あの日の俺には居場所があった。

あの時の俺は確かに心の底から笑えてた。

あの時の俺は……きっと幸せだった。

もし今からあの時に戻れたら俺は回避できたのか……あの悪夢を、何もかも壊れたあの日々を

――いや、きっと無理だろうな、しょせん力のない俺には……

あぁ、また思いだしちまう……捨てたがってるくせに捨てられないあの日の事を……

【断章終わってしまった話Start】

【須賀家】


京太郎(……眠い)

京太郎(早起きは三文の得って言うけど、絶対に違うだろ。こんなにも辛いのに得とか頭おかしいっての)

京太郎(とりあえず、起きちまったもんは仕方がないし……さっさと起きるか)

京太郎(あー、朝食食べて学校かー。かったるい……)



京太郎母「京太郎、最近どうよ?」

京太郎「どうって、何が?」

京太郎母「どうって学校生活に決まってるでしょう。まだ、寝ぼけてる訳?」

京太郎「まあまあだって。別に、さしたることはないよ」

京太郎母「それならいいんだけどねー」

京太郎「ったく、それよりも母さん朝食ー」


京太郎母「咲ちゃんと約束してたでしょう?」

京太郎「あ、そうだった。早く食べていかねーと」

京太郎母「女の子を待たせるもんじゃないわよ?ほら、できたできたー」

京太郎「サンキュー母さん、じゃあぱっと食べて行ってくるわ」

京太郎母「おう、いい青春を送れよ……我が息子」



京太郎「ということがあったんだよ」

咲「相変わらず、京ちゃんのお母さんは豪快だねえ」

京太郎「まあな……女手一つで俺を育ててくれたんだ、強くもなるさ」

咲「うん……」

京太郎「馬鹿、別に変に気を使わなくてもいいんだよ。ダチなんだからさ、俺達」

咲「そうだよね……京ちゃんと私は友達だもんね」

京太郎「何を当たり前のことを言ってるんだよ、ったく……寝ぼけてるんじゃねーのか」

咲「寝ぼけてなんかいないよっ!京ちゃんの方こそ頭ボサボサだしひどいじゃん!」

京太郎「おっ、咲のくせに生意気な-!」ワシャワシャ

咲「ひゃあっ!もう、京ちゃんと同じになっちゃったじゃん!髪がボサボサになっちゃったよぅ」

京太郎「尊い犠牲だったな……」

咲「誰のせいだと思ってるの、誰の!」

京太郎「はいはい、ごめんなさーい。反省してまーす」

咲「全然反省してないよね、それっ!?」

京太郎「まあ、冗談はこれぐらいにして……そろそろ急がないと遅刻しちまうぞ」

咲「うん……じゃあ、ちょっとだけ早足で急ごうか」

京太郎「ちーっす」

友1「おっす。はよー」

友2「今日は珍しく遅刻しなかったのなー」

京太郎「うっせー。つうか、いつも遅刻してねーだろ」

友1「そうだけどさ。そういえば、京太郎って麻雀部入ってたっけ?」

友2「あーそうだったな。最近どうよ?」

京太郎「どうよって言われても……麻雀より雑用をしている気がするなぁ」

友1「麻雀部なのに?」

京太郎「なぜか、頼られるんだよなあ」

友1「ふーん……」

友2「そういうもんなのか?」

京太郎「そういうもんなんじゃねえのかな」

友1「それってさ、体の良いパシリとしか思われてないんじゃね?」

友1「お前の話を聞いてるとなー、そういうイメージがあるんだけど」

京太郎「まさか、そんなことねーって」

友2「確かにな、雑用とかって皆でやるもんだと思うけどな」

京太郎「そういう不安にさせるようなことを言うなって」

友1「悪い悪い。なんかふと思っただけだから気にすんなよ」

キーンコーンカーンコーン

京太郎「おっ、チャイムか。HRが始まるから戻れ戻れー」

友「「ういーっす」」

京太郎(体のいい雑用か……あの人達が、咲がそんな事考えてる訳ねーだろ)


【昼休み】


京太郎(よっし、やっと昼飯だ……確か、誰と約束していたんだっけ?)

京太郎(そうだ、咲と一緒にレディースランチを食べる約束をしていたな)

