【第三章二節消えた、約束Start】

京太郎「うーん……何か忘れているような」

京太郎(表現として言えば、喉に魚の骨が刺さっている感覚だな。もう少しで取れそうなのに取れないっていう)

京太郎(忘れるはずがない大切なことだったはずなんだけどな……)

京太郎(とりあえず、飯でも食べながら考えるか。一日は始まったばかりだし)

京太郎(しかしなぁ……“四人”一緒に食事なんて何処のハーレム生活だよ……)タッタッタッ

京太郎「おっと……あの後ろ姿は」

京太郎「あ、神代さんじゃないか。珍しいな……」

京太郎「どうも、おはようございます」

京太郎「今日もいい天気ですね」

小蒔「…………」

京太郎「神代さん?どこか、身体が悪いんですか?」

小蒔「申し訳ありません……」










小蒔「どなたですか?貴方とは初対面のはずですが……」










京太郎「…………えっ?」

小蒔「すいません、何処かでお会いしたのでしたら、謝ります……」ペコリッ

京太郎「…………どういうことだよ」

小蒔「え、えっと!何か怒らせることをしたのなら謝りますっ」

京太郎「何が起こっているんだ?何で、俺のことを、忘れてるんだ?」

京太郎(俺が寝ている間に、何かが起こった?)

京太郎(訳、わからねえよ……どういうことだよっ!!!!)

小蒔「ど、どうしましょう……」

京太郎(ドッキリにしては冗談が悪すぎるぞ……!)

京太郎(しかも、俺のことを本当に忘れている……?う、嘘だろっ!)フラッ

京太郎「あ、あ……ああっ!」ダッ

小蒔「ちょ、ちょっと待って下さいーー!!!」

京太郎「はぁ……はぁ……」

京太郎「うっ、がっ……おぇぇ……」オロロロロロロ

京太郎(畜生……畜生!!!!どうして、こんなことになってるんだよ!?)

京太郎(俺が世界から取り残されたみたいで……怖い)

京太郎(ということは……他の人も俺のことを忘れている?)

京太郎(霞さんも、薄墨さんも、巴さんも、小蒔父さんも?)



――――■■■。



京太郎(ぐっ……違う。もう一人。もう一人いたはずだ)

京太郎(名前は覚えていないけど、いたはずなんだ)

京太郎(大切な、友達がいたんだ!!!!)

京太郎(……このまま、何もしないって訳にはいかない)

京太郎(そこにいるはずだった友達。俺のことを忘れてしまった神代さん)

京太郎(何かがつながっているはずなんだ)

京太郎(昨日の夜、何が起こったか調べないといけないな)

京太郎(それに……自分の身も注意しておかないと。もしかすると、俺を陥れる為の罠かもしれないし)

京太郎(とりあえず、落ち着いて思考をまとめよう)

京太郎(昨日まではいつも通りだったはずだ)

京太郎(俺の頭の中には神代さんと一緒に喋った記憶が残っている)

京太郎(だけど、それだけだ。それ以外は何も覚えていない)

京太郎(何でか知らないけど、昼食を食べた後眠くなって寝たんだよな)

京太郎(その後、起きて……もう夜だったからいっそのことずっと寝てしまおうって)

京太郎(やっぱり、記憶に空白が多い。その空白の中にきっと大事なことが隠されているんだ)

京太郎(……おい、待てよ?)

京太郎(そういえば、いつも纏わりついている悪霊の気配がない)

京太郎(まさか……アイツが仕組んだことなのか、これは?)

京太郎(だとしたら、俺や神代さん達に記憶が無いのは納得できる)

京太郎(……俺が寝た後、アイツはこっそりと行動したのか?)

京太郎(それなら、辻褄があう。チッ、全部自分で撒いた種じゃねえかよ!)

京太郎(なら、俺がケリをつけるのが道理ってことか。やってやろうじゃねぇか!)

京太郎(考えはまとまった。まずやるべきことはアイツの居場所を突き止めて、ぶっ飛ばす。
その為に必要なのは武器か……)

京太郎(確か、倉庫にはこの前見つけたものがあったはず。槍は持ち運びに不便だから剣の方にすべきかな)

京太郎(それと、忘れてしまった人達に聴きこみをするのも悪くはない)

京太郎(何か情報が得れるかもしれないし、もしかするとアイツから逃れて記憶を保っている人がいるかもしれない)

京太郎(後は、行動あるのみだな)


京太郎(一応、情報収集してみるか……)

京太郎(誰に聞くべきか。うーん)

京太郎(神代さんの記憶が無いってことは他の三人も奪われているって仮定した方がいいかな)

京太郎(その理論だと小蒔父さんはシロの可能性は霞さん達と比べると高い)

京太郎(っと。そういえば、ここの部屋って巴さんのだったっけ)

京太郎(通りがかりだし、ついでに聞くのも悪くないかな)

【巴の部屋】

コンコン

巴「どうぞー」

京太郎「し、失礼します」

京太郎「俺、須賀京太郎ですっ!俺のこと、覚えていますか?」

巴「え、ええっと誰でしたっけ?」

巴「さすがに知らない人を知ってるって言えないかな?」

京太郎「……そうですか」

京太郎(やっぱり、駄目だったか)

