<<プロローグ>>

京太郎「暑い……」

俺は夏のクソ暑い中、片手に大量の牌譜、もう片手にスーパーの大きな袋をみっつ持った状態で坂道を歩いている。
山間の長野県なら夏も涼しいでしょ? と聞かれることもある。
だが、声を大にして言いたい。山だろうが海だろうが夏になりゃが暑いもんは暑い。
涼しい夏を味わいたきゃ北海道にでも行けと。

京太郎「駅から……遠すぎだろこれ……」

地方のバスのダイヤなど都心のダイヤと比べたら無残なものである。
それが市内から外れた田舎のバスとなれば尚更だ。
最寄り駅に着き、目的地近くまで行くバスを調べたところ次のバスは2時間後。
タクシーも検討したがこの駅まで来るのに40分かかると来たもんだ。
田舎はタクシーは拾うものじゃなくて呼ぶものとはよく言ったもんだ。

結局、仕方なく徒歩で行くことを選択した。
駅近くの商店に入り、道を確認してから歩き始めて今に至る。
だが、絶賛後悔中である。

あぁ、店のおばちゃん。
あなたの言うことは正しかった。
バスを待ったほうがよかったかもしれない。

京太郎「優希め、これ幸いにと色々頼みやがって……」

片手に持っているみっつのスーパーの袋を思わずにらみつける。
本来の用件とは別に、ついでに頼まれた買出しリストはいつもの10倍の量があった。
ジュースやお茶の飲み物類、各種お菓子、アイス、カップラーメン、エビフライ、タコス、花火、CD-Rなどなど。
一般的な買出しでは頼まないだろってものも含まれている。
それにしても花火か。今夜皆でやるのかな? あぁ、羨ましい。
俺はこの荷物だけ置いたらすぐにとんぼ返りしなければならない運命だ。

京太郎「どうしてこうなった」

俺がこうして他のメンバーが他高校と合同合宿をしている合宿所へ向かっているには理由があった。


(2時間前。長野合同合宿所にて)

久「長野大会決勝の牌譜を忘れた?」

咲「ごめんなさい……京ちゃんに確認したらやっぱり部室に置きっぱなしになってるって」

まこ「やってしまったのう。今夜の検討会に使うはずじゃったんだが」

久「うーん、私もこの日まで確認してなかったのもまずったわね……」

咲「あぅ、本当にすみません」

まこ「ともかく、今は誰の責任といっても仕方ないけぇ、何とかせねば」

和「さっき他の学校の方々にも聞いてみたんですけど、皆さん持ってきてないみたいで……」

優希「風越のキャプテンに、うちが一番近いから取ってこようか? と逆に聞かれちゃったじぇ。さすがに断ったけど」

まこ「まぁ、さすがにうちのミスを他校に尻拭いさせる訳にゃいかんからのう」

優希「でも、今夜の検討会はやっぱりなし! ってするわけにもいかんじょ」

久「……仕方ないわねぇ。申し訳ないけど、須賀君に持ってきてもらいましょうか」

和「だ、大丈夫なんですか? 女子しか居ないこの合宿所に男の子って」

久「まぁ、合宿所に入らないようにして玄関先で受け渡しするだけなら問題ないでしょう」

まこ「うーむ、留守番させている挙句に使いっ走りにさせると言うのは気が引けるのう」

久「そうね……合宿から帰ったら何か奢ってあげますか」

咲「うぅ、ごめんね京ちゃん……」


そんな訳で俺は牌譜を届けにこうやって合宿所に向かっている。
連絡を受けたときは軽く二つ返事をしたのだが、その後に届いた買出しリストと
この炎天下での行軍で安請け合いした少し前の自分を殴りたい気分だった。

京太郎「あぢぃ……あぢぃ……」

喉渇いた。
帽子を被ってこればよかった。
あぁ、蚊に食われた。足痒い。サンダルで来なきゃよかった。
暑い、暑すぎる。
つーか絶対アイス溶けてるだろこれ。

京太郎「し、死ぬ……」

優希は泣かす。
買ってきたタコスにジョロキアソースでもかけて持って行ってやろうか。

部長にはセクハラしてやる。
ヘアゴムを切り取った近藤さんにでも摩り替えてやろうか。ゴム違いだし。
いや、さすがにそれは俺が死ぬか。

だったら死ぬ前に和のおもちでおもち祭りじゃ。もちもち祭りじゃ。
奇跡的な和のおもちを作ってくれた神に感謝しながらこねこねこねこねしてやる。
つきたての白いおもちがほんのり桜餅になるまでこねこねしてやる。
そうなったら食べごろだ。
もっちゃもっちゃと貪り尽くしてくれる。