友1「おう、また嫁のとこに行くのか?」

友2「やはり、咲京が鉄板か……」

京太郎「嫁じゃねえから……ただの腐れ縁だって。あいつとはそういう関係じゃねーし」

友1「とか、言ってるけどどうよ?」

友2「これは駄目だね、咲ちゃん報われないね……」

京太郎「お前らは何を言ってるんだ。これからも変わらねえよ、ずっとダチでいてやるって約束したしな」

京太郎「じゃ、咲のクラスに行ってくるわー。後は頼むなー」ダッダッダッ




京太郎「おーい、咲ー。いるかー」

咲「もうっ、そんな大きな声を出さなくても聞こえるってば!」

京太郎「だってなー、お前って麻雀やってる時とか集中して声をかけても気づかねーじゃん」

咲「今は麻雀やってないじゃん……」

京太郎「まあ、細かいことは気にすんなって」

咲「むーっ!京ちゃんは私の扱いをもっとよくするべきだよ!」

京太郎「よくするって言ってもなぁ……例えば、どういう感じだよ?」

咲「それは……」

京太郎「よくするって言ってもいろいろあるだろ?」

咲「いつも、一緒に帰るとか!」

京太郎「いつもって言っても……和や優希とお前が先に帰ってるからなぁ」

咲「うっ」

京太郎「さすがに、夜遅くまでお前を遺せねーよ。親父さんに心配かけるしな」

咲「それはそうだけど……」

京太郎「だから、その提案はキツイ。第一、こうやって朝会ったり、一緒に飯を食ってるだけでも十分だろ?」

咲「……だって、もっと京ちゃんといたいんだもん」ボソッ

京太郎「つーか、いい加減俺以外の奴等に人見知りするのはやめとけって」

咲「そ、そんな!」

京太郎「そんなも何もない。全国に行くと、すげー注目されるんだぜ?」

京太郎「今の内に慣れておけって。なっ」ナデナデ

咲「う、うん……京ちゃんがそう言うなら」

京太郎「あのなあ。俺が言うからじゃなくて、自分の意志でやれって」

京太郎「俺だってお前の傍にいつまでもいるんじゃねえんだからさ」

咲「やだよー、京ちゃんとずっと一緒にいたいよー」

京太郎「はいはい、冗談でも嬉しいですよっと」

咲「いっつもそうやってはぐらかす……」

京太郎「うっせ。お互い様だ。それよりも、レディースランチをはよ!」

咲「京ちゃんらしいよ……もう」

京太郎「飯だ、めーしー!」

咲(でも、そんな京ちゃんだから……私は――)

京太郎「ほら、早く行こうぜ!」

咲「はいはい、今行くよー!」

京太郎「ということで、昼飯を食べて放課後!」

咲「誰に言ってるの、京ちゃん?」

京太郎「まあ、ノリと勢いってやつだ。気にすんな」

咲「もう……」

京太郎「さてと、部活だ部活ー」

咲「あはは……全国大会も近いし頑張らないとね」

京太郎「何を他人事のように言ってるんだ、主役はお前なんだ……気張ってやれって」

咲「うん、ありがとう京ちゃん」

京太郎(俺は……裏方だから違うけどな)

京太郎(さて、今日も雑用きちんとやっとかねーと)

京太郎(確か、備品が不足していたから買い出しに行くんだったよな)



買い物の途中
???「ワハハ、君は……」

京太郎「貴方は……確か、鶴賀学園の!」

智美「蒲原智美だー。三年だからって敬語を使うこともないぞー」

京太郎「とは言っても、先輩ですし。ここは敬語で。どうも、清澄一年の須賀京太郎です」

智美「そうか?いやー照れるなぁ。あんまり、そういうのには慣れてないから」ワハハ

京太郎「そうですか……ところで、どうしてここに?」

智美「気晴らしの散歩さー。受験生にも息抜きが必要なのだよ、須賀ちん」

京太郎「す、須賀ちん?」

智美「どうだ、可愛いあだ名だろー。こう見えても、私はあだ名を付けることが得意なのさー」ワハハ

京太郎「…………」

智美「そ、その目はなんだー!まるで私がバカみたいじゃないかー!」

京太郎「バカジャナイデスヨ」

智美「まるで、受験勉強をしないで部室に入り浸ってるアホ先輩を見る目だろー」

京太郎「実際、そうなんじゃないですか?」

智美「うん、そうだが」

京太郎「肯定したよ、この人!」

智美「受験勉強よりも今を楽しむことに情熱を向けるべきだと思うんだなー」ワハハ

京太郎「さようですか……」

智美「なあ、須賀ちん。君は、今を楽しんでいるかー」

智美「難しいことを考えるよりもさ……楽しいことを考えた方が幸せだよー」

京太郎「そう、ですね……」

智美「まあ、須賀ちんは若いんだ、大いに悩めー」

京太郎「そんな歳の差なんてあってないようなものじゃないですか」

智美「それでも、私はおねーさんだからなー。こうやって気を使うのも役目なのだよー」

京太郎「ははは……有りがたく受け取っておきます」



智美「そうだ、ここで会ったのも何かの縁だ。メルアドとケー番交換しようー」

京太郎「俺は別に構わないんですけど、いいんですか?こんなほぼ初対面の野郎に教えても?」

智美「ワハハー、須賀ちんと私はもう友達さー。友達ならオーケーさー」

京太郎「そうですか、ならちゃっちゃっと交換しちゃいましょう」

智美「そういえば、買い出し途中だったなー。ゴメンなー、呼び止めたりして-」

京太郎「いえ、いいですよ。また期会があればこうして話してみたいですし」

智美「ワハハー、ナンパかー。悪いが、私は軽い女じゃないんだぞー」

京太郎「何をアホなこと言ってるんですか」

智美「アホなこととは失礼だぞー」

京太郎「はいはい。それじゃ、いきますよー」




【清澄麻雀部部室・夜】



京太郎「ふー。とりあえず、今日の雑用は終わった終わった」

京太郎(また、最後まで一人かー。外も暗くなってるし早く帰らないとな)

