京太郎(さてと。とりあえず、小蒔さんを迎えにいかなくちゃなー)

京太郎(何だかすごくうきうきしていたしなぁ。やっぱり、外に出るって嬉しいことなのかな)

京太郎(それにしては、霞さん達と出かける時は普通だったし)

京太郎(どうなんだろうな……あー、女の子の心はわかんねーな)

京太郎(ま、喜んでくれるなら一向にかまわないけどさ)

京太郎(どうせだし、ちょっとからかってみるのもありかも)

京太郎(小蒔さんってどこか弄られキャラっていうか、わたわたしているのが可愛いっていうか)

京太郎(うーん、俺ってば意外とSなのかもしれん)

京太郎(わざとそっけなくしてみるか)

京太郎(いや、でもかわいそうじゃないか?)

京太郎(いやいや、ここはそっけなくスべきだ!)

京太郎(どうも、最近小蒔さんといい皆スキンシップが激しい気がするんだ!)

京太郎(お風呂で鉢合わせとかねーよ!何で毎回あるんだよ!)

京太郎(おかげで小蒔父さんといつも一緒だよ!)

京太郎(すごい仲良くなっちゃったよ、畜生!)

京太郎(ということで、心を鬼にするぞ!俺は!)

京太郎(順にそういう態度を取っていけば皆もちょっとは離れてくれるだろ)

小蒔「あ、京太郎さん」

小蒔「すいません、わざわざ迎えに来てくれて」

京太郎「……いえ」

京太郎「それじゃ、行きましょう」

小蒔「あ、はい……」ショボーン

小蒔「きょ、京太郎さん?」

京太郎「なんすか、早く行きましょう」

小蒔「はい……」ウルウル

小蒔「…………」

京太郎「…………」

小蒔「……」チラッ

京太郎「……」プイッ

小蒔「……っ」ウルウルウル

京太郎「……はぁ」

小蒔「っ!」ビクン

京太郎(ヤバい、ヤバい)

京太郎(超罪悪感湧くんだけど!これ、何!こんなに辛いことなの!?)

京太郎(どうして、これだけで泣きそうになっているの、ねぇ!)

京太郎(おかしい、こんなことになるはずじゃ)

小蒔(京太郎さん、さっきから私と話してくれない……)

小蒔(嫌われちゃったのでしょうか、何か至らないことをしてしまったのでしょうか)

小蒔(あ、謝らなくちゃ。私が悪いのなら……)

小蒔「あ、あの」

京太郎「…………」スルー

小蒔「………っく」ウルウルウルウル

小蒔(無視、されちゃいました。話しかけても、聞いてくれません……)

小蒔(が、頑張って仲直りしなくちゃ。怖いけど、私が声をかけないと……)

京太郎「……」

小蒔「……ぅぅ」

小蒔(結局、何度話しかけても無視されました……)

小蒔(どうしたらいいんでしょう?)

京太郎(ど、どうしよう……?)

京太郎(このまま無視していいんだろうか?)

京太郎(心を鬼にしなくちゃって決めてはいるけど)

京太郎(小蒔さんの顔を見ていると、悪いことしてる感が強くて強くて!)

京太郎(でも、今更やめるってのも……ぁぁあああ!!)

小蒔「……っ、うっ……」グスグス

京太郎(な、泣き始めてしまったぁ!これは無理、これ以上やったら俺が死ぬ!)

小蒔「ごめんなさい、ごめんなさいっ。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

京太郎「こ、小蒔さん?」

小蒔「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

京太郎「ど、どうしたんです?め、目が怖いっすよ?」

小蒔「私が悪いんです、私が至らぬばっかりに京太郎さんの嫌がることをしてしまったんです、
ごめんなさい京太郎さん、わたしがいるから毎日が辛いんですよね、ごめんなさい」

京太郎「え、えっ」

小蒔「大丈夫です。京太郎さんにはもう話しかけませんから、私の声を聞いているだけでも耳障りなんですよね
すいませんでした、ごめんなさい、私の存在があるのが悪いんです」

京太郎「あ、はい」

小蒔「謝ってすむものではないとわかっています、それでも謝らせてください。
この身体を幾らでも好きにしてくれて構いません。
ごめんなさい、ごめんなさい……っ!」

京太郎「す、」

小蒔「ごめんなさいごめんなさい」

京太郎「すいませんでしたーーーーーー-!!!!」ドゲザーッ

小蒔「ふぇ……?」


――少年、説明中――

京太郎「ほんっとうに、すいませんっしたーーーー!!!」

小蒔「…………ょ」

京太郎(あ、これかなり怒ってる)

小蒔「よ、かったです……嫌われてなくて……」ヘタリコミー

京太郎「へ?」

小蒔「……ご、ごめんなさい。安心しすぎて、力が」

京太郎(す、すごく俺が悪いみたい……いや、俺悪いよ!ど、どうする?)

京太郎「許して下さい!何でもしますから!」

小蒔「……なんでも、ですか?」キョトン

京太郎「あ、金銭面的なことは出来れば勘弁して欲しいかな-って。いやいや、謝る気が全くないわけじゃないんですよ!?」

京太郎「俺の財布の中身はいつもぼろぼろでして……!」

小蒔「……えっと、京太郎さん。私は京太郎さんのお財布を取ったりはしませんよ?」

京太郎「とはいっても、それなりには出す覚悟は在るといいますか!俺悪いですし!」

小蒔「は、はぁ……」

小蒔(どうしましょう、何でもするとは言われましたけど)

小蒔「今日は1日中私と京太郎さんは大の仲良しです。ですから1日中一緒に過ごしましょう」

京太郎「………えっ」

小蒔「えっ、駄目ですか……?」

京太郎「いや、駄目とかじゃなくて!そんなことでいいんですか?てっきり、もっと……こう」

小蒔「私にはこれで十分です。京太郎さんと一日一緒に過ごせる、それだけで素晴らしいことだって」

京太郎「小蒔さん……」

小蒔「そういうことにします!ですので、明日はずっと一緒ですよ?」

京太郎「でも、俺仕事が」

小蒔「投げ捨てちゃいましょう!」

京太郎「えー……」

小蒔「大丈夫です、お父様に言えばなんとかしてくれます!」フンス

京太郎「いや、まあ……俺はいいんですけど」

京太郎(何か、寒気が……背筋が凍るような、そんな寒さが来たような)

京太郎(風邪でも引いたのか?うーん、取り憑かれたりしてないよな?)フラフラ

小蒔「京太郎さん。そっちは高台ですよ?家はこっちです」

京太郎「あ、ああ……はい。すいません、ちょっとぼーっとしていて」

小蒔「もう、危ないですよ。車にでも轢かれたらどうするんです」メッ

京太郎「あはは……そんなことありえませんって。だって――」

小蒔「だって?」

京太郎「――死にませんから?」

小蒔「どうしてハッキリじゃないんですか……」

京太郎「何となく?」

小蒔「…………えいっ」

京太郎「わわっ」

小蒔「危ない人はこうして、手を繋がないと駄目ですっ」

京太郎「は、はずか」

小蒔「??」

京太郎「……何でもありません」

小蒔「ふふふっ」ニコニコ

京太郎(まっ、いいか。小蒔さんが喜んでくれるなら)



【自部屋】

京太郎「はー、美味しかった」

京太郎(今日も楽しくご飯を食べた食べた)

京太郎(サバ味噌と御飯だけでしばらくは生きていける……そう言ってもいいぐらい、やばかった)

京太郎(……こんな毎日も、もうすぐ“終わり”か)

京太郎(いいや、終わらないといけない、か)

京太郎(いつまでも続ける訳にはいかないんだ)

京太郎「……寝れね」ブルッ

京太郎「きもち、わりぃ」

京太郎「…………………」




ふらふらと。

夢遊病者のように、覚束ない足で外に出る。

何故か、自分の意識が薄れているような、世界に溶けているみたいだ。

それなのに、しっかりと靴を履けるのは?