京太郎「やばい……俺、やばい……」

どうも先ほどから危険思想に陥りつつある。
暑さのせいだろうか? 意思判定に失敗した俺のマインドはガリガリと減っているようだった。
今考えていることが和にでもバレた日には、俺は諏訪湖に浮かんでいるか浅間山の火口に叩き落されているだろう。
いまどき人身御供とかは笑えない。
相手の心を読むオカルトとかなくてよかった。ほんとよかった。
……ないよね?

京太郎「……あー。ようやく見えてきた」

そんなとっ散らかった思考の中歩いていると、田んぼと山とわずかな人家しか見えなかった景色の中に少し大きな建物が見える。
あぁ、あれが目的の合宿所か。
ようやく見えてきたことに思わず足取りも軽くなり早足で歩き始めた。

だが、その建物はただの村営体育館であり、目的地はもう1km先だと受付のおじさんに言われるのはその10分後の話である。
アゴと鼻が特徴的な某漫画家さんの表現で『ぐにゃあ~』ってなるのがあるのはご存知だと思う。
俺はその時、あの感覚って本当にあるんだってことを知ることになった。

知りたくもなかったけど。


(合宿所玄関)

咲「あっ、京ちゃん来た!」

優希「まったく、遅いじぇ」

和「……ちょっと待ってください。何か様子がおかしいですよ」

まこ「うむ。なにやら末期のゾナハ病患者みたいな顔になっとる」

久「懐かしいネタね。私は阿紫花さんが好きよ」

咲「いや、そんな話してる場合じゃないですって! きょーちゃーん!」タタタ

京太郎「お、おう、咲。遅くなったな」

咲「だ、大丈夫京ちゃん? す、すごい汗」ハンカチトリダシ フキフキ

京太郎「だ、大丈夫。ほれ、牌譜」

咲「あ、ありがとう」

和「す、須賀君。どうしたんですか? そ、そんなに大変だったんですか?」

京太郎「バ、バスが2時間後までなくて……だから、駅から歩いて……」

和「え、駅からこの暑い中歩いてきたんですか!? 1時間はかかりますよ!?」

京太郎「いや、バスを待とうとも思ったんだけど……やっぱり、その、早くしたほうがいいかなって」ゲッソリ

久「……須賀君。大変言いにくいんだけど」

京太郎「なんすか?」

久「電話、くれればよかったのに。鶴賀の人たち、車で来てるのよ」

京太郎「……えっ?」

久「言ってくれれば駅までの送迎ぐらいは私から鶴賀の人たちに頼めたのよ」

京太郎「」

久「ごめんね……私もちゃんと言っておくべきだったわ」

京太郎「」

京太郎「……ふひっ」

京太郎「う、ふ、ふふふふははははははははは。うへははははははははは」ケタケタ

咲「きょ、京ちゃん。しっかりしてぇ!」


(合宿所内、玄関脇のベンチ)

京太郎「あー、酷い目にあった」

まこ「お疲れ様じゃったののう。ほれ、お茶じゃ」

京太郎「いただきます……あーうめぇ」ズズッ

優希「遅いと思ってたらそんなことになっていたとは。驚きだじぇ」

京太郎「遅くなった原因の半分はお前のせいだけどな。何だよあの買出しリスト。全部そろえるのに時間かかったぞ」

優希「いやー、すまんな。お菓子とジュースぐらいだと思ったら意外と皆あれもこれも欲しがって」

京太郎「ったく、ほれ。アイス溶けちまってると思うけどとりあえず冷やしとけ。俺が中に入るわけにはいかないからな」

優希「おう、ご苦労だったじぇ。っとと、これ重……」フラフラ

咲「あ、優希ちゃん。私も手伝うよ」

京太郎「気をつけろよー」

優希・咲「「はーい」」

京太郎「ふぅ……あー、氷冷たい」ズズッ

久「……須賀君、本当にごめんね。帰りのバスはまた時間空いちゃうみたいだし、鶴賀の人に駅まで送って貰うように頼んだから」

京太郎「あぁ、助かります。さすがにもうあの道のりをもう一度歩くのはちょっと……」

和「正直驚きです。多分、20kgぐらい荷物があったんですがよく持ってこれましたね」

京太郎「えっ? そんなあった?」

和「2リットルのペットボトル5本。それだけで10kgですよね? 
  後はあの大量の紙の束と他の品を合わせればそれぐらい行くと思いますよ?」

京太郎「マジか……そりゃ辛いはずだ」

まこ「よく頑張ったのう。ほれ、お茶のお替りいるか?」

京太郎「いいんですか? いただきます」

まこ「おう、ほれ」トポトポ


(その頃。合宿所台所にて)