京太郎(深夜の学校って怖いんだよなぁ……余計なことを考えないで帰らなきゃ)

京太郎(ふんふっふふーん、脳内鼻歌でもして怖さを紛らわそう)

京太郎(旧校舎は古いから何か出そうで……)

京太郎(…………しかし、こんな時間まで雑用なんて何やってるんだろうな、俺は)

京太郎(雑用をすることで、俺の存在価値を無理矢理にでも認めさせているみたいで……)

京太郎(どうも、ダチに言われた言葉が残ってるみたいだな。体の良いパシリか……)

京太郎(俺って、一体何だろうな……)

【京太郎の部屋】


京太郎(眠い……けど。何か微妙に眠れない気分)

京太郎(わっかんねー、何もかもがわっかんねー)

京太郎(どうすっかなー、メールでも送るか)

京太郎(そもそも、夜だから寝てる可能性もあるんだよな)

京太郎(んー、どうしようか)


京太郎(そうだ、染谷先輩が確か言っていたな……辛くなったらいつでも相談しろって)

京太郎(ひょっとしたらこの胸のもやもやを解決してくれるかもしれない)ピッピッポ

京太郎(一番、冷静で場を見てるのは染谷先輩だしなぁ……)

京太郎(きっと、何か良いアドバイスをくれるかもしれない)

『すいません、夜分遅くに。ちょっと相談に乗ってもらってもいいですか?』

京太郎(うん、掴みは大丈夫だ。後は送信して返信を待つだけだ)

ヒカルカーゼヲオイーコシタラー

京太郎(来た来た)

『なんじゃ、藪から棒に。しかし、京太郎が相談なんて珍しいのぅ?どうせなら、昼でも一緒に御飯でも食べながら聞いてやるぞ?』

京太郎(染谷先輩は優しいなあ……それじゃあお言葉に甘えるとしますか)

『染谷先輩の都合が良ければお願いします。明日の昼にどこかで待ち合わせましょう』

京太郎(これで、いいか)

ヒカルカーゼヲオイーコシタラー

『おう、可愛い後輩の頼みじゃ。どんと来んさい』

京太郎(ははっ。本当に、頼りになり過ぎだよ……染谷先輩は)

京太郎(この人がいる限り、俺も頑張っていけるかもな……)

『わかりました。では、明日お願いします。おやすみなさい』

京太郎(ふぁ~あ……もう十二時も過ぎたし、たまには早く寝るかー)




――――歯車が、ずれ始める。

京太郎(……やっぱり、眠い)

京太郎(いい加減、自転車登校とかに手を出すべきなのかもしれないな)

京太郎(そしたら、もっと布団で寝ていられるし)

京太郎(学校、行きたくないなあ……)

京太郎(でも、染谷先輩との約束があるしサボれねえ)

京太郎(頑張っていこう……今日の朝はきっついなあ)

京太郎「おー、咲かー」

咲「相変わらずのボサボサ頭だね、京ちゃん」

京太郎「仕方ないだろ、眠くて頭整えるのも面倒くさかったんだから」

咲「あはは、京ちゃんらしいや」

京太郎「うっせー。方向音痴で俺がいなかったら満足に学校に辿り着く事ができないお前に言われたくはねー」

咲「そういえば、京ちゃん……今日のお昼はどうするの?実はね……今日おべ」

京太郎「悪い。今日はお前と一緒に飯は食べれねえわ」

咲「えっ……」

京太郎「大事な先約があるんだ。こればっかりは譲れないんだ」

咲「それは、私も一緒にいちゃ駄目なの?」

京太郎「ああ。ごめんな、今度何かで埋め合わせをするからさ」

咲「うん、わかった……約束だよ?」

京太郎「おう、約束だ」

咲「えへへ……楽しみだなあ」

京太郎「ったく、俺の財布の心配もしてくれなきゃ困るぞ」

咲「わかってるってば。別にそこまで高価な要求はしないから」

京太郎「マジ、頼むぜ。今月はただでさえ厳しいってのに」


【清澄高校・玄関】


京太郎「とーちゃくっと。やっぱ、歩きって辛いな……」

咲「仕方ないね。割と家からここまでって遠いし」

京太郎「自転車でも買おうかな。そしたら、ここまで楽に来れるだろう」

咲「そしたら、私も自転車を買わないといけないじゃん」

京太郎「なんでさ。お前まで俺に付き合わなくてもいいよ」

咲「……だって、京ちゃんと一緒に登校したいんだもん」ボソッ

京太郎「はいはい、まずは一人で学校来れることから始めましょうねー」

咲「うーっ!いいもーんだ、私には原村さんがいるもーん」

京太郎「そうやって、逃げていたらいつか痛い目にあうぞ…………あ?」クツイレガバッ

咲「どうしたの、京ちゃん?そんな鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしちゃって」

京太郎「いや、それがだな……」











「ラブレターが入ってたんだ……」



京太郎(さあ、どうすっかな。このラブレターについては)

京太郎(咲は何だか不機嫌になっちまって話にならねーし)

京太郎(この手紙には夕方、体育館裏で待ってますといういかにもな文字があったけど)

