京太郎「はあぁぁぁ……」

爽「おうおうどうした黄昏少年よ、盛大にため息なんか付いちゃって」ケラケラ

京太郎「どうしたも何も見た通り絶望してるんですよ」ズーン

爽「……あーあーなるほど、大体分かった気がする」

京太郎「男にとっての一大イベントである今日、仄かな期待を持って登校したのに」

爽「本命はおろか、義理チョコの一個も貰えなかった、って感じだなー? 違うか?」

京太郎「ええ合ってますよ、悲しいことに! ……あぁぁ自覚したらまたダメージが」ズズーン

爽「あっちゃー、ご愁傷様。まあ何だ、その、しょうがないな、うん」ポリポリ

京太郎「しょうがないって何なんですか! 男子の淡い夢を壊さないでくださいよ!」

京太郎「畜生……桧森先輩や本内先輩からは義理でもいいから貰えると思ってたのに……」

爽「ああー、それを期待していた訳かー。確かにあの二人ならそういうの笑顔でくれそうだよね」

京太郎「そうなんですよ! 両先輩は特に優しいですからその分貰えなかったショックが……」

爽「うん、何か私の前で言われると皮肉っぽく聞こえるんだけど、まあそれは一旦置いといて」ポリポリ

爽「ここでそんな京太郎君に問題です、うちの学校の特徴は何か!」ビシッ

京太郎「え、えっと……一番の特徴といったらミッション系、すか?」

爽「半分正解! まあうちはカトリック教側の宗派だからそういう関連もあるっちゃあるんだよねー」

京太郎「ほほう、そんな理由が……ところで、半分正解ということは、もう半分は?」

爽「ずばり! 不要物の持ち込みが厳格に禁止されていることさ!」ババーン

京太郎「さっきまでの宗教話関係ねえっ!?」

爽「真面目で品行方正なあの二人が規則を破るなんてまず無いからねぇ、うん」

京太郎「……ああ、さっきのしょうがないってそういうことだったんですか」

爽「そゆこと。まあ、だから貰えなくてもがっかりすんなって!」ポリポリ

京太郎「はあ……ん? ちょっと待ってください獅子原先輩」

爽「うん? どーした京太郎、何でもお姉さんに聞いてみなさい!」ポン

京太郎「えっと、不要物の持ち込みは厳格に禁止されてる、ってさっき言ってましたよね?」

爽「そうだよ、バレたら神父さんとか先生とかに大目玉喰らう。これがまーた怖いのなんの」

京太郎「……先輩がさっきからポリポリ食べてるそれって、何ですかね?」

爽「ポッキー」ポリポリ

京太郎「ものすごいナチュラルに規則破ってるじゃないですかッ!?」

爽「や、どうしても女子高生生活にはお菓子が必要だからね」ポリポリ

京太郎「リスキーな行為なのに理由が適当すぎる!」ガビーン

爽「まあ落ち着いて、どうどうどうどう」

……


……

京太郎「という訳で、獅子原先輩、お願いが」ドゲザー

爽「却下」

京太郎「そこを何とか! そこを何とかお願いします!」

爽「うん、まあ私も京太郎の頼みは聞きたいんだけどさ、これ食べ差しだし、何より最後の一本だし」ポリポリ

京太郎「ぐう……現実は厳しすぎる……」

爽「ご馳走様、っと。……あ、そうだそうだ、さっきのクイズの正解者に景品を渡さないとなー」ゴソゴソ

京太郎「?」

爽「ほいっ、正解おめでとう京太郎!」ポイッ

京太郎「わっ、と……!? こ、このラッピングされてる、これってもしかして……!?」

爽「ふふふ、安物の中でもそれなりに悩んで選んだ奴だからなー? 大事に食べろよー?」

京太郎「え、あ、でもさっき、却下って」

爽「あれはポッキーをあげるのを却下しただけで、チョコをあげないとは言ってないぞ?」

爽「大事な弟分なんだから、それなりにしっかりした物を渡さないと悪いだろ?」ハハハ

京太郎「……獅子原先輩、ありがとうございます!」

爽「ああ、お礼はいいっていいって。来月三倍返しにしてくれれば問題ないから」

京太郎「意外に打算的だった!?」

爽「そりゃ何もなしにあげる訳ないじゃんかー、対価だよ、対価」バンバン

京太郎「さっき景品って言ってたじゃないですか!?」

爽「ははは、気のせい気のせい!」

京太郎「はぁ……でも、本当にありがとうございます!」

爽「ん!」ニコッ

カンッ