考えてもしょうがないか。わからないものはわからない。

それでいいじゃないか。

歩く。こつこつと、弱い足音が無音の街に少し響く。

やっぱり、力が入らない。何かのはずみで転んでしまいそうなぐらいに、ふにゃふにゃだ。

殆ど無意識だから?仕方ないっていうか?

アホらし……。それで、俺は何の目的で高いところに登っているんだっけ?

思えば、鹿児島にいる間もよく高いところに登ったっけ。

“普通”は、登るはずのない、高台/■■に。

登って、登って。見上げた空は綺麗で。

星屑が散らばった綺麗な夜空/雲一つないどこまでも続く青空。

うーん、気持ちいいな。絶好の日だ。

伸びすぎた前髪が風で揺れる。

あー、今度切らなくちゃな。

あれ、今度っていつだっけ?ま、いいか。

さてと、俺はどうして高台にいるんだろう。

咲とまた、出会った時も、姉帯さんとオフ会した時も……俺は最後に高台を選んだ。

はるるがあんな目にあった場所を、選んだ。

どうしてだろう。何か、深い理由があるんだろうか。

何か、大切なことを忘れてる気がする。

絶対に忘れてはいけない、俺がここにいる理由に関わる、とても大事なこと。

俺は、俺は――何かが、弾ける音が聞こえた気がした。

京太郎「……ぁぅ」

京太郎(あれ、俺……いつの間にかに寝ていたんだな)

京太郎(何か、どっか行ったような。気のせいだろうけど)

京太郎(それよりも、さっさと起きないと)ムニュ

京太郎(そうそう、このおもちは小蒔さんだ。今日は小蒔さんと一日一緒なんだ)ムニュムニュ

京太郎(じつにいい揉み心地、ジャストフィット巨乳!)ムニュムニュ

京太郎「って!何でここにいるんですかーーーーー!!!!」

小蒔「ふぁあわ!な、何なんですか!」

京太郎「それはこっちのセリフですよ!どうしてここにいるんです!」

小蒔「……昨日約束したじゃないですか」

京太郎「いや、それはわかってますけど!」

小蒔「だから、部屋を抜けだして京太郎さんと一緒に寝ていました!」ドヤッ

京太郎「ドヤ顔する場面じゃないですよ!」

小蒔「それよりも、今日は一日よろしくお願いしますね」ペッコリン

京太郎「ああ、これはご丁寧に……って違いますって!」

小蒔「わわっ。京太郎さん、朝から元気ですね」

京太郎「起きたら隣に小蒔さんがいたら誰でもびっくりしますって!」

京太郎(そうでなくても、朝は息子が元気だとかあるのに)

京太郎(うまく隠したけどさ、本当に勘弁してくれよ……)

小蒔「ということですので、お休みなさい」

京太郎「せめて布団は分けてくださいよ!」

小蒔「京太郎さんのぬくもりが染みます……あったかいです」

京太郎「聞いちゃいねぇ、マイペース過ぎるでしょう!」

小蒔「……」

京太郎「だきつかないでくださいって!」

小蒔(胸が当たるのに慣れてきた自分が憎い……!息子は慣れてないのに!)

小蒔「……郎さん、……す、……き……ふふっ……」

京太郎「こんなトコロ、見られたらヤバいってのに」

小蒔「………にゅふふ」

京太郎(……ま、いいか。こんなにいい寝顔をしてるのを剥がすのはどうかしてる)

京太郎(こうしてると、彼氏彼女みたいなんだけどな。はぁ、本物の彼女欲しい……)

京太郎(こうして見ると、小蒔さんって可愛いよなあ)

京太郎(顔立ちの幼さとスタイルの良さが合わさって絶大な破壊力を生んでいる……!)

小蒔「…………」

京太郎(こうして、ゆっくりと顔を見たことなんてなかったからな、改めて見るとはずっ)

小蒔「……」ゴロン

京太郎(って、何でこっちにますます寄ってくるかなあ!)

小蒔「……」スリスリ

京太郎(こ、ここまで無防備になられると俺としても困るっていうか!9

小蒔「……ぁ」ビッタン

京太郎(あ、戻った。ちょっと、痛そうにしてるけど……)

小蒔「……すぅ」

京太郎(大丈夫か。よかったよかった)

京太郎(……あー、やっぱ可愛いな、小蒔さん)ギュッ

小蒔「……ん」ギュッ

京太郎(こうして手を繋いでると、落ち着くし)

小蒔「…………」スヤスヤ

京太郎(はぁ、彼女でもない女の子の手を握って落ち着くとか、俺は変態かっての)

京太郎(でも、しばらくはこうしていたい)

京太郎(……いい気分だ)



【しょくたく!】

京太郎「……」

小蒔「……」ニコニコ

京太郎「…………あの」

小蒔「はい?」ニコニコ

京太郎「すごい、いい笑顔ですね」

小蒔「ありがとうございます」ニッコニッコニコーーーー

京太郎(ああ、笑顔なのはいいんだけど……)

その他の人達「……………」

京太郎(視線が、視線が冷たい!)

霞「…………」ニッコーリ

京太郎(逆に笑顔が怖いよ!)

京太郎(やばいやばい、何か言わないといけない雰囲気!)

京太郎(やめよう!俺には小蒔さんしか見えない!)

小蒔「京太郎さんと一緒に御飯を食べるなんて久し振りですね」

京太郎「そうですか?割と一緒な時も……」

小蒔「言う程、ありませんよ?」

京太郎「んー、自分ではそう思っていなかったんですがね。ま、一緒にご飯を食べるって悪いことじゃないですからね!」

小蒔「そうですよ。こうしていると、その……」

京太郎「その?」

小蒔「なんでもありませんっ。た、食べましょう早く!」

京太郎「小蒔さんがそう言うなら……」

京太郎(どんよりとした空気なんてないない。俺には見えない、聞こえない)

京太郎「いただきまーす」

京太郎「ああ、おいしい。おいしいなあ」

京太郎(聞こえない聞こえない、箸が折れる音なんて聞こえない)

小蒔「…………」ピコーン

小蒔「京太郎さんっ」

京太郎「はい?」

小蒔「えっと、いつも京太郎さんにはお世話になっていますよね」

京太郎「そうでし」

小蒔「なってますよね」

京太郎「そんな、言う程」

小蒔「なってることにしてくださいっ」

小蒔「そういうことですので、そのですね……」

京太郎「???」

小蒔「あ、あーん」プルプル

京太郎「あ、食べさせてくれるんですか?恥ずかしいならやらなくても……」

小蒔「いいんです!約束を守ってくれてるんですからこれぐらいはお礼をしないと」

京太郎「えっと……」

京太郎(食卓の向こうから出てる邪気がなければ即座に頷くんだけどなぁ!!!)