京太郎(ただの悪戯だと思うんだけどなー……わっかんねー)

京太郎(まあ、もし本当だったとしたら無視はできないし行くしかないんだけど)

京太郎(返答がなぁ……こういうのはあんま経験はないしどうしたものか)

京太郎「ということで、どうしたらいいでしょうか、染谷先輩」

まこ「いきなりなんじゃい。もっと具体的に喋らんかい」

京太郎「ラブレターを貰った、返事どうしよう」

まこ「簡素すぎるわ!?」

京太郎「実際、悩みの種はそれなんですから仕方ないじゃないですか」

京太郎「俺は、どうすべきなんでしょうかね……」

京太郎「もし、本当だったら嬉しいですし」

京太郎「ちゃんとこういうのには応えたいんですけど」

まこ「ふむ……」

まこ「まあ、わしもなぁ……そういう経験はゼロじゃからなあ」

まこ「的確なアドバイスを送ることはできんのう」

まこ「じゃが」

まこ「京太郎、お前さんはもっと我儘になるべきじゃよ」

まこ「今まで、部活の雑用をずっと一人でこなしてきて大変じゃったろう」

まこ「もう、いい。お前さんは好きなように行動すべきじゃ」

京太郎「でも」

まこ「ええい、わしが許可する。遠慮なんてするな」

まこ「好きなようにやれ。お前さん自身が我慢して壊れちゃ意味が無いんだからな」

京太郎「……ありがとうございます。染谷先輩に相談してよかったです」

まこ「よせい。わしは自分の持論を言ったまでじゃ。そこまで感謝される筋はない」

京太郎「それでもですよ。俺にとっては安心して相談できる唯一の人なんですから」

まこ「そう言われると照れるのう……」

京太郎「染谷先輩と話すと心が落ち着くんですよ。何というか、話してて穏やかになるというか」

京太郎「こんな時間がいつまでも続けばいいのにって思うぐらいに、ね」ニコッ

まこ「アホっ!何を言っておるんじゃ!」

京太郎「すいません、ちょっとからかってみたくて」

まこ「全く、年上をからかうもんじゃない」

京太郎「ははっ……」

京太郎(すきなように、する)

京太郎(俺が今、やりたいことは……)


【体育館裏】

京太郎(さて、素直に来た訳だけど)

京太郎「誰もいねー」

京太郎(まあ、告白かどうかもわかんねーしな)

京太郎(悪戯みたいなもんかもしれないからあんまり期待していないし)

京太郎(そもそも俺を好きになる酔狂な女の子がいるのかよ)

??「あ、あの……」

京太郎「ん?」

モブ女「す、須賀京太郎さんですよね?」

京太郎「うん、俺が須賀京太郎だけど?君が手紙を渡してくれた人?」

モブ女「はい!その、早速なんですけど!」

モブ女「好きです!私と付き合って下さい!」

京太郎「…………マ、マジで?」

モブ女「マジです。私をよければ彼女にして欲しいなー、なんて」

京太郎「お、おう」



和「えっ……」

和(須賀君の姿を見かけたから何の気なしに追いかけてみましたけど)

和(まさか、告白なんて場面に遭遇するなんて)

和(べ、別に須賀君が告白されようとも私には関係ありませんし)

和(だから、告白に承諾しても……気にしませんよ)

京太郎「あ、あのさ」

和(此処から先はプライベートですし、私は聞かない方がいいかもしれません)

和(で、でも。ちょっとだけなら)

京太郎「ごめん。まだ、君とは会ったばかりでいきなり彼女っていうのはちょっと厳しい」

京太郎「だから君の要望には応えられない。ごめん」ペコリッ

モブ女「い、いえ……当然ですよね」

京太郎「それでも」

京太郎「友達からなら始められると思うんだ」

京太郎「これも何かの縁だし仲良くなれたらいいなって。それで、だめかな?」

モブ女「は、はい!お願いします!」

京太郎「いや、そこまで気合を入れられても……」

和(…………)

和(須賀君は、告白を受けませんでした)

和(それは、私には関係ないこと)

和(彼がどう返答しようと彼の自由。私が何かを口出しすべきではありません)

和(でも……どうしてか)

和(ホッとしている自分がいるのは、何故でしょうか)

和(須賀君とは何でもないのに)

和(いつも、私に軟派な態度をとる須賀君が他の娘になびくのを)

和(嫌だって思ってしまうなんて)




京太郎「さてと、部活の買い出しをしないと」

京太郎(この前は蒲原さんと会ったけど今回は誰かと会うのかな)



京太郎(うーんと、今回の買い出しは紅茶か……)

京太郎(紅茶の葉っぱを取り扱ってる店なんて知らないんだけどなあ)

京太郎(スーパーのパック紅茶でいいかな)ドンッ

衣「ぐはあっ!」

京太郎「あ、すいません!大丈夫ですか!」

衣「いひゃい……」

京太郎「俺が前を見ていなかったばっかりに……とりあえず立てますか?」

衣「だ、大丈夫だ!衣は一人で立てる!」ズイッ

京太郎(あれ?この人って確か……)

衣「全く、ちゃんと前を見て歩かないと駄目なんだぞ!」

京太郎(咲と戦った、天江衣さん?)

