「お誕生日おめでとうございます成香さん」

電話の向こうで彼が祝福をしてくれた

1月12日は私の誕生日だ

そしてもう一つ特別な意味を持った日でもある

「ありがとうございます京太郎くん、
 今年はあなたの声で祝福されて…とても幸せです」

偽りのない感謝を述べる

彼が照れが伝わってきた

「へへ、成香さん……でも、すみません
 本当は直接お祝いに行きたいのに」

「私は…京太郎くんが私の誕生日をお祝いしようと電話してくれたというだけで…

 それが本当に……幸せすぎるくらいの贈り物です」

「成香さん……」

しばらく言葉が続かなくなった

こんなとき男性はどういう話をすれば喜ぶのだろうか

鈍い自分が恨めしい

今日がなんの日であるか、そういう話を振ったところで彼は喜ばないだろう

「あ…そういえば成香さん今日はイエスさんが洗礼した日…でしたっけ?」

「え…」

まさか彼のほうから転がってくるとは思わなかった

突然のことに言葉が出ないでいる私にかまわず彼は続けた

「えーっと…確か三人の偉い先生らがマリアさんに会いにきたのが1月6日で…

 洗礼の記念日はその日の次の日曜日だから…今年は1月12日!…のはず、多分…きっと?」

「あ…あ、合っています、合っています!」

声が上擦る、恥ずかしい

宗教の話で盛り上がる女なんて京太郎くんにはふさわしくないはず

私は気持ちを精一杯落ち着けて尋ねた

「え、えと…!その…どうしてその話を?」

「あぁ、えーとっすね、そのなんつーか…」

珍しく彼にしては歯切れが悪い

そんなに言い出しにくい理由なのだろうか

不安の雲が立ち込めそうになった時、ようやく京太郎くんが話してくれた

「成香さんはクリスチャンでしょ?
 だから…将来のためにもそういう事について勉強しておかなきゃなぁって思ってさ…

 あ、ほら!俺って何の信仰もないからさ!でも成香さんの信じてるものは大事にしたいって思ってさ…

 一緒に暮らした時のためにも知っておきたかったし……

 だから…まあ、そういう……事です…はい」

胸の中心から顔まで火がのぼってきたような感覚だった

私はすっかり参ってしまった

それはどう考えても

「ぷぷぷぷっ、ぷろっ、ぷっ、ぷろ、ぷろっ!プロポーズ!?」

「………成香さん、俺はまだまだガキンチョだけど自信を持って言えます

 あなたを生涯愛することが出来る、と」


ああ、なんということでしょう…なんということでしょう

まさか誕生日にこんな、大きくて、暖かくて、素晴らしいプレゼントをいただけるなんて…!!

ああ…ああ…!

「主よ!感謝いたします!!」

「おわっ!」

あら…?




 「北風よ、目覚めよ。南風よ、吹け。わたしの園を吹き抜けて、香りを振りまいておくれ。
  恋しい人がこの園をわがものとして、この見事な実を食べてくださるように。」
  (旧約聖書 雅歌 4章の16節より)


一日遅れたけどハッピーバースデー 本内成香さん
カンッ