京太郎「それじゃあ、お願い出来ますか?」

京太郎(もう、どうにでもなればいいや……。
怖いけど、ここで断って小蒔さんがうるうるしたらもっとひどいことになりそうだし)

小蒔「それじゃあ、あーん」

京太郎「んぐ、小蒔さんに食べさせてもらったから料理の美味しさも二倍ですよ!」

小蒔「うふふ……そう言ってもらえるとこちらもやりがいが出てきます」プルプル

京太郎「……恥ずかしいなら」

小蒔「恥ずかしくありません!」

京太郎「顔が赤いのは気のせいですか?」

小蒔「きのせいですよ、窓からの光です」

京太郎「今日は曇りなんですけど、それは」

小蒔「ううっ……」

小蒔「意地悪です、京太郎さんは……」

京太郎「思ったことを素直に言ってるだけです」

小蒔「…………むぅ」

京太郎「そうやって膨れても駄目ですよ。はい、あーん」

小蒔「んむむ、おいひいです……って、私がやる方ですよ!?」

京太郎「やられっぱなしは嫌なんで。それとも、駄目でしたか?」

小蒔「駄目じゃありませんけど……その、恥ずかしいです」

京太郎「それを言うなら俺だって恥ずかしいですよ」

小蒔「…………」

京太郎「…………」

小蒔「ふふっ」

京太郎「ははっ」

小蒔「似たもの同士ですね」

京太郎「俺は小蒔さんみたいに純粋ではありませんって」

小蒔「そうですか?私から見ると京太郎さんは純粋ですよ?」

京太郎「まさか。それは言いすぎですって」

キャッキャウフフ








霞「今日のご飯はいつもより美味しくないわね……」

初美「同感ですよー」

巴「……はぁ、全く困ったものですね」

春「……爆発してしまえばいいのに」

京太郎「ふぅ、何だかすっげー疲れた気が……」

小蒔「そうですか?」

京太郎「ええ。肩に力が入りすぎてたっていうか」

京太郎(今度、霞さん達にはフォローを入れておこう)

京太郎「それよりも、一日一緒って言ってもそんなにやることなんてないですよ?」

小蒔「そんなことないですよ、例えば……」

小蒔「でで、デートとか?」

京太郎「デートですか、へー……ってええっ!」

小蒔「駄目、ですか?」ウワメヅカイッ

京太郎「いや、駄目じゃないですけどっ!いいんすか、俺と……デートだなんて」

小蒔「はいっ!京太郎さんとがいいんです」

京太郎「……っ」

京太郎(はずっ、こうしてストレートに言われるとすっげぇ恥ずかしいな!)

京太郎「それで、デートとは言っても、どこか行く場所とか予定とか決まっているんですか?」

小蒔「和菓子屋さんとか……」

京太郎「いいですね、それ。まったりできそうですし」

小蒔「……」パアアアッ

京太郎(すごい、嬉しそうだ……っ!)

小蒔「それじゃあ、早速ですが行きましょう!」グイグイ

京太郎「ちょ、服を引っ張らないでくださいって!
どうせなら着替えてから行きましょうよ!」

小蒔「???」

京太郎「いやいやいや。デートなんですから着替えましょうよ」

小蒔「……っ!正論ですね」

京太郎「でしょうでしょう。ということで、少ししたら家の前で待ち合わせということで」




京太郎「うん、こんなもんだろ」

京太郎(ちょっとおしゃれ頑張ってみました的な感じだけど!)

京太郎(変じゃないよな、まともだよな!?)

京太郎(これで、小蒔さんに笑われでもしたら……!)

京太郎(泣くまでは行かなくてもショックをうけるよ、俺!?)

???「あ。あの……」

京太郎「ん?小蒔さん、もう準備できたんです……か……」

小蒔「その、変ですよね?」

京太郎「へ、へへ変じゃないですよ!」

京太郎(おいおい、洋服だと……!?これは予想外、想定の範囲外!!!)

京太郎(今の小蒔さんの格好……白のワンピースと麦わら帽子……っ!)

京太郎(シンプルかつ清楚……飾らない真っ直ぐな可愛さ……!)

京太郎(素晴らしい、素晴らしい!喝采せよ!俺、今日のデートは幸せだぁ!!!)

小蒔「……やっぱり、変でしたよね」

京太郎「はっ。違いますって!!!ただ、見とれていただけです!」

京太郎「あんまり、うまく言えないんすけど……似合っています」

京太郎「変だなんて言わないでください。見とれていた俺がばかみたいじゃないですか」

小蒔「そ、そこまで言われると恥ずかしいです……」

京太郎「世辞なんかじゃありませんよ」

京太郎「俺の本心から、小蒔さんのこと……可愛いって思ったんで」

京太郎「だから、嘘になんてさせないでください」

小蒔「はい……」

京太郎「それじゃ、行きましょうか!」ギュッ

小蒔「あ……っ」

京太郎「デートですから、手を繋がないと」

京太郎(やべーやべーーー!調子に乗ってる感がやべーーーよ!)

京太郎「嫌ならやめますけど……」

小蒔「このままがいいです。京太郎さんと繋いだままが」ギュッ

京太郎「そうですか、それなら行きましょうか」ニコッ

京太郎(ああ、もう!何やってんだ、俺は……)

京太郎(まだ、付き合ってもいないのにこんなことして。さすがに軽すぎだろ)

京太郎(……いくら身近にいて惹かれているからって)

京太郎(惹かれている?……??)

京太郎(あれ、俺って……小蒔さんのこと――)

京太郎(んー、手を繋いで歩くって何か落ち着かないな)

小蒔「~~♪」

京太郎(小蒔さんの方は喜んでくれて何よりだけどさ)

京太郎(こうしてると彼氏彼女……ってそりゃあ言い過ぎかな)

京太郎(こんな風に楽しく過ごして、いいのかな、俺……)

京太郎(よくはわかんねーけど、どうも考え過ぎちまう)

小蒔「???どうかしました?」

京太郎「なんでもありませんよ。つーか、ほんわかな温かさっすね」

小蒔「そうですか?汗ばんだ手で申し訳ありません」

京太郎「んなこと気にしないでくださいよ。俺の方こそ、野郎のごつい手で」

小蒔「それがいいんです!」プンスカ

京太郎「ええっ」

小蒔(この方が京太郎さんと繋がっている感じがして、嬉しい)

小蒔(そんなこと恥ずかしくて言えませんけど……っ)

小蒔(それに、男の人と手を繋ぐなんてお父様以外ではいませんでしたし)

小蒔(き、緊張しますね!)

京太郎(何か、すげー気合入ってるみたいだけど大丈夫なんだろうか)

京太郎(まあ、気にしてもしょうがないか。さてと、和菓子屋は……)

京太郎「到着しましたね」

小蒔「はい!お父様からここのあんみつは美味しいって聞いて!」

京太郎「それじゃあ、あんみつにしましょうか。二人分ってことでいいですか」

小蒔「……」チラッ

京太郎(ん……小蒔さんの視線が)

『カップル限定!愛を込めてあんみつ!やったねたえちゃん!家族が増えるよ!』

京太郎(う、うさんくせ~~~~~~!!!
何だよ、この明らかに地雷だけどカップルさんならこれをやって当然よね的な空気は!)

小蒔「……」チラチラッ

京太郎(小蒔さんがすっげー見てるよ!明らかにこれ食べたそうだよ!)

京太郎(でも、カップルなぁ……俺達違うしなぁ……)

京太郎(勝手にカップル認定って申し訳ないんじゃねぇのか?)

京太郎(もし、全然違うことを考えていて断られたら……俺は立ち直れない)

京太郎(どうするよ、俺!)

背が小さいけれど巨乳の女の子の店員「ご注文よろしいですかー?」

京太郎「それじゃあ、このカップル限定のやつお願いします」

背がry「うわわっ!お二人さんは彼氏彼女ですか!!」

京太郎(ここは……カップルでいいか。注文するものもあれだし)

京太郎「はい!」

小蒔「ふぇぇ!!」キュピーン

京太郎「いやぁ、そういうことでこのセットを頼もうかと思ったんですよ~」

背ry「そうなんですかー。あっ、これ以上話すと怒られちゃうんで失礼しますねっ」

京太郎(小さいけれど、おもちがすばらしい……ロリ巨乳ってやつか!)