衣「衣は大人だから許す!次から注意していれば良い」

京太郎「そうですか、ありがとうございます」

京太郎「でも、俺の不注意だったのは確かなので……」ペコリ

衣「そ、そこまで深々と頭を下げなくてもいいんだぞ?」アセアセ

衣「これだったら、衣が悪いみたいではないか!」

京太郎「そんなことはないですよ。天江さんみたいな人に怪我をさせたらそれこそ目も当てられません」

衣「むー……。あれ?そういえば、衣は名前を名乗っていないのになぜお前は知っているんだ?」

京太郎「ああ、それはですね。かくかくじかじか」

衣「ほう、つまりあの大会を見ていたということか」

京太郎「そういうことになりますね」

衣「そうか。それで、お前の名前は?」

京太郎「はあ……別に名乗る程ではないと思いますけど。どうせ、会うのはこれっきりだと思いますし」

衣「そんなことないぞ!縁というのはわからん、お前と衣が再び相まみえることがある可能性だってある」

京太郎「そこまで言うなら……清澄一年の須賀京太郎です」

衣「清澄?ということは咲とノノカのいる所か!」

京太郎「そうですね、アイツらなら全国に向けて練習してますよ」

衣「それならば、よい。衣を負かしたのだ、全国では大暴れしてもらわないとな」

衣「衣は負けたけど、すごく楽しかったからな」

京太郎「負けたのに、楽しい?」

衣「そうだ!衣にとって、麻雀は勝つことしかなくてつまらなかった」

衣「どうやっても、勝利しか見えない。予定調和の闘いなど衣にとっては価値がなかった」

衣「咲は衣を負かすことで麻雀とは自分で打つことこそ楽しいものだと教えてくれた」

衣「勝つことしか知らなかった衣に教えてくれたんだ!」

衣「麻雀とは楽しいものだとな!」

衣「そのお陰で友達もできた!」

京太郎(そうか。天江さんにとって麻雀は勝利しかなくて、負けとは無縁でつまらないものだった)

京太郎(そして、咲に負けたことでやっと自分の麻雀を打てる。それが嬉しいのか)

京太郎(勝つことに価値はなくて、負けることにこそ価値があった)














京太郎(何だ、ソレ?)

京太郎(俺は……いくら練習しても、勝てないのに)

京太郎(笑っちまいそうだ、俺とのあまりの違いに)

京太郎(そういう才能ってやつを持ってるのは違うってことか?)

京太郎(麻雀に負けても笑えるし、楽しむことが出来るってのかよ)

京太郎(ああ、そうだな。王道だよ、天江さんの話は)

京太郎(負けたけど、友達ができて。自分の打ち方を見つけて)

京太郎(ああ、あの決勝戦で風越を飛ばさなかったのも……舐めたプレイングってやつ?)

京太郎(何でだよ……)

京太郎(才能があるだけで、ここまで違うのか?勝ち負けすら操れるのか?)

京太郎(麻雀なんて運だ、それぐらい俺にもわかる。努力が実を結ぶなんて珍しい話だ)

京太郎(だけど、だけど!)

京太郎(勝ちたいと思う気持ちが負けることよりも下なもんか!)

京太郎(勝てなきゃ、面白くねぇだろうが!)

京太郎(誰も、認めてくれないだろうが!)

衣「それで、衣はな!」

京太郎「すいません、天江さん。ちょっと用事があるんで失礼します」

衣「ふぇ?」

京太郎「では。俺はこれで」スタスタ

衣「……むぅ」

衣「衣は、悪いことを言ったのかな?」

衣「想定外のことがあるから麻雀は楽しいと言っただけなのだが……」




京太郎(あの場にいたら……反論しそうだった)

京太郎(勝てない身からすると、贅沢過ぎるんだよ)

京太郎(勝ち過ぎて、つまらないだなんて)

京太郎(勝つことが一番だって思っている俺は、間違っているのか?今のままでいいのか?)

京太郎(分かんねーよ、誰か教えてくれよ……何が正しいんだよ)

京太郎(凡人は才能に踊らされるだけなのか?畜生……畜生っ!)グスッ



【清澄麻雀部部室・夜】



京太郎(ずっと、頭からはなれない)

京太郎(何が正しいか、正しくないか)

京太郎(俺は、どうする?影で麻雀の本を呼んで自分なりに頑張ってきた)

京太郎(だけど、それじゃあ足りない。何時まで経っても、アイツらに追いつけない)

京太郎(全国大会出場を決めた女子と、一回戦負けの男子)

京太郎(同じ舞台に立てないのは当然だ)

京太郎(俺と咲達じゃあ立っている場所が違いすぎる)

京太郎(何か、しないと。強くなって見返すんだ)

京太郎(俺でも天才に太刀打ちできるんだって)

京太郎(思考を止めるな、クールになれ……須賀京太郎。何かがあるはずだ)

京太郎(一応、咲達の牌譜は取って研究する用意はできた)

京太郎(とりあえず、考えとかなくちゃな……色々と)

【京太郎の部屋】


京太郎(昨日と違って眠れない……)

京太郎(メールでも送って気晴らしでもするか)

京太郎(ずっと考えてちゃ頭も痛くなるしな)

京太郎(んー、誰にメールしよう?)