京太郎「すいません、変なことを聞いて。失礼しま」





巴「――――なんてね。冗談は、ここまでにして。君のことは覚えているよ、きょーちん。そして、はるるのこともね」



巴「まず、きょーちんが喪った記憶は一つ。はるる――滝見春についてだね」

京太郎「滝見春……その子が俺が忘れてしまった友達ですね」

巴「そう。そして、今は行方不明になっている子」

京太郎「えっ?」

巴「朝からいなくなっているんだよ。この屋敷の人達全員に婢妖って妖怪を取り付けて」

巴「つまり、言うとね。この騒動の犯人は滝見春。これはほぼ間違いない事実だよ」

京太郎「滝見さんが……犯人?」

巴「あー、そういえばきょーちんもやられていたんだっけ。きょーちんの部屋にも結界を張っておくべきだったなぁ」

巴「まっ、いいか。どうせ、今殺しちゃうんだし。ていっ」ペタン

京太郎「うおっ!」

婢妖「ゲギャー」

巴「出てきたね。さてと始末始末っと」

巴「滅せよ――禁」

京太郎「……あ」

巴「これで、きょーちんの記憶は戻ったはずだよ。どうかな?」

京太郎「……はい。全部、思い出しました」

京太郎「はるるのことも、約束も」

京太郎「取り戻しました」

巴「よし、これできょーちんは万全だね」

京太郎「でも、なんで巴さんだけが無事なんですか」

巴「んー?それは私だけが皆と違うからだよ」

巴「他の人達はこの屋敷は強い結界を張っているから安心だーって言ってるけど」

巴「そんなの信用出来ないんだよ。自分の身は自分で守らなくちゃ」

巴「婢妖が活動しているのは夜でよかったよ。この部屋の外にいたら私もやられていたと思うし」

京太郎「そうなんですか?」

巴「うん。私も万能じゃないからね、最初の一撃でやられちゃったらお終いだよ」

巴「部屋にいたおかげで、結界に弾かれて婢妖は入れない。後は簡単、殺して終了ってこと」


巴「とまあ、私の話はともかく。今の目的は違うでしょ?」

京太郎「はい、はるるに会いに行きます。元はといえば、俺が原因なんで」カクカクジカジカ

巴「へぇ……そういうことがあった訳か。それではるるに悪霊が取り憑いたってことね」

京太郎「自分のミスは自分で取り返します。必ず、はるるを助けに行きます」

巴「その意気だよ。でも、丸腰じゃあ危ないよね?」

京太郎「それについては倉庫に槍や剣があったんで持って行こうかと」

巴「でも、それを使ったら代償を祓うかもしれないよ?」

京太郎「覚悟の上です」

巴「……仕方ないね。なら、私は止めない。だけど、これを持って行きなさい」

京太郎「この、六角形の金属は……?」

巴「ああ、核鉄って言うんだ。これは不思議な金属でね、身体に当てると傷が少しはよくなるんだよ」

京太郎「そんな重要なものをどうして、俺に?」

巴「だって、戦うんでしょ?悪霊と。なら、命があるとは思えないから持っときなさい」

巴「死んだら何も出来ないんだからね……」

京太郎「わかりました。わざわざありがとうございます」

京太郎(さてと、これからどうしよう?一人で行く覚悟はあったけど巴さんにも来てもらおうかな?
この際、恥だの言ってられないし)


京太郎「巴さん、恥を承知でお願いがあります」

巴「ああ、言いたいことはわかるよ。付いてきて欲しいってことでしょう?」

京太郎「……すいません。自分一人でかたをつけるって言ったのに」

巴「無理もないよ。こんな経験は普通はありえないし」

巴「いいよ。私も手伝う。きょーちんに死なれたら気分悪いし」

京太郎「ありがとうございますっ」

巴「その代わりと言ってはなんだけどさ。
もし、はるるも含めて……三人揃って無事に生きて帰ることができたら街に付き合ってくれない?」

京太郎「それぐらいならお安いご用ですよ」

巴「やったっ。お姉さんが奢っちゃうよ?サーロインステーキにパインサラダってのはどうかな?」

京太郎「それは楽しみですね!意地でも生き残らないと」

巴「そうそう。私も、きょーちんも、はるるも。まだ死ねないよ」

京太郎「約束ですよ。約束」ユービキリゲンマン

巴「うん、約束」ユービキッタ



京太郎(さてと、部屋に戻ってきた訳だが)

京太郎(明日の夜に高台まで。一応メモを書いてたんだな、俺。
これなら巴さんに助けてもらわなくても何とかなったかもしれない)

京太郎(さてと、これから闘いに行くんだ。万が一のことがある。だから……遺書でも買いておこう)カキカキ

京太郎(俺が死んでも混乱しないように。きちんと書かないとな)

京太郎(生きて帰れたら必要がないんだけどな。念の為だ)

京太郎(さてと、書き終わった……って電話か。知らない番号だけど、一応出とくか)

京太郎「はい、もしもし」

?「……」

京太郎「えっと、どちら様でしょうか?」

?「……記憶は戻った?」

京太郎「ああ。思い出したぜ、全部な」

?「それは、よかった」

京太郎「お前の方こそ、今どこにいるんだよ?」

?「教えない。教えたらすぐにでも来るでしょう?」

京太郎「当たり前だろ」

?「全く、京は相変わらずの甘やかしーだね」

京太郎「これは甘やかしでもないだろ。ダチが心配で何が悪い」

京太郎「いいか、これだけは言っておくからな」

京太郎「必ず、迎えに行く。手を引っ張ってでもこっちに連れてくるから覚悟しとけ」

?「じゃあ、私からも一言」



?「ジャアネ」

?「もう、終わりにするから。何もかも」

?「だから、必ず来て……”ワタシ”は待っているからね」ブツン

京太郎「……終わりになんてさせはしないさ。絶対に」

京太郎「始まりなんだ、これからが俺達にはあるんだ」

京太郎「そうだろ、はるる……」

京太郎(例え、お前が終わりにしようとも。俺は、終わらせない)

京太郎(この出会いを終わらせない、それが、今の俺の意志だ)


京太郎「そうだ、この際倉庫に行って何か取ってこよう」

京太郎「もしかすると、新しい武器が手に入るかもしれないし」ガラッ

京太郎(あの槍と剣のある場所はわかるけど……どうしよう?)

京太郎(ん?何かこの短剣から不思議な力を感じる……)

京太郎(とりあえず、持っていくか。後で、巴さんに聞いておけば解決するだろうし)

京太郎(それにしても、最近は力が欲しいかって声も聞こえなくなったなあ)

京太郎(俺も、甘くなったのかもな……)シミジミ



京太郎「さてと、行きましょうか」

巴「そうだね……二人だけの出陣ってやつかな」

京太郎「寂しいことに。けれど、これ以上は巻き込めませんよ……皆記憶がなくなっていますし」

巴「全く……修行が足りないよ。こういう時に私達は動くべきなのに」

京太郎「ははは……ともかくです。三人無事に生きて帰りましょう。死んだら洒落になりません」

巴「きょーちんはどうして雰囲気を悪くするかなぁ……そういうことを言うものじゃないよ」

京太郎「巴さんだからこそこういうことが言えるんですよ」

巴「それって、もし女の子の中で付き合うなら私ってこと?」

京太郎「どうしてそうなるんですか……」

巴「女の子はこういう話が好きなの。私もそれに違わず。で、どうかな?優良物件だよ~私」

京太郎「巴さんに言うのは初めてだったか?俺は衣と添い遂げる!」

巴「うわぁ……ロリコンだったか、きょーちん」

京太郎「ロリコンじゃありません」キリッ

京太郎「ただ、できる限りずっといるとは約束したので」

京太郎「俺の方が世話になりっぱなしで恥ずかしいんですけどね。本当は逆なはずなのに」

京太郎「だから、その分を返す為にも一緒にいようかなって。苦しい時に傍にいてくれたあの子の友達として」

巴「ほうほう……何やらただならぬ事情ってやつがあるのかな?」

京太郎「今は言う勇気がありませんけど……いつか、話します」

巴「うん。待ってるよ」

京太郎「さてと、高台がある公園に辿り着いたわけですが」

巴「いるね……それも、たくさん」

京太郎「正面場ってやつですか、これ」

巴「何言ってるのさ。まだまだ道程は長いよ」

巴「最初に通り過ぎる並木通りは雑魚の溜まり場。正直言ってノーダメで切り抜けたいくらい」

京太郎「できるんですか?」

巴「私一人だったら可能だね。きょーちんを護りながらだったら無理」

京太郎「……すいません、足手まといで」

巴「気にしないでよ。ともかく、いくつかプランを考えたからその中から選んでちょーだい」

巴「何か新しい案があるなら聞いてもいいけどね」

巴「まずはプラン烈火。簡単に言うと、二人で正面突破。策っていうレベルじゃないね」

巴「正直、これはおすすめしない。どっちも傷ついて後々に響くと思うし」

巴「それでも、二人が離れないって点ではいいのかもしれないね」

巴「次にプラン水鏡。私が囮になって雑魚を惹きつける。きょーちんは一人その先に進むって訳」

巴「うーん……これがいいのかなぁ。一応、きょーちんを無傷で悪霊のとこまでは送り出せるし」

巴「一応、閻水と核鉄の使い方を教えたから簡単には死なないと思うけど」

巴「雑魚敵の相手をしないってことは魅力的なのかもしれないね」

巴「プラン土門はその……私が作る認識阻害結界を利用してこっそりと抜けること」

巴「ただこれは、止めておいた方がいいかもしれないね」

巴「……ずっと手をつながないといけないって恥ずかしいよ」ボソッ

京太郎「巴さん?」

巴「ともかく!これは提案しておいてなんだけどやめるべき」

巴「見つかったらフルボッコで死んじゃう可能性高いし」

京太郎(巴さんと手をつなぐことはすごく嬉しいことだけど命には替えられないなぁ……)

京太郎(でも一時の衝動に任せるのもありかもしれないし)

巴「次行くよー、次。プラン風子。これは至って簡単。助っ人呼びます」

京太郎「えっ!」

巴「確か、ハギヨシさんって方が妖魔の討滅の経験があるらしくて」

京太郎(あの人は一体何をやっているんだ?)