優希「アイスは冷凍庫。チョコレートは一応冷蔵庫に入れておくか」ゴソゴソ

咲「飲み物少なくなってきたからよかったね。ちょっと詰めれば入るかな」ゴソゴソ

優希「エビフライ? 誰が頼んだんだ? とりあえずそこに置いとくじぇ」

咲「あっ、花火だ! 後で皆でやろうね!」

優希「おぉ、タコス。ちゃんと私の好きな味だな。流石わかってるじぇ京太郎」アムアム

咲「えっと、後はこの袋をっと」ゴソゴソ

優希「咲ちゃん……。牌譜を冷やしてどうするつもりだじぇ?」


ワイワイキャッキャ


華菜「あっ、居たし」ガチャッ

美穂子「よかった。何かお手伝いしますか?」

優希「おっ、風越の。もう大方片付け終わったから大丈夫だじぇ」

美穂子「そう……。買出しを頼んでしまったから後片付けぐらいは手伝おうと思ったんですけど」

咲「わざわざありがとうございます。常温の物はそこにおいてあるんで頼んだものは各自持っていってください」

華菜「おぉ、いろいろあるなー。プロ麻雀せんべいが大量にあるのが気になるけど……」

咲「あっ、お金はまた後でうちの部長が清算するようです」

華菜「はいよ。……ところで」

咲・優希「?」

華菜「玄関ホールのベンチに座ってる男の子が買ってきてくれたんだよな?」

優希「そうだじぇ。うち唯一の男子部員。よわよわだけど」

咲「ちょ、優希ちゃん……」

華菜「ふぅん、まあいいし。それより……あの男の子って、誰の彼氏?」ニヤーリ

咲・優希「!?」

美穂子「ちょ、ちょっと華菜」

華菜「あれ? キャプテンは気にならないですか? うちは女子高だし同じ部に
    男の子がいるとか想像もつかないし、興味わきません?」

美穂子「そ、それは」

美穂子「えっと」

美穂子「その」

美穂子「あ、う」

美穂子「そ、その」

美穂子「ちょ、ちょっとだけ」

華菜「ですよね! さぁ、キリキリ吐くし!」

咲「そ、そんな。きょ、京ちゃんとは別に……」

華菜「わぁ、京ちゃんだって。すごいし! やっぱそんな関係なんだ!」

美穂子「ふわ……。男の子をそう呼ぶなんて、すごく仲がいいのね」

優希「(むっ)」

咲「ち、違うんです。ほんとに!」

華菜「またまた、照れなくてもいいし! いやー、流石共学は進んでるなー」

咲「ち、違うのに。どうしよう優希ちゃん」オロオロ

優希「……」イライラ

優希「違うじぇ!」ダンッ

華菜「にゃにゃ!」ビクゥ

美穂子「び、びっくりした」

優希「京太郎は、その、誰かの彼氏じゃなくて」

優希「あいつは……」

優希「その」

優希「えっと……」

優希「!」

優希「そう、犬だじぇ!」

華菜「い、犬!?」

咲「ちょ、優希ちゃん?」

優希「そう、あいつは麻雀部の犬だじぇ! 私たちの忠実な下僕だじぇ!

美穂子「げ、下僕って……」フルフル

優希「そう、私が躾けている犬」モガモガ

咲「優希ちゃん、ストップストップ! 落ち着いて」クチオサエ

優希「」モガモガ

華菜・美穂子「(ポカーン)」

咲「じょ、冗談ですからね? 彼氏でも犬でもないですからね?」

優希「」モガー!

