京太郎「あのちびっ子タコス娘、今日という今日は許さねえ」

京太郎「普段のあの俺への仕打ちはあまりにも目に余る」

京太郎「やれタコスを作れだのタコスを持って来いだのタコスを食べさせろだの」

京太郎「マジで俺は頭にきた」

京太郎「復讐してやる……」

京太郎「まずはタコスの差し入れだ!」

京太郎「いつもいつも頑張っている優希へのタコスの差し入れをしてやる!」

京太郎「おい優希。タコス食うか?」

優希「じょ?」

京太郎「ほら」

優希「おおう。何だいきなり」

京太郎「タコスの差し入れだよ」

優希「別に頼んだ覚えはないが……。うむ。いい心がけだ、犬!」

京太郎「ははあ」

優希「う~ん。おいしいじぇ~」

京太郎「お手製だからな」

優希「褒めて使わす」



京太郎「ふふふ……。タコスを差し入れてやったぜ……。次はiPS細胞で咲と和との子供を作ってやる!」

京太郎「咲、ちょっといいか」

咲「なに京ちゃん?」

京太郎「ちょっとじっとしててな」

咲「?」

京太郎「……」

咲「痛っ」

京太郎「白髪が生えてたんでな」

咲「もう。そういうのは言ってからにしてよ」

京太郎「悪りい悪りい」

京太郎「和」

和「何でしょう」

京太郎「ちょっと髪を触らせてくれないか?」

和「な、なんでそんなこと!」

京太郎「いや咲に頼まれてさ」

和「さ、咲さんが?」

京太郎「前に咲の頭を撫でたことがあったんだけど、変にゴワゴワしててな」

和「頭を……」

京太郎「それを言ったら咲のやつ、ゴワゴワなんかしてないよって怒っちまってさ」

和「それは怒りますよ」

京太郎「んでさ、咲が前に和の髪を触ったらサラサラだったって言ってな」

和「……」

京太郎「俺が和の髪をさわってもゴワゴワだって言うんなら、俺がオカシイだけだろうって話になったんだ」

和「な、なるほど」

京太郎「ちょっと触らせてくれないか?」

和「……そういう訳なら、構いませんけど」

京太郎「すまんな」


京太郎「よし、髪の毛が手に入った!」

京太郎「これを元に卵子を作って俺の精子と受精させてやる!」

京太郎「調べてみたが、どうやらそういうことを秘密裏に請け負う機関があるらしい」

京太郎「ふふふ……待ってろよ……」



京太郎「はい、はい。ええ、分かりました」

京太郎「たった一ヶ月で赤ん坊ができちまうとは……」

京太郎「えっと、この病院に預けてあるらしいな。行ってみるか」

京太郎「すいませーん」

京太郎「ええと、俺の赤ちゃんがこの病院に入院してるって連絡があったんですけど」

京太郎「ええ、はいそうです。須賀です」

京太郎「どうもすみません……」


京太郎「まじかよ……。あんな簡単に通っちまうもんなのか……」

京太郎「すげえなあの裏機関」

京太郎「ええと、この部屋だな」

京太郎「……ドキドキするな」

京太郎「失礼しまーす」

京太郎「……寝てるな。あ、プレートがある」

京太郎「柔(やわら)と誇(ほこる)……。依頼する時に決めた名前だけど、ちょっと変な名前か?」

柔「すう……すう……」

誇「くう……くう……」

京太郎「まあ、いっか。可愛いもんな。これで晴れて二児の父だ」

京太郎「……マジでどうしようこれ」

京太郎「……おむつが膨れてる」

京太郎「消臭剤が効いてるせいか、臭いは感じないが……」

京太郎「うっ……これはうんちか……」

京太郎「しかも二人とも……」

京太郎「ええっと、あ、替えのおむつが用意されてる」

京太郎「くさっ!」

京太郎「説明通りにやれば大丈夫だよな?」

京太郎「……こういうことしてるとちょっと実感湧いてくるな」

京太郎「手、洗ってくるか」

京太郎「どうすっかな……」

京太郎「あ、そうか。ベビー用品買わないといけないな」