巴「ただこのプランはねぇ……関係もないハギヨシさんを巻き込むから良心がすごく痛むね」

京太郎(確かに。それを言ったら巴さんもだけど。何か、狂気度が上がるとかいうアナウンスが聞こえたし)

巴「ハギヨシさんが加わったら悪霊や雑魚敵との闘いも楽になりそうだけど」

巴「最後にプラン小金井。これは二人でのんびり雑魚敵ぶち殺し。その後に悪霊との対決ってことよ」

京太郎「それが一番いいんじゃないんですか?」

巴「初めはそう思うだろうけど。この闘いってタイムリミットがあるのよ」

京太郎「そんな事聞いてないですよ!」

巴「だって、今気づいたからね。ともかく、このプランを選ぶとかなりキツキツで余裕が無い」

巴「だから、ミスは許される空気ではなくなるね」

巴「まあ、ちょっとのミスは許されるけど」

京太郎「じゃあ、俺みたいな素人だと……」

巴「失敗する確率も増えるし、ヤバいかも」

巴「ともかく、この5つのプランの中から決めるべきかな」

巴「きょーちんは何かプランがある?」

京太郎「俺は……」

京太郎「とりあえず、プラン水鏡と風子にしぼりました」

巴「ほうほう。それで?」

京太郎「後、俺から一つ。水鏡と風子を加えたプランなんてどうでしょうか?」

京太郎「ハギヨシさんを呼んで、巴さんとハギヨシさんで囮になるか。それとも、俺に誰かつくか」

巴「確かに、それもアリっちゃアリだと思う。だけど……」

京太郎「そうですね……良心の呵責があります」



京太郎「プラン風子でいきましょう……やっぱり、二人では危険です」

巴「確かにね……でも、これで生きて帰らなくちゃいけない人が四人に増えちゃったね」

京太郎「大丈夫です、矢面には俺が立ちます」

京太郎「はるるを助けるのは俺です。それだけは譲れません」ピポパ

プルルルルル

ハギヨシ「はい、もしもし」

京太郎「あ、ハギヨシさんですか。俺です、須賀京太郎です」

ハギヨシ「ははは、電話番号を登録しているのですからわかりますよ。それで、こんな夜にどうしたのですか?」

京太郎「すいません、助けて下さいっ……!」

ハギヨシ「何やら、ただごとではないようですね……」

カクカクジカジカ

ハギヨシ「なるほど、悪霊が滝見様を連れ去ったと」

京太郎「はい、それで俺と巴さんで奪回に来ているんですけど。とてもじゃ、戦力が足りないんです」

京太郎「こんなことを頼むのは間違っているってことは承知です。だけど、今のままじゃ俺達は突破できそうにない!」

京太郎「お願いします!助けてくださいっ!」

ハギヨシ「……須賀君」

京太郎「ハギヨシさん」

ハギヨシ「私は言ったはずです。友の助けならば、すぐにでも駆けつけると」

ハギヨシ「すぐに向かいます。それまでに作戦の概要を決めていて下さい」

京太郎「ありがとうございますっ!」

ハギヨシ「礼なら今度龍門渕の別荘に来て、衣様達の料理の手伝いをしてくれればチャラです」

ハギヨシ「友達の力になるのに何の迷いがありましょうか。では、また後に」

京太郎「ふゥ……」

巴「来てくれるんだね?」

京太郎「はい……」

巴「きょーちん、あまり自分を責めないの。背負い過ぎると、潰れるよ?」

巴「だから……私も一緒に背負うから」

巴「それで重さは半分こ。動きも軽くなる」

京太郎「すいません……」

巴「違うよ。こういう時は、ありがとう。それでいいの」

京太郎「はい、ありがとうございます」

巴「よろしい。じゃあ、作戦を練ろうか」

巴「作戦って言ってもどう人数を分けるかってだけなんだよね」

1囮組(巴、ハギヨシ)突入組(京太郎)
2囮組(巴)突入組(京太郎、ハギヨシ)
3囮組(ハギヨシ)突入組(京太郎、巴)

巴「大きく分けて3つね」

京太郎「俺は囮組に入れないんですか?」

巴「そんな余裕はないと思う。タイムリミットがあるから」

巴「夜が深まると、悪霊の力も高まる。そうなったら手が付けられなくなる」

巴「だから、早めに決着を付けないといけないのよ」



巴「ということで、決めちゃおうか」


巴「じゃあ、私とハギヨシさんでできるだけ雑魚敵は食い止めるから」

京太郎「その間に俺ははるるを助ける」

巴「そういうこと。頼むよ、きょーちん」

ハギヨシ「囮の件、理解しました」シュタッ

京太郎「うわあっ!ハギヨシさん!」

ハギヨシ「こんばんは、須賀君。助けに来ましたよ」

京太郎「ありがとうございます……わざわざ来てくださって」

ハギヨシ「今はそのようなお礼を言う場面ではありません。その言葉は、滝見様を助け出してから受け取りますよ」

京太郎「はい……今は前を見ます」

ハギヨシ「その意気ですよ」

巴「あー。ハギヨシさん、私と一緒に囮ってことで大丈夫ですか?雑魚敵はわんさかだからたぶん討滅しきれないと思います。
ですから、きょーちんがはるるを助けるまでは闘いっぱなしになることは確定なんですけど」

ハギヨシ「終わりのない闘い、ですか。こういう役割は慣れているので」

巴「……わかりました。頼りにしてますよ?」

ハギヨシ「それはこちらの台詞です。こうして言葉をかわす時間も惜しいのです。行きましょう」

京太郎「了解です」

巴「生きて、帰るよ。絶対に」




――――戦闘開始!