咲「優希ちゃん、落ち着いてってば……。あっ、じゃあ私たちはこれで……本当に違いますから!」ヒキズリ

優希「」ヒキズラレ

ズルズル、バタン

華菜「……本当に冗談なんですかね」

美穂子「どう、かしら? 冗談だと思いたいけど……」



(一方その頃玄関ホール)

久「本当にごめんなさい蒲原さん」

智美「いいさいいさ。気分転換にちょうどいいドライブだ」

京太郎「すいません、よろしくお願いします」

和「須賀君、くれぐれも失礼なことは……」

京太郎「しねーよ! 和の中で俺の評価はどうなってるんだ……」

智美「ワハハ。それじゃあ須賀君、行こうか」

京太郎「あ、はい。お願いします」

久「須賀君本当にありがとうねー」フリフリ

和「ちゃんと課題やっておいてくださいね」フリフリ

まこ「帰ったら飯でも奢ったるけぇ。留守番頼むな」フリフリ

京太郎「うーっす、それじゃ失礼しまーす」スタスタ

……

久「行っちゃったわね」

和「せっかくなんで須賀君にも打たせてあげたかったですね」

まこ「まぁ、仕方あるまい。強化合宿の名目じゃ。さすがに初心者を混ぜるわけにもいかんだろう」

久「そうねぇ。これから私たちはもっと忙しくなるし今のうちに練習メニューでも考えて……」

イタカ!?
イナイッス!
モウイッチャッタノカナ?
オソカッタカ! ダガマダマニアウカモシレン!
イソグッス!

久「ん? なんだか騒がしいわね」

ゆみ「竹井か! 蒲原に部員の送迎を頼んだと聞いたが本当か!?」

久「えっ? えぇ。ついさっき出発したけど……」

モモ「間に合わなかったっすか……」

ゆみ「くそっ、もう少し早く私たちが気付けていれば……」ガクリ

和「な、何をそんなに慌ててるんですか。確かに頼んだのは申し訳ないですが、
  車で行けばすぐの距離ですよ? すぐ帰ってくると思いますが」

モモ「あー……」

ゆみ「その、だな」

佳織「智美ちゃん、その……運転がすごいヘタなんです」


(車内)

智美「なるほどー。須賀君はたった一人だけの男子部員なんだな」ギャリギャリギャリッ!

京太郎「え、えぇ、ぞうでず。……うっ、うぷ」

智美「しかし、周りが女ばっかりじゃあいろいろとやり難くないか?」ガリガリガリバキバキバキバキッ!

京太郎「路肩! 路肩に突っ込んでます!」

智美「んー? おぉ、すまんすまん。ワハハ」フラフラ

京太郎「お願いですからまっすぐ走ってください……。まぁ、肩身が狭くないと言ったら嘘になりますけど。
       雑用をやらされることも多いですし」

京太郎「それでも、今は結構麻雀が楽しいんですよ。皆合間にいろいろ見てくれるし」

京太郎「それに雑用だってみんなのためになるんだったら楽しくやれるって前ーーー!」

智美「おっ? あぁ、赤か」キキキキーーーーーーーーー!

京太郎「(タイヤの焦げる匂いが……)」ガクガク

智美「なるほどー。つまり麻雀も楽しいし、かわいい女の子ばっかりでハーレムだから頑張れると」

京太郎「はい。……って、そこまで言ってないです」

智美「ワハハ、そうだったか?」

京太郎「……まぁ、否定はしませんけど」

智美「ワハハ。男の子なんてそんなものか」ガリガリガリガリガリ

京太郎「(縁石にタイヤを擦るぐらいじゃ動じなくなってきたな……)」

智美「聞けば聞くほどに面白い状況だなー。男一人で雑用とか任されてても楽しくやれてるのかー」ガッコンガッコン

智美「……須賀君って、もしかしてそっちの趣味が?」チラチラ

京太郎「ないですよそんな趣味!」

智美「ワハハ、それは残念。さーって、次の曲がり角を曲がれば駅だなー。ブレーキブレーキ……」グォン!

京太郎「うぉっ! なんで曲がる直前に加速するんですかっ!」

智美「ワハハ。ごめんごめん、ブレーキとアクセル間違えた。オートマ車はこれだからいけないな」

京太郎「マニュアル車でもアクセルブレーキは右足です。あーあ、曲がり角過ぎちゃった……」

智美「なーに、まだ電車の時間まで余裕があるんだろ。ゆっくり行こう」グォン!