京太郎(ロリ巨乳については正道か、邪道かで判断が分かれるけど今はいいや)

京太郎「それよりも」

小蒔「あわわ、わわわわあわあわわ」

京太郎「小蒔さん、どうしたんです?」

小蒔「わわ、あわわわわわわわわたい」

京太郎「落ち着いてください、ちゃんと喋れてないですよ」

小蒔「わた、わたわたわわわわたみ!」

京太郎「それは違いますよ、とりあえず深呼吸しましょうか」

京太郎「はい、息を吸ってー吐いて-」

小蒔「すーはーすーはー」

京太郎「はい、これで落ち着いたはずです」

小蒔「わわわわわわたあめ!」

京太郎「…………」ポカーン

小蒔「…………」

小蒔「すいません、冗談です」テヘッ

京太郎「……」

小蒔「ううっ、私だって冗談くらい言いますよぉ……」

京太郎「いや、すいません。まさか小蒔さんが冗談を言うなんて思ってもいなくて」

小蒔「むっ、それはひどいですっ」プックー

京太郎(頬を膨らました小蒔さん、可愛いなあ)

小蒔「それよりも、か、彼女って」

京太郎「ああ、すいません……何か、小蒔さんがあのチラシを真剣に見ていたもので」

京太郎「食べたいのかなぁってちょっと……おせっかいでしたらすいません!」

小蒔「……そんなことありませんけど」ボソボソッ

京太郎「とりあえず、頼んでしまったものは頼んでしまったので勘弁して下さい!」

小蒔「それじゃあ、ここにいる間は京太郎さんと私は」

京太郎「カップルということになりますね。すいませんっした!」

小蒔「あわわわわ、そんな……元々は私が原因ですから!」

京太郎「いや、そんな。でてきたものは小蒔さんが全部食べていいんで」

小蒔「それは駄目です!だって、カップルですから……二人で食べないと」

京太郎「……いいんですか」

小蒔「いいに決まってます。そもそもですね、京太郎さん」

小蒔「嫌だったら、デートになんて誘いませんよ?」ニコッ

京太郎「……っ!そ、そそうですか」

京太郎(やべーーー!今の俺、絶対顔赤いって!)

京太郎(こうやってストレートに言われると恥ずかしいってレベルじゃねーよ!)

京太郎(ああ、調子に乗ったのがまずかった!畜生、恨むぜたえちゃん!)

背ry「お待たせしました!やったねたえちゃんのお客様ー」

京太郎「あ、はい」

京太郎(うーん、大きい胸は正義だな。今度は小蒔父さんを誘って来よう)

京太郎「あの、スプーンがひとつしかないんですけど」

背ry「カップルですから!」

京太郎「あ、はい」

京太郎(ですよねー、つーことは小蒔さんに全部食べさせないと)

背ry「あ、カップルセットなんで交互に食べてくださいね~」

京太郎「えっ」

京太郎「…………まじですか?」

背ry「まじですっ!」フンスッ

京太郎(可愛いなあ、頭なでたくなる可愛さだなあ)

背ry「それじゃあ失礼しますね~」

京太郎「ど、どうします?」

小蒔「二人で交互に食べないと行けないんですよね?」

京太郎「そういうことらしいっすね……ほんと、大丈夫ですか?」

小蒔「大丈夫です、頑張りますっ!」

京太郎「いや、頑張る所じゃないんですけどね……」

小蒔「それじゃあ、京太郎さん食べましょう」

京太郎「はい。どっちからいきます?」

小蒔「それじゃあ、私からで」

小蒔「あ、あ~ん」

京太郎「」

小蒔「あーん」

京太郎(――――――!!!!?!??!?!?!?!?!)

小蒔「……口を開けてくれませんか?」カアアッ

京太郎(な、何が起こってるのか理解できない)

京太郎(夢でも見ているのだろうか)

京太郎(まさか、こんなことって)

京太郎(小蒔さんから、自発的にあーんしてくるとは……思わなかった)

京太郎(霞さん達みたいにからかいの意味も込めてやってくる人はわかる、まだわかる)

京太郎(でも、小蒔さんだ。こういう時は生真面目な小蒔さんだ)

京太郎(その、小蒔さんがちょっと顔を赤くしながらもスプーンを差し出してくる)

京太郎(これは、ひょっとしなくてもすごいことなんじゃないか!)

京太郎(あ、あ、あっ、俺は――!!!)

小蒔「あーん……」

京太郎(ええい、悩んでいても仕方ねー!第一、カップルの為のあんみつなんだから避けられないんだよ!
畜生!まさか、こんな事になるなんて思ってもいなかった!)

京太郎「じゃ、い、頂きます……」ングング

小蒔「美味しいですか?」

京太郎(緊張で味なんてわかんないっすよォォォ!!!!甘いってことしかいえねぇ!!)

京太郎「あ、あまくて、」

小蒔「甘くて?」

京太郎「美味しいで、すっ!」

京太郎(言えた--!言えたよ、俺!よくやったよ!)

小蒔「ホッとしました……っ。もし、お口に合わないのでしたらどうしようかと」

京太郎「んなことないですって。小蒔さんが、」

小蒔「私がどうかしました?」

京太郎(小蒔さんが食べさせてくれたら何でも美味しいですよ、なんて……!)

京太郎(なんなんだよ、いつもみたいに軽口回せよ、俺の口!)

京太郎「い、いえ、小蒔さんはいつも通りだなあって」

小蒔「私はいつも通りですよ?」

京太郎「そうですね……」

小蒔「変な京太郎さん。それでは、今度は逆ですね」

京太郎「えっ」

小蒔「おねがいしますね」ニコッ

京太郎「」

京太郎「あ、ああああ」

小蒔「京太郎さんどうしたんですか!震えてますけど、どこか体調が」

京太郎「体調はバッチシです!ただ、ちょっと緊張して。ほんと、ちょびっとだけですよ!」

小蒔「??そうなんですか???」

京太郎「はい!全ッ然体調は健康でっす!」

小蒔「そうでしたか。それなら、あーん」

京太郎「………………ぁーん」カオマッカー

小蒔「はむっ、んむ。美味しい!」

京太郎「ソウデスネー」

小蒔「それじゃあ、今度は私です!」

京太郎「ア、ハイ」

小蒔「はい、京太郎さん口を開けてくださいねー」

京太郎「はい、あー……ってこれじゃあ赤ちゃんみたいじゃないですか」

小蒔「ふふ、でしたら……私がお母さんですね」

京太郎「勘弁して下さいよ、こんな若くて可愛らしい母親がいますかって」

小蒔「…………」カアアアッ

京太郎「…………」カアアアッ

小蒔「……あの」

京太郎「……すいません」

小蒔「どうして、謝るんです?」

京太郎「いや、何か変なこと言ったみたいで」

小蒔「そんなことありませんよ、可愛らしいって褒め言葉じゃないですか」ニコッ

小蒔(それに、京太郎さんから可愛いって、ふふっ、えへへへっ)

京太郎(すっごく嬉しそうだけど……うーん、結果オーライ?)

京太郎「それじゃあ、今度は俺ですね?」

小蒔「はい。では、京太郎さん、口を開けてくださいね」

京太郎「んー、うまいっすね……。冷たくて暑い夏にピッタリといいますか」

小蒔「そうですね。…………ぁ」

京太郎「どうかしました?」

小蒔「い、いえ!」

京太郎「??」

小蒔(これって間接キスじゃないですか!?霞ちゃんがよく貸してくれる漫画にありました!)

小蒔(霞ちゃん……私、は、初めて、奪われちゃいました……。どうしましょう?)

京太郎(もうなんか、吹っ切れるもんだな!よく考えると食べさせ合いぐらいで怯えてどうする!)