巴「それじゃあ、散ッ!」

ハギヨシ「ふむ……数だけは多いですね」

京太郎「よし、巴さん達が囮になっている間に突っ切るぞ!」


京太郎「うっし!今のうちに!」ダッダッダッ

京太郎「巴さん、ハギヨシさん。頼みます、俺が帰ってくるまで無事で!」

巴「さてと、きょーちんが行ったから私達も遠慮せずに戦えますね」

ハギヨシ「ええ。彼には敵の手が届かないようにしないと」

巴「言いますね。まあ、後輩の道を切り開くのも先輩の役目でしょう」

ハギヨシ「それじゃあ、やりましょうか。果たして、生きて帰れるのでしょうか。
プロフェッショナルの狩宿様とは違って……私はあくまで、執事ですから」

巴「そんな無駄口を叩ける余裕があるなら大丈夫です。できるだけ、足止めしますよっ!」

京太郎(はるる……)

京太郎(俺は、甘いのかもしれない)

京太郎(はるるを見捨てていたら、こんな目に合わなかった)

京太郎(真実に気づかなければ……普通は経験しないだろうことに巻き込まれなかった)

京太郎(はるると仲良くしなければ……命は助かっただろうな)

京太郎(だけど、俺は!)

京太郎(はるると仲良くなったことを後悔していない!)

京太郎(約束したんだ、互いに助け合うって。約束は、守るさ)

京太郎(それに、これは……俺の不始末だ。俺がやるべきことだ)

京太郎(だから――)

京太郎「そこをどけよ、悪霊」

悪霊「テメエ一人か。舐められたもんだ」

京太郎「まあ、お前ははるるに取り憑いてるんだ、当然、立ち塞がる訳だよな」

悪霊「そりゃあな。諦めろよ、テメエはここで終わりだ。俺が喰って成り代わる」

京太郎「御託はいい。俺が言いたい、やりたいのは唯一つだ」

京太郎「押し通らせてもらう。約束を果たす為に」

悪霊「ハッ。こうなったら、戦うしかねぇよなぁ。人間ってやつはそういうもんだろ?」

京太郎「御託はいいって言ったぜ、俺は!」



一ターン目終了。

ダメージ換算。
69+3+2=74
1500-74=1426

京太郎……1430
悪霊……1426



悪霊「ほう、少しはやるじゃねぇか」

京太郎「ぬかせ。こちとら必死なんだよ。こんな所で躓いてられるか」

京太郎「こうしている間にはるるに危険が及ばないとは限らねえ」

京太郎「なら、早く倒さないと」

悪霊「ほう……だが、いいのか。俺を倒すと才能を得る手がかりがなくなるぜ?」

京太郎「それは……」

悪霊「なら、あの女を見捨てて俺と手を組んだ方がいいんじゃねぇのか?」

京太郎「本当に才能を得られるんだな」

悪霊「ああ」

京太郎「もう誰にも見下されなくなるんだな」

悪霊「当然だ、テメエを馬鹿にする奴等を全員跪かせることができるぜ?」

京太郎「だが断る」

京太郎「一度騙しておいて信用できる訳ねーだろうが」

悪霊「だけど、あの才能をかざして我が物顔なあの巫女共よりはいいだろ?
あの黒糖巫女だってそうじゃねぇのか?」

京太郎「……それでも、俺に言ってくれたんだ」

京太郎「過去は変えられないけど未来は変えられるって!」

京太郎「俺の価値は小さくないって!!」

京太郎「だから……俺は、信じることに決めた」

京太郎「お前の言う通り。あの人達が俺を騙していたとしたら……俺が間違っていたってことだ」


二ターン目終了。

ダメージ換算。
34+76+539+24=673
1426-673=753

京太郎……1364
悪霊……753

悪霊「……っ」

京太郎「最初の威勢はどうしたよ、これだと、安心して勝てるぜ?」

悪霊「ざけんな。まだまだこれからだっ」

京太郎(でも、早く突破しないとジリ貧だな……今は勢いがあるけど今後はわからねえし)

悪霊「チッ。つーか、そんなになってまであの女を助けたい理由は何だ?」

悪霊「抱きてえからか?それとも、恩を売りたいからか?」

京太郎「……」

悪霊「答えろよ、なぁおい!」


京太郎「……約束を果たす為だ」

悪霊「その約束は命を賭ける程に大事か?」

京太郎「ああ。というか、この騒動は俺が原因だ」

京太郎「ならさ。俺が解決に向けて前に立つのが筋だろう?」

京太郎「だから、戦うんだ!」


ダメージ換算。
59+74+73+64÷2=135
753-135=618

京太郎……1119
悪霊……618



京太郎(よし、このまま押し切ればいける)

悪霊「おい、余裕ぶっこいてるのはいいんだけどよ……」

悪霊「囮になっている奴等のことはいいのか?」

京太郎「……俺は信じてるから」

京太郎「巴さん達はきっと無事だ」



巴「割と余裕ですね」ドシュッ

ハギヨシ「ええ。これならば、前に経験した戦いの方がよっぽどでした」ザシュッ

巴「ハギヨシさんってやっぱり同職だったんですね」

ハギヨシ「とは言っても、今は引退した身です。現役の方には敵いませんよ」

巴「謙遜しすぎですよ。今も現役って言っても通じますって」

ハギヨシ「そう言ってもらえると光栄です。狩宿様の年の頃の私はそれはもう……」

巴「不思議を探す女の子の下でいたりとか?」

ハギヨシ「はっはっは、それ以上はいけませんよ。過去の詮索は出来れば止めて欲しいです」

巴「ああ、ごめんなさい。今は、こんな話をしている場合じゃないですよね」

ハギヨシ「ええ。さてと、もうひと踏ん張りと行きましょうか」


悪霊(……このままだと負けるな)

悪霊(仕方ない、こうなったら一か八かの賭けに出るしかねえ)

悪霊(体力の消耗が激しいけど……)

悪霊(やるしかねえんだ!)


ダメージ換算。
22×2×7=308
1119-308=811

京太郎……811
悪霊……418


悪霊「これで、少しは近づいたぜ」

京太郎「……がっ。ゴホッゴホッ」

京太郎(くそっ。いい一撃、もらっちまったなぁ……)

京太郎(傷口には核鉄当ててるから致命傷にはならないけど)

京太郎(今の一撃で流れが向こうに行ってるな)

京太郎(どうする?ここで大技を決めるか?それとも、このままで行くか?)

京太郎(まだ、アイツは何かを隠していそうだし早めに決めたいけど、もし大技を失敗したら……)

京太郎(いや、このままでいこう)

京太郎(まだ、俺が優勢なんだ……この先何か起こらない限りはこの体制を崩さない)

四ターン目

62+58+34+35÷2=95(切り上げでry)
811-95=716

京太郎……716
悪霊……418

京太郎「うおおおおおおおおおおおおっ!」

悪霊「ゲハッ……ちく、しょう。負け、か」

京太郎「ああ。そして、俺の勝ちだ」

悪霊「……あー」

京太郎「別に許しは請わないぞ。これが結果なんだから」

悪霊「たりめぇだ。互いの意志がかち合えばこうするしかねえ。負けた奴が勝った奴に従うのは当然だ」

京太郎「潔いな……お前」

悪霊「どうせ、もう消える身だ。潔くもなるさ」

京太郎「ふーん……。じゃあ、俺は行かせてもらう。はるるを助けに」

悪霊「ああ、行けよ……ヒーロー。だが、その前に……」

悪霊「この世界のことについてだ」

悪霊「テメエは世界がおかしいと思わねえのか?」

京太郎「おかしいってオカルトの麻雀打ちがいっぱいいることか?」

悪霊「まあ、それも当たっているが。もっと大きなことがあるだろ」

京太郎「大きなことって言ってもなぁ。思い浮かばねえよ」

京太郎「俺が才能を憎んでることか?それとも、こんな訳わかんねー闘いをやってることか?」

悪霊「それもそうだけど……ああっ、じれったい。もうハッキリ言ってやるよ」






悪霊「麻雀が一般の大衆にメジャーな競技として受け入れられていることが……テメエはおかしいって思わねえのか」




悪霊「本来ならおかしいことだぜ?高校生の若い奴等の間で麻雀が流行ってて。更には、全国的なインターハイが開催されるって」

京太郎「…………あっ」

――――ザザッ。

京太郎(麻雀が……普及しているこの世界が、おかしい?)

