京太郎「ん…っと、立直!」タン

咲「ごめんね京ちゃん、槓!」

京太郎「げえっ 槓」ジャーンジャーン

咲「―――自獏、1000・2000です」

和「はい…リーチ棒も加えて咲さんが1位で終局ですね」

優希「うがー!まくられたー!」

京太郎「親被りさせた上でリーチ棒も持っていくとか…悪魔かお前…」

咲「あ、安易にリーチする京ちゃんが悪いんだよ!」

和「そうですね…槓は考慮しないとしても、この順目で生牌は危険ですよ?」

和「親だから高い手で和了りたい。という気持ちもわかりますがオーラスということを―――」クドクド

和「早い手で連荘―――」クドクド

和「―――崩しても再び聴牌しやすい手を―――」クドクド

京太郎「」ビクンビクン

優希「の、のどちゃんストップ!京太郎がパンク寸前だじぇ!」

和「いえ、過ちをその場で正すことは成長を促します。須賀君はまだまだ成長段階、ここで新しい知識を―――」

優希「(わ、話題を!)そ、そういえば咲ちゃん!私、気になったんだけど!」

咲「う、うん!なにかな!?」

優希「(よし!)な、なんで京太郎の事を『京ちゃん』って呼んでるんだ?京太郎は背高いし、ちゃんってガラじゃないじぇ!」

和「…言われてみれば。私も須賀君は名前そのままで呼ばれているイメージが強いです」

京太郎(和から「私は呼びませんけど」オーラを感じて辛いです)モンモン

京太郎(いやむしろ「須賀君と呼ぶのは私だけだ」かもしれない幸せです)モンモン

京太郎(って、今は俺が京ちゃんって呼ばれた時の話か…あれは確か―――)

咲「ととととと特に深い意味はないよー…ほんとだよー…」プルプル

京太郎「オイコラ」

咲「うっ」

優希「どちらにせよ下手な嘘だじぇ…」

和(かわいい)

咲「そもそも昔の話だから!覚えてないよ!ほんとだよ!?」

京太郎「思い出しました」

咲「」

優希「そもそもそんなに恥ずかしがることか?あだ名で呼ぶなんて私にとったらふつーだじぇ!」

京太郎「おまっ!犬はあだ名じゃねーだろーな!?」

和「でも、ゆーきの言う通り渾名一つでここまでうろたえるのは珍しいと思います」

京太郎「まぁ…実は中学の時にな…」

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???(12)「こんにちは、宮永咲です。中学校に入って2週間が経ちました。未だ友達がゼロです」

宮永「家と学校を一人で行き来する毎日、休み時間は本を読むだけ、放課後は図書館行くか家に帰るかの二択だけ」ペラペラ

宮永「何より辛いのが…」

先生「おはようございます。それでは今日の朝は体育館で校長先生の話がありますので、
   廊下に一列に並んで体育館へ向かいましょう」ガラッ

宮永(出ました。『身長順に並んでください』)パタン

宮永(身長が一番低い子が前に駆り出され、晒される。必然的に注目されるため目立ち、顔を覚えられる)ガタッ

宮永(更に友達がいないから追い打ちがかかりオーバーキル状態。私が何をした。しましたね。お姉ちゃんごめんなさい)ゾロゾロ

宮永(こう見えても大分伸びたほうなのに一番小さい。というか他の子が大きい)スッスッ

宮永(せめて二列ならそこまで注目浴びることないのに…ってあれ?)ピタッ

???「……」チョーン

宮永(私より小っちゃい!というか男子!?)

宮永(でもこれはちょっと小さすぎるような…)ジロジロ

???「…なんだよ」チラッ

宮永「っ…なんでも…ないよ…」ビクッ

???「…ふんっ」



―校長の話が終わり―



宮永(ふうっ…やっとおわったぁー…)

???「……」

宮永(授業始まるとみんな集中してて気を遣わなくて良いから楽だー…)

???「おい」

宮永「ひゃい!」ガタッ

???「うおっ!」ビクッ

宮永「って…君は…えーっと…」

???「同じクラスのやつの名前覚えてないのかよ…」

宮永「ご、ごめん…」

???「べつにいーよ、怒ってない…須賀だ、須賀京太郎だ」

宮永「う、うん…私は宮永咲です…」

宮永(なんで自己紹介し合ってるんだろ…)

須賀「知ってるっての…」

宮永「えっ…?な、なんで…ハッ!」ガタタッ

須賀「なんだ!?」ビクン

宮永(向こうは私の事を知っていて、接点もないのに声を掛けてきた…こ、これは…!)

宮永(こ、告白!?告白なの!?ラブ・ストーリーは突然なの!?)

宮永(どどどどどうしよう!?告白なんて初めてだよ!?)