京太郎「それじゃあ、次は俺の番ですね」

小蒔「……あーん」

京太郎(心なしか、ちょっとニヤけてるような……)

小蒔「ご馳走様でした」

京太郎「何だかんだですぐ食べちゃいましたね」

小蒔「美味しかったので」

京太郎「そうですね。そういえば、次はどこに行くんです?」

小蒔「…………」

京太郎「まさか、決めてなかったり?」

小蒔「…………」コクン

京太郎「それじゃ、次は何処にしますか?もう、お昼も過ぎましたし」

小蒔「桜島に行きましょう!」

京太郎「何寝ぼけたこと言ってるんですか」ペシッ

小蒔「あいたっ」

京太郎「今から行って帰ってこれるんですか?」

小蒔「大丈夫です!」

京太郎「どこからその自信は来るんですか……そもそも、島って付くぐらいだから海渡るんですよね?」

小蒔「桜島は陸続きですよ?」

京太郎「島なのに?」

小蒔「島なのに、です!」

京太郎「でも、遠くないですか?もし終電乗り過ごしたら……」

小蒔「京太郎さんは一緒にいてくれますよね?」ニコッ

京太郎「いますけど!朝帰りなんてしたら、あとが怖いと言いますか」

京太郎(絶対、正座でお説教確定なんだよなぁ……お父さんの方は喜びそうだけど)

小蒔「大丈夫です!霞ちゃん達はわかってくれますよ!」

京太郎「わかってくれませんって!第一、何処で一晩泊まるんですか!」

小蒔「???」

京太郎「考えといてくださいよォ!」

京太郎(どうすっかな……よくはわからんけど、行ったら夜帰りになりそうだし)

京太郎(もし、終電逃したら……泊まる場所どうすんの!?)

京太郎(ネカフェでもいいならそうするけど、小蒔さんが気に入るかどうか)

京太郎(そもそも財布は大丈夫なのか?幾らかは小蒔さんも持っているだろうけど)

京太郎(あーーー!そんなんわかるカーーーー!!!)

京太郎「……小蒔さん」

小蒔「はい!」

京太郎「桜島、行きたいですか?」

小蒔「すごく行きたいです!」

京太郎「もし、帰りが遅くなったりして霞さん達が襲いかかってきてもかばってくれますか?」

小蒔「大丈夫です、霞ちゃん達は、話せばわかってくれますよ!」

京太郎「……そうですか」

京太郎「じゃあ、逝きましょう!」

小蒔「……!」パアアッ

京太郎「……ぁぁあああああ!!!」

小蒔「……終電、行っちゃいましたね」

京太郎「やばい、マジでヤバいっすよ!!!!」

京太郎「殺される……全身全霊で殺される……!」

京太郎(俺の股間が危険だ……!小蒔さんと一晩を過ごすってそれだけやべぇことだよ!)

小蒔「大丈夫ですよ、お金もちゃんとありますし……」

京太郎「そういう問題じゃなくてですね」

京太郎「……携帯の電池が切れて連絡もしていないんです」

小蒔「ふぇっ?」

京太郎「こんな時間に電話をかけてもいいものなんすかね……」

小蒔「大丈夫ですよ、誰か起きています」

小蒔「京太郎さんは信用されているんですから、誠心誠意話せばわかってくれるはずです」

京太郎「そうだといいんですが……」

京太郎(とりあえず、公衆電話があったことだしかけてみよう)

京太郎「……できれば。出ないでほしいなあ」プルッルルル

霞「はい、もしもし」

京太郎「あ、霞さんですか。俺です、京太郎です」

霞「あらぁ……京君?」

京太郎「ひっ」

霞「こんな時間に電話だなんて……うふふ」

京太郎(あ、これ死んだ)

霞「朝早く、二人で出かけて楽しかったかしら?一言ぐらい言伝を言い残してもよかったんじゃない?」ゴゴゴゴゴゴッ

京太郎「」

霞「……うふふ」

京太郎「か、霞、さん?」

霞「それで、今は何処かしら?」

京太郎「そのことなんですが、ちょっと伝えなくてはいけないことがありまして」

霞「……」

京太郎「終電逃しちゃって帰れません、メンゴッ☆」

霞「――――――へぇ」

京太郎「」ブツッ

京太郎(あ、あわわわ。何故か、俺の手が勝手に電話を戻していた)

京太郎(これは、相当に、ほんっっとうの本当に……ヤバい)

小蒔「どうでしたか?」

京太郎「小蒔さんと駆け落ちしたいです、帰りたくないです」

小蒔「ええっ!」

京太郎「嫌だ、嫌だ……もう、おしまいだ……!」ガクガク

小蒔「京太郎さん、落ち着いてください!」ダキツキー

京太郎「死にたくない、死にたくない」




京太郎「落ち着きました」

小蒔「結局、どうするんですか?」

京太郎「電話は、何故か繋がらなかったので……とりあえず、宿を探しましょう」

京太郎「ホテルで一泊……はさすがに高いでしょうから」

京太郎(ネカフェしかないよなぁ……)

京太郎(でも、それでいいのか)

京太郎(俺は小蒔さんをそんな所に連れて行っていいのか)

京太郎(違うだろう!俺は気配りの達人ッ!ハギヨシさんからのお墨付き!)

京太郎(考えろっ、俺の頭脳は最適の結論を導き出すはずだ!)

京太郎(逆に考えるんだ。そう、逆転の発想……ッ)

京太郎(別にいやらしいことをするわけじゃないんだ、寝れれば問題ないんだ)

京太郎(なら、ラブホでも問題ないはずだ!!!!)

京太郎(男女二人なら安いって噂もあるし完璧……!)

京太郎「小蒔さん、泊まる場所が思いつきました!」

小蒔「本当ですか!」

京太郎「はい、ちょっと内装が変わっていますが大丈夫ですか?」

小蒔「そんな、京太郎さんが決めてくれたんですから、私は委ねます」キラキラ

京太郎(言えない、色々とヤる場所だなんて、言えない!)





京太郎「ということで、来た訳ですが」

小蒔「疲れましたね……汗もかいちゃいましたし」

京太郎「ここにはシャワーもついていますし浴びたらいいと思います」

小蒔「そうですね……それに、汗の匂いも気になりますし」

京太郎「俺はここで待ってるんで、お先にどうぞ」

小蒔「わかりました、すぐに上がってきますね」タッタッタッ

京太郎(…………)

京太郎(やっちまったなぁーーーーーーっ!!!)

京太郎(よく考えると、どう説明するんだよ!寝る場所に困ったのでラブホ行きましたなんて言えるかーーー!!!)

京太郎(やだーーーー!俺本当に危険じゃないですかーーー-!)

京太郎「ここで、もう一度電話するか?いや、駄目だ。霞さんがあんな状態じゃあ他の人達もきっとヤバい」ヨンダ?

京太郎「こんなことなら面倒臭がってないで携帯の電話番号聞いておけばよかった……」ムスコムクムク

京太郎「巴さんとお父さん辺なら理解してくれそうだし」ムスコビッキーン

京太郎(そして、股間がいきり立ち過ぎてよォ!ラブホ+シャワー音ってこんなにも性欲掻き立てるのかぁ!)

京太郎(今頃、小蒔さんは裸……!ドアの向こうでは一糸まとわぬ姿!)

京太郎(お前、そりゃ興奮するだろ!)

京太郎(……いや、それよりもだ。どうしよう……ほんと、どうしよう)

京太郎(戒能さんとかに電話して口裏合わせるよう頼むべきか?いや、見返りに何をされるかわかったものじゃない)

京太郎(こんなことなら、言うこと聞いてくれる権利を使うべきじゃなかったな……)

小蒔「京太郎さん、すいません、バスタオル取ってもらえますか~」

京太郎「は、はいぃ!」

京太郎「ど、どうぞっ!」

小蒔「ありがとうございますっ」

京太郎(いやあああああああああ!興奮するよ!超このシチュエーション最高だよ!!)

小蒔「お待たせいたしました。それじゃあ、次は京太郎さんが使ってください」ホカホカ

京太郎「は、はい!」

小蒔「どうして、声がうわずってるんですか?」

京太郎「色々と気合を入れてるからです!」

小蒔「ふふっ、変な京太郎さんですね」

京太郎(破壊力すごいなぁ……しっとりと濡れた髪、ほんのりと赤い肌)

小蒔「??」

京太郎(純粋そのものな瞳、シャンプーのいい匂いも、すごくそそる)

京太郎(この人を前にして、俺は大丈夫か?一夜を共に過ごせるか?)

京太郎(シャワー内で一発抜いておくべきか?)