――――パチン。

何かが、弾けた。

京太郎「あ、あ……何で、こんな“当たり前”のことに気づかなかったんだ……?」

京太郎「よく考えてみると、おかしいじゃねぇか!!」

京太郎「全国的に有名で。誰もが麻雀というものを表でおおっぴらにやるものだって思っているなんて!!」

京太郎「何だよ、これは……!」

悪霊「俺みたいな霊魂だけの奴にはそういう“認識”の阻害はないらしい。
だから、俺はおかしいと感じることができたのかもしれないな」

京太郎「でも、俺は……気づいたぞ?」

悪霊「そりゃあ、俺が今真実を伝えたからな。最も、すぐ改変されるかもしれないが。
ご都合主義ってやつがあるだろ。それが作用してテメエはさっきまでのテメエに戻る可能性は大いにある」

京太郎「この世界に……いったい何があったんだよ?」

悪霊「知らねぇよ。ただよ、麻雀をやることで真実は見えてくるかもしれないなぁ」

悪霊「そうして勝ち続けた果てに答えがあるかもしれないぜ?その過程でオカルトが大きな壁としてあるがな」

京太郎「じゃあよ。麻雀のオカルトやこの水をかけたら伸びる剣、お前みたいな奴がいることもその世界がおかしいっていう理由に……」

悪霊「もしかすると、含まれているかもしれないな。いや、それ以前に……」

悪霊「俺がこうして話していることも既知感……どうにもデジャブってるんだよ」

京太郎「デジャブってるって?俺がお前と会話しているのも、既知の範囲内ってことか?」

悪霊「これについては気のせいかもしれないな。俺は嫌がらせ半分で言ったようなもんだ」

京太郎「……この野郎」

悪霊「それよりも、さっさと行かなくていいのか?お姫様は待ちくたびれてるぜ?」

京太郎「チッ……わかったよ。じゃあ、遠慮なく死んでいけ」

悪霊「ああ。それと一つ」

悪霊「誰も、信じるな。また、裏切られるぜ?」

京太郎「そればっかりは聞けねえよ。つうかさ、その言葉を適用するとお前の言葉も信用できなくなるぞ」

悪霊「うまいこと言うねぇ……まっ、頑張れや」

京太郎「ああ……じゃあな。俺は、進むよ。今まで止まっていた分を取り戻す為にも」

京太郎(誰も信じるなって言われた時、思い浮かんだ顔があったんだ……」


【高台】


京太郎「よお、待たせたな」

春「……別に気にしてない。必ず来るって思ってたから」ポリポリ

京太郎「全く、大変な目にあったよ。ここに来るまで死にかけたんだぜ?」

春「でも、京は乗り越えてきた」

京太郎「そりゃあな。約束だっただろ、高台に来いって」

春「うん。思い出すことができたんだ」

京太郎「ちょっとした手助けもあったしな。それに、もう一つ約束しただろ」

春「……」

京太郎「迎えに来た。後は、お前が俺の手を取るだけだ」

京太郎「皆の記憶を奪うなんてことをしなくても、俺はお前を見捨てないし嫌うことだってしない」

京太郎「なあ、はるる。こっちに来いよ、そこは不安定過ぎて危ないぜ?」

春「……それでも、私は不安だから。京の手を取れないよ」

京太郎「例え、不安でも……俺以外を巻き込んでいい理由にはならないだろうが!」

春「……っ!」ガリッ

京太郎「俺はいい。だけど、神代さん達は!」

春「やっぱり、私より皆を優先するの?」

京太郎「何、言ってるんだよ。そんな訳」

春「そう言ってるよ!私と他の人を天秤にかけてるよ!」

春「それで京は皆を選んだ!」

京太郎「違う!」

春「違わない!」

京太郎「お前のことも大切だって、俺は思ってる!」

京太郎(誰も信じるな?悪いが却下だ。俺ははるるを助けたいと思う俺自身を信じる)

京太郎(何度でも伸ばしてやるさ。俺に伸ばしてくれたみたいに)

京太郎(身体はボロボロだけど……まだ、立っていられる)

京太郎「落ち着けよ。仮に天秤にかけたとしてもだ。はるるを見捨てるなんてありえねーよ」

京太郎「決めたんだ、俺は心の底からお前を助けたいと思う俺を信じる」

京太郎「偽りなんかあるもんか。誰にも嘘だって言わせねえ」

春「こんなことをした私でも?」

春「もう、取り返しの付かないことをした私でも?」

春「前みたいに、笑えるの?」

京太郎「先のことなんてわからねぇけど、いくらでも変えられるんだ」

春「変えられる?過去がどんなにひどくても?」

京太郎「そうだ。俺にもあるさ、取り返しの付かない過去が」

京太郎「過去は消せないけど。これからはきっと」

春「そうだね……京の言う通り」

京太郎「じゃあ!」

春「でも、無理だよ。私は、笑えないよ」

京太郎「どうしてだよ。過去に縛られて生きるのは辛すぎるぜ」

京太郎(そうだよ、辛いんだ。死にたいくらいに)

