泉「聞いたで須賀くん。セーラ先輩の学ラン、たまに中学んときの須賀くんのになってるって」
京太郎「は?」
泉「ずっこい! ウチにもなんか、できれば羽織れるものを!」
京太郎「待てって! 中学んときの制服は一式長野の実家だから、セーラ先輩が持ってるわけないんだよ」
泉「じゃあ今すぐ長野から取り寄せて学ラン下さい!」
京太郎「無茶言うなよ……あ、そういやあれがあったな」
泉「なんです?」
京太郎「明日持ってくるから、そんときのお楽しみだ」
――――翌日
泉「……なんです、これ?」
京太郎「なにって、カーディガンだよ。羽織れるものが欲しかったんだろ? まあ、そんな格好してたら身体も冷えるだろうしな」
泉(違う、そうやない……まあ、でも……)キュッ…
京太郎「本当は長野の幼馴染にやろうと思ってたんだよ」
泉「!?」
京太郎「渡すタイミング逃しちまってさ。いやぁ、無駄にならずにすんでよかった」
泉「……これ、いらん」
京太郎「え?」
泉「こんなお下がりいらん!」ブンッ!
――――放課後
竜華「……で、今日は泉の機嫌が悪いと」
京太郎「はぃ、ほうでふ……」ボロ…
竜華「今日中に仲直りせぇよ。仲直りせんかぎり、部室の出入り禁止や」
京太郎「あぃ……」
竜華「明日まだ仲直りできてへんかったら……」
セーラ「ウチがもういっぺんしばいたるからな!」
京太郎「り、了解っす!」
――――部活後
京太郎「なぁ泉、ごめんな?」
泉「……もうしらん」
京太郎「嫌だったよな、知らない奴のお下がり渡されるなんて」
泉「しらん言うてるやろ!」
京太郎「泉なら似合うと思ったんだ」
泉「え……?」
京太郎「でも代わりにって思ったのも事実だ……」
泉「須賀くん……」
京太郎「気にさわったなら謝るよ。ごめ……」
泉「ごめんなさい!」
京太郎「泉……」
泉「須賀くんの気持ちも考えずに、ましてやウチがわがまま言ったから、須賀くん気遣ってくれて、それやのに……」
京太郎「……泉、この後時間あるか?」
泉「へ?」
京太郎「学ランは無理でも、他のなら渡せる。今度は代わりじゃない。泉のために選んだものが渡したいんだ」
泉「あの、それって……」
京太郎「付き合ってくれるか?」
泉「あ……はい……」
ーーーーさらに翌日
セーラ「ほんで、今着てるのが昨日京太郎に買ってもらったカーディガンか……」
泉「はい! あ、先輩それロンです」マンガーンッ!
怜「泉、うれしそうやね。ずっと惚気けとるよ」
竜華「……なんか、イライラする。なんでやろ?」
京太郎「ちわー」ガラガラ
竜華「京太郎、ちょっと」
京太郎「なんです? 泉となら昨日……お、泉さっそく着てくれてんな!」
泉「えへへ……」
竜華「京太郎」
京太郎「はい?」
竜華「やっぱお前出禁や」
京太郎「ええ!?」
カンッ
最終更新:2014年02月23日 16:01