京太郎「(何でそう言いながら加速するんだろう。もういやだ……)」


その後、駅は目と鼻の先なのに何故かもう30分ほど蒲原さんのドライブに付き合う羽目になった。
死んだ曾じいちゃんと、すごく鼻がとがった人と、黒シャツ着た人が
面子が足りないから来いと手招きしてるのが見えたのは幻だと信じたい。
本当に、思い出すだけで悪夢だ。駅のトイレでいろいろブチ撒ける羽目になったのは言うまでもない。

まぁ、紆余曲折あったが俺の目的は無事に果たせた。
俺はそのことにほっと一息つき、家に帰って皆からもらった麻雀の課題について取り組んでいた。



――だが、それ以上の悪夢が

華菜「みはるん……かくかくしかじかってことがあったんだけど、どう思う?」

未春「まっ、まさかぁ。そんなこと、無いと思うけど」

未春「そんな、部の共有ペットとして日々屈辱の攻めを味わっているなんて、そんなこと……」

華菜「そこまで言ってないし」

未春「やっぱり普段はこう、ギャグボールっていうんだっけ? そういうのを嵌められて喋ることも許されず……」

華菜「聞いてないし」

未春「でもすっかり開発されきったその体はもう抗うことはできなくて自らその体を……」

華菜「みはるんが遠くに行っちゃった……」



――着々と進行し

智美「ワハハ。帰ったぞ」

ゆみ「お帰り。駅まで送っていっただけなのに何でこんなに遅いんだ」

智美「いやーちょっと道を間違えちゃってな。須賀君との話が面白くて」

モモ「須賀さんも気の毒っすね……」

佳織「どんな話したの?」

智美「えーっと、須賀君は清澄たった一人の男子部員らしいな」

ゆみ「ほう。女子5人の中に男子1人とはいろいろ気苦労も多そうだが」

智美「雑用とかいろいろこき使われることも多いけど、須賀君はそういうのが(皆の役に立てるなら)大好きなんだって」

佳織「……智美ちゃん。なんだかすごく誤解を招きそうな言い方だけど、本当に言ってたのそんなこと?」

智美「おぉ、言ってたぞ。女の子に囲まれているから楽しいとも言ってたな。それが満足とも言ってたような……」

睦月「部長。なんだが須賀さんがどうしようもない人に聞こえてくるんですが……」

モモ「……確かに今日も20kg近い荷物を持って駅から1時間かけて歩いてきたとか言ってたっすね」

睦月「確かに普通の人だったら怒っても無理もないですよね」

智美「ん? 須賀君は全然怒ってなかったぞ? 別れ際も皆と和やかに別れていたし」

佳織「いや、そんな」

ゆみ「……まさか、なぁ?」



――取り返しのつかない状況になっていることなど

透華「聞きました?」

純「あぁ。清澄には男子部員が居て、その子が、その、えっと……」

一「あっ、純くん照れてるー」

純「うっ、うるせっ」

智紀「……」カタカタ

衣「下僕……ハギヨシみたいな存在が清澄にもいるのか?」

一「いや、なんていうか、聞く限りだとそんな健康的なものじゃないというか」

純「勘違いだと思うんだがなぁ」

透華「とは言え、さすがに当人たちには聞きづらいですわね」

一「うん。お宅の須賀さんはMどれ(ムグッ」

純「ちょ! 衣の前だぞ! つーかなんて言い方だ!」クチオサエ

一「むぐむぐ」コクコク

衣「?」

透華「衣は気にしなくても大丈夫ですわ」

智紀「……」カタカタ


――知る由もないのだった。

久「なーんか夜の検討会の時皆がよそよそしかったような?」

まこ「そうか? 言われてみればそんな気がしたような……」

久「何かあったのかしら?」

まこ「むぅ」


優希「ほい。原住民の村からの宮廷で魔女を使って2人とも呪いを3枚ドローだじぇ」

咲「あぅ、私のデッキが呪い塗れに……」

優希「まだ私のターンは終わってないじぇ? さらにならず者を使うから2人と3枚になるまで手札捨てるじぇ」

和「せ、せっかく白金貨が来たのにお金が足りなくなりました」


まこ「あの3人娘は、本当にもう……」

久「ちょっと、なにやってるの! 私も混ぜなさい!」

まこ「こいつ……」






智紀「……」カタカタ

智紀「……」カタカタ

智紀「……」カタカタ

智紀「……」ッターン!

智紀「ふぅ」