春「京の言う通り、辛いね。過去は私をいつまでも縛る」

春「……言ってなかったけど。私、捨て子なんだ」

春「生まれた瞬間からいらない子扱いされたんだよ。私、ゴミ捨て場に投げ捨てられてたって」

春「笑っちゃうよね、勝手に生んどいてゴミ扱いだなんて」

春「つまり、私は誰からも生まれることを望まれなかったってこと?ゴミと同じ価値だっていうの?」

春「ふざけないでっ!そんな、そんなことってないよ!」

春「……幸い、通りがかった人が通報してくれたおかげで死なずにすんだから、まだ運がいい方なのかもしれないけど」

京太郎「…………その話は、誰から?」

春「通報の後に入れられた施設の人から無理矢理聞き出した。どうしても知りたかったから」

春「嫌だって思っていたから。私の本当の親は実はいい人で、成長したら迎えに来るって信じたかったから」

京太郎「それって……今の親は」

春「その話はまだ後。ともかく、最初の親は私のことをゴミだって思っていた。これは覆りのようがないことだった」

春「その後、私は施設に入れられてから、養子の話が来たの」

京太郎「それで……今の親に?」

春「そう。今のお父さんと、お母さんに養子として引き取られた」

春「その人達は私を捨てた親と違って優しかった」

春「私のことを必要としてくれて、愛情も注いでくれた」

京太郎「……それじゃあ、今は幸せなのか?」

春「幸せなはず、だった」

春「……幸せなんて、長く続かなかった」

春「私、あまり感情を顔に出せないでしょう?他の女の子と比べても無愛想で、笑わないし」

春「それが原因で、色々と虐待されたんだよ。笑わないから気持ち悪いって」

京太郎「……!」

春「驚いた?そうだよね、今の私からは想像できないと思うから」

春「虐待されている間は、私が悪いと思っていた」

春「仕方ないよね。満足に笑えなかった私が悪いんだから」

春「だから、私は笑った。笑って笑って笑って笑って」

春「笑ったのに……虐待は、続いたよ。笑顔が汚いって」

京太郎「なんだよ、それ……そんなのおかしいじゃねぇか!」

春「そうだよね、おかしいんだよ。笑えって要求したくせに、いい子になれって要求したくせに」

春「全部、私は言う通りにしたのに……どうして?」

春「どうして、愛してくれなかったの?どうして、優しくしてくれなかったの?」

京太郎「運が、悪かったんだよ……」

春「それだけ?」

春「私の過去は運一つで駄目だったの?」

京太郎「…………」

春「答えてよ……京」

春「やっぱり、京も私のことを理解してくれないんだね」

春「続きを話すよ。私は、親が嫌いだったから――私は空に祈った。全部、壊れてしまえばいいって」

春「やっぱり、神様っているんだね。私の祈りが届いたのか、ちゃんと叶えてくれたよ?」

春「私を置いて外出している時に交通事故。二人共即死でばっちり」

京太郎「……はるる」

春「お母さんも、お父さんも。私が……願ったから、死んだんだよ」

京太郎「そんなの偶然でしかないだろう!」

春「……こうして、神代家の分家である滝見家は私、一人。従姉妹に良子さんがいるけど滝見の姓は私だけ」

春「子供が出来なかったから。じゃあ、養子を取ろう」

春「しっかりとした跡取りが欲しいから。厳しく躾けよう」

春「お父さんもお母さんもそればっかりだった」

春「結局、家の体裁が大事だったんだよ。分家としての誇りしかない」

春「そして、京も私のことを理解してくれない」ゴッ

京太郎「はるる……」

春「あの悪霊が私に言ったの。誰もお前のことなんて愛してないって。皆、壊しちゃえって」

春「その結果がアレだよ。妖怪に簡単に取り憑かれる。私のことなんて忘れてしまう」

京太郎「巴さんは、忘れなかった!はるると一緒に帰るんだって言っていた!」

春「そう……巴は忘れなかったんだ」

京太郎「今もはるるを取り戻す為に戦ってる。だから!」

春「それでも、私に取り憑いてる妖怪は言うんだ。愛するものも壊してしまえって」

京太郎「はるるっ!」

春「京、私ね……京のこと、好きだったよ」

春「一人の男の人として、愛してた」

春「私の笑顔を可愛いって言ってくれたのは男の人では京だけだったから」

春「うん、好きだからこそ。愛してるからこそ」



「私は、京のことを壊すね?」


五ターン目


ダメージ換算。
30+10=40
716-40=676

京太郎……676
春……3000

六ターン目


ダメージ換算。
64+87=151
3000-151=2849

京太郎……676
春……2849

六ターン目


ダメージ換算。
20+11=31
676-31=645

京太郎……645
春……2849

七ターン目


ダメージ換算。
52+92=144
2849-144=2705

京太郎……676
春……2705

七ターン目


ダメージ換算。
21+10=31
676-31=645

京太郎……645
春……2705

春「まどろっこしい。一気に決める」

八ターン目


ダメージ換算。
15+12÷2=14(切り上げry)
2705-14=2691

京太郎……645
春……2691

京太郎「……俺は、こんな所で!」

八ターン目


ダメージ換算。
58+38+3+72÷2=86(切り上げry)
645-86=559

京太郎……559
春……2691

八ターン目終了。


ダメージ換算。
99+19+539+30=687
2691-687=2004

京太郎……559
春……2004


京太郎「あああああああああああっっ!」ゴボゴボッ

春「ぐっ……!どうしてそんなにボロボロになってまで立ち向かうの!」

京太郎「友達、助けるのに理由なんているかよ!」

京太郎「全身傷だらけ、核鉄の回復力でも間に合わねえぐらいに出血多量で死にそうだよ!」

京太郎「それでも俺は!お前を助けるまで死ねないっ!」



九ターン目

ダメージ換算。
2+98+10+73+29÷2=106
559-106=453

京太郎……453
春……2004



京太郎「ぐっ……!」

春「これで、終わり」ヒュッ

京太郎(畜生、ここまでか……)

京太郎(粘ったんだけどなぁ。やっぱり無理か)

京太郎「すいません、巴さん……」

巴「すいませんはまだ早いんじゃないかな?」カキンッ

春「……!」

巴「遅れてごめん。援軍、到着っ」

巴「ここからは私も参戦させてもらうよ」

巴残り体力……1882

巴「雑魚ばかりだから余裕だったよ」

京太郎「そうですか。よかった、巴さんが無事で。ハギヨシさんは?」

巴「ハギヨシさんは私をきょーちんの所へ向かわせる為に雑魚の足止め。
もう少しで来ると思う」

京太郎「そうっすか……」

巴「さてと、はるる。随分と殺気立っちゃって」

春「巴も私の邪魔をするの?」

巴「邪魔じゃない。元に戻すだけ。今のはるるは正気じゃないからね」

春「私は全然普通。普通だからどいて、京を壊せない」

巴「どこが正気よ。それで正気とか考えられないわ」

京太郎「……っ。巴さん」

巴「きょーちんは休んで回復。それとも、前に出る?」

京太郎「少し、休ませて下さい」

京太郎「後、頼みます……すい、ませ、んでし……た」ドサッ

巴「お疲れ様。きょーちんはよくやったよ。後は、私の仕事」

春「邪魔しないで。巴も一緒に壊すよ?」

巴「壊せるものなら壊してみる?無理なことは言うものじゃないよ」

巴「素人のきょーちんがここまでやったんだ、私がやれなくてどうするのさ」

春「……っ!」

巴「一応、名乗っておくよ。符咒士――狩宿巴。疫鬼、友を救う為にお前はここで朽ち果てろ」

ダメージ換算。
78+62+73+41÷2=127
1882-127=1755

十ターン目


京太郎……453(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1755
春……2004

ダメージ換算。
43+79+891+20÷2=517(きりあry)
2004-517=1488

十ターン目


京太郎……503(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1755
春……1488

ダメージ換算。
90+28+34+20=172
1755-172=1583

巴(このままじゃジリ貧かな……)

巴(なら、霊力を使って少し強い技を出した方が勝てる確率も上がるかも……?)