京太郎「そういえば、蒲原さんにアドレス教えてもらったけどメールしてなかったな」

京太郎(いい機会だから、送ってみるか)

京太郎「そういえば、思い出したぞ!」

京太郎「あの決勝戦で上手く立ちまわって咲達に食らいついていた人を!」

京太郎「確か、鶴賀学園の加治木ゆみっていう人だったかな」

京太郎「それだったら、蒲原さんを頼りに会えるかもしれないぞ」


『いきなりのメールで悪いのですが、ゆみさんとお話しできないでしょうか?
身勝手ですが急を要することなんです。
お願いします』


京太郎「送信っと」




京太郎「返信が来たぞ」

『ワハハ、何やら切羽が詰まっているようだなー。須賀ちんのピンチを見過ごす私ではない。
私から話を通しておこう。ゆみちんならたぶん快く引き受けてくれると思うぞー。』

京太郎「よっしゃ!さてと、どう返信しようか?」


『ありがとうございます。もしかしたら蒲原さんにも何かしら相談することがあるかも知れません。
そうなったときはまたよろしくお願いします』

京太郎「まあ、こんなもんかな。あんまりにも丁寧すぎるのもどうかと思うし」ピロリンッ

サイダーイキューノムーナサーワーギーカンジテイターイ

京太郎「おっ、きたきた」

『きにするなよー、私達は友達だからなー。困った時はいくらでも頼ってくれていいんだぞー。
ゆみちんと会う時は私もいるだろうからなー。だから、遠慮なんてしなくていいんだからなー』

京太郎「いい人だな、蒲原さんは……」

京太郎(加治木さんと話すことで何か糸口が見つかればいいんだけど……)

京太郎(諦めないぞ、俺は!強くなって見返すんだ!)



京太郎(……気持ちわりー)

京太郎(昨日はいろいろと考えて頭を使ったからかな?)

京太郎(ともかく、今日の放課後は鶴賀学園に行く事になったし)

京太郎(何か強さへの手がかりがあるといいんだけどな……)

京太郎(早く強くなるんだ、誰よりも)

京太郎(最強になって……その先の光を掴むんだ)

京太郎「……はぁ」

京太郎(なんつーか、イマイチ気分が上がんねー)

京太郎「前みたいに何も考えずに打てていればよかったのに」

京太郎(強くなりたい。そう思ってしまったらもう止まらねえ)

京太郎(楽しく打つよりも、俺は勝ちたいんだ)

京太郎(だからこそ……)ドカッ

池田「にゃーーーーっ!ちゃんと前を見て歩くし!」

京太郎「うわあっ!すいません!」

池田「全く、そんな辛気くさい顔をしているとツキが逃げていくぞ~」

京太郎「そういうもんですかね」

池田「そういうもんだっ。だから笑顔でいっつもいるんだっ」

京太郎「笑顔でいる、か」

京太郎(今の俺には程遠いな。百点満点の笑顔なんて到底作れはしない)

池田「何事もそうやって前を向いて笑うんだ。どんなことも楽しめばそれでオッケー!」

京太郎「ははっ、参考にしておきますよ」

池田「うむっ。おわーっ!もうこんな時間、急がないと学校に遅れちゃう!じゃあな、金髪少年っ!」ダッダッダッ

京太郎「ああ、ちょっと!」

池田「また縁があったらなー」

京太郎「……行ってしまった」

京太郎(負け続けだとそれもキツイんですよ……)

京太郎(アイツらの背中が、遠いよ)



【清澄高校・玄関】


モブ女「須賀さん、おはようございます!」

京太郎「ああ、モブ女か。おはよ」

モブ女「はい!えっと、何かあったんですか、顔色が悪そうですけど」

京太郎「ちょっと寝不足なだけだって。心配無用さ」

モブ女「そうですか……体調が悪かったらいつでも言ってくださいね、私保健委員なんで」

京太郎「ああ。頼りにする時は遠慮なく」

モブ女「こちらこそ!」

キャッキャウフフ

咲「……」ズズズ

咲(京ちゃん……)

咲(どうしてだろう、あの人と仲良くしている京ちゃんを見ていると……)

咲(何か、嫌な気分だ)

京太郎「昼になったけど……」

京太郎(相変わらず、気分が上向きにならねーな)

京太郎(こんな風にしょげてる場合じゃねえのに)

京太郎(飯でも食って英気を養うべきなんだけど)

京太郎(動く気力がわかねー)

京太郎(あー、かったるい)

サイダーイキューノムーナサーワーギーカンジテイターイ

京太郎(ん、メールか。誰だろ?)


京太郎「部長からか……」

『たまには、部員全員で御飯でも食べましょう。屋上集合ね!』

京太郎(うーん、どうすっかな……今の状態で会いたくないし)

京太郎(正直断りたいけどなぁ。だからといって、せっかくの誘いを無駄にしたくない)

京太郎(何が正しいんだろう?)