京太郎(いや、俺は声を割と上げる派だ。もし、小蒔さんに聞こえたら……)

京太郎(……死んじゃうな、そのまま襲いかかりかねない)

京太郎(ほんと、戒能さん家にしとくべきだったか……)

京太郎(ホテルの予約は事前に電話したおかげで完璧)

京太郎(冷蔵庫には予め買っておいた飲み物とスナック菓子をぶちこんである)

京太郎(気前のいい事に近藤さんは用意してくれてる!ああくっそ!!!!)

京太郎(とりあえず、シャワーを浴びてるけどさ)

京太郎(落ち着かない、股間が落ち着かない!!)

京太郎(そうだ、こういう時こそ、他の誰かのことを考えるんだ!)

京太郎(きっと、股間も落ち着いてくれるさ!)

京太郎(そうだ、こういう時こそ霞さんだ)

霞『ふふふ……帰ったら、わかっているわよねェ?」

霞『ちょっきん、ちょっきん、うふふふっふふ』

京太郎「……っ」

霞『股間をぐっしゃり、ぐしゃぐしゃ、うふふふっふふ』

霞『そっと、触って――握りつぶす!』

京太郎「あ、ああっ……」

京太郎(やった、勢いが急速に落ちていく……!)

京太郎(ありがとう、霞さん!でも、帰ったらお説教は勘弁して下さいね!)





霞「くしゅんっ」

巴「どうかしたんですか?風邪なら早く寝た方がいいですよ」

霞「違うわ。きっと、誰かが噂しているのよ」

巴「それならいいんですけど」

霞「ふふふ……朝帰りなんていい度胸してるわ」

巴「まあまあ。とりあえず、落ち着きましょう」

霞「いいえ、これは戦争よ。乙女の戦争」

巴「乙女って歳じゃ……いたたたたっっ!」

霞「同い年よ」ニッコリ

巴「そういう設定でし……あだだだだだだ!」

京太郎「という訳であがってきました」

小蒔「お疲れ様です。買ってきた飲み物は冷えてますよ」

京太郎「どもっす。うーん、風呂あがりはオラ……いえ、三ツ矢サイダーに限りますね」

小蒔「そうなんですか?私は冷えたお茶をよく飲みますよ」

京太郎「牛乳じゃないんですか?」

小蒔「違いますけど……」

京太郎「天然素材っ!」

小蒔「???」

京太郎「何でもありませんよ、ええ」

京太郎(それよりも、朝までどうするかな)

京太郎(寝ようにも二人一緒にって結構やばくね?)

京太郎(ラブホに連れてきてる時点でそんなこと言えるわけもないけどさ)

京太郎(さってと、どうすっかな)

京太郎「そういえば、小蒔さんって好きな人いないんですか?」

小蒔「ふぇ!!!?」

京太郎「いや、そんなに驚かなくても」

小蒔「そ、そ、そその話は今するべきことなのでしゅか!」

小蒔「……舌が、痛いです」

京太郎「急いで喋るからですよ」

小蒔「京太郎さんが変なこと聞くからです」プンスカ

京太郎「すんません、こういう夜の会話には必須かなって」

小蒔「もうっ、京太郎さんは!」

京太郎「あはは……」

小蒔「私は、そのような経験は今までありませんでした」

小蒔「恋愛というのは漫画でしか見られないものとして捉えていて」

小蒔「きっと、私には縁がないことだと考えていたんです」

京太郎「……」

小蒔「でも、最近は少し変わってきて」

小蒔「その人のことを考えると、胸がポカポカするんです」

小蒔「いつまでも、その人のそばで寄り添っていたい」

小蒔「その人の笑顔が見ていて温かい」

小蒔「手を握ったら握り返してくれる力強さが、嬉しいんです」

京太郎「……ふんふむ」

小蒔「初恋ではないんですけどね」

京太郎「そうなんですか?」

小蒔「ええ。でも、今はもういいんです」

京太郎「……恋、か」

京太郎「正直、俺の方は全く縁がないですからね」

京太郎「それが、恋愛か、友情か。全く区別がつかなくて」

京太郎「振られた時のことを考えると怖くて」タハハ

京太郎「それに、俺を好きでいてくれる人は……いるかどうか」

小蒔「…………むー」

京太郎「小蒔さん?」

小蒔「…………」プイッ

小蒔「……」ツーン

京太郎「いい加減機嫌治してくださいよ……」

小蒔「知りませんっ」

京太郎(困った……同したもんかな……?)

京太郎「そういえば、小蒔さん」

小蒔「……何ですか」

京太郎「明日の言い訳、どうしましょう」

京太郎「正直、霞さん達ヤバいです。キレッキレです」

小蒔「話せば」

京太郎「わかってくれません。最悪、死を覚悟します」

小蒔「そこまでですか?」

京太郎「はい。ということで、言い訳しましょう!」

小蒔「駄目ですよ、正直に謝るのが筋です!」ピシッ

京太郎「それで済むならいいんですよ……ただ、正座でお説教ならまだマシで」

京太郎(俺の股間が潰れでもしたら……立ち直れない)

京太郎(4人とも、小蒔さんのことを大事に思ってるからなぁ)

京太郎(ラブホに一緒に入りました!なんて言ったら殺される……!)

京太郎「お願いします、助けてください!」

小蒔「……仕方ないですね。京太郎さんは怖がりなんですから」ナデナデ

京太郎「面目ない」

小蒔「とりあえず、どういった言い訳をするんですか?」

京太郎「それはゴニョゴニョ」

小蒔「はい、はい……それでいいんですか?」

京太郎「大丈夫です」

小蒔「それでは、そのように言いますね」

京太郎「さすが、小蒔さん!」


京太郎「これで、朝帰りでも怖くないですね」

小蒔「京太郎さんは心配しすぎだと思いますけど……」

京太郎「いやいや。ちゃんと策は練っておかないと」

小蒔「よく、わかりません」

京太郎「わからないならわからないでいいんで」

小蒔「は、はぁ」

京太郎「それじゃあ――」

小蒔「待って下さい。今度は私の方から話題を振ってもよろしいですか?」

京太郎「へっ?」

小蒔「……駄目、ですか?」

京太郎「いや、構いませんよ。全ッ然何でも話しちゃって下さい!」

小蒔「そうですか。なら、私も遠慮なく聞きますね」

京太郎(そういえば、小蒔からこんな風に積極的に話すのって――珍しくね?)

京太郎(心なしか、いつもよりはキリってしてるし)

小蒔「京太郎さんは――」

京太郎(まあ、小蒔さんのことだから明日の朝ご飯はどうしましょうとかだと――)

小蒔「今、お慕いしている人などは、いらっしゃいますか?」



■■■



正直、予想にも上げていなかった話題だった。

まさか、聞き返されるなんて、思ってもいなかったから。

「もし、いないのでしたら」

その先を聞いてしまうと、戻れない。

きっと、このぬるま湯の関係が終わってしまう。

「私と……」

楽しいのだ、霞さんがいて、巴さんがいて、はっちゃんがいて、はるるがいて、小蒔さんがいて。

全員でワイワイ騒いで、バカみたいなことを言い合って。

時たま、俺がやらかして。霞さんが説教して。はっちゃんがそれをからかって。

はるるは黒糖を食べながら無関心を装って。巴さんは、呆れた風に仲裁に入ってくれる。

それを、小蒔さんがニコニコと見つめている。

そんな、だらけていながらも温かい空間が、俺は何よりも好きなのだ。

強くなろうと願うよりも、いつまでも変わらないものが好きなのだ。

はっちゃんに告白されても、俺は断った。

嫌いでもない、むしろ、好きな部類に入る女の子の告白を――受け入れられなかった。

今の関係が壊れるのが嫌だから。変わりたくない、いつまでもこの関係が心地いいから。

だからこそ、断るのが正しいのだ。誰からの告白も、全て突っぱねる。

そもそも、ここにいること自体が奇跡の複合体のようなものだ。

俺が鹿児島にいる事自体が。俺が、―――――こと自体が。

「付き合って、くださいっ」

精一杯の勇気を振り絞ってぶつけてきた告白を、俺は。

「京太郎さんのことが、好きです」

京太郎「…………」

小蒔「…………」

京太郎「………………」

小蒔「…………そうですか」

小蒔「でも、否定されなかったってことは。まだ、私にも機会があるということですよね」ニコッ

京太郎「…………」

小蒔「京太郎さん」

小蒔「貴方が何を怖がっているのか、隠しているのか。わたしにはわかりませんけど」

小蒔「困った時は、話してくれると嬉しいです」

小蒔「……私に話しにくいことでしたら、他の人でもよろしいので」

小蒔(できれば、私がいいんですけどね)

京太郎(――――)

京太郎(一回目は断った。さすがに、いきなりでびっくりしたのも含めて)

京太郎(二回目は保留にした。ちょっと気になっている人からの告白。
普通は受けるべきなんだけど。やっぱり答えは返せなかった)

京太郎(何がたりない、何に気づいていない?)