十一ターン目


京太郎……503(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1555
春……1488

巴「……これはちょっとやばいかも」

春「死なない内にそこをどいて。京を壊せない」

巴「だから、壊させないって言ってるの」

京太郎「そうだな……簡単に壊されてやんねーよ」

巴「きょーちん!?大丈夫なの?」

京太郎「黙って寝ている訳にはいかないんで」

京太郎「さあ、ここから逆転させてもらうぜ」


京太郎が参戦したことでコンマが常に倍になります。
ただし、受けるダメージも倍になります。

十一ターン目終了

ダメージ換算。
72+96+78+32=278
1488-278=1210

十二ターン目

京太郎……603(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1383
春……1210

十二ターン目

ダメージ換算。
65+12+11+99=187
1383-187=1196

京太郎……603(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1196
春……1210

十三ターン目

ダメージ換算。
32+38+190+38=298
1210-298=912

京太郎……653(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1196
春……912

十三ターン目

ダメージ換算。
69+8+6+72÷2=78
1196-78=1118

京太郎……653(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1118
春……912

十三ターン目終了。

ダメージ換算。
28+20+62+30+2=142
912-142=770

京太郎……703(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1118
春……770


春「……しつこい」

春「もういい。一回で決める」

京太郎「巴さん!」

巴「やばい、逃げるよっ!」

京太郎「巴さん、危ないっ」グシャッ

春「惜しい、もう少しで壊せたのに」

京太郎「あ……っ。痛い……!」

巴「きょーちん!」

京太郎「く……そ、まだ諦めねぇぞ!」


十四ターン目

京太郎……332(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1118
春……370

十四ターン目

京太郎……332(一ターンが過ぎるごとに50回復)
巴……1040
春……370

京太郎「これで、終わりだ!」

春「が……っ!」

京太郎「ごめんな、はるる。目が覚める頃には元に戻っているはずだから。今は眠っていてくれ」

春「京……っ」ドサッ

巴「何とか、倒せたね……全く、もうボロボロだよ」

京太郎「ええ……」

ハギヨシ「お二方、ご無事でしたか」シュタッ

京太郎「ハギヨシさんの方こそ」

巴「ともかく、全員無事でよかった……」

春「……」

巴「さてと、それじゃあはるるに取り憑いている妖怪を滅さないと」

巴「その為には、はるるの体内に侵入して妖怪を殺すの」

巴「私は外で暴れるはるるを抑えなくちゃいけないから必然的に入るのはきょーちんになる」

ハギヨシ「私では駄目なのでしょうか」

巴「囚われのお姫様を助けるのは王子様って決まってるんですよ。だから、きょーちんでいきます」

京太郎「お、俺は別に……!」

巴「恥ずかしがらないの。わかったらさっさと準備する」

巴「一つ注意しておくけど、選択肢には注意すること」

巴「嘘を言ったり、甘やかしたりしたら駄目。はるるが自分で立ち直れるように行動すること」

巴「それじゃあ、送るよ」

京太郎「ちょ、ちょっと待ってください」

巴「ん、どうしたの?」

京太郎「俺一人をはるるの体内へ送るとは言いますけど、大丈夫ですかね」

巴「きょーちん一人は不安だけど、ここを手薄にする訳にはいかないし」

ハギヨシ「須賀君も狩宿様もボロボロですしね。もし、外部からの敵襲があれば元も子もありません」

巴「せめて、もう一人……手練がいれば助かるんだけどなあ」

京太郎「だけど、諦める訳にはいきませんよ。はるるを助けなくちゃ」

ハギヨシ「やはり、ここは私が滝見様の体内へと突入すべきでしょうか」


良子「その心配はノーセンキュー」

巴「あ、貴方は!?」

京太郎「戒能……プロ?」

良子「今は一人のイタコとして。そこにいるハルの従姉妹として」

良子「戒能良子、見参」キラーン

京太郎「…………」

良子「少年、ここは笑う所だ」

京太郎「笑えと言われても、こんな状況ですし」

良子「何を言ってる。本当に苦しい時こそ笑うべきなのだよ」

良子「常に優雅たれ。仏頂面よりも笑顔の方が王子様には似合ってるよ」

良子「ということで、私が来たからには安心したまえ」

京太郎「さすが……傭兵をやっていたとの評判!」

良子「ノーウェイノーウェイ。そんな噂は信じちゃダメよ」

京太郎「じゃあ、イタコだっていうのは……」

良子「それも違う」

京太郎「でも、さっき言ってたじゃないですか」

良子「言葉の綾だ。気にしたら負け」

巴「というか、そんな話をしている場合じゃないですよ!」

ハギヨシ「さてと、どうしましょうか」

良子「どうしましょうと言われても。単純に二人ずつで分ければいい」

ハギヨシ「では、私と須賀君で行きましょう」

京太郎「はい、頼りにしてますよ?ハギヨシさん」

ハギヨシ「ははは、これでも私は近接忍術師を名乗っていた時期もありまして」

京太郎(本当に何者なんだ、この人……?)

ハギヨシ「お任せ下さい。須賀君の道は、私が切り開きますから」

良子「これでオーケー。じゃあ、早速やろうか」

京太郎「はい……巴さん、お願いします」

巴「わかった。必ず、帰ってくるんだよ」

京太郎「大丈夫ですって。俺も、ハギヨシさんも生きて帰ってきますから」

良子「よし、始めようか。やるよ、狩宿」

巴「わかりました、ではいきますっ!」

京太郎「さてと、体内に入ったはいいけど……」

キシャー

ハギヨシ「これはこれは。まあ、当然の予測ではありましたが」

京太郎「大量においでなすって京ちゃんピンチっ」

ハギヨシ「ははは、その為に私がいるんですよ」

京太郎(でも、どうする?さすがにハギヨシさんと俺で切り抜けられる量じゃねえぞ、これは)

京太郎(やっぱり、巴さん達も一緒に連れてくるべきだったのか?)

京太郎(だけど……今更だよなあ!)ザシュッ

ギャースッ!

京太郎「待ってろよ、はるる……約束、果たしに行くからなっ!」

ハギヨシ「その意気ですよ。では、僭越ながら私も」

京太郎(念の為に核鉄を胸に仕込んでおこう)

京太郎(これなら心臓狙いの一撃を一回だけ防ぐことが出来るかもしれない)