【清澄高校・屋上】

京太郎「失礼しまーす」

久「あら、遅かったわね。待ちくたびれたわよ」

京太郎「すいません、購買でパンを買ってたらこんな時間になってしまいまして」

まこ「ということは元々弁当を持って来なかったのか?」

京太郎「それ以前に、今日は食欲があんまなかったんで机でぐだってました」

京太郎「一応、こういう場なんでパン一つでもかじっておこうかなって」

優希「犬のくせにいい心意気だじぇ!」

京太郎「そりゃどーも」

和「とりあえず、全員揃ったことですしいただきましょう」

咲「そうだね、じゃあいっせいので」

「「「「「「いただきます」」」」」」

京太郎「あ、そう言えば部長」

久「ん、何かしら?」

京太郎「俺、今日は部活出れないんで」

優希「なにいい!そうしたら誰がタコスを買いに行くんだじぇ!」

京太郎「それぐらい自分で買ってこい」

和「そうですか、では今日はひたすらに特訓ですね」

咲「うん。京ちゃん、何の用事なの?」

京太郎「別に、話すほど大したもんじゃねーよ」

咲「むっ。そんな言い方ってないんじゃないかな?」

京太郎「何がだよ。別にいつもべったりって訳じゃねーんだ。ある程度は話したくないことだってあるだろ?」

優希「なんだってー!隠し事だなんてよくないじぇー」」

京太郎「ったく。俺にだってプライベートってもんがあるんだぜ?」

京太郎「悪いけど、いつも雑用やってる程暇じゃないんだよ」ギロッ

咲「…………やっぱり、あの女の子とデートなの?」ボソッ


まこ「はいはい、そこまでじゃ。京太郎にだって色々ある。わしらにつきっきりなんてことは無理じゃ」

まこ「こうして、雑用をやってくれているだけでもありがたいんじゃからな」

京太郎(染谷先輩……)

まこ「だからぶーたれるな。わしらは京太郎に頼りすぎなんじゃから」

和「まあ、確かにそうですね……」

和(やっぱり、デートなのでしょうか……)

咲「うう……」

咲(麻雀よりも、女の子とのデートを取るのかな……)

まこ「京太郎も無理して話さなくてもいい。こっちはこっちで適当にやるからのぅ」ニカッ

京太郎「ありがとうございます、助かります」

久「まあ、一日ぐらいはいいんじゃないかしら?」

京太郎(せっかく染谷先輩が気を使ってくれたんだ。少しでも何かを得ないとな)

【鶴賀学園】


京太郎「さて、着いたぞ」

京太郎(校門前で待っていろと言われたけど……誰もいねーな)

京太郎(まあ、蒲原さんのことだし遅れそうだな。のんびりと待つか)

京太郎(……加治木さんに話を聞くことで少しでも強くなれればいいんだけど)

智美「ワハハ、ごめんなー。授業が長引いてー」

京太郎「あ、蒲原さん」

智美「よう、須賀ちん。こんな遠くまで、わざわざご足労ありがとなー」

京太郎「いえ、頼んだのはこっちの方なので」

智美「謙虚だなー。まあ、挨拶はこれぐらいにして本題に移ろうか」

ゆみ「君が、私に話を聞きたいという少年かい?」

京太郎「はい、清住高校一年の須賀京太郎です。今日はよろしくお願いします」

ゆみ「うむ、では須賀君と呼ばせてもらおう。一応、自己紹介しておくと私が加治木ゆみだ。君の力になれたらいいんだがな」



ゆみ「さて、立ち話もなんだし近くのファストフード店にいる訳だが」

京太郎「ありがとうございます、わざわざ時間を取っていただいて」

智美「ワハハー、須賀ちんは気にしすぎだー。どうせ暇だったしいいんだよー」

ゆみ「私はともかく、お前は勉強をサボりたいだけじゃないか?」

智美「そんなことはないぞー」

京太郎(本当に大丈夫かなあ……)

ゆみ「さてと、質問があるなら聞こう。遠慮無くこい」

京太郎「えっとですね……」


京太郎「加治木さんは普通の人でありながら、どうしてあそこまで強くなれたんですか?」

ゆみ「ふむ、私が強いか……それは買いかぶりが過ぎる。実質、あの決勝戦で私は最下位だった」

ゆみ「風腰の池田が一位を狙っていなければな。私程度の凡人、腐る程いるよ」

京太郎「それでも、俺にとっては十分な強者です」

京太郎「力が欲しいんです、アイツらに届く力が」

京太郎「今のままなら俺は、ずっと勝てない負け犬のままで」

ゆみ「……一応、アドバイスといえるかはわからないが一つ」

ゆみ「考えろ。天江衣、宮永咲のような化物と対峙しても思考を止めるな」

ゆみ「止まったらそこで終わりだ。底なし沼に沈むような感覚と似ている」

京太郎「常に考えろ……ですか」

ゆみ「そうだ、オカルトなんて持っていない私達の武器はそれだ」

ゆみ「相手をよく見て、本質を見抜き撃ちぬく。そうすることで何とかってところだ」

ゆみ「だから、君も考えて彼女達をよく観察してみるといい。そうすれば道は見えるかもしれない」

ゆみ「さてと、他には質問はあるかな?何でもいいぞ」

京太郎「弟子にしてください!あと横にいるすばらなおもちをお持ちの方はどなたでしょうか」

ゆみ「!?」

智美「ワハハー、まさかモモが見える人がいるとはー」

桃子「な、しっかりと気配を消していたのに!貴方、どうして気づいたっすか!」

京太郎「んー、何となくというか……」

ゆみ「何となくでモモを見つけることは出来ないんだがな……」

桃子「そんなことよりも!先輩の弟子は私だけっす!」ムキーッ

京太郎(この人、確か鶴賀学園の消える一年生か。オカルト持ち、あっち側の人間か)