京太郎(俺がモモの姿を見えなくなったことか?俺が高台によく行くことか?)

京太郎(俺が照さんと出会ったことか?俺が鹿児島に来たことで何かあったのか?)

京太郎(……?…………)

京太郎(よく考えると、おかしいことがないか?)

京太郎(……もしかして)

京太郎(俺と小蒔さんが実は親戚で)

京太郎(血がつながっていたりするから?だから、なのか?)

京太郎(そもそも神代家に仕事に行ったのだって、婆さんが発端じゃないか)

京太郎(それなら――俺が小蒔さん達に抱いてるのは恋愛的なものじゃねーってことか?)

京太郎(家族だから。なかなか踏み切れないし、答えることができない)

京太郎(うちの家族と神代家って実は分家と本家的な感じなんじゃないか?)

京太郎(だから、親近感も湧くし。恋じゃねぇって、勘違いなんだって)

小蒔「……ん、」

京太郎(それに、こうして見ると手のかかる姉みたいだしな)ナデナデ

小蒔「……えへへ」

京太郎(小さく丸くなって寝るって小動物かよ。可愛いからいいけどさ)

小蒔「きょーたろーさんー」ダキッ

京太郎(……っ!胸が、胸が!!)

京太郎(いくら、家系が近いって言ってもこれは慣れないって!!!)

京太郎(……そうに決まってるよ、な?)

小蒔「うにゅう……」ギュギュギュッ

京太郎(強い、力強いって!小蒔さんってこんなにも抱きつきグセあったのか!?)

京太郎(確かに、寝ながらマージャン打ったり歩いたり平然に話したり)

京太郎(多々おかしい所はあるけれどさぁ!!!)

小蒔「…………くぅ」

京太郎「はぁ、仕方、ないか」

京太郎「……今日だけですからね」ボソッ

小蒔「……」

京太郎(聞こえてるかいないんだか、わからないけど)

京太郎(……、…………俺も寝るか)

京太郎(家族みたいなものだから、俺は受け入れられないのか?)

京太郎(本当はそれ以上の関係を、望んでいるんじゃないのか?)

京太郎(わっかんねーや、わかんねーよ……)



それが、正しい答えなら。どんなに救われたんだろうか。

いつだって、現実はシビアで。

ああ、そうだった。

神様は――都合のいいもんじゃ、なかったもんな。

ふらふらと、何も考えず歩いている。

いつも通りの帰り道。いつも通りの時間。

だけど、日に日に視界は霞んでいく。

辛いのか、辛くないのか。

わかんない、わからないけど。

死にたいなって思ったのは確かだった。

真綿で締め付けられるような苦しみをずっと味わうのは嫌だった。

雨の日は止められた。あの時は、まだ踏ん張れた。

照さんは俺に言ってくれた。

「逃げるのは簡単だよって」

でも、俺にとって。その答えは、地雷だった。

前を向いても、暗くて。

誰も認めてくれなくて。

自分が悪いってわかっていても、割り切れなくて。

だから、俺は照さんの制止を振りきって。

車線に飛び出したんだ。

あの時、見た夢は。

血まみれで、頭を抱えて。泣いている、叫んでいる人は――俺じゃなかった。

歯車が噛み合わさる。カチカチと俺の中で動いていく。

忘れてる、ことは。照さんが心底後悔していることは。

咲じゃない、清澄のことじゃない。

俺が、死んでることだったんだ。




【朝】

小蒔「おはようございます!京太郎さん!」

京太郎「おはようございます……朝から元気っすね」

小蒔「昨日は早く寝れましたから……京太郎さんどうしたんです?」

京太郎「それよりも、ですね。近いです、顔が」

小蒔「ふぇ?」

京太郎「いや、近いんですって。すっごく。そんなに覗かなくても起きてますから」

小蒔「そういうことを言っていつも寝坊をするのは誰ですか」

京太郎「小蒔さんの方がよく寝てるじゃないですか……」

小蒔「そ、そうでしたっけ」

京太郎「そうですよ」

京太郎(それにしても、さっきまで見てた夢、変だったな……悪夢にもほどがあるぜ)

京太郎(俺が死んでる……だって?)

京太郎(気味悪い……、さっさと忘れよう。何が死んでいるだ、ありえねーって)

京太郎「それじゃ、小蒔さん。朝なんで出ましょう」

小蒔「はい!」

京太郎(何か、身体が重いし、目も霞むけど)

京太郎(気のせい気のせいっと)

京太郎「そういえば、小蒔さん」

小蒔「はい?」

京太郎「あの倉庫って色々とヤバゲなものがありますよね」

小蒔「そうですね、すっごいビビビってきます」

京太郎「ビビビ、ですか」

小蒔「ビビビ、です」

京太郎「……」

小蒔「……」

京太郎「くくっ」

小蒔「ふふっ」

京太郎「ビビビはないでしょ、ビビビは」

小蒔「的確な効果音だと思ったんですけど」

京太郎(天然なのか、作ってやってるのか)

京太郎(いや、小蒔さんの顔を見てると素でやってるんだろうけどさ!)

京太郎(つーか、ナチュラルに手を繋いでるけどいいの、俺!?)

小蒔「……?京太郎さん、手が冷たいですけれど大丈夫ですか?」

京太郎「そっすか?普通だと思いますけど」

小蒔「なら、気のせいですね」ギュッ

京太郎「ちょ、小蒔さん?」

小蒔「京太郎さんを暖かくしてるんです、こうして繋いでると冷たくないですよ」

京太郎「いや、気のせいなら繋がなくても」

小蒔「……」ウルウル

京太郎「喜んで繋がせて頂きます、お姫様」

小蒔「はいっ」ニッコニッコ

京太郎(すっごい嬉しそうだな……)

京太郎(まあ、いっか。小蒔さんが喜んでくれるんだし)

京太郎「そういえば、朝ご飯食べてませんね」

小蒔「お腹、空きました……」グーッ

京太郎「家に帰る前に何処かで食べて行きましょうか」

小蒔「!!!」ペッカーーーン!

小蒔「では、行きましょう!早く、ご飯が食べたいです!」

京太郎「お、おっ……!手を引っ張らないでくださいよ」

京太郎「それじゃ、ファミレスにしましょうか」

小蒔「はい、早く行きましょう!」

京太郎(すごい、気迫……っ!)

京太郎(それに、何か自然に手を繋いでるけどいいのかな)

小蒔「京太郎さん!」ニコニコニッコー

京太郎(まあ、いっか)





京太郎「案外近かったですね」

小蒔「ふふっ、道に迷わなかったお陰です!すまーとふぉんの地図が活きましたね!」

京太郎「それ使ったの俺ですけどね……」

小蒔「細かいことはいいっこなしですよ?」

京太郎「は、はい……」

京太郎(さてと、とりあえず入ろうか)

京太郎(……ん、あれは?)