宮永(こ、断ろう!かわいそうだけどまだ私達には早いよぉ!)

宮永(でももしOKしたら…私、早くも勝ち組…?最後に愛は勝つっていうし…)

宮永(ってまだ最後じゃないよ!出会いはたくさんあるよ!多分!…あるよね?)

宮永(でもでも…ここが人生の岐路なのかも…でもでもでも…若い頃のあやまちは誰にでもあるっていうし…)

須賀「なんだこいつ…」

宮永「ハッ」

宮永「ご、ごめんなさい…でもやっぱりもうちょっと親睦を深めるというかなんというか…」

須賀「お、おう…じゃなくて」

宮永「ふぇ?」

須賀「朝並んだ時の宮永さ…俺のこと小っちゃいって思っただろ」

宮永「」

須賀「わかりやすっ!」

宮永「おおおおおお思ってない、思ってないよ!」

須賀「あの時正直ムカッときた」

宮永「うえぇぇぇぇ!ごめんなさい!ごめんなさい!」

須賀「だから言いたいことがあって来た」

宮永「ごめんな…ん?」

須賀「―――1年だ」

須賀「1年で身長を抜かす。もうお前には馬鹿にさせない!」

宮永「……」

須賀「覚えとけよ…1年後はお前が先頭だ…!」

宮永「……っ」

須賀「…どうした、宮永?」

宮永「ぷっ…くっ…」プルプル

宮永「身長抜かすって…くくっ…頭一個分小さいのに…ぷくくっ…」プルプル

須賀(う…)

須賀(うぜぇええええええぇ!)

須賀「うぜぇええええええぇ!」

宮永「ごめんなさい!?」

須賀「思わず声に!…お前本当に覚えとけよ!絶対抜かすからな!見下してやるよ!」

宮永「絶対無理だよ!須賀君というより須賀ちゃんってレベルで背低いもん!」

須賀ちゃん「なんだとぉ!成長期が来てないだけだっつーの!」

宮永「女の子の成長期はちょっと早いんだよ?知ってた?」

須賀ちゃん「俺は男だー!」

―――それから


宮永「へへ、最近また背が伸びたんだよ?ってあれ?須賀ちゃん?」

須賀ちゃん「無理に視線から外すのやめろ…宮永のくせに生意気だ…」


―――須賀ちゃんは


咲君「なかなか伸びないねぇ京太郎ちゃん…もうそろそろ本気を出していいんだよ?」

京太郎ちゃん「はははっ咲君、こう見えても一応伸びてるんですがねぇ…!」


―――京太郎ちゃんになって


咲「き、京ちゃん結構背が伸びてきたね…まだちょっと私の方が高いけど!」

京ちゃん「一緒くらいだろ咲…見栄と胸を張るのはやめろ」


―――京ちゃんになって


咲「胸が成長しない…背は伸びてるのに…」

京ちゃん「あー…まぁ別に女は胸だけじゃないと思うぞ…うん…」

咲「うそつき…ぐすっ…」


―――時が経ち


咲「私には何も見えません。見えませんったら見えません」

京太郎「いやー正月ずっと寝てたら大分伸びたらしくてはっはっは」

―――背が伸びて、京太郎になっても


咲「」

京太郎「見事に頭一つ分差ができたな…」

咲「」

京太郎「なぁ咲」

咲「んー…?」

京太郎「2年からもよろしくな」

咲「!…うん!」

咲「よろしくね京ちゃん!」

京太郎「おう!」


―――ずっと京ちゃんだったとさ


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京太郎「とまぁ、こんな感じでして…」

優希「ながいじぇ」

和「ながいですね」

京太郎「これでも一応かいつまんで話しているんですがそれは」

京太郎「ちなみに2年の時の『衝撃!牌のお姉さん(26)』編、3年の時の『覚醒!牌のお姉さん(27)』編もあるけど聞くか?」

和「結構です。…そろそろ咲さんを起こしますか」

咲「」ビクンビクン

優希「おおっ、同じ反応!仲がいいじぇ!」

京太郎「話聞いてた!?話の中で明らかに仲良くなってったよね!?」

優希「私が聞きたかったのは『京ちゃん』の由来だじぇ、あとは正直どうでもいい」

京太郎「ひでぇ…」

京太郎(でも…)

京太郎(久々に思い出したな、これ…)

京太郎(ほんとはさ、身長とかどうでもよくて…)

京太郎「咲」

咲「ハッ…どうしたの京ちゃん?」

京太郎「まぁなんだ、これからもさ」

咲「……」

京太郎「―――よろしくな」

咲「―――うん、よろしくね」



カンっ



優希「私はよろしくじゃないのか?」

京太郎「そうだね、よろしくだね」

和「私もよろしくじゃないんですか?」

京太郎「結婚を前提によろしくお願いします」

咲「おい」



カンっ