京太郎「進路なんですが、迂回して進みましょう」

ハギヨシ「そうですね、私もその意見には賛成です」

京太郎「まともにぶつかったらこっちが痛い目をみますし」

ハギヨシ「とは、言っても」ドシュッ

京太郎「何匹かはやっぱりいますね」ザシュッ

ハギヨシ「最も、この程度なら余裕がありますよ」

京太郎「ボスが自ら出てこない限りは何とかなりそうです」

ハギヨシ「この先に、滝見様がいらっしゃいますね」

ハギヨシ「私はこの前で敵を食い止めます。なので、須賀君は滝見様をお願いします」

京太郎「ありがとうございます……ハギヨシさんにはいつも頼りっぱなしですね」

ハギヨシ「ふふっ。友人から頼られるというのは悪い気分ではないですから。料理にしても、このような摩訶不思議なことにしても

ハギヨシ「さあ、行って下さい。全ては貴方にかかっていますよ」

京太郎「はい、行ってきます。ハギヨシさん、どうかご無事で」

ハギヨシ「須賀君の元へは誰一人通しはしませんよ。ああ。時間を稼ぐのはいいですが―」

ハギヨシ「別に、ボスを含めて全員を殲滅しても構わないのでしょう?」

京太郎「く、くくっ」

ハギヨシ「はははっ」

京ハギ「「御武運を!」」

京太郎「よっ、来たぜ」

春「京……どうして」

京太郎「どうしても何も、約束しただろ。どんなことがあっても、お前を見つけるって」

春「……馬鹿だよ、京は」

京太郎「馬鹿とは失礼な!これでも、俺はだな」

春「でも、嬉しいよ。私なんかの為にここに来てくれて」

京太郎「約束、果たしてもらっていいか?」

京太郎「助けてくれるんだよな?なら、そんなとこに閉じこもってたら困る」

春「でも……」

京太郎「でも、じゃない。俺も、巴さんも待ってるから」

春「私はもう……取り返しがつかないことをしちゃったよ?皆の記憶を奪っちゃった」

京太郎「そんなの返せばすむことだろ。まだ間にあうさ」

京太郎「どんなはるるでも、俺は見捨てない」

春「じゃあ、私に取り憑いている妖怪はどうするの?」

春「きっと、今の京じゃ返り討ちにあうだけ。助けるって言っても無理」

京太郎「そこで、諦めるのか?はるるは?」

春「……だって、もう無理だよ?」

京太郎「無理かどうかははるるが決めることじゃない」

京太郎「確かに、ここから無事に帰れるか不確かだけど」

京太郎「俺は手を伸ばす。笑って帰れる可能性に賭けてみる」

京太郎「また、お前と笑ってマリカーやりたいしな」

春「……!」

京太郎「お前ずっと気にしていたんだろ?巴さんから聞いたよ」

京太郎「気づいてやれなくて、ごめんな」

京太郎「まだ、お前とやり残したことがあるんだよ」

京太郎「これは、俺の我儘だ。俺がやりたいってだけ」

京太郎「約束を果たしにきたのもあるけど、半分はそれだよ」

京太郎「だからさ、この手を取ってくれないか」



良子「さてと、彼らは無事に救えましたかね」

巴「こればっかりは運としかいえませんよ……。妖怪についてはハギヨシさんがいるのでともかく」

良子「その心配はノーセンキュー。ハルはきっと戻ってくる」

良子「おっと、噂をしたらハルから出て来ましたよ、モンスターが」

キシャーッ

巴「ハギヨシさんがやってくれたんでしょうか」

良子「だろうね。それはともかく、さっさとキルしちゃおう」

良子「私の従姉妹を虐めたこいつはギルティ。許すなんてノーよ」

巴「まあ、放置しておく理由がありませんしね……」

良子「今こそお見せしよう、王者の討滅を!」

巴「別に王者でも何でもないですよね!?」

良子「こういうのはノリが重視されるものなんだよ、狩宿君」

ギャーッスッ




良子「ということで、妖怪は全部デッドエンド。屋敷の人達に付いてる妖怪も自動的に消えたんじゃないかな」

巴「親玉の端末みたいなものでしたしね」

京太郎「これで、一件落着ですか」

ハギヨシ「いやはや、疲れました。このようなことは久しぶりでしたもので」

良子「貴方こそ体内で妖怪を屠っていたでしょう」

ハギヨシ「ははは、ただの足止め役です、私は」

京太郎(俺が戻ってきた時、妖怪の死体の山を築いていたのは黙っておくべきなのだろう)

春「……ううん」

良子「目が覚めたみたいだね」

春「私は……?」

春「京に、巴……良子さん?ハギヨシさんまで……?」

京太郎「身体の方は大丈夫か?」

春「うん……だけど、どうして私はここにいるの?」

京太郎「!?」

春「確か、屋敷でふと頭が痛くなって……部屋に戻った所までは覚えているんだけど」

京太郎(もしかして、記憶が途切れてる?)

春「どうしても、思い出せない……ちょっとのきっかけで思い出せそうなのに」

春「ねえ、京は知ってる?私がここで倒れていた理由?」

京太郎(どうすればいいんだ。ここで、本当のことを告げても、はるるを不安定にさせるだけだ)

京太郎(だからといって、先延ばしにしても。記憶が戻った時が怖い。はるるが壊れてしまう可能性だってある)

京太郎(ここで、俺が取れる最善の方法は、何だ?)

春「あ、れ……?私、確か。変な声に、皆いなくなってしまえばって」

春「だから、記憶を……奪った?」

春「私、が……京達を傷つけたの?」

京太郎「違う!これはちょっとした事故だ、だからお前が気にすることなんてない!」

春「違わないよ、全部思い出したから。私が、私のせいで……」

春「私が全部悪いんだよ、私が」

京太郎「違うって言ってるだろ!」ガバッ

春「ひゃっ」

京太郎「記憶を取り戻したんだったら、俺の言葉も覚えているはずだ」

京太郎「お前と一緒に笑いたいって」

京太郎「その言葉も違うのか、違うなんて言わせねえぞ」

春「で、でも……」

京太郎「元はといえば、俺が悪いんだよ。はるるのことをちゃんと見てなかったから」

京太郎「自分のことばかり考えて、はるるの気持ちなんて全然気にもしないで……俺、カッコ悪いよな」

京太郎「だから、その分をこれからの行動で取り返したい。いつか、お前の横に並んで立てる男になりたい」

春「そんなこと、ない。京はもう十分だよ。私の方こそ……」

京太郎「いーや、駄目だね。俺自身が納得出来ないから。俺がはるるを追いかける立場なんだからよ」

京太郎「こんなことを言える資格はないと思うけどさ。俺と、もう一度仲良くしてくれないか?」

京太郎「マリカーやって馬鹿やって。俺はお前と一緒に笑いたい」

京太郎「あの時の答えを聞かせて欲しい。俺の手をとってくれないか、はるる」

春「……馬鹿」

春「私、愛想悪いよ?」

京太郎「そんなことはないと思うぜ?お前の笑った顔可愛いし」

春「また、迷惑をかけるかもしれないよ?」

京太郎「どんと来い。俺がまた、お前を迎えに行くから」ギュッ

春「手を取ってって言っておいて、抱きしめるのは反則」

京太郎「ご、ごめん」

春「でも、いい気分。悪くない」ギュッ

春「ねえ、京……」

春「私はいっぱい間違えたけど……また、前みたいに笑えるかな?皆と一緒に楽しく過ごせるかな?」

京太郎「勿論だろ。どんなことがあっても、俺はお前を見捨てない」

春「私も、どんなことがあっても、京の味方。絶対に」ニコッ

京太郎「そういうことを笑顔で言うなって。惚れちまうっての」

春「ふふっ。惚れてもいいんだよ?」

京太郎「ば、ばっか。そういうこと言うなって!」

春(今は、まだ告白しないけど。いつか、きっと振り向かせるから)

京太郎「ったくよ、そういう恥ずかしいことを言うのは禁止だっ!」

春「なら、もっと言っちゃおうかな」

春「京の恥ずかしがる顔も見てて楽しいし」

京太郎「お前なぁ……!」

春「これぐらいのことをやっても、バチは当たらないと思うけど?」

京太郎「俺の赤面顔なんて誰得だよ!」

春「私得」キリッ

京太郎「おかしいだろ、それは!本当にもう……」ププッ

春「やっと、笑った」

春「京の本当の笑顔が見れた気がする」

京太郎「そうか?今までとあんま変わらない気がするけど」

春「違うよ。まだ、満点には遠いけど。心から笑ってる」

春「作った笑顔じゃないよ、京」




「京の笑顔の初めて、もらっちゃった……」








【第三章二節消えた、約束End】