京太郎「しばらく大変そうだなあ」



京太郎「よし、おむつやらなんやら色々揃えたぞ!」

京太郎「育児に役立つ本や器具までありえないほどたんまり買い揃えたぜ」

京太郎「とりあえず大きくなるまでは一人でも育てていけるな」

京太郎「……大きくなった後のことはあとで考えよう」

柔「ぐうぐう……」

誇「すやすや……」

京太郎「……かわいい」

京太郎「……やっぱ母親って必要だよな」

京太郎「遺伝学的には俺と咲、和との子なんだけど」

京太郎「うーん。頼んだら殺されるか」

京太郎「優希に頼んでみようかな。まずいか?」

京太郎「……あ、優希か? おう、いや。あのさ、電話じゃ言いにくいことがあるんだ」

京太郎「明日うちに来れないか? うん。そう」

京太郎「ん、じゃあな」

京太郎「……ふう」

京太郎「どうなることやら」

京太郎「……」

優希「……」

京太郎「……かわいいだろ?」

優希「……」

京太郎「優希?」

優希「誰の……?」

京太郎「え?」

優希「誰の、子供なんだ?」

京太郎「……さあ」

優希「さあって……」

京太郎「拾ったんだ」

優希「……赤ん坊が拾えるわけ無いだろ!」

京太郎「……うん」

優希「お前のか?」

京太郎「……うん」

優希「……あ、相手は」

京太郎「言えない」

優希「ど、どこ行ったんだ?」

京太郎「知らない」

優希「……そうか」

京太郎「……うん」

優希「……ううっ……」

京太郎「ど、どうしてお前が泣くんだよ」

優希「うっ……だって……」

京太郎「泣くなって」

優希「うううぅ……」

京太郎「もう大丈夫か?」

優希「……うん」

京太郎「悪いな」

優希「悪いなってお前なあっ!」

京太郎「……すまん」

優希「謝って済む問題じゃないじょ……」

京太郎「うん」

優希「……これからどうするんだ?」

京太郎「育てようかと」

優希「一人でか?」

京太郎「……そのつもりだったけど」

優希「つもりだったけど?」

京太郎「優希、母親になって貰えないか?」

優希「は?」

京太郎「男親一人だけって可哀想だろ?」

優希「そ、そういう問題か!?」

京太郎「……頼む」

優希「頼むって……」

京太郎「優希、お願いだ」

優希「……それって、結婚するってことか?」

京太郎「……そうなる」

優希「そうなるって……そんな仕方なくみたいな言い方……!」

京太郎「……嫌なら、いいよ」

優希「嫌ならって……」

京太郎「こんなこと頼んで悪かった」

優希「……待って欲しいじょ」

京太郎「……?」

優希「しばらく、時間をくれ……」

優希「……おう」

京太郎「久しぶりだな」

優希「……そうだな」

京太郎「何で部活休んでたんだ?」

優希「来れるわけ無いだろ!」

京太郎「ちょ、大声出すなって」

優希「……ボケ犬」

京太郎「ボケ犬って」

優希「いいじょ」

京太郎「ん?」

優希「いいって言ってんだじょ」

京太郎「……あ。……ああ、うん。そうか」

優希「……クソ犬」

京太郎「……仰るとおりです」

京太郎「なあ」

優希「……ん?」

京太郎「実はさ」

優希「おう」

京太郎「これ実は全部ドッキリなんだ」

優希「……?」

京太郎「あの赤ん坊はただの親戚の子だし」

優希「は?」

京太郎「今こうして一緒に暮らしてるのも今日が最後なんだ」

優希「は?」

京太郎「婚姻届もせっかく書いてもらったけど出してない」

優希「あ?」

京太郎「……ほら。あのプレート見えるか?」

今日までお疲れ様でした優希ちゃん!!

優希「…………この。……こんのクソ犬がああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

京太郎「ぐはっ」 



カン!