小蒔「どうかしましたか」

京太郎「いや、どっかで見たような制服だなって」

京太郎「というか、あの制服、白糸台じゃないですか-!」


照「プリン食べたい」

誠子「それで、何で私を連れてきたんですか?すっごく眠いんですけど」

照「菫は起きない。起こしたら怒られる」

誠子「それなら尭深を……いや、寝ていましたね。同室、私ですし」

照「早起きなのは誠子だけ」

誠子「まあ、釣りとかで早起きは慣れていますしねぇ。
淡辺りなら無理矢理起こしても良かったんじゃないんです?」

照「そう思ったけど。『うへへ……私はヒロイン……一度結ばれているのだ……』って変な寝言を言って幸せそうで」

誠子「どんな夢を見てるだか。言葉から察するに彼氏彼女でしょうかね」

照「夢の中でしか幸せになれないのは不憫」

誠子「いやいやいや!現実不幸せじゃないですからね!?」

京太郎「…………」

小蒔「お知り合いですか?」

京太郎「い、行きましょう。巻き込まれたら面倒そうです」

小蒔「は、はぁ」

照「……あ」スタスタスタ

誠子「ちょ、宮永先輩!?」

照「おはよう」

京太郎「おはようございます。それじゃあ、俺達はこれで」グイッ

照「そういうことは言わない。旅も道連れ世は情けって言う」ガシッ

京太郎「別に、俺達旅してるわけじゃないんで」

照「と思うけど実際は」

京太郎「実際も何もないですって!!!」


照「それよりも、須賀君はこんな朝からどうしたの」

京太郎「見ての通り、朝ご飯を食べにです」

小蒔「お腹すきました!」フンスッ

照「……」

小蒔「どうかしましたか、そんなにじっと見つめられたら照れちゃいます」

照「…………」フイッ

誠子「ちょ、どうしてそこで私を見るんですか!」

照「うん、これが普通」

誠子「…………帰りますよ」

照「と思ったけどそんなことはなかった」

京太郎「……さてと。行きましょうか小蒔さん」

小蒔「いいんですか、この人達は……」

京太郎「いいんです」

照「そうやって年上を蔑ろにするのは良くない。私は君にそう教えたはず」

京太郎「そうでしたっけ?」

照「そうだよ。うん、きっと」

京太郎「ほんとの所は?」

照「本当だから」

京太郎「……はぁ、そういうことにしておきます」

照「それじゃあ行こう」ガシッ

京太郎「へ?」

照「一緒に朝ご飯。須賀君との時間は貴重だから大切にしないと」

京太郎「ちょ、照さん!?」ズルズルズル



誠子「……すいません、うちの先輩が」

小蒔「いえ、御飯は皆で食べた方が美味しいですし」

誠子「そう言ってもらえると助かります」

誠子(というか、この人どっかで見たことあるような……)

小蒔(仲良さそうで羨ましいなぁ、私も京太郎さんとあんな風に)

京太郎「どうして、こんなことに……」

誠子「すいません、宮永先輩が無理を言ったようで」ペコペコ

京太郎「いえ、嫌な訳ではないんで」

京太郎(うーん、礼儀正しい人だなぁ)

照「それよりも、プリン」

小蒔「私も食べたいです!」

京太郎「食い意地がある人が二人に……」ガックシ

誠子「お互い苦労するね……」ガックシ

照「それじゃあ注文するよ」

小蒔「この呼び鈴みたいなのを押せばいいんですね!」

京太郎「そういえば、亦野さん」

誠子「誠子でいいよ。もしくは亦野院さん」

京太郎「全然関係ないでしょう!ともかく、誠子さん」

誠子「呼び捨てでも構わないんだけどね、なんだい京太郎君」

照(……ナチュラルに呼び捨て。何か、私の時と違う)ピキッ

小蒔(私は名前呼びに時間がかかったのに……)ムーッ

京太郎「誠子さんって釣りが好きなんですよね?照さんと話していた時に聞こえたんですけど」

誠子「ああ、そうさ。いやぁ、麻雀部ってインドア系ばっかだからさ。この趣味が合う人ってなかなかいないんだ」

京太郎「そうですか?俺は興味がありますよ。渓流でのんびり釣りをするっていいじゃないですか」

誠子「!?わかってくれるか!さすが京太郎君だ、見どころがある」

キャッキャハハハ

小蒔(すごく、楽しそうです……何だか、いつもより京太郎さんが元気で)

照(…………)ギュルルル

小蒔「あ、あの……」

照「何?」ギュルッルルルル

照「今の私はプリン一個では収まらない。追加注文をしたいぐらいに」

小蒔「私も、今ならいくらでも食べれる気がします」

小蒔(京太郎さんの馬鹿……)

照「やっぱり、淡を連れてきた方が……でも、それじゃあ何だか仲良くなりそう」ムムム

京太郎「そういえば、誠子さんも虎姫なんですよね」

誠子「まぁね。でも、私だけどうしても格落ちだと思われてるだろうなー」

京太郎「どうしてです?」

誠子「いや、他の娘達は皆秀でてるもんがあるのさ。さすがに教えられないけど」

京太郎「……」

誠子「それに比べて、私はねぇ」

京太郎「そうは言っても、俺にとっては誠子さんもすごいっすよ。白糸台のレギュラーですよね?」

誠子「ははっ、そう言ってもらえると嬉しいな。いかんせん、周りがすごすぎてね……」

京太郎(んー、ここはどうするべきか?)

京太郎「……俺もそうだったんでわかります」

誠子「天才の中に放り込まれるのは辛いからねぇ。無論、努力はしてんだけどさ」

誠子「やっぱ、違うよ。天才は……って愚痴っぽくなっちゃったね。ごめん」

京太郎「いえ。俺なんかで良ければいつでも聞きますよ。……これはちょっと馴れ馴れしすぎですね」

誠子「そんなことはないさ。話を聞いてもらえるだけでも嬉しいから」

京太郎「そう言ってもらえると光栄です」

誠子「ははっ。そうだ、今度東京に来たら釣りに行こうじゃないか。私のフィッシング技術をお見せしよう!」

京太郎「本当っすか!ぜひ!」

誠子「釣りはいいよ、心が洗われる。麻雀部ってインドア系だから誘っても変な目で見られそうで……。悲しい現実だよ」

京太郎「いいと思うんですけどね、釣り。やったことないんでわからないんですけど」

誠子「最初はだれだってそんなもんさ。私も教えるしね」

ハハハククッ



照(会話に入れない……)

小蒔(何だか、凄く仲良くなってます)

小蒔(……いいなぁ。何か、長年の親友みたいな雰囲気で)

照(私のほうが年上なのに複雑。頼りないのかな、私)ググッ

小蒔(手がぷるぷるしてますけど大丈夫なのでしょうか?)

京太郎「どうでもいいっすけど朝ご飯を食べるくらいなら寝ていたいって思うのは常識だと思います」

誠子「朝は辛いからね……」

照「朝はプリン、昼もプリン」

誠子「先輩は甘いものから離れましょうね」

小蒔「わわっ、ファミレスで朝食は初めてなので緊張します……っ」


オマタセイタシマシターーーゴユックリドウゾー

誠子「さてと、皆揃ったことだし食べましょう。宮永先輩は目を血走らせないで下さい」

照「お腹が空いてるから仕方ない。須賀君、食べさせて」

小蒔「な、なら私も食べさせて欲しいです!」

京太郎「やりませんよ、というか何アホなこと言ってるんですか」キッパリ

誠子「そもそも、食べさせてもらうより自分で食べたほうが楽なんじゃ」

照「わかっていない。誠子は全然わかっていない」

誠子「あまり、分かりたくもないんですけどね……」

京太郎「ともかく、いっせーので」


「「「「いただきます」」」」