゃう……?」(ガクブル

漫「ああー、これは『俺はあなたのことが大切です』発言を頭が処理しきれてないっぽいのよー」

由子「バンカラスタイルの仁王立ちで真っ赤な顔と涙目って新し過ぎるのよー」

郁乃「末原ちゃ~ん、須賀君が県予選で優勝したお祝いにえっちぃ写真でも撮って送ったろうや~♪」

恭子「へ……ぇ、な、なんで私なんですか……?」(ウルウル

郁乃「そんなん決まっとるやん~、次会った時にガッツリいくためやよ~」(ニッコニッコ

恭子「え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~……」(ズルズル



絹恵「お姉ちゃん~、なにしてんの早よ戻らな練習できへんでー」

洋榎「お、おー……!」

絹恵「もー、携帯で動画見ながら歩いたら危ないで、お姉ちゃん」

絹恵「っちゅーか、なんか顔赤いで。も、もしかして風邪ひいたん!?」

洋榎「だ、大丈夫、大丈夫やよ絹……心配せんでええからっ!」

絹恵「んー……ホンマに?」

洋榎「ホンマホンマ」

洋榎(『伝えたったんです。「俺はあなたのことが大切です」、って!』……肝心なとこで噛んでんとちゃうわ、アホ……)(ニマニマ

絹恵(なんかお姉ちゃん、ええことあったんかなー?)



波及する。

やえ「フ、フッフ……これだからにわかは話にならんよ……!」

下級生(小走先輩、なんか腕組みながら真っ赤になってる……)


京太郎の不用意な全国に向けての発言が問題を波及させていく。

咏「おほー、言ってくれるねー♪」

えり「ちょっと三尋木プロ、解説中に動画見ないでくださいよ……!」

咏「いいじゃん別に~。こっちは今、年下の少年にあっつい告白されたとこだぜ」

えり「そ、そうですか、よかったですね……」(イラァ




健夜「ぅ、うあー……うあー……!」(ゴロンゴロン

恒子「なんか悶えてんねー、すこやん。なーんかいいことあったの?」(ジー

健夜「うわっ、いつの間に部屋に!?べ、別に、こーこちゃんにはあまり関係ないから……」

健夜(動画越しにだけど、あなたが大切ですなんて告白されちゃったなんて言えないよ……)

恒子「ふーん?あ、これは……長野の県予選!さっすがアラフォー、オフの日でも麻雀以外興味なし!」(ジジー

健夜「アラサーだよ!!……って、あの、こーこちゃん、その手に持ったカメラは何?」

恒子「あ、コレ?ちょっと『今日のすこやん』って企画に使う映像がほしくって。休みの日に、ベッドの上で長野の県予選の男子!個人戦見ながらモゾモゾモジモジ怪しい動きをしてる小鍛治プロの様子を記録――」(ジジジー

健夜「いつから撮ってたの!?」

恒子「え、男子個人戦決勝の東3局辺りから特定の子を応援――――」(ジジジノジー

健夜「――――」(ガッ!!

恒子「うお……力強――――って、これもしかして本気ッ!?」(グググッ



ひろゆき「…………なんていうか、コレは荒れますね」(苦笑

天「本当になにやってんだろうな、あの坊主は……」(呆れ

赤木「ククッ……注意散漫だぜ、京ちゃん」

ひろゆき「赤木さん……楽しんでますね」(ヒソヒソ

天「最近、暇だ暇だ言いまくってたからな……」(ボソボソ

赤木「そういえばひろ、今日はどっかに用事があるんだろ」

ひろゆき「ええ、プロ麻雀せんべいのプロモーションカード用の写真撮影です」

天「まさか、俺達にまで声がかかるとはなあ」

ひろゆき「まあ、大沼プロや僧我さんなんかに『お前らもやれっ……!』てお願いされましたし」

天「いやあ、ありゃ脅迫だったろ……。ったく、若いねーちゃんにも人気なひろならまだしもよー」(頭痛

ひろゆき「ハハハ……天さん達だって根強いファンがいるじゃないですか」

赤木「ククッ……ま、暇潰しにはなるか」



赤木「――――――――だが、俺達だけが見世物にされるってんじゃ……面白くないな」

ひろゆき(赤木さんがまたなにか考えてる……)

天(ありゃあロクなこと考えてねえ顔だな)

赤木「…………この間、龍門渕の爺でも使うか」

赤木「最近は女子供にも有名な連中がいるからな……求める奴はいるだろうっ……!」

ひろゆき「天さん……」

天「…………まあ、いずれはプロになるガキもいるんだ、面通しにはいいんじゃねえか」

ひろゆき「こっち見て言ってくださいよ……」(頭痛



終われ。