ゆみ「がなるな、モモ。それよりも、私に弟子入りか……正直、もっと適任がいると思うぞ?」

京太郎「そうかもしれません。ですが、咲達には師事できません。アイツらは、オカルトだから」

京太郎「貴方から、教わりたいんです。前へと進む手段を、勝つための方法を」

ゆみ「……ふう。そこまで言われたら断りにくいじゃないか」

桃子「先輩~」

智美「まあまあ。同じ一年生なんだから仲良くしとけって-」

京太郎「俺は別にどっちでも……」

ゆみ「ふむ、弟子について、一つ条件をつけるか。とはいっても、特別に辛いものではない」

京太郎「その条件とは……」

ゆみ「モモと仲良くしてやってくれ」

桃子「えっ」

ゆみ「こいつは今まで私にベッタリだった。だが、私も三年生、卒業が待っている」

ゆみ「我が麻雀部には一年生はモモ一人だ。遅かれ早かれいずれは一人になる」

ゆみ「だから、その時に君が友人として支えてやってはくれないだろうか。頼む」ペコリッ

桃子「私は大丈夫っすよ!一人でもやっていけるっす!」

ゆみ「意地を張るな、須賀君みたいな青年はあまりいないぞ?」

桃子「むー!!!先輩がそこまで言うなら仲良くなることもやぶさかではないっすよ……?」チラッ

京太郎「構わないです。まあ、それなりに仲良くやっていきます」

ゆみ「そうか、助かるよ。弟子については私が教えられることなんてあまりないんだがな……」

智美「とりあえず、鶴賀に来たら歓迎するぞー」

ゆみ「とまあ、こんな風に言っているからな。モモと私のアドレスを渡しておく。常識の範囲内であったらいつでも連絡してくれ」

京太郎「ありがとうございます、今後聞きたいことがあったら連絡しますね」

ゆみ「ああ、大船とは言えないが頼りにしてくれ」



【京太郎の部屋】


京太郎(ふう、今日は鶴賀学園まで出向いたから疲れたな……)

京太郎(疲れたけど、進展はあった。アイツらに届く道の手がかりができた)

京太郎「加治木さんにアドバイスを聞いたし明日の麻雀では上手くできるかな」

京太郎「強く、なるんだ。誰よりも、どんな奴等がいても倒せるくらい」

京太郎「オカルトがあれば、もっと強くなれるけどないものねだりか」

京太郎(それでも、諦めない。思考の停止は負けだ、加治木さんも言っていたじゃないか)

カガヤイテーココイチバーン

京太郎「メールか……うわっ。色々来てる」

京太郎(咲、和、優希、部長、染谷先輩……全員じゃねえか)

京太郎(それと、見慣れないアドレスから一通……悪戯メールか、これ?)

京太郎(どうすっかね、全員に返信なんて面倒だし。それとも、鶴賀の人にメールするかな)

京太郎「とりあえず、咲のメールから見るか……」

『京ちゃん、今日はどこに行ってたの?』

京太郎「……そこまで気になるのかよ。お前にとって大したことじゃねーって」

京太郎(説明するのもめんどくさいしなあ、どう返信しよう)


京太郎(やっぱやめとこう。何でもかんでもアイツに教えるのもどうかと思うし)

京太郎(それに、最近気まずいんだよな……話してても楽しくねーっていうか)

京太郎(どうしたんだろうな、俺……)

京太郎「とりあえず、加治木さんにも頼まれたし東横さんにメールするか」


『はじめまして、東横さん。今大丈夫ですか』

京太郎(初めて送るんだし、こんなのでいいか)

カガヤイテーココイチバーン

京太郎「うわ、返信はやっ!」

『べ、別に待っていた訳じゃないっすからね!こうやって友達とメールしてみたかったなんて思ってないっすから!』

京太郎(……こういうメールをしたかったんだなあ)ホロリ

京太郎(どうすっかな。まだ十二時過ぎてないしメールを続けるか……)

『もしかして、迷惑だった?ならごめん』

カガヤイテーココイチバーン

『そんなこと一言も言ってないっすよ!今は暇だから大丈夫っす、いいから黙ってメールするっすよ!』

カガヤイテーry

『よかった、迷惑だったらいつでも言ってくれればやめるから』

カガry

『とりあえず、今日は寝るまでメールっすよ!まずはっすね、今日起こったことなんすけど』

京太郎(これ、いつまで続くんだろう……?)






一件メールが届いています。




From#########

『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
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死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』



――――死んじゃえばいいのに、須賀京太郎。